生理中のひどいイライラの原因と対策|PMS?病院に行く目安も解説

生理中のひどいイライラの原因と対策|PMS?病院に行く目安も解説 健康

生理が近づくと理由もなくイライラしたり、普段なら気にならない些細なことで感情が爆発してしまったりと、自分でも感情のコントロールが難しいと感じることはありませんか。
そのつらいイライラの原因は、性格の問題ではなく、女性ホルモンの変動によるものが大きいかもしれません
この記事では、生理中にひどいイライラが起こる原因を解説し、自分でできる対策から病院での治療法、受診の目安まで詳しく紹介します。

▼この記事でわかること
・ 生理中にひどいイライラが起こるホルモンバランスなどの原因
・ 食事や生活習慣の見直しで実践できるセルフケアの方法
・ 専門家への相談を検討すべき症状の目安
・ 婦人科で行われる低用量ピルや漢方薬などの主な治療法

生理中にイライラがひどくなるのはなぜ?考えられる3つの原因

生理の時期になると急に感情のコントロールが効かなくなり、ひどいイライラに悩まされる女性は少なくありません。
この不調は主に、女性ホルモンの急激な変動、精神を安定させる脳内物質の減少が関係しています。
また、症状の程度によってはPMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)といった、専門的なケアが必要な状態である可能性も考えられます。

原因①:女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の急激な変動

女性の体は約1ヶ月の周期でエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンの分泌量が大きく変動しています。
特に排卵後から生理が始まるまでの期間は両方のホルモンが急激に減少します。
このホルモンバランスの大きな波が自律神経の乱れを引き起こし気分の浮き沈みやイライラ、頭痛、眠気といった心身のさまざまな不調の原因となります。

原因②:精神を安定させる脳内物質「セロトニン」の減少

「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンは、気分を安定させたり、安心感を与えたりする働きを持つ脳内物質です。
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、このセロトニンの分泌に関わっています。
そのため、生理前にエストロゲンが急激に減少するのに伴い、セロトニンの量も低下します。

セロトニンが不足することが、不安感や気分の落ち込み、イライラといった精神的な不調を引き起こす一因となるのです。
考えすぎの傾向が強まるのも、この時期の特徴です。

原因③:PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の可能性

生理前のイライラや気分の落ち込みが非常に強く、仕事や日常生活に支障をきたすほどの場合は、PMS(月経前症候群)の可能性があります。
さらに、精神的な症状が特に重く、強い怒りや絶望感、自己否定感に苛まれる場合は、PMDD(月経前不快気分障害)という精神疾患の一種に分類されることもあります。

これらの症状は我慢するだけでは改善が難しく、婦人科や心療内科での専門的な治療(低用量ピルや漢方薬、抗うつ薬など)が必要となるケースがあります。
PMSの胃痛については「PMSの胃痛の対処法と妊娠との見分け方」で詳しく紹介しています。

あなたのイライラはどのタイプ?PMS・PMDDのセルフチェックリスト

生理前の不調は多くの女性が経験するものですが、その症状の現れ方は人それぞれです。
感情のコントロールが効かず、家族やパートナーに八つ当たりしてしまい、後で自己嫌悪に陥るという経験を持つ人もいるでしょう。

自分の心と体の状態を客観的に把握するために、まずはセルフチェックリストで当てはまる項目を確認してみましょう。
これは医療的な診断に代わるものではありませんが、受診の際の参考になります。

PMS(月経前症候群)でよく見られる心と体のサイン

PMSは、生理の3〜10日ほど前から始まり、生理が来ると症状が軽快するのが特徴です。
精神的な症状と身体的な症状の両方が現れることが多く、以下のようなサインが見られます。
複数の項目に当てはまり、日常生活に影響が出ている場合は、我慢せずに婦人科などの病院に相談することを検討してください。

⬜︎理由もなくイライラする、怒りっぽくなる
⬜︎気分が落ち込み、涙もろくなる
⬜︎集中力が低下する
⬜︎無気力になる、やる気が出ない
⬜︎下腹部や腰が痛む
⬜︎頭痛やめまいがする
⬜︎胸が張って痛い
⬜︎体がむくむ、体重が増える
⬜︎ひどい眠気または不眠
⬜︎肌荒れやニキビができる

