不妊症とは、新たな命を育む力が不足していること

妊活・不妊

子どもが欲しいと思っているのに、妊娠できない。
現代では、不妊症にお悩みの女性がたくさんいらっしゃいます。

妊娠することができない原因がわかっていても、わかっていなくても、「妊娠を希望して1年間性生活を行っているにも関わらず妊娠しない状態」の場合「不妊症」と定義されます。

「不妊」という言葉はそもそも、授からない期間のことを指しています。
最近では「未妊(みにん)」といった言葉で置き換えられることもあります。

すなわち、「不妊症=病気」ではありません。

また、病気ではないから治すことができない、ということでもありません。

妊娠を妨げている原因に対してアプローチを行うことで、不妊症の改善を進めていくことが可能です。

不妊の原因は、大きく2つに分けられます。

まずひとつ目は「絶対不妊」と言って、自然妊娠が不可能なケースです。

・女性に全く排卵がない
・両側の卵管が完全に閉塞してしまっている
・男性の精液中に全く精子が存在していない

このような場合には、生殖補助医療(ART)を行わなければ妊娠することができません。
代理出産や卵子・精子の提供が必要となる場合もあります。

ふたつ目は「相対不妊」というケースです。
こちらは「妊娠をしづらくしている原因がある」場合を指しています。

その原因を取り除く、あるいは改善することで自然妊娠が期待できます。

不妊検査を行うことで、可能性の高い原因を見極められます

妊娠は、排卵→受精→分割→着床という流れを経て成立します。

このプロセスのどこかに問題があり、妊娠できなくなっている状態を「器質性不妊」と言います。

この「器質性不妊」は、検査によって原因を明らかにすることが可能です。

不妊症の原因を調べるにあたって、一般的な不妊検査は主に6種類あります。

基礎体温、精液検査、頸管粘液検査、フーナーテスト、子宮卵管造影検査、経腟超音波検査です。

これらは6大基本検査と言われていますが、検査によって「不妊の原因は○○だ」と100パーセント断言することはできません。

あくまでも、「不妊の原因は ○○である可能性が高い」という判断になります。
なかには原因がひとつではなく、複数の要因が存在している場合もあります。

しかし、数ある不妊の原因の中から、可能性が高いものを絞ることで、その原因に合わせた具体的な不妊治療を進めることができるのです。

不妊検査の流れ

手をつなぐ夫婦不妊症の原因は、男女のどちらかだけにあるとは言い切れません。

男女どちらにも要因がある場合も、決して少なくありません。

一般的な不妊検査の流れとして、まずは女性には基礎体温表をつけていただきます。
基礎体温のグラフを見て、排卵が正常に行われているかのチェックを行います。

生理期間中に病院、あるいはクリニックにてLH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)の数値を調べる採血をし、その方の生理周期に応じた検査の計画を立てます。

卵管の通過性を確認するのと同時に、男性側の精液検査が行われます。

正常な排卵があり、両側の卵管に通過性が認められ、精液検査に異常がない場合、正確に予測した排卵日に合わせて夫婦生活を持ってもらう「タイミング法」という不妊治療を進めていきます。

排卵日前には、内診と超音波検査を行ないます。
卵巣、子宮を超音波検査で観察し、卵胞の発育状況と子宮内膜の状態をチェックします。

その上で排卵日を予測し、排卵前であれば、頚管粘液の分泌状態をチェックします。

排卵から1週間ほど経ったあと、黄体化ホルモンを調べる採血を行います。
これは、毎周期行う場合もあれば、そうでない場合もあります。

次の生理周期からは、排卵のチェックを主に行います。
排卵障害のある方の場合、投薬治療を進めていくこともあります。

また、必要に応じて、子宮鏡検査やそのほかの検査を行います。

「 ステップアップ治療」について

不妊症を治療する方法はいくつかあります。
ひとつの方法で望む結果が得られない場合には、より高度な手段を用いて治療に臨みます。

これを「ステップアップ治療」と言います。

先ほどもお話ししたように、基本検査で異常が確認できない場合には、排卵日を正確に予測し、夫婦生活を持つ「タイミング法」という治療法を進めていきます。

およそ半年を目安に、「タイミング法」から次の段階へと移行します。
人工授精、体外受精と進み、場合によっては顕微授精を行うケースもあります。

人工授精(AIH)とは

精子を子宮内へ直接注入することで、卵子と精子が出会う確率を高める方法を指します。

人工授精が向いているケースとしては、
・精子減少症や精子無力症で、精子に障害がある場合
・性交障害
・精子の進入障害
などが挙げられます。

人工授精を行う場合、医師が行うのは子宮内に精子を注入するところまでです。

子宮内に注入された精子が卵子と出会い、受精、着床、そして妊娠に至るまでの過程は、自然妊娠と相違ありません。

体外受精(IVF)とは

卵子を体外に取り出し、パートナーの男性の精子と一緒にすることで受精させ、受精卵を子宮内に戻して着床を促す治療のことです。

体外受精は、タイミング法や人工授精からのステップアップ、あるいは、卵管性不妊や重度男性不妊などの、「体外受精でしか妊娠が望めない」と判断された場合に行う治療法です。

