呉茱萸湯は更年期の頭痛・片頭痛に効く?効果と体質を解説

呉茱萸湯は更年期の頭痛・片頭痛に効く?効果と体質を解説 漢方

更年期に入り、ズキズキする頭痛や手足の冷えに悩んでいませんか。
鎮痛剤が効きにくい慢性的な頭痛は、更年期障害の代表的な症状の一つです。

漢方薬の呉茱萸湯は、体を温め血行を促進することで、吐き気を伴う片頭痛や冷えを改善する効果が期待できます。
この記事では、呉茱萸湯が更年期の不調にどう作用するのか、どのような体質の人に向いているのかを詳しく解説します。

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)が更年期の不調にどう作用するのか

呉茱萸湯は、呉茱萸、人参、大棗、生姜といった体を温める作用を持つ生薬で構成されています。
これらの生薬が協力し合うことで、冷えを根本から改善し、血行不良による頭痛や肩こりを和らげます。

また、胃腸の働きを整える作用もあり、吐き気などの消化器症状を伴う不調にも対応します。
ここでは、呉茱萸湯が持つ3つの主な作用について具体的に見ていきましょう。

体を内側から温め、つらい冷えを改善する

呉茱萸湯の最大の特徴は、体を内側から温める強力な作用です。
主薬である呉茱萸や生姜には、冷え切った体を温め、熱を生み出す働きがあります。
更年期にはホルモンバランスの乱れから自律神経が失調し、血行が悪くなることで手足の末端や下半身が冷えやすくなります。

呉茱萸湯は、このような体の深部にある冷え「寒邪(かんじゃ)」を取り除き、体温を正常に保つ力を助けます。
この温める作用によって、冷えが原因で起こるさまざまな不調、例えば頭痛や胃腸の不調、肩こりなどの根本的な改善が期待できます。

血行を促進し、ズキズキする頭痛や肩こりを和らげる

体が温まると、収縮していた血管が緩み血行が促進されます。
呉茱萸湯はこの作用により、血行不良が原因で起こる症状を緩和します。
更年期に頻発するズキズキとした拍動性の頭痛(片頭痛)や、頭を締め付けられるような頭痛は、冷えによる血行の滞りが一因となることがあります。

呉茱萸湯は血流をスムーズにすることで、頭部への適切な血液供給を促し、痛みを和らげます。
また、同様に血行不良から生じる肩こりや首筋のこわばりに対しても有効です。
鎮痛剤のように一時的に痛みを抑えるのではなく、血行を改善するという根本的なアプローチで、慢性的な頭痛や肩こりを改善に導きます。

胃腸の働きを助け、吐き気を伴う不調を整える

呉茱萸湯は、吐き気を伴う頭痛に効果的な漢方薬として知られています。
この作用は、配合されている人参、大棗、生姜によるものです。
これらの生薬は、胃腸を温めてその働きを活発にし、消化吸収機能を高める効果があります。

胃腸が冷えていると、消化機能が低下し、吐き気や嘔吐、食欲不振、みぞおちのつかえ感といった症状が現れやすくなります。
特に、片頭痛の発作時に強い吐き気を感じる場合に適しています。
呉茱萸湯は、頭痛と胃腸症状の両方に同時に働きかけることで、つらい不調を総合的に改善します。

【セルフチェック】呉茱萸湯が体質に合う人の特徴

漢方薬は、症状だけでなく個々の体質(証)に合わせて選ぶことが重要です。
呉茱萸湯は、特に体が冷えやすく、体力がなく、胃腸が弱い「虚寒(きょかん)」タイプの人の頭痛や吐き気に用いられます。

自分の体質が呉茱萸湯に適しているかどうかを知ることで、より効果的な改善が期待できます。
ここでは、呉茱萸湯が合いやすい人の具体的な特徴を4つのチェック項目にまとめました。
ご自身の状態と照らし合わせてみましょう。

手足が冷えやすく、特に下半身の冷えが気になる

呉茱萸湯が適している体質の最も大きな特徴は、慢性的な冷え性です。
特に、手足の末端がいつも冷たい、夏でも靴下を履かないと足が冷える、下半身は冷えているのに顔だけがのぼせる「冷えのぼせ」の状態がある、といった症状に悩む人に向いています。

また、冷たい飲食物を摂ると胃腸の調子が悪くなったり、体がだるくなったりする傾向もあります。
これらの症状は、体の中から熱を生み出す力が不足しているサインです。
呉茱萸湯は体を温める作用が強いため、このような体質的な冷えを根本から改善し、冷えに伴う様々な不調を和らげるのに役立ちます。

体力が中等度以下で疲れやすい

呉茱萸湯は、体力があまりなく、疲れやすい「虚証(きょしょう)」の人に適した漢方薬です。
具体的には、普段から体力がなく、少し動くとすぐに疲れてしまう、気力が出ない、食が細い、風邪をひきやすく治りにくい、といった特徴が挙げられます。

