頭痛の漢方薬|タイプ・原因別の選び方とおすすめ市販薬
漢方
つらい頭痛に悩む方にとって、西洋薬だけでなく漢方薬も有効な選択肢の一つです。
漢方薬には様々な種類があり、頭痛のタイプや原因に合わせて選ぶことで、体質からの改善が期待できます。
この記事では、症状別に適した漢方薬の選び方や、ドラッグストアで購入できるおすすめの市販薬、服用時の注意点について詳しく解説します。
つらい頭痛に漢方薬という選択肢|西洋薬との違いとは?
西洋薬が今ある痛みを抑える「対症療法」であるのに対し、漢方薬は頭痛を引き起こす根本的な原因、すなわち体質の乱れに働きかける「根本療法」を目指します。
漢方では、身体全体のバランスを整えることで、痛みを取り除くだけでなく、頭痛が繰り返し起こらないようにする「予防」の観点も重視します。
そのため、慢性的な頭痛に悩んでいる方にとって、体質改善を目的とした漢方療法は有効なアプローチといえます。
あなたの頭痛はどのタイプ?症状から原因をチェック
自分に合った漢方薬を選ぶためには、まず自身の頭痛がどのタイプに当てはまるかを知ることが重要です。
頭痛には、天候によって引き起こされるもの、ズキズキと脈打つような片頭痛、筋肉の緊張が原因の緊張型頭痛など、様々な種類が存在します。
痛みの性質やタイミング、吐き気やめまいといった付随する症状に注目し、自分の症状と照らし合わせながら原因を探ってみましょう。
【天気・気圧タイプ】雨の日や台風の前にズキンと痛む
雨の日や台風の接近時など、低気圧の状況で頭痛が悪化するタイプは「天気痛」や「気象病」と呼ばれます。
これは、気圧の変動に身体が対応できず、体内の水分バランスが乱れることが一因と考えられています。
頭が重く感じられたり、ズキンとした痛みが生じたりするほか、めまいやむくみ、全身のだるさといった症状を伴うことも少なくありません。
天気や気圧の変化に敏感な方はこのタイプに該当する可能性が高いです。
【片頭痛タイプ】ズキズキとした拍動性の痛みや吐き気がある
こめかみから目の周辺にかけて、心臓の拍動に合わせてズキズキと痛むのが片頭痛の典型的な症状です。
痛みは頭の片側だけでなく、両側に現れることもあります。
強い吐き気や嘔吐を伴うことが多く、普段は気にならない光や音、においに対して過敏になるのも特徴です。
体を動かすと痛みが強くなるため、症状が出ている間は暗く静かな場所で休息を取りたくなる傾向があります。
【緊張型頭痛タイプ】肩や首のコリが原因で頭が締め付けられる
頭全体がヘルメットで締め付けられるような、重く鈍い痛みがだらだらと続くのが緊張型頭痛です。
主な原因は、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用など、不自然な姿勢を続けることによる肩や首の筋肉の過度な緊張です。
筋肉が硬くなることで血行が悪化し、頭痛を引き起こします。
そのため、多くの場合はつらい肩こりや首の張りを伴います。
入浴やストレッチで体を温め、血行を促進すると痛みが和らぐことがあります。
【慢性・高血圧タイプ】朝方に痛みやすく、めまいやイライラを伴う
特に中高年の方で、朝方に頭が重く痛むことが多い場合、高血圧が関連している可能性があります。
痛みは後頭部に感じることが多く、めまいや耳鳴り、肩こり、のぼせ、イライラ感といった多彩な症状を伴うのが特徴です。
ストレスや生活習慣の乱れが、症状を悪化させる一因となることもあります。
このような頭痛には、体の余分な水分排出を助け、気の巡りを整える苓桂朮甘湯などが用いられることがあります。
【症状・原因別】頭痛におすすめの代表的な漢方薬5選
ここからは、それぞれの頭痛タイプに効く代表的な漢方薬の具体的な特徴を解説します。
漢方療法では、個々の症状や体質に合わせて処方を使い分けることが、効果を得るための鍵となります。
ご自身の症状や頭痛の原因と照らし合わせながら、どの漢方薬が合いそうかを確認し、選択の参考にしてください。
これから紹介する漢方薬の多くは、ドラッグストアなどで市販されています。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):気圧の変化による「天気痛」を和らげる
苓桂朮甘湯は、気圧の低下によって引き起こされる頭痛(天気痛)や、それに伴うめまい、立ちくらみといった症状の改善に効果が期待できます。
水の巡りを良くする作用があるため、乗り物酔いにも有効です。
