漢方で乾燥肌・肌荒れを改善|原因と体質別おすすめ漢方薬

漢方で乾燥肌・肌荒れを改善|原因と体質別おすすめ漢方薬 漢方

スキンケアを徹底しても改善しない乾燥肌や肌荒れは、体の内側に原因があるのかもしれません。
漢方薬は、体全体のバランスを整え、肌が本来持つうるおう力を引き出すことで、乾燥の悩みにアプローチします。
この記事では、乾燥肌の原因を漢方の視点から解説し、体質別におすすめの漢方薬やセルフケア方法を紹介します。

スキンケアだけでは不十分?漢方が乾燥肌にアプローチする仕組み

漢方では、肌の状態は体全体の健康を映す鏡と考えられています。
乾燥肌は、単に肌表面の水分が不足しているだけでなく、体内の栄養や水分の不足、血行不良などが原因で起こると捉えます。

漢方薬は、体の内側から「気・血・水」のバランスを整えることで、肌に必要なうるおいや栄養を届け、乾燥しにくい健やかな肌へと導く効果が期待されます。
肌荒れを体質から改善する漢方薬については「肌荒れを体質から改善!症状別おすすめの漢方薬」で詳しく紹介しています。

あなたの乾燥肌はどのタイプ?漢方で探る3つの原因

漢方では、乾燥肌の根本的な原因は一つではないと考えます。
主に、全身の栄養状態を示す「血(けつ)」や、体をうるおす「水(すい)」の異常が関係しているとされます。
主な原因として「血虚(けっきょ)」「瘀血(おけつ)」「陰虚(いんきょ)」の3つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。

自分の肌状態や体の不調と照らし合わせて、どのタイプに近いか確認してみましょう。

原因①「血虚(けっきょ)」:栄養不足でうるおいが届かない

血虚とは、全身に栄養やうるおいを運ぶ「血」が不足している状態です。
肌に十分な栄養が届かないため、カサカサと乾燥し、粉を吹いたようになったり、皮膚の色つやが悪くなったりします。
血虚の人は、顔色が悪く、爪が割れやすい、髪がパサつく、めまいや立ちくらみがするなどの症状を伴うことがあります。

特に、月経のある女性は血虚になりやすい傾向が見られます。

原因②「瘀血(おけつ)」:血の巡りの悪化が乾燥を招く

瘀血とは、血の流れが滞っている状態のことです。
血行不良によって肌の隅々まで栄養が届かず、新代謝が低下するため、肌が乾燥しやすくなります。
また、肌のくすみやシミ、そばかす、目の下のクマなども瘀血のサインです。

肩こりや頭痛、冷えのぼせ、月経痛といった不調を抱えている場合、瘀血が乾燥肌の原因となっている可能性があります。

原因③「陰虚(いんきょ)」:体内の水分不足でカサカサになる

陰虚とは、体をうるおす働きを持つ「水(津液)」が不足している状態です。
体内の水分が足りないため、肌表面が乾燥してカサカサし、細かいシワができやすくなります。
また、体にうるおいが不足すると相対的に熱がこもりやすくなるため、手足のほてりや寝汗、のどの渇き、目の乾きといった症状が現れることもあります。

加齢や過労、不規則な生活などが原因で起こりやすいタイプです。

【悩み・体質別】乾燥肌の改善が期待できる漢方薬

乾燥肌の改善には、自分の体質や症状に合った漢方薬を選ぶことが重要です。
漢方薬は、不足している「血」や「水」を補ったり、血行を促進したりすることで、体の内側から肌のうるおいを取り戻す手助けをします。
クラシエなど各社から様々な漢方薬が販売されていますが、ここでは代表的な5つの漢方薬を悩みや体質別に紹介します。

粉を吹くほどカサカサでかゆみが強い方には「当帰飲子(とうきいんし)」

当帰飲子は、血を補う「四物湯」をベースに、かゆみを抑える生薬を加えた漢方薬です。
血行を促進して肌に栄養を与え、体を温めることで乾燥を防ぎ、強いかゆみを鎮める効果が期待できます。
特に、皮膚がカサカサに乾燥して粉を吹き、夜間に悪化するようなかゆみに悩む方に適しています。