精神的な不調が特に重いPMDD(月経前不快気分障害)の症状

PMDDは、PMSの中でも特に精神症状が強く現れ、社会生活に深刻な影響を及ぼす状態を指します。
以下の11項目のうち、5つ以上の症状が生理前の1週間で顕著になり、生理開始後数日で軽快するというサイクルを繰り返す場合に関係性が高い可能性があります。

⬜︎著しい気分の落ち込み、絶望感、自己批判的な思考
⬜︎著しい不安、緊張、高揚感
⬜︎著しい情緒不安定(急に悲しくなったり涙もろくなる)
⬜︎持続的で著しい怒りやイライラ、対人関係の摩擦
⬜︎日常活動への興味の減退
⬜︎集中力の低下
⬜︎倦怠感、気力の著しい減退
⬜︎食欲の著しい変化(過食や特定の食べ物への渇望)
⬜︎過眠または不眠
⬜︎制御不能という感覚、圧倒される感じ
⬜︎胸の張りや痛み、頭痛、関節痛、むくみなどの身体症状

今日から自分でできる!生理中のひどいイライラを和らげる5つのセルフケア

病院での治療も大切ですが、日常生活の中で少し工夫するだけでも、つらいイライラを和らげることが可能です。
食事や生活習慣を見直し、自分に合ったリラックス法を見つけることで、心と体のバランスを整え、穏やかに過ごすための土台を作りましょう。
ここでは、今日からすぐに始められる5つのセルフケアを紹介します。

【食事編】血糖値の乱高下を避け、心を穏やかにする栄養素を摂取する

空腹時に甘いものや精製された炭水化物を摂ると血糖値が急上昇し、その後の急降下がイライラや気分の落ち込みを招くことがあります。
食事はゆっくりよく噛み、血糖値の上昇が緩やかな玄米や全粒粉パン、食物繊維の多い野菜などを意識的に取り入れましょう。
また、精神の安定に関わるセロトニンの材料となるトリプトファンや、その合成を助けるビタミンB6、マグネシウムを積極的に摂取することも効果的です。

【生活習慣編】質の良い睡眠と軽い運動で自律神経を整える

睡眠不足は自律神経の乱れを悪化させ、イライラを増幅させる大きな要因です。
就寝前はスマートフォンやパソコンの画面を見るのを控え、リラックスできる環境を整えましょう。
また、日中にウォーキングやヨガ、ストレッチなどの軽い有酸素運動を行うと、血行が促進されて気分転換になるだけでなく、セロトニンの分泌を促す効果も期待できます。

激しい運動はかえってストレスになることもあるため、心地よいと感じる範囲で行うのがポイントです。

【リラックス編】アロマやハーブティーを活用して上手に気分転換する

香りは直接脳に働きかけ、自律神経や感情をコントロールするのに役立ちます。
イライラや緊張を和らげる効果が期待できるラベンダー、カモミール、ゼラニウムなどのアロマオイルをティッシュに垂らしたり、アロマディフューザーで香らせたりするのがおすすめです。
また、ノンカフェインのハーブティーも心身をリラックスさせてくれます。

特にカモミールティーや、東洋医学で気の巡りを整えるとされるジャスミンティーなどが、高ぶった神経を鎮めるのに役立ちます。

【市販薬・漢方編】薬剤師に相談して自分に合うものを見つける

セルフケアで対応が難しい場合は、市販薬や漢方薬を試すのも一つの方法です。
PMSの症状を緩和する医薬品として、チェストベリーを有効成分とするものがあります。
また、漢方薬は心と体のバランスを全体的に整えることを得意とします。

イライラや気分の落ち込みには「加味逍遙散」や「抑肝散」、冷えやむくみを伴う場合は「当帰芍薬散」などが用いられることが多いですが、体質によって合う漢方薬は異なります。
購入の際は、薬剤師や登録販売者に相談し、自分の症状や体質に合ったものを選びましょう。
妊活中のPMSについては「妊活中のPMSと漢方薬での改善方法」で詳しく紹介しています。

