妊活中のPMSは漢方で改善。ピルが飲めない方向けの薬の選び方
妊活・不妊
妊娠を望む妊活中には、避妊効果のある低用量ピルを服用できません。
しかし、毎月やってくるPMS(月経前症候群)のつらい症状は我慢したくないものです。
そのようなジレンマを抱える方にとって、漢方は有力な選択肢となります。
漢方は排卵を止めずに体質からアプローチするため、妊活と並行してPMS症状の改善を目指せます。
この記事では、妊活中にピル以外の薬でPMSをケアしたい方に向けて、漢方薬の選び方やメリットを解説します。
なぜ妊活中のPMSに漢方が良いの?ピルとの違いを解説
PMSの症状改善の代表的な選択肢である低用量ピルは、排卵を抑制することでホルモン変動を抑え、症状を緩和します。
しかし、妊娠を望む期間はこの方法を選択できません。
一方、漢方は身体全体のバランスを整えることで、ホルモンの乱れを根本から見直すアプローチを取ります。
そのため、排卵機能を維持したまま、PMSの不快な症状を和らげることが可能です。
妊活とPMS改善を両立させたい場合に、漢方が適しているのはこのためです。
排卵を止めずにホルモンバランスの乱れを整える
漢方の大きな特徴は、排卵という女性の体の自然なリズムを止めることなく、心身のバランスを整える点にあります。
東洋医学では、人間の体は「気・血・水」の3つの要素で構成され、これらがバランス良く巡ることで健康が保たれると考えられています。
PMSは、この「気・血・水」のいずれか、あるいは複数が滞ったり不足したりすることで起こるとされます。
漢方薬は、それぞれの乱れを調整し、体が本来持つホルモン分泌機能を正常に近づけるよう働きかけるため、妊活と服用を両立できます。
PMS症状だけでなく冷えや血行不良も同時にケアする
漢方療法は、現れている一つの症状だけを抑えるのではなく、その原因となっている体質全体の改善を目指します。
例えば、PMSの背景には、多くの女性が悩む「冷え」や「血行不良」が隠れていることが少なくありません。
これらは妊娠の妨げになる要因とも考えられています。
漢方は、PMSのイライラや頭痛といった症状に対応しながら、同時に体を温めたり血の巡りを良くしたりする漢方薬が可能です。
一つの漢方薬で複数の不調をケアできるため、結果として妊娠しやすい体づくりにも繋がっていきます。
PMS改善だけじゃない!漢方が妊活にもたらす3つのメリット
漢方を用いてPMSの症状改善を行うことは、単に月経前の不快な症状を和らげるだけでなく、妊娠を目指す体にとっても多くの良い影響をもたらします。
PMSが起こる原因であるホルモンバランスの乱れや血行不良は、妊娠のしやすさにも深く関わっているためです。
体質を根本から見直す漢方のアプローチは、結果的に授かりやすい体づくりをサポートします。
ここでは、漢方が妊活にもたらす具体的な3つのメリットを解説します。
メリット1:血流を促し、子宮環境を整えやすくなる
東洋医学では、全身に栄養を運び、ホルモンバランスにも関わる「血」の流れを非常に重視します。
血行が滞ると、子宮や卵巣に十分な栄養や酸素が行き渡りにくくなり、子宮内膜が厚くなりにくかったり、卵子の質に影響が出たりする可能性があります。
漢方には、血行を促進する作用を持つ生薬が多く含まれています。
滞った血の流れをスムーズにすることで、子宮や卵巣の機能が高まり、受精卵が着床しやすい、ふかふかな子宮環境を整えるサポートが期待できます。
メリット2:基礎体温の安定化をサポートする
妊活において、基礎体温の測定は排卵日を予測し、体調を把握するための重要な指標です。
ホルモンバランスが乱れていると、低温期と高温期の差が不明瞭になったり、高温期が短くなったりと、基礎体温のグラフが不安定になりがちです。
漢方で「気・血・水」のバランスを整えることは、ホルモン分泌の正常化に繋がり、結果として乱れていた基礎体温が安定しやすくなります。
