「漢方」を生活に活かして、妊娠しやすい身体に
東洋医学には、さまざまな治療法があります。
その中のひとつに漢方薬を用いた治療法があり、他にも養生や薬膳、気功、整体、鍼灸といったさまざまな手法があります。
東洋医学や漢方の考え方を生活に取り入れて、妊娠しやすい身体づくりを目指しましょう!
食生活に、薬膳の考え方を取り入れる
私たちの身体は、毎日の食べ物によって作られています。
毎日のように触れている携帯電話やスマートフォンが充電しなければ動かないように、私たち人間は食べ物によって活動エネルギーを得ているのです。
ところが、忙しさを理由に食事を抜いてしまうという方も少なくありません。
食事は朝・昼・晩の1日3食、栄養バランスを考えて摂取しましょう。
ここで、妊娠しやすい身体をつくるためには、どんな食事が理想なのかを考えてみましょう。
そもそも妊娠とは、新たな生命を母体の中に宿すことですよね。
赤ちゃんが心地良く過ごせる母体づくりのために、「薬膳」の考え方を取り入れましょう。
東洋医学での食事療法に当たる「薬膳」。
旬のものを食べることでその季節に合った身体づくりを行い、また、次の季節に向けて準備をしておこう、という考え方です。
私たちは普段から無意識のうちに、食べ物によって身体を「温める・冷やす」といった調整を行っています。
食べ物の持つ働きを上手に活用して、夏バテや冷え性などに負けない身体づくりを目指しましょう。
暑い夏にはキュウリやスイカなどの夏野菜、つまり夏が旬のもの、また、南の地方で採れたものは身体を冷やします。
この食性を薬膳では「涼性」「寒性」と言います。
寒い冬には、カボチャやニンジンといった食材を使用する機会が増えますよね。
反対に、カボチャに代表される冬が旬の野菜や、北が産地の食材、海産物など、寒い環境の中で採れるものは、身体を温める性質を持っています。
この食性は「温性」と言います。
より温める力の強い唐辛子などは「熱性」に分類されます。
また、野菜の中には熱を加えることで性質が変化するものもあります。
例えばダイコンは、そのままでは身体を冷やす「涼性」に分類されていますが、加熱することで温めず、しかし冷やさない穏やかな「平性」へと変化します。
食べ物による働きを利用しているのは私たち日本人だけではありません。
世界の例を見ても確かに、暑い地方で採れた作物は、その土地に住まう人たちの身体にうまく作用していると言えるでしょう。
赤道直下に位置するため、ほぼ1年を通して夏のように暑い国、ブラジル。
ブラジルと聞いてイメージするのはそう、コーヒー豆ですよね。
ブラジルの方たちはコーヒーを飲むことで身体の熱を下げ、暑い中でも生活ができるのではないでしょうか。
このように、私たちは意識せずともその季節や気候に適したものを食べることで体温を調節し、それぞれの季節や気候に適応する身体へと整えているのです。
そして、妊娠しやすい身体づくりのためには、身体を冷やさないことが大切です。
薄氷の張られた大地に種を撒いても芽が出ないことと同じように、冷えた母体には新たな生命という「種子」は芽吹きにくいのです。
植物が元気に成長できる場所は、暖かくやわらかい土の中ですよね。
母体も同様に、温かくやわらかい場所であれば、赤ちゃんは気持ちよく過ごすことができるのです。
身体を温める食材としては、
・もち米、玄米、あわ、ヒエ
・アジやイワシ、ウナギなどの魚
・牛肉、鶏肉、羊肉などの肉
・カボチャ、ニンジン、ゴボウ、さつまいも、じゃがいも、山芋、ユリ根、レンコン
・ねぎ、しょうが、にんにく、唐辛子
・大豆、あずき、えんどう豆、そら豆、落花生
・桃、りんご、キンカン、梅、栗、なつめ、クルミ
が挙げられます。
生魚や生野菜のまま摂取するのではなく、調理の際に加熱して摂取しましょう。
一方で、白砂糖をたっぷり使った甘いものやアイスクリーム、清涼飲料水などは身体を冷やします。
食べ過ぎ、飲み過ぎを避けるよう心がけましょう。
それぞれの食材が持つ働きに注目して、妊娠しやすい温かな母体をつくっていきましょう。
しっかり睡眠をとることでホルモンバランスは整う
妊娠するためには、ホルモンの働きが整っている必要があります。
日々の食事によって身体がつくられていくように、ホルモンもまた、普段の生活が作っています。
よく、夜の10時から2時のあいだはお肌にとって重要な時間だと言われていますよね。
つまりこの時間帯に、体内のホルモンは活発に働いているのです。
女性ホルモンはお肌だけではなく、卵子の育成や卵巣そのものに大きく関係しているホルモンです。
ホルモンバランスの乱れは、生理不順や排卵障害を引き起こす原因となります。
