【漢方】温清飲とアトピー性皮膚炎|体質の見分け方と副作用も解説

【漢方】温清飲とアトピー性皮膚炎|体質の見分け方と副作用も解説 漢方

温清飲は、皮膚の「赤み」と「乾燥」が同時に見られるようなアトピー性皮膚炎の改善に用いられる漢方薬です。
この記事では、温清飲がアトピー性皮膚炎の症状にどのような効果を発揮するのか、その仕組みから解説します。
また、アレルギー症状に悩む方自身が、自分の体質に合っているかを見分けるためのチェックリストや、他の漢方薬との違い、副作用についても詳しく説明します。

温清飲は「赤み」と「乾燥」が混在するアトピー性皮膚炎に用いられる漢方薬

温清飲は、皮膚がカサカサと乾燥している一方で、赤みや熱感を伴うかゆみがあるという、一見すると矛盾した症状が混在するアトピー性皮膚炎に用いられる漢方薬です。
漢方医学では、このような状態を、体に栄養や潤いを与える「血」が不足した「血虚」と、体に余分な熱がこもった「血熱」が同時に存在していると考えます。

温清飲は、この複雑な病態にアプローチするために作られた漢方薬です。

温清飲は2種類の漢方薬の組み合わせでできている

温清飲は、単一の薬ではなく、「黄連解毒湯」と「四物湯」という2種類の漢方薬を組み合わせて作られています。
この組み合わせにより、体の熱を冷ます作用と、体に潤いと栄養を補う作用を同時に得ることが可能です。
そのため、炎症による赤みと、栄養不足による乾燥という、アトピー性皮膚炎によく見られる複雑な症状に対して、多角的にアプローチすることができます。

「黄連解毒湯」が皮膚の炎症や熱感を鎮める

黄連解毒湯は、黄連(おうれん)、黄芩(おうごん)、黄柏(おうばく)、山梔子(さんしし)という4つの生薬で構成され、体の過剰な熱や炎症を強力に鎮める効果があります。
漢方で「清熱瀉火(せいねつしゃか)」作用と呼ばれるこの働きにより、アトピー性皮膚炎における皮膚の赤み、強いかゆみ、ほてりといった炎症症状を和らげます。
特に、イライラやのぼせなど、上半身に熱がこもっているような状態の改善に役立ち、かきむしってしまうほどのしつこいかゆみを鎮める効果が期待されます。

「四物湯」が血(けつ)を補い乾燥した肌に潤いを与える

四物湯は、当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、地黄(じおう)の4つの生薬からなる漢方薬で、漢方における「血(けつ)」を補う代表的な漢方薬です。
血は全身に栄養と潤いを運ぶ役割を担っており、不足すると(血虚)、皮膚が乾燥してカサカサになったり、ツヤがなくなったりします。
四物湯には血を補い、その巡りを良くする効果があるため、乾燥した皮膚に栄養を与えて潤いを取り戻し、肌の状態を健やかに整える働きが期待できます。

温清飲がアトピー性皮膚炎の症状に期待できる具体的な効果

温清飲は、炎症を鎮める「黄連解毒湯」と、潤いを補う「四物湯」の2つの働きを併せ持つことで、アトピー性皮膚炎特有の複雑な症状に効果を発揮します。
熱感と乾燥が混在する皮膚状態に対して、内側から体質を整えることで、さまざまな症状の改善が期待できます。
具体的にどのような効果があるのかを詳しく見ていきましょう。

カサカサと赤い皮膚の状態を改善に導く

温清飲の最も特徴的な効果は、乾燥してカサカサしているにもかかわらず、赤みや熱感を伴う皮膚症状を改善することです。
アトピー性皮膚炎では、バリア機能の低下による乾燥と、炎症による赤みが同時に起こることが少なくありません。
温清飲は、「四物湯」が血を補って皮膚に潤いを与え、「黄連解毒湯」が炎症を鎮めて赤みを抑えるという二つの作用を持っています。

この相乗効果により、潤い不足と過剰な熱という根本原因に同時に働きかけ、皮膚の状態を正常な方向へと導きます。

皮膚の熱っぽさや長引くかゆみを和らげる

アトピー性皮膚炎のつらい症状の一つである、長引くしつこいかゆみに対しても、温清飲は効果を発揮します。
このかゆみは、皮膚の内部にこもった熱が原因となっていることが多く、温まると悪化する傾向があります。
温清飲に含まれる「黄連解毒湯」には、この過剰な熱を冷まし、炎症を鎮める強力な作用があります。