漢方では、このような状態をエネルギーである「気」が不足している「気虚(ききょ)」と考えます。
呉茱萸湯に含まれる人参には、気を補い体力を増強させる働きがあります。
そのため、体力が低下し、体を温める力も弱っていることで頭痛や吐き気が起きている場合に特に効果を発揮します。
逆に、体力が充実している人には合わない可能性があります。

胃腸が弱く、吐き気やよだれが出やすい

胃腸の虚弱も、呉茱萸湯が合う人の重要な特徴です。
普段から食欲不振や胃もたれを起こしやすく、冷たいものを摂るとすぐにお腹の調子を崩す傾向があります。
特に、頭痛が起こる際に強い吐き気や嘔吐を伴うことが多く見られます。

また、口の中に透明でサラサラした唾液(よだれ)がたまりやすかったり、水っぽい鼻水や痰が出やすかったりするのも特徴の一つです。
これは、体内の水分代謝が滞っている「水滞(すいたい)」の状態を示唆しており、胃腸の冷えがその一因となっています。
呉茱萸湯は胃腸を温めて消化機能を高め、水分代謝を整えることで、これらの症状を改善します。

冷えが原因で頭痛が悪化しやすい

頭痛の性質も、呉茱萸湯を選ぶ上で大切な指標となります。
呉茱萸湯が適応となる頭痛は、寒さや湿気によって誘発・悪化する傾向があります。
例えば、寒い日や雨の日、クーラーで体が冷えた時などに頭痛がひどくなるのが特徴です。

また、痛む部分を温めたり、温かい飲み物を飲んだりすると痛みが少し和らぐ感覚がある場合も、呉茱萸湯が合う可能性が高いです。
これは、頭痛の根本原因が「冷え」にあることを示しています。
痛みのタイプとしては、頭のてっぺんが痛む、ズキズキと脈打つように痛む片頭痛のほか、吐き気や手足の冷えを伴う場合に特に効果が期待できます。

他の更年期向け漢方薬との違いを比較

更年期の不調には、呉茱萸湯以外にも様々な漢方薬が用いられます。
代表的なものに「加味逍遙散」「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」があり、これらは婦人科三大処方と呼ばれています。

また、天候によって悪化する頭痛には五苓散や苓桂朮甘湯が使われることもあります。
これらの漢方薬はそれぞれ得意とする症状や対象となる体質が異なるため、自分の状態に最も合ったものを選ぶことが大切です。
ここでは、呉茱萸湯と他の主要な漢方薬との違いを比較し、選択の目安を解説します。

「加味逍遙散」が合う人:イライラや精神的な不安が強い場合

加味逍遙散(かみしょうようさん)は、更年期障害における精神神経症状に特に効果的な漢方薬です。
イライラや怒りっぽさ、気分の落ち込み、不安感、不眠といった、ストレスが原因で悪化する心身の不調が主な目標となります。

体力が中等度以下で疲れやすい虚弱体質の人に向いている点は呉茱萸湯と共通していますが、加味逍遙散は特に「気」の巡りの滞りである「気滞(きたい)」を改善する働きが強いのが特徴です。
そのため、のぼせやホットフラッシュ、肩こり、頭痛、めまいなど、上半身に現れる多彩な症状に対応します。
頭痛の中でも、冷えよりも精神的なストレスで悪化するタイプの場合は、加味逍遙散が適していると考えられます。

「当帰芍薬散」が合う人:貧血気味でめまいやむくみが気になる場合

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、貧血傾向(血虚:けっきょ)と体内の水分代謝の異常(水滞:すいたい)を同時に改善する漢方薬です。
色白で華奢、体力がなく疲れやすい人で、めまいや立ちくらみ、むくみ、耳鳴りといった症状が目立つ場合に適しています。
また、月経不順や月経痛の改善にもよく用いられます。

冷え性にも効果がありますが、呉茱萸湯のように体を強力に温めるというよりは、血を補いながら水の巡りを良くすることで、結果的に冷えを改善します。
頭痛に対しては、貧血やむくみに伴う重だるいような頭痛に効果的です。
ズキズキする激しい頭痛よりも、全体的な血行不良や水分バランスの乱れからくる不調が強い場合に選ばれます。

「桂枝茯苓丸」が合う人:のぼせが強く、下腹部に痛みを感じる場合

桂枝茯苓丸は、血の巡りが滞った状態である「瘀血」を改善する代表的な漢方薬です。
比較的体力があり、赤ら顔でのぼせやすい一方で、足は冷える「冷えのぼせ」の症状が特徴的な人に用いられます。

下腹部に抵抗感や圧痛があることが多く、重い生理痛や月経不順、子宮筋腫、更年期の肩こりや頭痛、めまいなどにも効果を発揮します。
呉茱萸湯が虚弱で胃腸が弱い体質の人に向くのに対し、桂枝茯苓丸は体力が中等度以上ある人向けの漢方薬です。
頭痛に関しても、瘀血による鈍い痛みに効果的とされています。
生理周期に伴って変動する不調が強い場合にも適しています。

