生理前の悪寒・発熱は漢方で対策!原因と体質別の薬の選び方
漢方
生理前の悪寒や発熱はPMS(月経前症候群)の症状の一つとして現れることがあります。
つらい症状の緩和には、西洋薬だけでなく、体質からの改善を目指す漢方薬を用いた対策もおすすめです。
この記事では、生理前に起こる悪寒の原因を解説し、個々の体質に合わせた漢方薬の選び方や、日常生活で手軽に実践できるセルフケアを紹介します。
自分に合った薬や対策を見つけるための参考にしてください。
生理前のつらい悪寒…その原因はPMSかもしれません
生理が近づくと、風邪をひいたわけでもないのに悪寒がしたり、寒気がする一方で体が熱っぽいと感じたりする不調を経験する方がいます。
このような体の寒気や発熱といった症状は、PMS(月経前症候群)が原因で引き起こされている可能性があります。
PMSによる不調は、生理周期に伴うホルモンバランスの変動が自律神経に影響を与え、体温調節機能などを乱すことで生じると考えられています。
なぜ、このようなつらい症状が起こるのか、そのメカニズムを見ていきましょう。
ホルモンバランスの変動が自律神経を乱す
生理前は、女性ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増加します。
プロゲステロンには基礎体温を上昇させる働きがあるため、この時期は体が熱っぽく感じられます。
しかし、このホルモンバランスの急激な変動は自律神経の働きを乱し、体温調節機能を不安定にさせることがあります。
その結果、体は熱を産生しようとして筋肉を震わせる「悪寒」や、逆に熱を放出しようとして血管が拡張する「ほてり」といった症状が同時に起こりやすくなります。
悪寒のほかにも、イライラ、眠気、頭痛など、PMSでは心身にわたる多様な症状が現れます。
漢方医学で考える「気・血・水」の滞り
漢方医学では、私たちの体は「気・血・水」という3つの要素がバランスを取りながら循環することで健康が保たれていると考えます。
生理前の不調は、これらのバランスが崩れることで起こるとされています。
「気」は生命エネルギー、「血」は血液とその働き、「水」は血液以外の体液を指します。
例えば、「気」の巡りが滞るとイライラし、「血」の流れが滞ると肩こりや生理痛が起こりやすくなります。
悪寒や冷えは、体を温める「気」が不足したり、全身の潤いに関わる「水」の巡りが悪化して体内に余分な水分が溜まること(水滞)が原因の一つです。
水滞は、むくみやめまい、関節痛なども引き起こします。
風邪や妊娠初期症状との見分け方
生理前の悪寒や微熱は、風邪や妊娠初期症状と似ているため見分けがつきにくいことがあります。
最も大きな違いは、症状が現れるタイミングと周期性です。
PMSの症状は、排卵後から生理が始まるまでの期間に現れ、生理が始まると軽快または消失するのが特徴です。
一方、風邪の場合は、喉の痛み、咳、鼻水といった呼吸器系の症状を伴うことが多く、葛根湯などの風邪薬で症状が和らぐことがあります。
妊娠初期症状の場合は、生理予定日を過ぎても生理が来ず、基礎体温の高温期が持続します。
吐き気や強い眠気などが続く場合は、妊娠の可能性を考えましょう。
【体質別】生理前の悪寒におすすめの漢方薬3選
生理前の悪寒に対する漢方薬は、症状だけでなく個々の体質に合わせて選ぶことが重要です。
漢方では、その人の体力や冷えの程度、精神状態などを総合的に判断して漢方薬を決定します。
ここでは、PMSによる悪寒によく用いられる代表的な3つの漢方薬を紹介します。
ただし、体質や症状の組み合わせによっては、抑肝散や苓桂朮甘湯などが適している場合もあります。
自身の状態と照らし合わせ、漢方薬選びの参考にしてください。
イライラやのぼせを感じやすい方には「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」
体力が中等度以下で疲れやすく、精神的な不安定さを感じやすい方におすすめの漢方薬です。
特に、イライラや不安感、気分の落ち込みといった精神神経症状が強く現れる場合に適しています。
加味逍遙散は、滞った「気」の巡りを改善し、体の上部にこもった熱を冷ます働きがあります。
そのため、悪寒がする一方で、顔や上半身にはのぼせやほてりを感じる「冷えのぼせ」の状態に効果的です。
その他、頭痛や肩こり、不眠など、PMSに伴うさまざまな心身の不調を和らげる目的で広く用いられています。
下半身の冷えや肩こりが気になる方には「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」
比較的体力があり、悪寒とともにのぼせや足先の冷えを感じる方に適した漢方薬です。
桂枝茯苓丸は、滞った「血」の流れを改善する代表的な漢方薬(駆瘀血剤)の一つです。
血行不良は、肩こりや頭痛、重い生理痛などの原因となり、体の末端まで温かい血液が届きにくくなるため、下半身の冷えを引き起こします。
この漢方薬は、血の巡りをスムーズにすることで全身の血行を促進し、冷えのぼせや手足の冷えを改善します。
生理痛や月経不順、子宮内膜症など、婦人科系のトラブル全般に用いられることが多いです。
強い冷えとだるさを感じる方には「真武湯(シンブトウ)」
体力がなく虚弱で、新陳代謝が低下している方の強い冷えや悪寒に用いられる漢方薬です。
