妊活で男性がすべきこと|食事・生活習慣の改善からサプリまで解説

妊活で男性がすべきこと|食事・生活習慣の改善からサプリまで解説 妊活・不妊

妊活は女性だけのものと考えられがちですが、男性側に原因があることも少なくありません。
そのため、男性が主体的に準備を進め、やるべきことを実践するのが成功へのポイントです。
この記事では、男性向けに妊活でできること、具体的にすべきことを解説します。
まずは自分の体を知り、生活習慣を見直すことから始めましょう。
妊活の具体的な方法や不妊治療との違いについては「妊活とは?男女別に具体的な方法を解説」で詳しく紹介しています。

不妊の原因の約半分は男性に|妊活は夫婦で取り組むことが大切

WHO(世界保健機関)の調査では、不妊の原因の約48%は男性側に問題があるとされています。
このうち24%は男女両方に、24%は男性のみに原因があるという内訳です。
30代、40代と男性も年齢を重ねるにつれて精子の質は変化します。
妊活は「何歳から」という問題ではなく、夫婦が子どもを望んだ時から始めるものです。
特に不妊治療が長期にわたる場合、男性側の協力と理解、そして意識の共有が不可欠です。
30代後半や40代男性も、当事者意識を持つことが大切です。
50代の年齢であっても、正しい知識をもって取り組む必要があります。
男性の精子老化の新事実については「男にもタイムリミットが!?-精子〝老化″の新事実」で詳しく紹介しています。

まず現状把握から|男性ができる妊活の第一歩は検査

男性ができる妊活の第一歩は、自分自身の体の状態を正確に知ることです。
そのためには検査が欠かせません。
まずは泌尿器科や不妊治療専門のクリニックで相談し、必要な検査を受けることが重要です。
インターネットの情報だけで判断するのではなく、専門家から正しい知識を得て、現状を客観的に把握することが、適切な対策を立てるための基礎となります。

病院へ行く前に自宅で簡単!精子セルフチェックキットとは

病院での検査に抵抗がある場合、まずは自宅で手軽にできる精子セルフチェックキットを試すのも一つの方法です。
この検査キットを使えば、精子の濃度や運動率などを簡易的にチェックできます。
あくまでスクリーニングであり、確定診断にはなりませんが、自身の状態を知るきっかけとして、また専門機関を受診する前のステップとして役立ちます。
男性・女性別の不妊症セルフチェックについては「不妊症セルフチェック|男性・女性別にできる項目や不妊治療の目安」で詳しく紹介しています。

専門機関で受けられる主な検査3つ

専門のクリニックでは、より詳細な検査を受けられます。
代表的なものは、精子の数・濃度・運動率・形態などを調べる「精液検査」です。
また、ホルモン値などを測定する「血液検査」も行われることがあります。
さらに、将来生まれてくる赤ちゃんのために、風疹や麻疹の「抗体検査」も重要です。

検査で判明する男性不妊の主な医学的原因

精液検査の結果、精子の数や精液量が基準値に満たない場合、生活習慣だけでなく医学的な疾患が隠れていることがあります。
男性不妊の原因を正確に把握し、適切な治療方針を立てるためには専門機関での受診が欠かせません。
ここでは、検査によって判明することがある主な疾患について解説します。
男性不妊の原因については「不妊の原因〜男性不妊〜」で詳しく紹介しています。

精索静脈瘤や無精子症などの造精機能障害

男性不妊の多くを占めるのが、精巣で精子を作る機能に問題がある造精機能障害です。
代表的な疾患として、精索という血管の束に瘤ができる精索静脈瘤や、精液中に精子が全く確認できない無精子症などがあります。
精索静脈瘤は手術によって血液の逆流を防ぐことで、造精機能が改善するケースも多く見られます。

また、ホルモン異常によって男性ホルモンの分泌量が低下し、精子が作られなくなることも原因の一つです。
精巣がんの治療や過去の精巣炎なども影響することがあるため、早めに医師に相談して状態を確認してください。

精子が通過する経路に異常があるケース

精巣で精子は正常に作られているものの、その通り道に問題があるために精液中の精子が減少することもあります。
例えば、過去に受けた鼠径ヘルニアの手術の影響で精管が塞がってしまったり、先天的な精管の欠損があったりする場合です。
このような閉塞が起きていると、精子が外へ排出されません。

さらに、本来なら陰茎から外へ出るはずの精液が逆行し、膀胱へ戻ってしまう逆行性射精なども原因となります。
糖尿病などの疾患が引き金になることもあり、専門の泌尿器科で適切な治療や手術を受ける必要があります。
男性不妊の症例については「男性不妊について」で詳しく紹介しています。

精子の質を高めるために今日から見直したい10の生活習慣

ここでは順番に、10の生活習慣についてご紹介致します。

①禁煙を始める(加熱式タバコも含む)

喫煙は精子の数や運動率を低下させ、DNAの損傷リスクを高めることが多くの研究で指摘されています。
これは加熱式タバコも例外ではありません。
妊活を始めると決めたら、パートナーと生まれてくる赤ちゃんのために、すぐに禁煙を開始しましょう。