【記録編】症状日記をつけて自分のイライラの波を客観的に把握する

自分のイライラがいつ頃から始まり、どのような時に強くなるのかを客観的に把握することは、対策を立てる上で非常に重要です。
基礎体温とともに、その日の気分や体調、食事内容、出来事などを簡単な日記として記録してみましょう。
数ヶ月続けると、「生理の◯日前からイライラし始める」「睡眠不足の翌日は特にひどい」といった自分のパターンが見えてきます。

この記録は、婦人科を受診する際に医師へ症状を正確に伝えるための貴重な資料にもなります。

パートナーや家族に当たってしまう…感情的な衝突を避けるための伝え方

自分ではコントロールできないイライラを、身近なパートナーや家族にぶつけてしまい、後で深く後悔する。
そんな悪循環に悩んでいる人も少なくありません。
しかし、事前に状況を伝え、少しの工夫をすることで、不要な衝突を避け、周囲の理解を得ることは可能です。

ここでは、感情的になる前にできるコミュニケーションのヒントを紹介します。

「ホルモンの影響で辛い」と具体的な状況を正直に伝える

最も大切なのは、あなたのイライラが相手への不満や性格の問題ではなく、「女性ホルモンの影響による一時的な不調」であることを正直に伝えることです。
「今、生理前でホルモンのバランスが乱れやすくて、些細なことでイライラしてしまう時期なんだ」
「だから、もし少し言い方がきつくなったらごめんね」というように、具体的に自分の状態を説明しましょう。

事前に伝えておくだけで、相手も状況を理解しやすくなり、冷静に対応してくれる可能性が高まります。

感情が爆発しそうな時にクールダウンできる場所や時間を確保する

イライラの感情が頂点に達しそうだと感じたら、意識的にその場を離れる「タイムアウト」を取り入れるのが効果的です。
事前に「もし私がすごくイライラし始めたら、少し一人で冷静になる時間をもらうね」と家族に伝えておきましょう。
自室で好きな音楽を聴く、ベランダで深呼吸する、近所を少し散歩するなど、自分なりのクールダウン方法を決めておくと、感情が爆発するのを防ぎやすくなります。

お互いのために距離を置く時間も必要です。

セルフケアで改善しないなら婦人科へ。受診を検討すべき症状の目安

さまざまなセルフケアを試してもイライラの症状が改善しなかったり、むしろ悪化したりする場合は、一人で抱え込まずに専門家の助けを借りることが重要です。
特に、日常生活や社会生活に支障が出ているのであれば、それは医療機関を受診すべきサインです。
ここでは、具体的にどのような症状があれば婦人科などへの受診を検討すべきか、その目安を解説します。

日常生活に支障が出るほど気分の落ち込みが激しい

イライラだけでなく、強い気分の落ち込みによって、朝起き上がれない、仕事や学校に行けない、家事が全く手につかない、今まで楽しめていた趣味に関心が持てない、といった状態が続く場合は受診を考えましょう。
これは単なる「気分の問題」ではなく、治療が必要な心身のサインである可能性があります。

日常生活の質が著しく低下していると感じたら、専門家への相談が必要です。

仕事や家庭での人間関係に深刻な悪影響が出ている

感情のコントロールが効かず、職場の上司や同僚、大切なパートナーや子供に対して攻撃的な言動を繰り返してしまうなど、人間関係に深刻な亀裂が生じている場合も受診の目安です。
その結果、仕事での評価が下がったり、家庭内が険悪な雰囲気になったりと、社会的・家庭的な基盤が揺らいでしまう前に、専門的なサポートを受けることをおすすめします。
第三者の視点からのアドバイスや治療が、関係修復の助けとなることもあります。