特に、着床を維持するために重要な高温期がしっかりと安定することは、妊娠の継続にとってプラスに働きます。
メリット3:心身のストレスを和らげ、授かりやすい体質へ導く
「赤ちゃんが欲しい」というプレッシャーや、PMSによる気分の落ち込みは、知らず知らずのうちに大きなストレスとなります。
過度なストレスは自律神経の乱れを引き起こし、ホルモンバランスに悪影響を与えてしまう悪循環に陥りがちです。
漢方には、乱れた自律神経を整え、高ぶった神経を鎮めたり、うつ的な気分を晴れやかにしたりする処方もあります。
心身の緊張を和らげることで、ホルモン分泌がスムーズになり、体が本来持つ妊娠する力を引き出すことに繋がります。
【症状・体質別】妊活中のPMSにおすすめの漢方薬の選び方
漢方薬は、同じPMSという診断でも、その人の体質や現れている症状によって最適な漢方薬が異なります。
漢方では、その人の体力や抵抗力などを総合的に判断した「証(しょう)」という考え方を元に薬を選びます。
自分の体質に合わない漢方薬を服用すると、効果が得られないばかりか、かえって不調を招くこともあります。
まずは自分の体質を把握し、症状に合った漢方薬を選ぶことが重要です。
ここでは、代表的な症状と体質に合わせた漢方薬の選び方を紹介します。
まずは自分の体質「証(しょう)」をセルフチェックしよう
漢方を選ぶ上で基本となるのが、自分の体質「証」を知ることです。
「証」は、体力の充実度や体格などから、主に「実証」「虚証」「中間証」に分けられます。
まずは簡単なセルフチェックで、自分がどのタイプに近いか確認してみましょう。
実証タイプ:体力があり、がっちりした体格。
声が大きく、食欲旺盛。
便秘がちで、のぼせやすい傾向がある。
虚証タイプ:体力がなく、疲れやすい。
華奢でなで肩。
胃腸が弱く、食が細い。
冷え性で顔色が悪いことが多い。
中間証タイプ:実証と虚証のどちらにもはっきりと当てはまらない、中間の体質。
【イライラ・気分の落ち込みが辛い方】気の巡りを整える漢方薬
生理前にイライラや怒りっぽさが募ったり、理由もなく憂うつな気分になったりする方は、エネルギーである気の巡りが滞る気滞の状態と考えられます。
気の巡りをスムーズにすることで、精神的な症状を和らげます。
代表的な漢方薬には加味逍遙散や抑肝散があります。
また、気そのものが不足する気虚の状態になると、強い眠気や倦怠感として現れることもあり、その場合は気を補う補中益気湯などが用いられることもあります。
【むくみ・冷え・頭痛が辛い方】血行を促進し体を温める漢方薬
生理前になると手足がパンパンにむくむ、体が芯から冷える、重たい頭痛がするといった症状は、血行不良の「血虚(けっきょ)」や、体内の水分バランスが乱れる「水滞(すいたい)」が原因と考えられます。
体を温めながら血行を促し、余分な水分の排出を助ける漢方薬が適しています。
代表的な漢方薬には、冷えや貧血傾向のある方のPMSによく用いられる「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」があります。
特に水分代謝の異常によるむくみには「柴苓湯(さいれいとう)」が選択される場合もあります。
【のぼせ・ニキビ・便秘がちな方】滞った血(瘀血)を流す漢方薬
顔はほてるのに手足は冷える「冷えのぼせ」や、フェイスラインのニキビ、肩こり、便秘といった症状は、血の流れが滞る「瘀血(おけつ)」のサインです。
滞った血を流し、全身の血行を改善する漢方薬が効果的です。
代表的な漢方薬として、体力のある方向けの「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や、便秘がちな方向けの「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」などがあります。
