命を育むことが出来る健康な身体づくりのために
こんにちは。 薬剤師の歳森三千代です。
今回は、「命を育むことが出来る健康な身体づくりのために」大切な内容をコラムでご紹介します。
生活環境を整えましょう!
当局に相談に来られる方たち全般にいえることは、皆さん寝る時間が遅いということです。
午前0時から1時頃に寝ている方がほとんどです。身体には、臓器が働く時間帯というのがあります。
腎・生殖器が働き始めるのが午後10時頃からで、午前0時が腎・生殖器のエネルギーが一番高くなり、
午前2時には低くなってしまいます。
よくお肌の美肌時間は、夜10時から夜中の2時までといわれますが、
この時間帯がホルモン系が働く時間帯だからです。
夜の12時には熟睡した状態にしておかないと、ホルモンがしっかり蓄えられず、不足してきます。
毎日毎日遅く寝ると、どんどんホルモンバランスがくずれてしまいます。
そして、体温が上がらなくなり、低温期・高温期ともに低かったり、高温期の体温がバラバラになったりします。
『中医学基礎』(※1)という本を読むと「女子の生殖器官は、腎臓の精気が充盈していることが必要で、
それによってはじめて発育成熟し、月経が来潮し、胎児を孕育する準備条件が整うのです。
腎の精気が不足すると胎児をを孕育することができません」とあります。
では、なぜ若いのに精気の不足がおこるのでしょうか?
精気の不足の原因とは
①飲食の不節(食べる時間がバラバラだったり、
食事を抜いたりする)
身体を冷やす飲み物、食物を食べる。
(アイスクリームや冷たい飲み物を飲むなど)
②過労
③昼・夜が逆になったり、夜遅い生活
④慢性病
などが挙げられます。
これらの生活環境を整えることが精を増やし、
受精・着床できる身体づくりにつながるのです。
漢方薬と必須栄養素でホルモンを活性化し、生活環境を整えていくと、良い結果が出ます。
『中医学入門』(※2)によると、
「精とは、生命体が先天的にもっている生長・発育などの生命体エネルギーの基本となる物質である。
精は、この先天的にそなわった精(先天の精)に、飲食物の運化によって得られた栄養物の最も精選された部分(後天の精)がたえず補充されることによって維持される。
腎に貯えられるので「腎精」とも呼ばれ、すべての陰液の基本となるので「元陰」「腎陰」ともいわれる。
なお、精と気が同じ意味に用いられることもあり、気と精は明確に区別しがたい。
一般に、各種のホルモンや下垂体・副腎系の機能との関連が深いと考えられている」とあります。
男性の精子の数、運動率もストレスや過労によって大きく変化します。
人工授精を毎月10回連続して行い、妊娠されなかった方が相談に来られました。
ご主人の精子の運動率は15~60%ぐらいの中でバラバラなのです(正常な精子の運動率は50%以上)。
ご主人の仕事は3交代のため時間が不規則。
深夜勤務の時は運動率が15%と低く、普通勤務の時は運動率も50%以上あります。
あらためて、こんなに影響されるのだとびっくりしました。
精の不足をおこさないためにも夜の12時には熟睡している状態になるように寝てくださいとお願いしています。
よく例えに
「かぜを引いて熱が40度あるのに、かぜ薬を飲んだら治ると思って仕事に出ると、
かぜをこじらせてなかなか治りません。かぜ薬を飲んで1日休めば早く治ります。
養生が大切ですよね。
病気を治そうと思えば、薬プラス養生の総合力です」とお話しするのです。
※1 上海中医学院編 神戸中医学研究会訳『中医学基礎』燎原書店 昭和52年
※2 神戸中医学研究会編著『中医学入門』医歯薬出版 昭和56年