湿疹を漢方で体質改善。症状・タイプ別に適した選び方とは

湿疹を漢方で体質改善。症状・タイプ別に適した選び方とは 漢方

湿疹とは、皮膚の表面に起こる炎症の総称で、かゆみや赤み、ブツブツなどさまざまな症状が現れます。
漢方薬は、こうした肌トラブルに対して、体の内側からバランスを整えることで根本的な改善を目指す改善方法です。
単に皮膚の炎症を抑えるだけでなく、一人ひとりの体質を見極め、湿疹が起こりにくい健やかな肌へと導くことを目的とします。

ステロイドとは違う?漢方が湿疹の根本改善を目指せる理由

ステロイド外用薬は、湿疹の炎症を強力に抑える対症療法の薬です。
一方で漢方は、なぜ湿疹が起きるのかという原因を体質から探り、体のバランスを整えることで皮膚炎を根本から改善することを目指します。

食生活の乱れやストレス、血行不良など、湿疹の背景にある原因に働きかけるため、慢性的な症状の改善や再発予防が期待できます。

まずは自分の体質を知ろう!4つの湿疹タイプ別セルフチェック

漢方では、湿疹の症状だけでなく、全身の状態を総合的に見て判断します。
体の冷えやのぼせ、胃腸の調子、汗のかき方なども重要な手がかりとなります。
まずは自分の湿疹がどのタイプに当てはまるか、見た目の特徴や体質をチェックしてみましょう。

自身の状態を把握することが、適切な漢方薬選びの第一歩です。

【ジュクジュクタイプ】かゆみが強く浸出液が出る方の特徴

このタイプは、体に余分な「熱」と「湿(水分)」がこもっている状態と考えられます。
赤みと熱感を伴う強いかゆみが特徴で、掻きむしると浸出液が出ることがあります。
夏や梅雨の時期、汗をかくことで症状が悪化しやすい傾向が見られます。

脂っこいものや甘いものの過剰摂取、アルコールの飲み過ぎなどが原因で体に湿熱がたまり、痒みにつながっているケースも少なくありません。

【カサカサタイプ】乾燥して皮膚が硬く、粉をふく方の特徴

肌に栄養を与える「血」や、体を潤す「津液」が不足している状態です。
皮膚が乾燥して潤いがなくなり、表面がカサカサして白い粉をふくことがあります。
特に空気が乾燥する冬に悪化しやすく、夜間にかゆみが強くなる傾向が見られます。

加齢や過労、胃腸機能の低下などが原因で、更年期以降の女性や高齢者によく見られるタイプです。

【赤み・炎症タイプ】熱感を持ち赤みが目立つ方の特徴

体内に過剰な「熱」がこもることで、皮膚に炎症が起きている状態です。
アレルギー反応のように急に赤い発疹が現れたり、患部が熱っぽく感じられたりするのが特徴です。
ストレスや不規則な生活、香辛料などの刺激物の摂取が原因で体に熱がこもりやすくなります。

アレルギー性皮膚炎やじんましんなど、急性の炎症を伴う湿疹に多いタイプです。

【化膿タイプ】膿を含んだおできができやすい方の特徴

体内の「湿」と「熱」が結びつき、さらに細菌感染などが加わって「毒」となった状態です。
湿疹が黄色い膿を持ち、ニキビのようにおでき状になるのが特徴です。
ジュクジュクして治りにくく、炎症が長引きやすい傾向があります。

食生活の乱れや免疫力の低下が背景にあることが多く、皮膚のバリア機能が弱っていることで化膿しやすくなります。

【症状・体質別】湿疹の改善に用いられる代表的な漢方薬

湿疹のタイプによって、適した漢方薬は異なります。
ここでは、それぞれの症状や体質に用いる代表的な漢方薬を紹介します。
自分のタイプに合う漢方薬を知ることで、より効果的なセルフケアや専門家への相談に役立ちます。

あくまで一般的な例であり、実際の薬は体質を総合的に判断して決まるため、おすすめは専門家への相談です。

ジュクジュクした湿疹には「消風散(しょうふうさん)」

消風散は、体にこもった熱を冷まし、余分な水分を取り除くことで、ジュクジュクした湿疹の強いかゆみを鎮める漢方薬です。
分泌物が多く、赤みや熱感が強いタイプの湿疹に適しています。
血行を促進する生薬も含まれており、皮膚の新陳代謝を助ける働きも期待できます。

アトピー性皮膚炎や蕁麻疹など、強いかゆみを伴う皮膚疾患に広く用いられます。

乾燥によるカサカサ肌には「当帰飲子(とうきいんし)」

当帰飲子は、体を潤す「血」を補い、血行を促進することで、乾燥した皮膚に栄養を与え、かゆみを改善する漢方薬です。
肌の乾燥が進み、カサカサして粉をふくような状態や、夜間にかゆみが強くなる場合に適しています。

特に、体力が低下した高齢者の乾燥性湿疹や、冷え症を伴う方の皮膚のかゆみに効果が期待できます。

強い赤みや炎症には「温清飲(うんせいいん)」

温清飲は、血行を改善し体を温める「四物湯」と、体の熱や炎症を冷ます「黄連解毒湯」を組み合わせた漢方薬です。
皮膚の赤みが強く、乾燥とジュクジュクが混在するような複雑な症状に用いられます。
血の巡りが悪く、のぼせやすい体質の方の皮膚疾患に適しており、アトピー性皮膚炎や慢性的な湿疹、更年期障害に伴う皮膚症状などに応用されます。