アレルギー反応によって引き起こされる炎症性のサイトカインを抑制する働きも示唆されており、皮膚の熱っぽさや、かきむしってしまうほどの強いかゆみを和らげる効果が期待できます。

月経トラブルや更年期に伴う肌荒れにもアプローチする

温清飲は、アトピー性皮膚炎だけでなく、ホルモンバランスの乱れに伴う皮膚トラブルにも効果が期待できます。
構成している漢方薬の一つである「四物湯」は、血を補い巡りを良くする作用から「婦人科の聖薬」とも呼ばれ、月経不順や月経困難症、更年期障害などの改善に広く用いられます。

これらの不調が原因で起こる肌荒れや湿疹、シミなどに対しても、温清飲は血の不足と滞りを改善することでアプローチします。
皮膚症状の背景に婦人科系のトラブルがある場合に特に有効です。

あなたの体質は温清飲に合う?適した人の特徴をセルフチェック

温清飲は、優れた効果を持つ一方で、誰にでも合うわけではありません。
漢方療法では、症状だけでなく、その人の体質(証)に合った薬を選ぶことが非常に重要です。
温清飲は、体に熱がこもりつつも、栄養や潤いが不足している「血虚血熱(けっきょけつねつ)」という体質の方に適しています。

以下に挙げる特徴に当てはまるかどうか、ご自身の状態と照らし合わせてみてください。

皮膚は乾燥しているのに、のぼせやほてりを感じる

温清飲が適している方の最も典型的な特徴は、皮膚はカサカサと乾燥して粉をふくこともあるのに、顔や手足の裏がほてったり、のぼせたりすることです。
これは、潤い(血)が不足しているために相対的に熱が余ってしまい、上半身や体の末端に熱がこもる「虚熱(きょねつ)」という状態です。
アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、このような冷えのぼせのような感覚を持つ方が少なくありません。

乾燥と熱感という、相反する症状が同時に存在する場合、温清飲が体質に合っている可能性が高いと考えられます。

顔色が悪く、皮膚にツヤがない

全身に栄養を運ぶ血が不足している血虚の状態では、皮膚に十分な栄養が行き渡らなくなります。
そのため、顔色が悪く、いわゆる血色が悪い状態になりがちです。
また、皮膚表面は潤いを失い、カサカサしてツヤがなくなります。

アトピー性皮膚炎の乾燥肌も、この血虚が背景にあると考えられます。
唇の色が薄い、爪がもろくて割れやすい、髪がパサついて抜けやすいといった症状も血虚のサインです。
このような栄養不足を示す所見が見られる場合は、温清飲の適応となる可能性があります。

精神的なストレスやイライラを感じやすい

漢方では、「血」は精神を安定させる働きも担っていると考えられています。
そのため、血が不足し、さらに熱がこもった「血虚血熱」の状態になると、精神的に不安定になりやすくなります。
具体的には、ささいなことでイライラしたり、不安な気持ちになったり、寝つきが悪くなったりといった症状が現れがちです。

アトピー性皮膚炎のかゆみ自体がストレスになりますが、もともとこのような精神的な揺らぎを感じやすい場合、ストレスによってさらに症状が悪化する悪循環に陥りやすいです。
温清飲は体の熱を冷ますことで、精神的な興奮やイライラを鎮める効果も期待できます。

アトピー改善の目的で使われる他の漢方薬と温清飲の違い

アトピー性皮膚炎の漢方療法には、温清飲以外にもさまざまな漢方薬が用いられます。
それぞれの薬には得意な症状や適した体質があり、それを見極めて使い分けることが重要です。
ここでは、温清飲と混同されやすい、あるいは比較されることの多い代表的な漢方薬との違いについて解説します。