また、加齢に伴うほてりなどが見られる場合は、「六味地黄丸(ろくみじおうがん)」が選択肢になることもあります。
漢方薬はどこで手に入れる?専門家への相談先と選び方
自分に合った漢方薬を見つけるためには、専門家への相談が不可欠です。
主な相談先には「漢方薬局」と「婦人科・漢方外来のあるクリニック」の2つがあり、それぞれに特徴があります。
最近ではオンラインで相談できる施設も増えています。
自分の目的やライフスタイル、予算に合わせて相談先を選ぶことが大切です。
ここでは、それぞれのメリット・デメリットを解説し、どのような方にどちらが向いているかを説明します。
じっくり体質相談をしたいならオーダーメイドの漢方薬も可能な「漢方薬局」
漢方薬局では、漢方の専門家である薬剤師が時間をかけてカウンセリングを行い、生活習慣や食生活まで含めて総合的に体質を判断してくれます。
既製の漢方薬だけでなく、その人の体質に合わせて生薬を調合するオーダーメイドの漢方薬を選薬してもらえるのが最大のメリットです。
根本的な体質改善を目指したい方や、きめ細やかな相談を希望する方に向いています。
また、保険適応外の動物生薬も選択肢に入ります。
ただし、健康保険が適用されないため、費用は比較的高額になる傾向があります。
保険適用で始めたいなら不妊治療と並行しやすい「婦人科・漢方外来」
婦人科や漢方外来のある病院やクリニックでは、医師が診察を行い、漢方薬を処方します。
最大のメリットは、健康保険が適用されるため、費用を抑えて治療を始められる点です。
また、西洋医学的な検査や不妊治療と並行して漢方治療を受けやすく、主治医と連携を取りながら進められる安心感があります。
一方で、診察時間が短く、処方されるのはエキス製剤(粉薬や錠剤)が中心となることが一般的です。
まずは気軽に試してみたい方や、現在の不妊治療と併用したい方におすすめです。
妊活中のPMSと漢方に関するよくある質問
妊活中にPMSの改善を目指して漢方を始めるにあたり、効果を実感できるまでの期間や副作用の有無、妊娠した後の対応など、さまざまな疑問が浮かぶことでしょう。
安心して服用を続けるために、事前に疑問点を解消しておくことは大切です。
ここでは、妊活中のPMSと漢方に関して、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
漢方薬はどのくらいの期間で効果を実感できますか?
体質や症状によりますが、2週間から1ヶ月ほどで変化を感じ始め、3ヶ月程度で効果が安定する方が多いです。
漢方は体質を根本から改善していくため、西洋薬のような即効性を期待するよりも、焦らず継続することが重要になります。
漢方薬に副作用はありますか?
自然由来の生薬ですが、副作用が全くないわけではありません。
まれに胃の不快感や食欲不振、発疹などが出ることがあります。
また、体質に合わない漢方薬を服用すると、症状が悪化する可能性もあるため、異変を感じたらすぐに処方した医師や薬を選んでもらった薬剤師に相談してください。
もし妊娠したら、漢方は飲み続けても大丈夫ですか?
自己判断で飲み続けるのは避け、妊娠の可能性がある場合や判明した時点で、すぐに処方医や薬剤師に相談してください。
妊娠中に服用を控えるべき生薬も含まれていることがあるため、流産防止の安胎薬など、妊娠をサポートする薬への変更が必要です。
まとめ
妊活中に低用量ピルが使えない状況でのPMS対策として、漢方薬は有効な選択肢の一つです。
排卵を止めずにホルモンバランスを整え、冷えや血行不良といった根本的な体質にアプローチするため、PMS症状の緩和と妊娠しやすい体づくりを同時に目指せます。
漢方薬は、個々の体質や症状に合わせて選ぶことが非常に重要です。
自己判断で選ばず、漢方薬局や婦人科などの専門家に相談の上、自分の体に合った漢方薬を見つけましょう。