自分を責めたり、傷つけたりする気持ちが湧いてくる

「自分はダメな人間だ」と過度に自己を否定したり、「消えてしまいたい」と考えたり、リストカットなどの自傷行為に及んでしまったりする場合は、特に注意が必要です。
このような症状は、精神症状が重いPMDD(月経前不快気分障害)の可能性も考えられ、緊急性の高いサインです。
ためらうことなく、すぐに婦人科や心療内科、精神科などの医療機関に相談してください。

婦人科ではどんな治療をするの?イライラに対する主な治療法

婦人科や心療内科では、問診や必要に応じた検査を通じて症状の原因を探り、一人ひとりに合った治療法を提案します。
主な治療法としては、ホルモンバランスの変動を穏やかにする「低用量ピル」、心と体のバランスを整える「漢方薬」、そして精神症状に直接アプローチする「SSRI(抗うつ薬)」などがあります。

これらの治療は、単独または組み合わせて行われることがあります。

低用量ピルを使ったホルモンバランスのコントロール

低用量ピルは、排卵を抑制することで、生理周期に伴う女性ホルモンの急激な変動をなくし、ホルモンバランスを安定させる薬です。
ホルモンの波が穏やかになることで、PMSやPMDDの精神症状(イライラ、気分の落ち込みなど)や身体症状(頭痛、腹痛など)の多くが改善されます。
また、月経困難症や子宮内膜症の治療、避妊目的でも使用されており、女性のQOL(生活の質)向上に大きく貢献する治療選択肢の一つです。

漢方薬による根本的な体質改善

東洋医学では、イライラや気分の落ち込みは「気」の流れが滞る「気滞」や、栄養や潤いのもとである「血」が不足する「血虚」などが原因と考えます。
漢方療法では、症状を直接抑えるだけでなく、その人の体質や心身全体のバランスを見極め、根本的な原因に働きかけることを目指します。

気の巡りを良くする処方や血を補う処方などを用いることで、不調が起こりにくい体質へと導いていきます。
産後のPMSと漢方については「産後のPMSを漢方で改善する方法」で詳しく紹介しています。

SSRI(抗うつ薬)などを用いた精神症状へのアプローチ

イライラや攻撃性、気分の落ち込み、不安感といった精神症状が特に重いPMDDの場合、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれるタイプの抗うつ薬が有効な場合があります。
この薬は、脳内のセロトニンの濃度を高めることで、気分の波を安定させる働きがあります。
生理前の期間だけ服用する方法などもあり、精神科や心療内科の医師の指導のもとで慎重に使用されます。

ピルや漢方薬で効果が不十分な場合の選択肢となります。

生理 中 イライラ ひどいに関するよくある質問

ここでは、生理中のひどいイライラに関して、多くの人が抱く疑問についてお答えします。

生理中のイライラをすぐに落ち着かせる食べ物や飲み物はありますか?

セロトニンの材料となるトリプトファンを含む温かい豆乳や、リラックス効果のあるカモミールティーがおすすめです。
血糖値を急上昇させ、かえってイライラを助長することがあるため、チョコレートなどの甘いお菓子やカフェイン飲料は避けた方が良いでしょう。

この耐え難いイライラは、生理が始まってから何日くらいで治まりますか?

多くの場合、生理が始まるとホルモンバランスが変化するため、2〜3日以内に症状は軽快していきます。
ただし、症状の期間や程度には個人差があります。
生理が始まってもイライラが続く場合は他の原因も考えられるため、婦人科に相談することをおすすめします。

イライラの治療でピルを飲むことに抵抗があります。副作用は大丈夫ですか?

低用量ピルには吐き気や頭痛、不正出血などの副作用が起こる可能性がありますが、多くは飲み始めの1〜3ヶ月で体が慣れて落ち着きます。
血栓症などの重篤な副作用のリスクについても医師から詳しい説明があるので、不安な点は納得いくまで相談することが大切です。

まとめ

生理中のひどいイライラは、決してあなたの性格の問題ではありません。
その多くは、女性ホルモンの急激な変動が引き起こす心身のサインです。
まずは、食事や生活習慣を見直すセルフケアを試してみてください。

それでも症状が改善しない、あるいは日常生活に支障が出ている場合は、我慢せずに婦人科などの専門医に相談しましょう。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。