自分の症状がどれに最も近いかを考える際の参考にしてください。

消風散|かゆみが特に強く、じゅくじゅくした滲出液がある場合

消風散(しょうふうさん)は、温清飲と同じくアトピー性皮膚炎のかゆみに用いられる漢方薬ですが、適応となる症状が異なります。
消風散が最も効果を発揮するのは、かゆみが非常に強く、掻き壊すと黄色い滲出液が出るような、じゅくじゅくしたタイプの湿疹です。
これは漢方でいう「風湿熱(ふうしつねつ)」の状態にあたります。

一方、温清飲は皮膚が乾燥している場合に使われるため、滲出液が出るような湿潤タイプの皮膚炎にはあまり向きません。
かゆみの強さと、皮膚が乾燥しているか湿っているかが、両者を使い分ける大きなポイントになります。

黄連解毒湯|赤みや熱感が非常に強く、体力がある方向け

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は温清飲の構成要素の一つですが、単独で用いられることもあります。
黄連解毒湯を単独で用いるのは、乾燥症状(血虚)が見られず、赤み、熱感、かゆみといった炎症症状が極めて強く、体力も充実している場合です。
例えば、日焼けのように皮膚全体が赤く、ほてりが強い状態や、興奮して鼻血が出やすいといった症状に適しています。

温清飲は、黄連解毒湯に潤いを補う四物湯を合わせているため、炎症に加えて乾燥や体力の低下が見られる場合に、より適した漢方薬といえます。

十味敗毒湯|化膿しやすく、じゅくじゅくした初期の湿疹に

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)は、化膿しやすい性質を持つ、比較的初期の皮膚疾患に用いられることが多い漢方薬です。
体表の「気」や「水」の巡りを改善し、炎症や化膿の原因を体の外へ発散させる働きがあります。

アトピー性皮膚炎においては、じゅくじゅくして化膿しやすいブツブツや、とびひを繰り返すような場合に使用されます。
温清飲が対象とする、慢性化して乾燥と熱感が混在した病態とは異なり、より急性期で化膿傾向のある皮膚炎に適しています。

服用前に知っておきたい温清飲の副作用と注意点

漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、医薬品である以上、副作用が起こる可能性はゼロではありません。
特に、自分の体質に合わない薬を服用したり、長期間漫然と使用したりすると、予期せぬ症状が現れることがあります。
温清飲を服用するにあたり、事前に知っておくべき副作用や注意点を理解し、症状が悪化する前に適切に対処できるようにしておくことが大切です。

飲み始めに現れやすい胃腸の不快感(食欲不振・吐き気など)

温清飲の副作用として比較的報告が多いのが、食欲不振、胃の不快感、吐き気、下痢といった胃腸症状です。
これは、配合されている地黄(じおう)という生薬が、性質として胃にもたれやすいことに起因します。
もともと胃腸が弱い方や、体力が低下している方が服用すると、これらの症状が現れやすい傾向があります。

もし服用後に胃腸の調子が悪化するようなら、自己判断で続けずに、処方した医師や漢方薬を選んでもらった薬剤師に相談してください。
食後に服用することで症状が和らぐ場合もあります。

まれに起こる重大な副作用(間質性肺炎・肝機能障害)

頻度は非常にまれですが、温清飲の服用によって重大な副作用が起こる可能性も報告されています。
代表的なものに、間質性肺炎と肝機能障害があります。
間質性肺炎では、階段を上ったり少し無理をしたりすると息切れがする、空咳が出る、発熱するといった初期症状が見られます。

肝機能障害では、皮膚や白目が黄色くなる、全身の倦怠感、食欲不振、発熱、かゆみなどが現れます。
これらの症状に気づいた場合は、直ちに服用を中止し、速やかに医師の診察を受けてください。
症状が悪化する前に早期発見、早期対応することが重要です。

長期間の服用で注意が必要な腸間膜静脈硬化症とは

温清飲に含まれる山梔子という生薬を長期間服用し続けると、腸間膜静脈硬化症という副作用が起こることがあります。
これは、大腸の血流が悪くなることで、腹痛、下痢、便秘、腹部膨満感といった症状が繰り返し現れる病気です。
特徴的なのは、CT検査で大腸の静脈に石灰化が見られる点です。

アトピー性皮膚炎の改善のために長期間にわたって温清飲を服用する場合は、このようなリスクがあることを念頭に置き、定期的に医師の診察を受ける必要があります。
症状が悪化したり、気になる症状が続く場合は、すぐに専門医に相談してください。