顕微授精(ICSI)とは

精液の状態が好ましくない「男性不妊」や、体外受精では受精卵を得られなかった場合の治療法です。

顕微授精はガラス管等を用いて精子を卵子に注入することで受精を促します。

不妊症の原因のひとつとして、「卵子の質の低下」が考えられます

上記でお話しした、「器質性不妊」に対し、「機能性不妊」といって、一般的な不妊検査では、男女のどちらにも明確な原因を見つけられない場合があります。

ところが、一般的な検査よりもより精密な検査を行うことで
・子宮内膜症
・子宮内膜ポリープ
などの不妊の原因を特定することもできます。

しかし、精密検査でも特定できない原因として考えられているのは、卵子の質の低下です。

35歳を過ぎると、卵胞ホルモンという妊娠に必要な女性ホルモンの分泌量は、急激に低下します。
38歳でピークの半分、40歳を過ぎるとさらに激減します。

女性の体外受精成功率もまた、年齢とともに低くなっていきます。
これは老化によって子宮の機能が衰えることで受精卵に対しての反応が鈍くなるためです。
加齢によって、女性ホルモンが減少するだけではなく、身体の機能や細胞そのものも老化が進むのです。

卵巣の老化が進むと、卵巣の中で形成される卵胞、そして排卵されたあとの卵子そのものの力も衰えてしまいます。
卵子の力が低下することで、着床まで至らなかったり、染色体異常がたくさん発生するといったことが考えられます。

また、これまで何度も不妊治療を行ってきたことにより、AMH値が低下してしまった、という方もいらっしゃいます。

AMHとはアンチミューラリアンホルモン(または抗ミュラー管ホルモン)の略です。
これは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンのことを指しています。
この値が表すのは卵巣の中にある卵子の残量の目安で、卵巣年齢とも言われています。

AMH値が低いからといって、妊娠の可能性も低いということではありません。
反対にAMH値が高くても、妊娠しづらいという方もいらっしゃいます。

つまり、AMHの値だけでは、良質な卵子が排卵されているかどうかは判断できない、ということです。
AMHの値は、年齢に相関していないことがわかっていますが、同時に、年齢とともに減少する傾向にあることもわかっています。

福神トシモリ薬局での「不妊症」の考え方

成長していく作物

福神トシモリ薬局に不妊相談でお越しになった方にはよく、「畑」で作物を育てていくためには準備を行わなければいけない、というお話をしています。

荒れた畑には、小石や木の枝などが混在している状態です。

種がどんなに芽を出したいと思っていても、石や枝が邪魔をしていれば、それは叶いません。

作物がすくすく健康に育っていくためには、畑を耕し、土壌を整える必要があります。

不妊治療の考え方も、畑で作物を育てていくことと似ています。

母体という土壌を豊かにすることで、健康で元気な生命を育むことができるのです。

漢方と栄養素で、卵子の質を向上させましょう

漢方を服用する女性

卵巣年齢が高い、つまりAMHの値が低い方は、卵子の残量が少ないということ。

残り少ない、貴重な卵子ですから、確実に妊娠につなげたいと考えますよね。

卵子の質が低下している場合には、人工授精や体外受精といった方法を重ねても、着床を継続することができない状態です。

現代では、さまざまなライフスタイルが形成されています。

当薬局にお越しになる、不妊症でお悩みの方に共通していることは「夜遅い時間に寝ている方が多い」ということです。

よく、夜の10時から2時のあいだは美肌が作られる時間だと言われていますよね。
つまり、この時間帯は体内のホルモンが活発に働いているということです。

そのため、夜の11時には熟睡している状態が好ましいのですが、仕事などで毎日遅い時間に就寝されている方がたくさんいらっしゃいます。

また、食事を抜いたり、偏った栄養バランスで食事を取っていたりといったことも、ホルモンバランスに影響を与え、ひいては不妊症の原因となってしまうのです。

衰えたホルモンを活性化させることにより、卵子の質が上がっていきます。

福神トシモリ薬局では、卵子の質を向上させ、妊娠しやすい身体づくりを行っていくため、お一人お一人のお身体の状態に合った漢方と栄養素を飲んでいただいています。

子宝づくりには、1年はかかると思ってください

良質な卵子が排卵されるまでには、最低でも90日かかります。
つまり、90日前に取り組んだ結果が卵子に現れるのです。

漢方と栄養素を飲んで、その影響を受けた卵子が出てくるのは約90日経ったあと。

そこから、タイミング法や人工授精、体外受精にトライしていくことになるので、子宝づくりにはまず1年はかかると思ってください。

今は長く感じられる時間も、かけがえのない子宝と過ごす時間のために必要な充電期間だと考えてください。
この期間にしっかりエネルギーを蓄えることで、10ヶ月という長い妊娠期間、出産、そして子育てと続く長い道のりを歩んでいくことができるのです。

光の中へと導くことが、私の使命だと感じています

子宝を抱くお母さん

よく、不妊症の治療は出口の見えないトンネルのようだと例えられます。

真っ暗闇の中では、自分が今どの方向を向いていて、どこに向かって歩いていて、それが正しいかどうかさえわからず、不安になってしまうものです。

そのトンネルの中に、光を差し込み、導くこと。
それが、薬剤師である私の使命だと感じています。

これまで長らく不妊治療を続けてこられた方はずっと、トンネルを彷徨い続けてきた状態だと思います。

もう同じところを何度も行き交う必要はありません。
私たちといっしょに、光に満ちた出口に向かって、歩いて行きましょう。

歳森 和明 / 薬剤師 - 国際中医専門員A級

薬剤師、国際中医師、笑顔セミナー認定講師。漢方薬局三代目。おだやかで大人しく見られがちですが、サーフィン、ダイビング、トライアスロンなど身体を動かすことや、食べ歩き・旅行が大好きなアクティブ人間です。SNS(Twitter、Facebook)で漢方や健康情報、勉強会情報を随時発信しています。