分泌物の少ない湿疹や皮膚炎にも用いられる漢方薬です。

冷えや貧血も気になる方の乾燥肌には「四物湯(しもつとう)」

四物湯は、血を補う代表的な漢方薬で、「血虚」が原因の乾燥肌に用いられます。
血を増やすことで全身に栄養とうるおいを行き渡らせ、乾燥した肌をしっとりさせます。

肌の乾燥だけでなく、顔色が悪い、貧血気味、冷え性、月経不順といった血虚に伴う諸症状の改善も期待されます。
多くの婦人科系漢方薬の基本ともなっています。

赤みやほてりを伴う乾燥肌には「温清飲(うんせいいん)」

温清飲は、血を補い血行を促進する「四物湯」と、体の熱を冷まし炎症を抑える「黄連解毒湯」を組み合わせた漢方薬です。
肌が乾燥しているにもかかわらず、赤みやほてり、かゆみを伴う場合に適しています。
皮膚の色つやが悪く、のぼせ気味の方の皮膚炎や湿疹などにも応用されます。
温清飲とアトピー性皮膚炎については「温清飲とアトピー性皮膚炎|体質の見分け方と副作用」で詳しく紹介しています。

疲れやすく体力がない方の乾燥肌には「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」

十全大補湯は、体のエネルギーである「気」と栄養である「血」の両方を補う漢方薬です。
病後や術後などで体力が低下し、気力もわかないような人の乾燥肌に用いられます。
疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷えなどの症状を伴う場合に適しており、体全体の機能を高めることで肌の状態を改善に導きます。

ホルモンバランスの乱れによる肌荒れには「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」

当帰芍薬散は、血を補って血行を促進し、体内の水分バランスを整える漢方薬です。
ホルモンバランスが乱れやすい女性に頻繁に用いられ、乾燥肌やニキビといった肌トラブルの改善が期待できます。
冷え性で疲れやすく、月経不順や月経痛、更年期障害などの悩みを抱える方にも適しています。

漢方薬とあわせて実践したい!うるおい肌を作るセルフケア

漢方薬による体質改善と並行して、日々の生活習慣を見直すことで、より効果的に乾燥肌の改善を目指せます。
特に食事と生活リズムは、肌のうるおいに大きく関わります。
内側から健やかな肌を育むためのセルフケアを取り入れましょう。

食事で内側からうるおいを補う「食養生」のすすめ

漢方の考えに基づいた食事法「食養生」では、食材の力で体を内側から整えます。
乾燥肌の改善には、「血」を補う食材と「水(津液)」を補う食材を積極的に摂ることが推奨されます。
血を補うためには、クコの実、なつめ、ほうれん草、レバーなどの赤い食材や黒い食材がおすすめです。

体をうるおすためには、白きくらげ、梨、豆腐、豚肉などを食事に取り入れましょう。
香辛料などの刺激物や、体を冷やす食品の摂り過ぎは避けてください。

血行を促進して肌の乾燥を防ぐ生活のポイント

健やかな肌を保つためには、血行を促進し、体に必要な栄養素を隅々まで届けることが不可欠です。
ウォーキングなどの適度な運動を習慣にすると、全身の血の巡りが良くなります。
また、夜更かしを避けて質の良い睡眠を十分にとることは、肌のターンオーバーを正常に保つ上で欠かせません。

ぬるめの湯にゆっくり浸かる入浴は、体を芯から温めリラックスさせるため、血行促進に役立ちます。

漢方 乾燥 肌に関するよくある質問

乾燥肌の改善のために漢方薬を試してみたいけれど、効果や副作用など気になる点もあるかもしれません。
ここでは、漢方薬に関するよくある質問にお答えします。

Q. 漢方薬を飲み始めてから効果が出るまでどのくらいかかりますか?

体質や症状によって異なりますが、一般的に2週間から1ヶ月ほどで何らかの変化を感じ始めることが多いです。
ただし、慢性的な症状の改善には数ヶ月単位での服用が必要になる場合もあります。
まずは一定期間、継続して服用することが大切です。

Q. 乾燥肌に効く漢方薬はドラッグストアでも購入できますか?

今回紹介した漢方薬の一部は、ドラッグストアや薬局で購入可能です。
ただし、漢方薬は自分の体質に合ったものを選ぶことが最も重要です。
購入の際は、薬剤師や登録販売者に相談し、症状や体質を伝えた上で選ぶことをおすすめします。

Q. 漢方薬に副作用はありますか?

漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、副作用が全くないわけではありません。
体質に合わない場合、食欲不振や胃の不快感、発疹やかゆみなどの症状が出ることがあります。
異変を感じたら服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。

まとめ

スキンケアだけでは改善が難しい乾燥肌は、漢方を用いて体の内側からアプローチする方法があります。
漢方では乾燥の原因を「血虚」「瘀血」「陰虚」など複数のタイプに分け、個々の体質に合った漢方薬で改善を目指します。

当帰飲子や四物湯といった漢方薬の服用と並行し、食生活や生活習慣を見直すことで、うるおいのある健やかな肌を育むことができます。
どの漢方薬が自分に合うか分からない場合は、医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。
湿疹を漢方で体質改善については「湿疹を漢方で体質改善。症状・タイプ別に適した選び方」で詳しく紹介しています。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。