②アルコールの過度な摂取を控える

毎日の過度な飲酒は、精子を作る機能を低下させる可能性があります。
アルコールが精子の質に与える影響については様々な意見がありますが、ホルモンバランスを乱す一因となることは確かです。
お酒を飲む場合は適量を心がけ、可能であれば禁酒するのが望ましいです。
特に、妊活中の飲酒量の管理は重要です。
妊活中のお酒の摂取については「妊活中のお酒、いつまでならOK?男女への影響と適量を解説」で詳しく紹介しています。

③長風呂やサウナで精巣を温めすぎない

精子を作る精巣は、熱に弱いという性質を持っています。
体温より2〜3℃低い温度が、精子形成に最適な環境です。
そのため、長風呂やサウナ、岩盤浴などで精巣を長時間温める行為は避けるべきですです。
お風呂はシャワーで済ませるか、湯船に浸かる時間を短くするなど、温めない工夫を心がけましょう。

④締め付けの強い下着の着用を避ける

精巣の温度管理という観点から、下着の選択も重要です。
ブリーフやボクサーパンツのような体に密着するタイプの下着は、精巣周りの温度を上昇させやすく、血流を妨げる可能性があります。
通気性が良く、締め付けの少ないトランクスなどを選ぶことで、精巣を快適な状態に保つことができます。

⑤適度な射精(禁欲しすぎない)を心がける

妊活のタイミング法において、排卵日に向けて禁欲するカップルもいますが、長期間の禁欲は逆効果になることがあります。
禁欲期間が長すぎると、精巣内に古い精子が溜まり、精子の運動率や質が低下する可能性があるためです。
2〜3日に1回程度の頻度で射精することで、常に新鮮な状態の精子を保てます。
もし射精できないといった悩みがある場合は、専門医に相談しましょう。

⑥質の高い睡眠を7〜8時間確保する

睡眠は、体のリズムを整え、ホルモンバランスを正常に保つために不可欠です。
慢性的な睡眠不足は、男性ホルモンの分泌を低下させ、精子の質にも悪影響を及ぼします。
毎日の疲れをしっかりとるためにも、7〜8時間の質の高い睡眠時間を確保するよう心がけましょう。
東洋医学では、睡眠は生命エネルギーの源である「腎精」を補う重要な時間と考えられています。

⑦ストレスを溜めすぎないように管理する

過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血流の悪化やホルモン分泌の異常を引き起こすことがあります。
これが精子の質に影響を与えることも少なくありません。
妊活中は心理的なプレッシャーから、メンタルに不調をきたしたり、うつ状態になったりすることもあります。
趣味や運動など、自分なりのストレス解消法を見つけ、心身ともに健やかな状態を保つことが重要ですです。
男性原因の不妊における日常生活の注意点については「男性原因の不妊・日常生活で気をつけること!」で詳しく紹介しています。

⑧適度な運動を取り入れ過度なトレーニングは控える

適度な運動は健康維持だけでなく、精液量を増やすためにも効果的です。
スクワットのような大きい筋肉を鍛える筋トレや、早歩きなどの有酸素運動を取り入れることで、精子量に関わる男性ホルモンの分泌が促されます。
運動不足を感じている方は、日常生活の中で無理のない範囲から始めてみてください。

一方で、ハードすぎるトレーニングは疲労が溜まりやすく、下半身を温めすぎてしまう原因にもなります。
疲労から性欲の減退につながる恐れもあるため、妊活中の運動はほどほどに抑え、疲れを溜めないようにすることが大切ですです。

⑨適正な体重を維持して肥満を改善する

肥満は女性だけでなく、男性の不妊原因にもなるため注意が必要です。
肥満体質の男性は精巣の周りにも脂肪が多くつくため、熱がこもりやすく精巣が温められた状態になってしまいます。
また、男性ホルモンが低下して精子の数や精液量が減少するなど、精子の質に悪影響を及ぼします。

一般的にBMIが25以上の場合は肥満と判定されるため、まずは適正体重を目指して体重管理を行いましょう。
食事の量と活動量のバランスを見直し、日々の生活習慣を整えることで、質の良い精子を作れる身体づくりにつながります。

⑩長時間の自転車やバイクによる下半身の圧迫を避ける

精巣は熱に弱いだけでなく、物理的な圧迫や刺激にも非常に敏感です。
自転車やバイクのサドルで長時間にわたって下半身を強く圧迫すると、男性器付近の血管がダメージを受けたり血流が悪化したりする可能性があります。
これが精子の質を低下させる要因になるため、妊活中は長時間の乗車を控えるなどの工夫が必要です。

また、長時間の座りっぱなしも股間周辺に熱がこもりやすく、血流を妨げてしまいます。
デスクワークなどで座る時間が長い場合は、定期的に立ち上がって姿勢を変えるなど、下半身への負担を減らすよう心がけてください。