特に、体の芯から冷えるような感覚があり、疲労倦怠感が強く、温かい場所でもなかなか体が温まらないという場合に適しています。
真武湯は、体を温める作用(温陽)が非常に強く、体内の「水」の巡りを改善する働きも持ち合わせています。
そのため、冷えによる悪寒だけでなく、めまい、むくみ、下痢、腹痛といった水分の代謝異常に伴う症状の改善も期待できます。
エネルギー不足を補い、体を根本から温めることで、つらい症状を和らげます。
漢方と合わせて実践したい!悪寒を和らげるセルフケア
漢方薬による体質改善と並行して、日々の生活習慣を見直すことは、生理前の悪寒を和らげる上で非常に効果的です。
食事や入浴、服装などを少し工夫するだけで、つらい症状を軽減できる場合があります。
漢方薬の効果をより高めるためにも、日常生活の中で手軽に取り入れられるセルフケアを実践してみましょう。
ここでは、体を温め、自律神経のバランスを整えるための具体的な方法を3つ紹介します。
体を芯から温める食事を意識する
生理前の悪寒対策には、体を内側から温める食生活が基本です。
ショウガやネギ、ニンニクなどの薬味や、カボチャ、ゴボウ、ニンジンといった根菜類は体を温める作用があるとされています。
食事には、これらの食材を積極的に取り入れましょう。
逆に、トマトやキュウリなどの夏野菜や、南国の果物は体を冷やす性質があるため、摂りすぎに注意が必要です。
冷たい飲み物や生ものの摂取は避け、スープや煮込み料理など、加熱調理した温かい食事を心がけることが、血行を促進し、悪寒の緩和につながります。
ぬるめのお湯にゆっくり浸かってリラックスする
シャワーだけで済ませず、湯船に浸かる習慣は、悪寒の緩和に有効です。
特に、38~40℃程度のぬるめのお湯に15~20分ほどゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスできます。
熱すぎるお湯は交感神経を刺激してしまい、かえって寝つきを悪くすることがあるため注意が必要です。
入浴によって体の芯から温まると、血行が促進され、自律神経のバランスが整いやすくなります。
好きな香りの入浴剤などを活用するのも、リラックス効果を高めるための一つの方法です。
「3つの首」を温める服装を心がける
体を効率的に温めるには、「首」「手首」「足首」の3つの首を冷やさないようにすることがポイントです。
これらの部位は皮膚が薄く、太い血管が体の表面近くを通っているため、温めることで温まった血液が全身を巡りやすくなります。
外出時はもちろん、室内でも冷えを感じる時には、マフラーやネックウォーマー、アームウォーマー、レッグウォーマー、厚手の靴下などを活用しましょう。
特に就寝時の足元の冷えは寝つきに影響するため、レッグウォーマーなどを着用して足首を温めると、快適な睡眠につながります。
生理前の悪寒に関するよくある質問
生理前の悪寒に対して漢方薬を試してみたいけれど、いつから飲めば良いのか、副作用はないのかといった疑問を持つ方もいるかもしれません。
また、市販の漢方薬を試しても症状が改善しない場合の対処法についても知っておきたいところです。
ここでは、生理前の悪寒に関する漢方治療でよく寄せられる質問について、簡潔にお答えします。安心して漢方薬を取り入れるための参考にしてください。
漢方薬はいつから飲み始めるのが効果的ですか?
PMSの症状緩和が目的の場合、生理予定日の1週間~10日前から服用を開始するのがおすすめです。
症状が出始める前から飲むことで、症状の発現を予防したり、症状が出ても軽く済ませたりする効果が期待できます。
体質改善を目指す場合は、症状の有無にかかわらず継続して服用することが望ましいです。
漢方薬を服用する際に副作用はありますか?
漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、副作用が全くないわけではありません。
体質に合わない場合、胃もたれや食欲不振、皮膚の発疹などが出ることがあります。
まれに重篤な副作用が起こる可能性もあるため、服用後に体の不調を感じた場合は、すぐに服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
市販の漢方薬で症状が良くならない場合はどうすればいいですか?
市販薬で改善が見られない場合は、選んだ漢方薬がご自身の体質に合っていない可能性があります。
自己判断で服用を続けず、漢方に詳しい医師や薬剤師などの専門家に相談することをおすすめします。
専門家による診察を通して、より適した漢方薬を選んでもらうことが、症状改善への近道となります。
まとめ
生理前に生じる悪寒や発熱は、月経前症候群(PMS)の症状の一つであり、その背景には女性ホルモンの変動による自律神経の乱れがあります。
漢方医学では、これを「気・血・水」のバランスの乱れと捉え、個々の体質に応じたアプローチで改善を目指します。例えば、イライラやのぼせには「加味逍遙散」、下半身の冷えには「桂枝茯苓丸」、強い冷えと倦怠感には「真武湯」などが用いられます。漢方薬の服用と合わせて、体を温める食事や入浴、服装の工夫といったセルフケアを実践することで、症状の緩和が期待できます。症状が改善しない、または悪化する場合は、専門の医療機関や漢方薬局に相談することが重要です。
