卵子の老化とは何か?(加齢とともに、卵子の中ではエネルギーを生む能力が落ちていく)科学雑誌ニュートン (2020.09.15)
妊活・不妊
「ニュートン」という科学雑誌に、『卵子の老化とは何か?』という特集がありました。この中から今回ご紹介させていただきます。
上の図から分かるように、卵子が若いと患者の年齢に限らず、出生率にあまり変化が無いというデータがあります。
たとえば、60歳の母親が娘の卵子を使って妊娠・出産したという話を聞きます。
妊娠するにはいかに卵子の質を上げるかということが大切になります。
―生涯、卵子は補充されることなく減少の一途をたどる―
ヒトの女性は、毎月卵巣で原始卵胞を成長させ、左右の卵巣から交互に1個ずつ排卵される。
卵子は、女性が生まれる前に全て作られ、その後新に補充されることがないので、年をとるごとにその数は下降の一途をたどる。
生まれてくるころには約100万個。排卵を起こす第二次性徴期の頃には約40万個。50歳くらいで閉経が近づく頃には1000個以下になってしまう。
―老化した卵子に起きていること―
老化した卵子では、細胞内小器官などに様々な異常が起きている。
その多くは、ミトコンドリアのエネルギー生産能力の低下が関係しているようだ。
➀顆粒膜細胞:提供される生物活性物質の量が減る
顆粒膜細胞から卵子の成長を促すような生物活性物質を卵子に提供している。女性の加齢とともに減少。
②核:染色体が不正確な分離をする場合がある
女性の加齢とともに、卵子の減数分裂の時に核内DNA(染色体)が均等に分配されにくくなっている。
③ミトコンドリア:エネルギーを生む機能が低下する
ミトコンドリアは、あらゆる細胞の生命活動の原動力となるエネルギーを生み出す。女性の加齢とともにこの機能に必要なミトコンドリアのDNA数が減少する。
④小胞体:激しい“カルシウムの波”を起こしにくくなる
卵子の成長、正常な受精・発生など妊娠成立にとって非常に重要な出来事は卵子内のカルシウム濃度の激しい変化を必要とする。
女性の加齢とともにカルシウムを取り込む機能が低下し、貯蔵量が少なくなる。
参考文献 NEWton 2012年10月号