化膿しやすいブツブツには「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」

十味敗毒湯は、皮膚の赤みや腫れ、かゆみを抑え、膿を排出して炎症を鎮める働きを持つ漢方薬です。
化膿しやすく、ブツブツとしたおできができるタイプの湿疹に適しています。
体力がある方の初期の皮膚疾患に用いられることが多く、化膿性のニキビや蕁麻疹、痒疹など、さまざまな皮膚トラブルに応用される処方です。

ストレスや胃腸の不調が原因の場合に用いられる漢方薬

湿疹の原因が皮膚だけでなく、心身の不調にあることも少なくありません。
ストレスが溜まると「気」の巡りが滞り、イライラやのぼせから皮膚症状が悪化することがあります。
また、胃腸機能が低下すると、体内に余分な水分や熱がたまりやすくなります。

このような場合、生理前に症状が悪化する方には「加味逍遙散」、胃腸が弱い方には「補中益気湯」などが用いられます。

【部位別】気になる湿疹のお悩みに合わせた漢方の選び方

湿疹は全身のどこにでも発生する可能性がありますが、現れる部位によって原因や適した漢方薬が異なる場合があります。
例えば、上半身、特に頭や顔に症状が出やすいのは「熱」が原因であることが多く、下半身のトラブルは「冷え」や「湿」が関係していると考えられます。

腕や陰部など、特定の部位の湿疹でお悩みの方に向けた漢方の選び方を紹介します。

つらい手湿疹(主婦湿疹)の改善をサポートする漢方

水仕事や洗剤の使用で悪化する主婦湿疹は、皮膚のバリア機能の低下が主な原因です。
指や手の皮膚が乾燥してひび割れたり、赤みやかゆみが出たりします。

漢方では、血行を促進して皮膚に栄養を与える「温経湯」や、潤いを補う「当帰飲子」などが用いられます。
また、小さな水ぶくれができる汗疱のような症状には、体内の余分な水分を排出する薬が選ばれます。

顔の赤みやニキビのような湿疹に使われる漢方

漢方では、顔や頭部は「熱」がこもりやすい場所と考えられています。
そのため、顔の赤みやほてり、ニキビのような湿疹には、体の熱を冷ます漢方薬が中心となります。
のぼせを伴う赤ら顔や肌荒れには「黄連解毒湯」、化膿しやすいニキビには「清上防風湯」などが代表的です。

ホルモンバランスの乱れやストレスが関与している場合は、それらを整える処方も併用されます。

漢方薬を服用する前に知っておきたいこと

漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、医薬品である以上、効果だけでなく注意点も存在します。
服用を始める上では、効果が出るまでの期間や副作用の可能性、どこで手に入るのかといった基本的な知識を持っておくことが大切です。
特に子供への使用や他の薬との飲み合わせについては、専門家への確認が欠かせません。

漢方療法の効果を実感できるまでの期間の目安

漢方薬の効果の現れ方は、症状や体質、薬の種類によって異なります。
一般的に、急性の症状であれば数日から数週間で変化が見られることもありますが、湿疹のような慢性的な症状や体質改善を目的とする場合は、効果を実感するまでに2〜3ヶ月程度かかることが多いです。

すぐに効果が出ないからと諦めず、一定期間は継続して服用することが重要です。

副作用はある?服用中に注意すべき症状

漢方薬は副作用が少ないイメージがありますが、体質に合わない場合は、胃もたれや食欲不振、下痢などの消化器症状が現れることがあります。
まれに、甘草という生薬を含む漢方薬で「偽アルドステロン症」という副作用が起こることもあり、その場合は手足のしびれやむくみ、血圧上昇といった症状が見られます。
体に異変を感じたら、すぐに服用を中止し医師や薬剤師に相談してください。

漢方薬はどこで手に入るのか

漢方薬を入手するには、主に二つの方法があります。
一つは、皮膚科や内科などの医療機関で医師の診察を受け、処方してもらう方法です。
この場合、ツムラやクラシエなどの医療用漢方製剤が健康保険の適用で処方されます。

もう一つは、漢方薬局やドラッグストアで薬剤師や登録販売者に相談して購入する方法です。
こちらは市販薬となり、保険は適用されませんが、煎じ薬などより体質にあった薬や保険適応外の薬も選択肢に入ります。

漢方 湿疹に関するよくある質問

ここでは、湿疹の漢方療法を始めるにあたって、多くの方が抱く疑問にお答えします。

漢方薬での湿疹の改善に健康保険は適用されますか?

医師が治療に必要だと診断し、医療機関で処方された漢方薬については健康保険が適用されます。
漢方薬局やドラッグストアなどで市販されている漢方薬は、保険適用外の自己負担となります。

今使っているステロイド外用薬と漢方薬は併用できますか?

漢方薬とステロイドの塗り薬は、多くの場合で併用が可能です。
漢方で体質改善を図りながら、症状が強い部分にはステロイド外用薬を使って炎症を抑えるといった方法が行われます。
ただし、自己判断での併用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。

漢方を飲み始めたら一時的に症状が悪化することはありますか?

ごくまれに「瞑眩(めんげん)」または「好転反応」と呼ばれる、一時的な症状の悪化がみられることがあります。
これは体が良い方向へ向かう過程での反応とされますが、副作用との区別が難しいため、症状に変化があった場合は自己判断せず、処方した医師や薬剤師に相談することが重要です。

まとめ

湿疹の改善において、漢方は症状を抑えるだけでなく、その原因となる体質から見直すアプローチを取ります。
ジュクジュクタイプやカサカサタイプといった症状の違いや、頭の湿疹、貨幣状湿疹など部位による悩みに応じて、多様な薬が存在します。
ステロイドを塗布しても改善が見られない場合や、根本的な改善を目指したい場合は、漢方療法も選択肢の一つです。

まずは専門の医師や薬剤師に相談し、自分の体質に合った漢方薬を見つけることから始めてみてください。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。