PMSの漢方薬は体質タイプで選ぶ|効果や副作用、漢方薬も解説

PMSの漢方薬は体質タイプで選ぶ|効果や副作用、漢方薬も解説 漢方

毎月のイライラや体調不良など、月経前症候群(PMS)の症状に悩まされ、ピル以外の選択肢を探している方もいるかもしれません。
この記事を読めば、自分のPMS症状や体質タイプを特定し、今の自分に最も適した漢方薬の名称と、それをどこで入手すべきかを判断できるようになります。

漢方薬の効果や副作用についても解説します。

▼この記事でわかること
・ PMSの根本原因にアプローチする漢方の考え方
・ セルフチェックで判断できる4つの体質タイプ
・ 自分の体質に合った代表的な漢方薬の種類
・ 保険適用の有無で比較する漢方薬の入手方法

PMS(月経前症候群)の改善になぜ漢方が選ばれるのか

PMS(月経前症候群)の改善において漢方が選択肢となるのは、一時的な症状の緩和だけでなく、不調の根本原因である体質そのものに働きかけることを目的としているためです。
西洋医学が特定の症状を抑えることに重点を置くのに対し、漢方は心と体のバランスを総合的に見て整えることで、PMSが起こりにくい状態を目指します。

心と体の両面から不調を整える東洋医学のアプローチ

東洋医学では、心と体は一体であると考えます。
PMSで見られるイライラや落ち込みといった精神的な不調と、頭痛や腹痛などの身体的な不調は、互いに影響し合っていると捉えます。

漢方薬は、乱れたホルモンバランスだけでなく、「気・血・水」という体の構成要素のバランスを整えることで、心身両面の症状を同時に改善することを目指します。

ホルモン治療(ピル)とは異なる体質改善の考え方

低用量ピルなどのホルモン治療は、女性ホルモンの変動を直接的に抑制し、排卵を止めることでPMS症状を改善します。
一方、漢方はホルモンバランスの乱れを引き起こしている根本的な体質(冷え、血行不良、ストレスなど)にアプローチします。
そのため、漢方による治療は、症状を抑えるだけでなく、不調が起こりにくい体質へと根本的な改善を目指す考え方に基づいています。

自分の体質を知ることが、適切な漢方薬選びの第一歩です。
次の章では、自身のPMSタイプを判断するためのチェックリストを紹介します。

【セルフチェック】あなたのPMSはどのタイプ?4つの体質チェックリスト

漢方では、その人の体質や症状に合った薬を選ぶことが重要です。
PMSの症状は人それぞれ異なり、その原因となる体質の乱れも様々です。
ここでは、東洋医学の考え方に基づいた4つの体質タイプを紹介します。

自分の症状がどれに多く当てはまるかチェックし、PMSの原因となっている体質のタイプをチェックしてみましょう。

気滞(きたい):イライラや気分の落ち込みが目立つ

「気」は生命活動のエネルギーを指し、その巡りがストレスなどで滞った状態が「気滞」です。
特に精神的な症状が強く現れるのが特徴です。
以下の項目に当てはまるものが多い場合、気滞タイプの可能性があります。

⬜︎わけもなくイライラする
⬜︎憂うつな気分になったり、急に悲しくなったりする
⬜︎ささいなことが気になる
⬜︎強い不安感に襲われることがある
⬜︎胸の張りや腹部の膨満感が強い
⬜︎ため息がよく出る
⬜︎ゲップやおならが出やすい

瘀血(おけつ):下腹部痛や肩こりがひどい

「血(けつ)」の巡りが滞り、古血が溜まっている状態が「瘀血」です。
痛みや血行不良に伴う症状が特徴で、生理痛が重い人に多く見られます。

⬜︎生理痛がひどく、特に下腹部痛が強い
⬜︎経血にレバー状の塊が混じる
⬜︎肩こりや頭痛が慢性化している
⬜︎手足は冷えるのに顔はのぼせることがある
⬜︎シミやそばかす、目の下のクマが気になる
⬜︎唇や歯茎の色が紫がかっている
⬜︎イライラしやすい