体内の水分が偏在している状態での頭痛(天気痛)に適しています。
呉茱萸湯(ごしゅゆとう):冷えと吐き気を伴うつらい片頭痛に
呉茱萸湯は、体を内側から温め、痛みを鎮める作用を持つ漢方薬で、片頭痛の改善によく用いられます。
特に、手足の冷えが強く、みぞおちあたりが冷たく感じられ、激しい吐き気や嘔吐を伴うズキズキとした頭痛に効果的です。
医療用の漢方薬では、ツムラの製品番号31番としても知られています。
痛みの発作時に服用するだけでなく、頭痛を予防する目的で継続的に使用されることもあります。
葛根湯(かっこんとう):肩こりからくる緊張型頭痛を改善する
葛根湯は、一般的に風邪のひきはじめの薬として知られていますが、首筋や肩の筋肉のこわばりを和らげ、血行を促進する作用も持ち合わせています。
この働きにより、肩こりや首の張りが原因で起こる緊張型頭痛の改善に効果を発揮します。
頭痛に加えて、ぞくぞくとした寒気があり、発熱が見られないか、あっても微熱程度の状態に適しています。
体を温める作用があるため、冷えが原因で起こる頭痛にも用いられます。
釣藤散(ちょうとうさん):高血圧傾向で慢性的な頭痛に悩む方に
釣藤散は、気の巡りを整え、上半身にこもった余分な熱を冷ます働きを持つ漢方薬です。
特に、高血圧の傾向がある中高年の方で、朝方に痛みやすい慢性的な頭痛に効果的です。
中年期以降の神経症や、それに伴う頭痛、めまい、肩こり、耳鳴り、不眠といった症状の緩和にも用いられます。
精神的なストレスを感じやすく、イライラしがちな方の頭痛に適している漢方薬です。
加味逍遙散(かみしょうようさん):ストレスやホルモンバランスの乱れによる頭痛に
加味逍遙散は、気の巡りを改善して精神を安定させ、血行を促進することで心と体のバランスを整える漢方薬です。
イライラや不安感など、精神的なストレスが原因で起こる頭痛に効果があります。
また、ホルモンバランスの乱れにも作用するため、月経前の不調(PMS)や更年期障害に伴う頭痛、のぼせ、肩こりなど、女性特有の悩みにも広く使われます。
医療用の漢方薬では、ツムラの製品番号24番で知られています。
ドラッグストアで市販の漢方薬を選ぶときのポイント
ドラッグストアには多種多様な漢方薬が並んでおり、どれを選べば良いか迷うことも多いでしょう。
市販の漢方薬を選ぶ際は、自分の症状に合っているかの確認はもちろんですが、これから紹介する2つのポイントに注目することで、より自分に適したものを見つけやすくなります。
有効成分量を示す「満量処方」かどうかに注目する
市販の漢方薬には、医療用と同じ量の生薬(有効成分)を配合した「満量処方」と、成分量を調整した「1/2処方」や「2/3処方」などがあります。
満量処方は、1日あたりの生薬配合量が医療用と同等であることを示しており、よりしっかりとした効果を期待する場合の目安となります。
製品のパッケージに「満量処方」と明記されているかを確認してみましょう。
ただし、体質によっては成分量が調整された処方の方が穏やかに作用し、合っている場合もあります。
続けやすいように顆粒や錠剤など剤形(タイプ)で選ぶ
漢方薬は継続して服用することで体質が改善され、効果を実感しやすくなります。
そのため、自分が無理なく続けられる剤形を選ぶことが大切です。
一般的にはお湯に溶かして服用する顆粒タイプが多いですが、漢方特有の味や香りが苦手な方向けに、においが少なく飲みやすい錠剤タイプも販売されています。
顆粒は吸収が早い、錠剤は携帯に便利で服用しやすいといったそれぞれの利点があるため、ライフスタイルに合わせて選びましょう。
漢方薬を服用する前に知っておきたい注意点
漢方薬は天然の生薬を原料としているため、副作用が少ないイメージがありますが、医薬品であることに変わりはありません。
体質に合わなかったり、誤った服用方法をしたりすると、症状が悪化したり、予期せぬ副作用が現れたりする可能性もあります。
服用を開始する前には、基本的な注意点をしっかりと理解しておくことが大切です。
漢方薬で起こりうる副作用の症状と対処法
漢方薬の副作用として比較的多く見られるのは、胃もたれや食欲不振、下痢、便秘といった消化器系の症状や、皮膚の発疹やかゆみなどです。
また、頻度は低いものの、手足のむくみや血圧上昇などを引き起こす「偽アルドステロン症」や、空咳や息切れが特徴の「間質性肺炎」といった重篤な副作用が起こる可能性もゼロではありません。