妊活中の男性におすすめの食事と栄養素

精子の質は、日々の食事や栄養摂取と密接に関係しています。
バランスの取れた食生活を基本としながら、妊活に特に必要な栄養素を意識的に摂取することが望ましいです。
ここでは、妊活中の男性に積極的に摂ってほしい食べ物や、具体的な栄養素について解説します。
普段の料理や飲み物選びの参考にしてください。

積極的に摂取したい5つの栄養素と含まれる食材

精子の質をサポートする栄養素として、特に重要なのが亜鉛、コエンザイムQ10、葉酸、オメガ3脂肪酸、L-カルニチンです。
亜鉛は男性ホルモンであるテストステロンの生成に関わり、牡蠣やレバー、ナッツ類に豊富です。
コエンザイムQ10やL-カルニチンは精子のエネルギー源となるミトコンドリアの働きを助け、青魚や肉類に含まれます。
アルギニンや鉄分も重要です。

栄養バランスの取れた食生活の基本

特定の栄養素だけを摂取するのではなく、主食・主菜・副菜を揃えたバランスの良い食生活が基本です。
肥満はホルモンバランスを乱す原因となるため、適度な運動や筋トレを取り入れ、適切な体重を維持しましょう。
また、コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェインの過剰摂取は、精子のDNAにダメージを与える可能性も指摘されています。
プロテインなどの栄養補助ドリンクも、成分を確認して適切に利用しましょう。

食事での摂取が難しい場合はサプリメントの活用も検討

バランスの取れた食事が理想ですが、多忙な生活の中で毎日必要な栄養素をすべて摂取するのは難しい場合もあります。
そのような時は、不足しがちな栄養素を補うために、妊活向けのサプリメントを活用するのも一つの選択肢です。
ただし、サプリはあくまで食事の補助として捉え、基本となる食生活の改善を怠らないようにしましょう。

妊活を夫婦で乗り越えるための心構え

妊活は、時に大きな心理的負担を伴います。
なかなか結果が出ないことへの焦りや、周囲からのプレッシャーなど、様々な悩みや大変なことが出てくるでしょう。
特に男性は、自分の気持ちを内に溜め込んでしまいがちです。
妊活は身体的なアプローチだけでなく、精神的なケアも同様に重要です。

妊活は「ふたりごと」|パートナーとの対話を大切に

妊活は決して一人で進めるものではなく、夫婦二人の問題です。
お互いの気持ちや体調の変化について、日頃からオープンに話し合う時間を持ちましょう。
男性側も積極的に情報収集し、パートナーの心身の負担を理解し、協力する姿勢を示すことが、信頼関係を深め、困難を乗り越える力になります。

ひとりで抱え込まず専門家や相談窓口を利用する

悩みや不安が大きくなった時は、夫婦だけで抱え込まずに、第三者に相談することも大切です。
不妊治療を行っているクリニックでは、専門のカウンセラーによるカウンセリングを受けられる場合があります。
また、自治体が設けている相談窓口などを利用するのも良いでしょう。
専門家からの客観的なアドバイスが、心の負担を軽くしてくれることもあります。

妊活中の男性に関するよくある質問

ここでは、妊活に取り組む男性からよく寄せられる質問について回答します。

Q. 妊活向けサプリメントは本当に効果がありますか?

サプリは医薬品ではないため治療効果は謳えませんが、精子の質向上に役立つ栄養素を補う補助的な役割が期待できます。
特に亜鉛サプリなどは、食生活が不規則で栄養が偏りがちな方におすすめです。
まずは食事改善を基本とし、不足分を補う形で活用しましょう。

Q. AGA治療薬を服用していますが、妊活に影響はありますか?

AGA治療薬の中でも、フィナステリドを含む一部の薬は、精子の数や運動率を低下させる可能性が報告されています。
妊活を始める際は、自己判断で服薬を中止せず、必ず処方医に相談してください。
ミノキシジルは妊活への影響が少ないとされていますが、いずれにせよ医師への確認が必要です。

Q. 生活習慣を改善してから、どれくらいで精子の質は変わりますか?

精子が作られ始めてから成熟するまでには、約3ヶ月(約74日)かかります。
そのため、生活習慣の改善や治療による効果が精子の質に反映されるまでには、最低でも3ヶ月程度は必要です。
すぐに結果が出なくても焦らず、根気強く継続することが重要です。

まとめ

妊活は女性だけの課題ではなく、不妊の原因の約半分は男性にもあるとされています。
そのため、夫婦が協力し、男性も主体的に取り組むことが非常に重要です。
まずは専門機関で検査を受け、自身の体の状態を正確に把握することから始めましょう。
その上で、禁煙や節酒、質の良い睡眠、バランスの取れた食事といった生活習慣の改善を実践することが、精子の質を高めるための基本です。
東洋医学の観点からも、心身全体のバランスを整えることが、子宝を授かりやすい体づくりにつながります。
男性不妊に漢方という選択肢については「男性不妊に漢方という選択肢を」で詳しく紹介しています。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。