血虚(けっきょ):めまいや倦怠感が強い

「血(けつ)」が不足し、全身に栄養が行き渡っていない状態が「血虚」です。
貧血に似た症状や、疲労感が強く出やすいのが特徴です。

⬜︎立ちくらみやめまいが頻繁に起こる
⬜︎全身の倦怠感が強く、疲れやすい
⬜︎生理前から生理中にかけて眠気がひどい
⬜︎顔色が悪く、青白いと言われる
⬜︎肌荒れや髪のパサつきが気になる
⬜︎手足に冷えを感じる
⬜︎動悸や不安感がある

水滞(すいたい):むくみや頭痛に悩まされる

「水」は体内の水分のことで、その巡りが悪く、余分な水分が溜まっている状態が「水滞」です。
水分代謝の異常による症状が中心となります。

⬜︎手足や顔がむくみやすい
⬜︎体が重だるく感じる
⬜︎頭痛(特に頭が重い、締め付けられる感じ)がする
⬜︎めまいや立ちくらみがある
⬜︎吐き気や胃のチャポチャポ感がある
⬜︎手足が冷えやすい
⬜︎乗り物酔いをしやすい

自分の体質タイプが把握できたら、次はそのタイプに応じた代表的な漢方薬を見ていきましょう。
生理前のガス溜まりやお腹の張りについては「生理前のガス溜まり・お腹の張り対策」で詳しく紹介しています。

【タイプ別】PMSの改善で用いられる代表的な漢方薬5選

PMSの改善で用いられる漢方薬には多くの種類がありますが、ここではセルフチェックで分類した体質タイプごとによく用いられる代表的な5つの漢方薬を紹介します。
自分の症状や体質に合った漢方薬の選び方の参考にしてください。
3大婦人薬の漢方の比較については「3大婦人薬の漢方比較と選び方」で詳しく紹介しています。

ただし、最適な漢方薬は専門家によるカウンセリングが基本となります。

加味逍遙散(かみしょうようさん):精神的な不調が強い「気滞」タイプ向け

加味逍遙散は、気の巡りを改善し、体にこもった熱を冷ます働きがあります。
「気滞」タイプに見られるイライラ、怒りっぽい、憂うつ、不安感といった精神症状が強い場合に適しています。

また、のぼせやほてり、不眠、肩こりなど、自律神経の乱れからくる身体的な不調にも効果が期待できます。
体力があまりない虚弱体質の人にも使いやすい処方です。
生理前の喉の詰まる感じについては「生理前の喉の詰まる感じと漢方」で詳しく紹介しています。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷えやめまいがある「血虚」タイプ向け

当帰芍薬散は、血を補い、その巡りを良くすることで体を整える漢方薬です。
「血虚」タイプによく見られる冷えや貧血症状、めまい、立ちくらみ、倦怠感などに用いられます。
また、余分な水分の排出を促す作用もあるため、むくみやすい人にも適しています。

体力に自信がなく、疲れやすい、痩せ型の女性に用いられることが多いです。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):のぼせや下腹部痛がある「瘀血」タイプ向け

桂枝茯苓丸は、滞った血の巡りを改善する代表的な漢方薬です。
「瘀血」タイプの特徴である、のぼせと足先の冷えや、生理痛、特にズキズキとした下腹部痛、肩こり、頭痛などに効果的です。
経血に塊が見られるような場合にも用いられます。
比較的体力がある人向けの漢方薬とされています。

他にも、滞った血の巡りを改善する漢方薬はいろいろな種類があります。
温経湯の効果については「温経湯の効果と正しい飲み方」で詳しく紹介しています。

抑肝散(よくかんさん):神経の高ぶりやイライラが特にひどい場合に

抑肝散は、神経の高ぶりを鎮め、筋肉の緊張を和らげる作用があります。
特にPMSの症状の中でも、イライラがひどい、怒りっぽい、攻撃的になる、眠れないといった精神的な興奮が強く現れる場合に用いられます。
歯ぎしりや手足の震えを伴うような、神経過敏な状態を落ち着かせる効果が期待できる漢方薬です。