現代では、夜遅い時間まで活動している方がたくさんいらっしゃいます。
遅い時間まで起きているということは、それだけ体力や気力を消費しているということです。
それに伴い身体機能が低下し、ホルモンの働きもまた、低下してしまうのです。
妊娠しやすい身体づくりのためには、睡眠時間の見直しも欠かせません。
夜の11時には熟睡した状態にあることが好ましく、早寝早起きを習慣づけることが理想です。
睡眠時間や睡眠環境を整えることが、ホルモンバランスを整えることにつながります。
冷えやストレス、疲れなどを溜め込まない
女性に限らず、現代人の多くが慢性的に抱え込んでしまいがちなのが、疲労にストレス、そして冷え性です。
これらは常に、体調不良や身体機能の低下を引き起こす要因として潜んでいますが、普段の生活ではなかなか意識できない、という方も少なくありません。
仕事や家事の忙しさの中では、自分の身体の状態を把握することが難しいものです。
最初は小さな雪玉であっても、転がしていくうちにどんどん大きく、そして頑丈になっていくように、疲労やストレス、冷え性もまた、放っておくと積み重なって大きくなっていきます。
小さな雪玉は、普段は雪原に紛れて目立たないかもしれませんが、大きな雪玉は障害物ともなりかねません。
普段はその形がはっきりとは見えない疲労やストレス、冷え性といった症状は、実は妊娠を妨げている原因となっています。
例えば、冷え性の症状は血管を収縮させるため、血行不良を引き起こします。
全身のあらゆる臓器に栄養を行き渡らせているのは血液ですから、血流が悪くなると、十分な栄養を補給することができなくなります。
血行不良により卵巣への栄養供給が滞ることで、卵胞や卵子の質が低下したり、排卵障害などが起こりやすくなってしまうのです。
冷えの症状を改善する漢方薬の一例として、
・附子理中湯(ぶしりちゅうとう)
・四逆湯(しぎゃくとう)
・真武湯(しんぶとう)
が挙げられます。
・附子理中湯(ぶしりちゅうとう)…手足が冷え、下痢気味の方に。
・四逆湯(しぎゃくとう)…元気がない、四肢のつよい冷えを感じる方に。
・真武湯(しんぶとう)…虚弱体質でむくみ、冷えの症状がある方に。
漢方薬を服用することで、身体の中から体質を改善し、妊娠しやすい身体づくりを目指しましょう。
ただし、漢方薬も「薬」です。
体質によっては、アレルギーなどの症状が現れることも考えられます。
自分に合った漢方薬を正しく服用するためには、専門の薬剤師への相談をおすすめいたします。
漢方の考え方を取り入れるなら、漢方専門の福神トシモリ薬局にご相談ください
福神トシモリ薬局では、漢方の考え方をご説明するとき、人を「木」に例えてお話ししています。
「木」は、元気なときはまっすぐ天に向かって伸びている状態です。
しかし、何らかの問題が生じると、まっすぐ伸びていたはずの木はどんどん傾き、木の幹は荒れ、痩せ細っていってしまいます。
木は根から養分を吸収しています。
漢方ではこの「根」に問題が生じたことで木全体に栄養が行き渡らなくなっているのだと考え、「根本の原因」を解決するための手立てを探っていきます。
「根本の問題」には、上でお話しした疲労やストレス、冷え性の症状などが当てはまります。
また、身体のことだけではなく、メンタルケアも漢方の得意分野と言えます。
福神トシモリ薬局では、ストレスを「雲」として考えます。
最初に、人は「木」に例えられるとお話ししました。
木は光合成を行いますが、光合成のためには太陽の光が欠かせません。
ところが、大きすぎる雲が太陽を覆い隠してしまうと、太陽光は遮られ、木は十分な光合成を行うことができなくなってしまいます。
漢方によるストレスケアの考え方は、膨れ上がった雲を小さくすることです。
自然界にはさまざまな天候があるように、私たちのストレスもまた、わずかな量であれば人生のスパイスともなり得ます。
そのため、大きすぎる雲を取り払ってしまうのではなく、小さくすることを目指します。
根本の原因や雲の大きさは人それぞれ異なります。
もちろん、体質や年齢、生活スタイルも、お一人お一人異なりますよね。
つまり、「妊娠しやすくなる漢方」は、人それぞれ異なるということです。
妊娠しやすい身体づくりのためには、漢方や東洋医学の考え方を取り入れたいとお考えの方は、ぜひ福神トシモリ薬局にご相談ください。
漢方専門の女性薬剤師が、妊娠しやすい身体づくりのお手伝いをさせていただきます。
お一人お一人の体質や生活スタイルなどを綿密なカウンセリングによって分析することで、その方にもっともふさわしい漢方をご提案しています。
漢方や東洋医学の考え方を取り入れて、いっしょに妊娠しやすい身体づくりを目指しましょう!