唾液が多いのは病気のサイン?原因・対策と受診すべき診療科
健康
以前より唾液が増え、何度も飲み込むのがつらく、「何か重大な病気ではないか」と不安に感じていませんか。
この記事を読めば、唾液が多くなる原因を特定し、ご自身の症状の緊急性を判断した上で、次に相談すべき診療科や自宅でできる対策を理解できます。
▼この記事でわかること
・正常な分泌量の目安と唾液が口に溜まる2つの仕組み
・妊娠や自律神経の乱れなど唾液の増加を引き起こす主な要因
・口腔トレーニングや生活習慣の見直しで不快感を和らげる工夫
・早期受診が必要な危険サインと症状に適した診療科の見極め方
私の唾液は本当に多い?正常な量と異常のサインとは?
「唾液が多い気がする」と感じても、それが本当に異常な量なのか判断するのは難しいものです。
まずは、健康な人の平均的な唾液の分泌量を知り、ご自身の状態を客観的に見つめ直すことが大切です。
唾液の量だけでなく、唾液の質や他に現れている症状にも目を向けることで、原因を探る手がかりが見つかります。
唾液が多いと感じる原因には、唾液の分泌量そのものが増えている場合と、うまく飲み込めていない場合の2つのパターンが考えられます。
1日に分泌される平均的な唾液の量
健康な成人の1日の唾液の分泌量は、約1.0〜1.5リットルといわれています。
これは500mlのペットボトル2〜3本分に相当し、思った以上に多いと感じるかもしれません。
唾液の量は食事や時間帯、精神状態によっても変動します。
例えば、食事の際には消化を助けるために分泌が増え、睡眠中は減少します。
ご自身の唾液の量がこの平均的な範囲から大きく外れているかどうかが、一つの判断基準になります。
唾液が多いと感じる時に確認したい症状
唾液の量が多いと感じるだけでなく、他にどのような症状があるかを確認することが重要です。
例えば、「常に口の中に唾液が溜まっている」「話していると唾液が飛ぶ」「飲み込んでもすぐに唾液が湧いてくる」「吐き気がする」「口の周りが荒れる」といった症状はないでしょうか。
また、サラサラした唾液か、ネバネバした唾液かといった唾液の質も、原因を探る上で大切な手がかりとなります。
唾液の分泌量そのものが増えている場合
唾液の分泌量自体が過剰になる状態を「真性唾液分泌過多症」と呼びます。
この原因はさまざまで、妊娠初期の「つわり」によるものや、服用している薬の副作用、虫歯や歯周病、合わない入れ歯などによる口内への刺激が考えられます。
東洋医学では、体の水分代謝を調整する「脾」の機能が低下した「脾虚」や、体内に余分な水分が滞る「水滞」の状態が、唾液の増加につながると考えます。
つわりの漢方薬については「つわりの漢方薬の選び方」で詳しく紹介しています。
唾液をうまく飲み込めていない場合
唾液の分泌量は正常でも、飲み込む力(嚥下機能)が低下することで口の中に唾液がたまり、多く感じることがあります。
これを「仮性唾液分泌過多症」と呼びます。
加齢による筋力の低下や、ストレスによる嚥下反射の乱れ、パーキンソン病などの神経疾患が原因で起こり得ます。
うまく飲み込むことができないと、唾液が気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」を引き起こし、誤嚥性肺炎のリスクを高めるため注意が必要です。
ストレスや妊娠も関係する?状況別に唾液が多くなる原因を解説するには?
唾液が多くなる原因は、体質や年齢だけでなく、特定のライフステージや心身の状態も深く関係しています。
特に、女性の妊娠期に見られる「よだれつわり」や、現代社会で多くの人が抱えるストレスによる自律神経の乱れは、唾液の量に影響を与える代表的な要因です。
ここでは、状況別に唾液が多くなる原因とそのメカニズムについて詳しく見ていきましょう。
原因を正しく理解することで、適切な対処法を見つける第一歩となります。
妊娠中に起こる「よだれつわり」の仕組み
妊娠初期の女性に見られる「よだれつわり」は、ホルモンバランスの急激な変化が主な原因と考えられています。
特に、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの増加が自律神経に影響を与え、唾液の分泌を促します。
また、つわりによる吐き気や気分の悪さが、胃酸から食道を守ろうとする防御反応として唾液の分泌を増加させるという側面もあります。
通常は妊娠中期から後期にかけて自然に落ち着くことが多い症状です。
自律神経の乱れが引き起こす唾液の増加
強いストレスや不規則な生活は、自律神経のバランスを乱す大きな原因です。
自律神経は、活動時に優位になる交感神経と、リラックス時に優位になる副交感神経から成り立っています。
唾液の分泌は主に副交感神経がコントロールしており、この神経が過剰に働くと、サラサラとした唾液が多量に分泌されることがあります。
東洋医学では、ストレスによって気の巡りが滞る「気滞」の状態が自律神経の乱れを招くと考えられています。
加齢によって飲み込む機能が低下している可能性
年齢を重ねると、舌や喉の周りの筋力が自然と衰えてきます。
これにより、唾液をスムーズに飲み込む嚥下機能が低下し、口の中に唾液が溜まりやすくなります。
唾液の分泌量自体は変わっていなくても、うまく処理できないために多くなったと感じるのです。
この状態が進行すると、食事中にむせやすくなったり、唾液が気管に入ってしまう誤嚥を起こし、肺炎の原因となることもあるため注意が必要です。
服用している薬の副作用が影響しているケース
現在服用している薬の副作用によって、唾液の分泌量が増加している可能性も考えられます。
特に、一部の睡眠薬、抗不安薬、降圧薬、パーキンソン病の治療薬などには、唾液分泌を促進する作用が報告されています。
もし薬を飲み始めてから唾液の量が増えたと感じる場合は、自己判断で服用を中止せず、処方した医師や薬剤師に相談してください。
薬の副作用かどうかを確認し、必要に応じて薬の種類の変更などを検討します。
唾液の多さが気になるときはどうすればいい?対処法と受診の目安は?