五苓散(ごれいさん):むくみやめまいなど水分の乱れが原因の「水滞」タイプ向け

五苓散は、体内の水分バランスを整える働きに優れた漢方薬です。
「水滞」タイプに見られるむくみ、頭痛、めまい、吐き気、下痢などの症状を改善します。
特に、天候によって症状が悪化する場合や、乗り物酔いをしやすい人にも適しています。

口の渇きがある一方で、尿量が少ないといった水分代謝の乱れが目標となります。
自分に合いそうな漢方薬が見つかったところで、次に気になるのは効果を実感できるまでの期間です。

生理前の悪寒・発熱については「生理前の悪寒・発熱と漢方対策」で詳しく紹介しています。

PMSの漢方薬はいつから有効?効果を実感するまでの期間の目安

漢方薬の効果が現れるまでの期間には個人差があり、体質や症状の程度によって異なります。
一般的に、PMSのような体質改善を目的とする場合、効果を実感するまでには時間がかかることが多いです。
まずは1ヶ月程度服用し、体に合っているかを確認します。
その後、継続して服用し、多くの場合は3ヶ月(約3回の月経周期)ほどで症状の変化を感じ始めることが一つの目安とされています。

漢方薬は、即効性を期待するよりも、焦らずじっくりと体質を整えていくという視点で取り組むことが大切です。
効果が見られない場合は、薬が合っていない可能性もあるため、医師や薬剤師に相談して見直す必要があります。
長期間服用する可能性も考慮し、次に漢方薬の副作用についても理解を深めておきましょう。
PMSの漢方を飲むタイミングについては「PMS漢方の効果と飲み方」で詳しく紹介しています。

服用前に知っておきたい漢方薬の副作用と注意点

漢方薬は天然の生薬から作られているため、比較的安全なイメージがありますが、医薬品である以上、副作用が起こる可能性はゼロではありません。
代表的な副作用としては、食欲不振、胃もたれ、吐き気、下痢などの消化器症状や、皮膚の発疹、かゆみなどが挙げられます。
まれに、間質性肺炎や肝機能障害、偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇など)といった重篤な副作用が起こることもあります。

また、妊娠中や授乳中の服用については、自己判断は避けるべきです。
含まれる生薬によっては、胎児や乳児に影響を与える可能性があるため、必ず事前に医師や薬剤師に相談してください。
何らかの異常を感じた場合は、すぐに服用を中止し、専門家に連絡することが重要です。
妊活中のPMSについては「妊活中のPMSと漢方改善」で詳しく紹介しています。

安全に服用するためにも、信頼できる場所で漢方薬を入手することが不可欠です。

漢方薬はどこで手に入れる?病院処方と市販薬の違いを解説

PMS治療のための漢方薬は、主に「病院(婦人科など)」「漢方薬局」「ドラッグストア」の3つの場所で手に入れることができます。
それぞれにメリット・デメリットがあり、費用(値段)や受けられるサービスが異なります。
自分の目的やライフスタイルに合わせて、どこで入手するかを選ぶことが大切です。

ここでは、それぞれの特徴と違いを解説します。

保険適用で処方を受けられる病院(婦人科)のメリット

婦人科や産婦人科などの病院で処方される漢方薬は、健康保険が適用されるため、費用を安く抑えられるのが最大のメリットです。
医師による診察に基づき、PMSの症状だけでなく他の婦人科系疾患の可能性も考慮した上で適切な漢方薬が処方されます。
西洋医学的な検査と診断を受けられる安心感もあり、初めて漢方を試す場合や、費用を抑えたい場合に適しています。

ただし、診察時間が限られ、相談にかけられる時間は短い傾向にあります。

専門家にじっくり相談できる漢方薬局のメリット

漢方薬局では、漢方の専門家である薬剤師が、時間をかけて体質や生活習慣などを詳しくヒアリングし、その人に合わせた最適な漢方薬を選んでくれます。
既製の漢方薬だけでなく、その人のためだけに生薬を調合する煎じ薬を選択してもらえる場合もあります。
費用は保険適用外のため高くなる傾向がありますが、よりきめ細やかなアドバイスや相談を求める人に向いています。