服用後に何らかの体調変化を感じた場合は、直ちに服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
一般的な鎮痛剤(ロキソニンなど)との併用はできるのか
漢方薬と、ロキソニンに代表される一般的な鎮痛剤は、作用のメカニズムが異なるため、基本的には併用が可能とされています。
つらい痛みを一時的に抑えたい場合に鎮痛剤を使いつつ、体質改善のために漢方薬を継続するといった使い方ができます。
ただし、漢方薬の種類によっては注意が必要な場合もあるため、鎮痛剤と併用する際は自己判断せず、必ず医師、薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
効果を実感できるまでの服用期間の目安
漢方薬の効果が現れるまでの期間は、症状や体質、薬の種類によって大きく異なります。
風邪の初期症状のような急性の症状には数回の服用で効果が見られることもありますが、頭痛のような慢性的な症状の改善を目指す場合は、体質から変化させていくため時間がかかります。
一般的には、最低でも2週間から1ヶ月程度は継続して服用することが推奨されています。
1ヶ月ほど試しても効果が感じられない場合は、薬が合っていない可能性も考えられるため、専門家に相談しましょう。
痛みの根本原因にアプローチする漢方の体質改善という考え方
漢方医学において、頭痛は単に頭部だけの問題とは考えません。
身体全体のバランスが崩れた結果として、頭痛という一つの症状が現れていると捉えます。
したがって、痛みを直接抑える対症療法だけでなく、頭痛を引き起こしている根本的な原因、すなわち体質の乱れそのものを是正することが、漢方療法の基本になるのです。
体内の「気・血・水」のバランスを整えて頭痛が起きにくい身体へ
漢方では、人間の身体は「気・血・水」という3つの要素で構成されていると考えます。
「気」は生命活動のエネルギー、「血」は血液とその働き、「水」は血液以外の体液を指し、これらがバランス良く体内を巡ることで健康が維持されます。
このバランスが崩れると、気の滞りによる緊張型頭痛や、血行不良による片頭痛、水の滞りによる天気痛などが発生します。
漢方薬は、この「気・血・水」のバランスを整えることで、結果的に頭痛が起きにくくなる身体作りを目指します。
漢方 頭痛 薬に関するよくある質問
最後に、頭痛の改善のために漢方薬を検討している方が抱きがちな疑問について、Q&A形式でお答えします。
どの漢方薬から試せばよいか迷ったときの選び方は?
まずはご自身の頭痛の特徴(いつ、どこが、どのように痛むかなど)を整理し、この記事で紹介したタイプと漢方薬を照らし合わせるのが基本です。
例えば雨の日に痛むなら苓桂朮甘湯、肩こりがひどいなら葛根湯を選ぶといった形です。
それでも迷う場合は、自己判断せずドラッグストアの薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
漢方薬は病院で処方してもらうと保険適用になりますか?
はい、医師が診察の上で治療に必要と判断して処方した漢方薬(医療用漢方製剤)は、健康保険が適用されます。
保険が適用されると、自己負担額は通常3割(年齢や所得による)となるため、全額自己負担となる市販薬よりも安価になるケースが多くあります。
継続的な服用を考える場合は、医療機関への相談も選択肢です。
また、保険適応外の漢方薬の中にも頭痛に使う漢方薬はたくさんあります。
妊娠中や授乳中に服用できる漢方薬はありますか?
妊娠中や授乳中に服用できる漢方薬もありますが、自己判断での服用は絶対に避けてください。
妊娠週数や個人の体質によって適さない薬があったり、胎児や母乳に影響を与える成分が含まれていたりする可能性があります。
服用を希望する場合は、必ず事前にかかりつけの産婦人科医や薬剤師に相談することが必要です。
まとめ
頭痛の改善において、漢方薬は痛みの根本原因である体質にアプローチする有効な選択肢です。
頭痛には気圧の変化、片頭痛、緊張型など様々なタイプがあり、それぞれに適した漢方薬が異なります。
この記事で紹介した選び方や市販薬を選ぶ際のポイントを参考に、ご自身の症状に合った漢方薬を見つけてください。
どの薬を選べば良いか迷う場合や、服用に関して不安な点がある場合は、医師や薬剤師、登録販売者といった専門家に相談することが重要です。