唾液の多さが気になるとき、まずは生活習慣を見直したり、簡単なセルフケアを試したりすることから始められます。
ストレス管理や口腔トレーニングは、症状の改善に役立つ場合があります。
しかし、症状が改善しない場合や、他の気になる症状を伴う場合は、専門家である歯医者や医師に相談し、適切な検査や治療を受けることが大切です。
ここでは、具体的な対策と受診の目安について解説します。
よくある質問に答える形で、さらに具体的な疑問にもお答えしていきます。
自宅で試せる唾液の量をコントロールするセルフケア方法
まずはストレスを溜めない生活を心がけ、リラックスできる時間を作りましょう。
深呼吸や軽い運動は自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。
また、酸味の強い食べ物や香辛料は唾液の分泌を促すため、摂りすぎに注意が必要です。
東洋医学的には、体の余分な水分を排出する働きのあるハトムギや小豆、トウモロコシなどを食事に取り入れるのも一つの対策です。
こまめに水分を摂り、ガムを噛んで意識的に飲み込む動作を促すことも症状改善につながります。
胃腸を整える食事については「胃腸を整える食事と生活習慣」で詳しく紹介しています。
飲み込む力を鍛えるための口腔トレーニング
加齢などで飲み込む力が弱まっている場合は、口周りの筋肉を鍛えるトレーニングが効果的です。
代表的なものに「あいうべ体操」があり、口を大きく「あー」「いー」「うー」「べー」と動かすことで、舌や口の周りの筋肉を鍛えられます。
また、舌を口の中で上下左右に動かしたり、唇をすぼめたり開いたりする運動も良いでしょう。
意識的に唾液を飲み込む回数を増やす練習も、嚥下機能の改善に役立ちます。
症状に合わせて何科を受診すればよいかの選び方
受診すべき診療科は、唾液の多さ以外にどのような症状があるかによって異なります。
虫歯や歯周病、合わない入れ歯など口の中に原因が考えられる場合は、まず歯科や歯医者を受診しましょう。
喉の違和感や飲み込みにくさが強い場合は耳鼻咽喉科が専門です。
胃酸の逆流による症状があれば内科・消化器内科へ相談してください。
原因がはっきりしない場合や、全身的な病気が疑われる場合は、かかりつけの内科で相談し、適切な治療や専門科を紹介してもらうのが良いでしょう。
すぐに病院に行くべき危険な症状のチェックリスト
唾液が多いことに加え、以下のような症状が見られる場合は、何らかの病気が隠れている可能性があるため、早めに病院を受診してください。
⬜︎食事中によくむせる、咳き込む
⬜︎ろれつが回りにくい、言葉が出にくい
⬜︎顔の片側が麻痺する、ゆがむ
⬜︎急激に体重が減少した
⬜︎強い吐き気や胸やけを伴う
これらの症状は、脳梗塞や食道の病気など、緊急性の高い病気のサインである可能性も否定できません。
ストレスを感じると唾液が多くなるのはなぜですか?
ストレスによって自律神経のバランスが乱れることが主な理由です。
リラックスしている時に働く副交感神経が過剰に優位になると、唾液腺が刺激されてサラサラした唾液の分泌量が増加します。
東洋医学では、ストレスで気の巡りが滞る「気滞」が原因と捉え、心身の緊張を解きほぐす養生が大切と考えます。
唾液が多いのは何かの病気のサインなのでしょうか?
必ずしも病気とは限りませんが、背景に病気が隠れている可能性もあります。
口内炎や歯周病、虫歯といった口内トラブルのほか、逆流性食道炎や神経系の疾患などが原因のことも。
唾液の量だけでなく、ネバつきや口臭など他の症状もあれば、放置せずに専門医に相談することが重要です。
口臭対策については「口臭を漢方で改善する方法」で詳しく紹介しています。
唾液が多いと感じた場合、まずは何科の病院に行けばいいですか?
口の中の痛みや歯ぐきの腫れなど、口内環境に原因が疑われる場合は歯科・歯医者が基本です。
喉の違和感や飲み込みにくさを伴う場合は耳鼻咽喉科への受診をおすすめします。
原因がはっきりしない場合は、かかりつけの内科で相談し、適切な治療や専門科を判断してもらうのも良いでしょう。
まとめ
唾液が多いという悩みは、単なる不快感だけでなく、体の不調を示すサインである可能性があります。
その原因は、ストレスや生活習慣による一時的なものから、加齢による機能低下、何らかの病気が隠れているケースまで多岐にわたります。
まずはセルフケアによる対策を試みつつ、症状が改善しない場合や他の気になる症状がある場合は、一人で悩んだりせずに適切な医療機関を受診することが、根本的な改善への第一歩です。