ドラッグストアで市販薬を選ぶ際のポイント

ドラッグストアでは、医師の処方箋なしで手軽に市販薬を購入できるのが利点です。
ツムラやクラシエなどをはじめとする大手メーカーの漢方薬が販売されており、時間がない時でもすぐに入手できます。
しかし、市販薬は多くの人に合うように成分量が調整されていることがあり、自分の体質に合っているかを自己判断で選ぶ必要があります。
パッケージの効能・効果を確認し、薬剤師や登録販売者に相談しながら選ぶことが選び方のポイントです。

漢方薬を選ぶだけでなく、日々の生活習慣を見直すことも症状の改善につながります。

漢方の効果を高める!PMSを和らげるセルフケア習慣

漢方薬による体質改善の効果を最大限に引き出すためには、日々の生活習慣を見直すことも非常に重要です。
食事や睡眠、運動といった基本的な生活習慣を整えることで、心身のバランスが取れやすくなり、PMS症状の緩和につながります。
ここでは、漢方療法と並行して実践したい、具体的なセルフケアの対策を紹介します。

生理前の不調を軽くする食事のポイント

生理前の食事では、栄養バランスを整え、体を冷やさない工夫が大切です。
血糖値の急激な変動は気分の浮き沈みにつながるため、白砂糖や精製された炭水化物は控えめにし、玄米や全粒粉パンなどを選びましょう。

また、体を温める作用のある根菜類や、血行を促進する青魚などを積極的に摂るのがおすすめです。
カフェインやアルコール、塩分の多い食事は症状を悪化させる可能性があるため、生理前は特に控えるなどの対策が有効です。
過食を抑える漢方薬については「ストレス・症状別の過食対策漢方薬」で詳しく紹介しています。

リラックスを促すおすすめの過ごし方とツボ押し

ストレスは気の巡りを滞らせ、PMSの症状を悪化させる大きな要因です。
生理前は特に、意識的にリラックスする時間を作りましょう。
ぬるめのお湯にゆっくり浸かる、アロマオイルで香りを楽しむ、軽いストレッチやウォーキングを行うなどがおすすめです。

また、血行を促進し、婦人科系の不調緩和に効果的とされるツボ「三陰交」(内くるぶしの最も高いところから指4本分上)を優しく押すのも手軽な対策の一つですす。
最後に、PMSと漢方薬に関して多くの人が抱く疑問についてお答えします。
排卵痛と漢方薬については「排卵痛と漢方薬の活用」で詳しく紹介しています。

PMSと漢方薬に関するよくある質問

ここでは、PMSの改善の目的で漢方薬を検討している方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
服用を始める前の不安や疑問の解消に役立ててください。

漢方薬はPMSにどのくらいの期間で効果が出ますか?

効果を実感するまでの期間には個人差がありますが、一般的には3ヶ月程度の継続服用が目安です。
漢方は体質を根本から改善することを目指すため、即効性を期待するのではなく、じっくりと続けることが大切です。

まずは1ヶ月服用して体に合うかを確認し、継続しましょう。

ピルとPMS向けの漢方薬は一緒に飲んでも大丈夫ですか?

ピルと漢方薬の併用は、自己判断で行うべきではありません。
飲み合わせによっては、互いの効果に影響を与えたり、予期せぬ副作用を引き起こしたりする可能性があります。
現在ピルを服用中で漢方も試したい場合は、必ず処方している医師や薬剤師に相談し、指示を仰いでください。

市販のPMS向け漢方薬が効かないのはなぜですか?

市販の漢方薬で効果を感じられない主な理由は、その薬が自分の体質(証)に合っていない可能性が高いからです。
漢方は症状名だけで選ぶのではなく、体質に合ったものを選ぶことが最も重要です。
専門家によるカウンセリングを受けて、自分に最適な薬を見つけることが効果的な選び方です。

まとめ

PMSの多様な症状を改善するためには、自分の体質(証)を正しく理解し、それに合った漢方薬を選ぶことが重要です。
漢方療法は、心と体のバランスを整え、不調が起こりにくい体質へと導くことを目指します。
まずはセルフチェックで自身のタイプを把握し、婦人科や漢方薬局などの専門家に相談の上、適切な漢方薬を受けることから始めましょう。
産後のPMSについては「産後のPMS改善と漢方」で詳しく紹介しています。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。