温清飲の効果的な飲み方と入手方法

温清飲をアトピー性皮膚炎の治療に用いる際、その効果を最大限に引き出すためには、適切な飲み方を守ることが大切です。
また、どこで手に入れることができるのか、市販薬と処方薬に違いはあるのかといった点も知っておくとよいでしょう。
ここでは、温清飲の基本的な服用方法と入手に関する情報について解説します。

正しい知識を持って、漢方治療に取り組みましょう。

吸収率を高める服用のタイミングは食前または食間

漢方薬は、一般的に食事の影響を避けることで成分の吸収率が高まると考えられています。
そのため、温清飲を服用する最適なタイミングは、胃の中に食べ物が入っていない空腹時、具体的には食事の30分~1時間前である「食前」、または食事と食事の間である「食間」(食後2時間程度が目安)です。
ただし、胃腸が弱い方の場合、空腹時の服用は胃に負担をかけることがあります。

その際は、食後に服用するなど、処方した医師や漢方薬を選んでもらった薬剤師の指示に従ってください。
飲み忘れた場合も、次の服用時間まで待つのが基本ですが、指示に応じて対応しましょう。

ドラッグストアで市販薬は買える?処方薬との違い

温清飲は、医師の診察を受けて処方される医療用漢方製剤のほかに、ドラッグストアなどで購入できる一般用漢方製剤(市販薬)もあります。
市販薬は手軽に入手できる利点がありますが、医療用と比べて有効成分の含有量が異なる場合があります。
また、漢方薬は個人の体質(証)に合わせて選ぶことが効果を得るために不可欠です。

アトピー性皮膚炎の改善を目的とする場合や、どの漢方が自分に合うか判断が難しい場合は、自己判断で購入する前に、まず漢方に詳しい医師や薬剤師に相談し、適切な漢方薬を選んでもらうことをお勧めします。

温清飲とアトピーに関するよくある質問

ここでは、温清飲をアトピー性皮膚炎の改善に用いるにあたって、多くの方が抱く疑問についてお答えします。
効果を実感できるまでの期間や、他の薬との併用、子どもや妊娠中の服用についてなど、具体的な質問を取り上げます。
漢方薬を正しく、そして安心して使用するための参考にしてください。

効果はどのくらいの期間で実感できますか?

効果を実感できるまでの期間は体質や症状の重さにより個人差がありますが、一般的に皮膚症状の改善には1ヶ月以上の継続服用が必要な場合が多いです。
漢方薬は、症状を一時的に抑えるだけでなく、体質そのものを時間をかけて改善していく働きをします。
そのため、すぐに効果が現れないからといって諦めず、専門家の指示に従い、焦らず服用を続けることが大切になります。

ステロイド外用薬と一緒に使っても問題ありませんか?

自己判断での併用は避け、必ず処方した医師や漢方薬を選んでもらった薬剤師に相談してください。
多くの場合、漢方薬とステロイド外用薬は併用可能です。
温清飲で体の内側から体質改善を図りながら、ステロイド外用薬で外側のつらい炎症を抑えるというように、両者の長所を活かした改善方法が行われます。

医師の管理のもとで適切に併用することで、相乗効果が期待できます。

子どもや妊娠中でも服用することは可能ですか?

子ども、妊娠中またはその可能性のある方、授乳中の方が温清飲を服用する場合は、自己判断は絶対に避けてください。
特に妊娠中の服用は、配合されている生薬が体に影響を及ぼす可能性があります。
服用を希望する場合は、必ずかかりつけの医師や漢方に詳しい専門家に相談し、その指示に厳密に従う必要があります。

安全性を最優先に考え、慎重な判断が求められます。

まとめ

温清飲は、皮膚の乾燥と赤み・熱感が混在するタイプのアトピー性皮膚炎に対して、優れた効果が期待できる漢方薬です。
その効果は、炎症を鎮める「黄連解毒湯」と潤いを補う「四物湯」という2つの薬の組み合わせによってもたらされます。
ただし、胃腸症状などの副作用や、長期服用に伴う注意点も存在します。

温清飲が自分の体質に合っているかを見極め、安全かつ効果的に治療を進めるためには、自己判断で服用を開始するのではなく、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することが重要です。

toshimori