呉茱萸湯を飲み始める前に知っておきたいこと

呉茱萸湯が自分の体質に合っていると感じた場合でも、飲み始める前にはいくつかの点を確認しておくことが大切です。
漢方薬は効果が現れるまでに時間がかかることや、まれに副作用が起こる可能性もあります。
また、医療機関で処方してもらう方法と、薬局やドラッグストアなどで市販薬を購入する方法があります。

安心して服用を続けるために、効果を実感できるまでの期間の目安や注意すべき副作用、そして自分に合った入手方法について、ここで詳しく見ていきましょう。

効果を実感できるまでの期間の目安

漢方薬の効果の現れ方には個人差がありますが、呉茱萸湯の場合、一般的には2週間から1ヶ月程度の服用で何らかの変化を感じ始めることが多いとされています。
特に頭痛発作のような急な症状に対しては、比較的早く効果が現れることもあります。

しかし、呉茱萸湯は根本的な体質改善を目指す薬であるため、冷え性や胃腸虚弱といった慢性的な不調を改善するには、数ヶ月単位で継続して服用することが望ましいです。
もし1ヶ月服用しても全く症状に変化が見られない場合は、薬が体質に合っていない可能性も考えられます。
その際は、自己判断で服用を続けず、医師や薬剤師に相談することが重要です。

注意すべき副作用と初期症状

呉茱萸湯は比較的安全な薬とされていますが、まれに副作用が起こることがあります。
主なものとしては、皮膚の発疹やかゆみ、食欲不振、胃の不快感、下痢などが報告されています。
これらの症状が現れた場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。

また、ごくまれに重篤な副作用として、間質性肺炎(から咳、息切れ、発熱など)、偽アルドステロン症(手足のだるさ、しびれ、むくみ、高血圧など)、肝機能障害(だるさ、黄疸など)が起こる可能性も指摘されています。
特に、他の薬を服用している場合や、持病がある場合は注意が必要です。
服用を開始して何かいつもと違う体調の変化を感じたら、すぐに専門家に相談することが大切です。

病院での処方と市販薬の選び方

呉茱萸湯は、医療機関で医師に処方してもらう方法と、ドラッグストアや薬局で市販薬を購入する方法があります。
医療機関で処方される医療用漢方製剤は、保険が適用されるため経済的負担が軽いというメリットがあります。

一方、市販薬は手軽に購入できる利点がありますが、自己判断で選ぶ必要があります。
市販薬を選ぶ際は、必ず薬剤師や登録販売者に相談し、自分の症状や体質を詳しく伝えてアドバイスをもらうようにしましょう。
特に初めて漢方薬を試す場合は、専門家に相談されることをおすすめします。

呉茱萸湯と更年期に関するよくある質問

ここまで呉茱萸湯の効果や体質について解説してきましたが、ほかにも気になる点があるかもしれません。
このセクションでは、呉茱萸湯と更年期に関して特によく寄せられる質問をまとめました。
「ホットフラッシュにも効くの?」「市販の鎮痛剤と一緒に飲んでもいい?」「飲むと太るって本当?」といった疑問に対して、簡潔にお答えします。

服用を検討する際の参考にしてください。

Q1. 更年期のホットフラッシュ(のぼせ)にも効果はありますか?

下半身は冷えるのに顔だけがほてる「冷えのぼせ」には効果が期待できます。
呉茱萸湯は体を温めて血行を促し、熱の偏りを是正するためです。

ただし、体全体が熱く汗が止まらないような、のぼせが主体のホットフラッシュの場合は、加味逍遙散など他の漢方薬が適していることがあります。

Q2. 市販の頭痛薬(鎮痛剤)と併用しても問題ありませんか?

基本的に併用は可能とされていますが、念のため医師や薬剤師への相談をおすすめします。
漢方薬と西洋薬では作用の仕方が異なるため、相互作用が起こる可能性は低いですが、飲み合わせによっては胃腸に負担がかかることも考えられます。

自己判断での併用は避け、専門家に確認しましょう。

Q3. 呉茱萸湯を飲むと太るというのは本当ですか?

呉茱萸湯の服用が直接的な原因で太ることはありません。
むしろ、胃腸の働きを助け、代謝を整える作用が期待できます。
ただし、胃腸機能が改善することで食欲が増し、結果的に体重が増加する可能性は考えられます。

バランスの取れた食事と適度な運動を心がけることが大切です。

まとめ

呉茱萸湯は、更年期障害の中でも特に、体を温める作用と血行促進作用によって、冷えを伴うズキズキとした頭痛(片頭痛)や肩こりを和らげる漢方薬です。
体力が中等度以下で疲れやすく、胃腸が弱くて吐き気を感じやすいといった体質の人に適しています。

一方で、イライラが強い場合は加味逍遙散、貧血やむくみが気になるなら当帰芍薬散など、症状や体質によって適した漢方薬は異なります。
漢方薬を選ぶ際は、自分の体質や症状を正しく理解することが不可欠です。
この記事を参考に、ご自身の状態を見極め、必要であれば医師や薬剤師などの専門家に相談の上、適切な薬を選択してください。

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