つわりの漢方薬|症状別の選び方と副作用・市販薬の有無を解説
妊活・不妊
妊娠中に多くの人が経験するつらい「悪阻」。
吐き気や食欲不振などで心身ともに疲弊するものの、胎児への影響を考えると薬の服用には慎重になるものです。
そのような状況で、症状緩和の選択肢として漢方薬が注目されています。
この記事では、つわりの症状別に適した漢方薬の種類から、安全性や副作用、保険適用の有無、飲み方のコツまで詳しく解説します。
つらいつわりは漢方で緩和できる?妊娠中でも使える漢方薬とは
つらいつわりの症状は、漢方薬で緩和できる可能性があります。
妊娠中は薬の服用に不安を感じる妊婦も少なくありませんが、漢方薬は体のバランスを整えることで、つわりの不快な症状を穏やかに軽減する働きが期待できます。
産婦人科でも、吐き気止めなどの西洋薬と並行して、あるいは西洋薬が効きにくい場合に漢方薬が選択されることがあります。
妊娠中でも比較的安全に使えるとされる種類があり、つらい時期を乗り越えるための一つの選択肢となります。
漢方がつわりの症状を和らげる仕組み
漢方医学では、つわりは体内の水分バランスの乱れや、自律神経の不調などが原因で起こると考えられています。
妊娠によるホルモンバランスの急激な変化が、体にさまざまな影響を及ぼすためです。
漢方薬は、こうした体質的な偏りを正常な状態に戻すことで、つわりの根本的な原因にアプローチし、不快な症状を和らげていきます。
体の水分の偏りを整えて吐き気を改善する
漢方では、体内の水分が滞って偏った状態を「水滞」または「水毒」と呼びます。
つわりの時期は、この水滞が胃の周辺で起こりやすく、溜まった水分が胃を刺激して吐き気や嘔吐を引き起こすと考えられています。
実際に、胃の中に水分が溜まっている感覚があったり、水っぽいものを吐くことが多かったりするのもこのためです。
漢方薬には、この滞った水分を体の外へ排出し、巡りを良くすることで、つわりの中心的な症状である吐き気を改善する働きがあります。
自律神経の乱れを調整し精神的な不調をケアする
妊娠によるホルモンバランスの大きな変動は、自律神経の働きを乱し、漢方でいう「気」の流れを滞らせる原因になります。
この「気の滞り」は、イライラや不安感、気分の落ち込みといった精神的な不調を引き起こすだけでなく、頭痛、めまい、喉のつかえ感といった身体的な症状としても現れます。
漢方薬は、滞った気の巡りをスムーズにし、高ぶった神経を鎮めることで、精神的なストレスを和らげ、心身のバランスを整える効果が期待できます。
【症状別】つわりにおすすめの漢方薬4選
つわりの症状は人それぞれ異なり、日によって変化することもあります。
そのため、漢方薬を選ぶ際は、現在の自分の症状や体質に合ったものを見つけることが重要です。
ここでは、代表的な症状別につわりでよく用いられる4つの漢方薬を紹介します。
どの漢方薬が自分に適しているか、選ぶ際の参考にしてください。
吐き気や嘔吐がひどい症状には「小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)」
小半夏加茯苓湯は、つわりの吐き気止めとして最も代表的な漢方薬です。
「悪阻の聖薬」とも呼ばれ、産婦人科で最初に処方されることも少なくありません。
この漢方薬は、胃に溜まった余分な水分を取り除き、吐き気を鎮める働きがあります。
中心的な生薬である「半夏」には、嘔吐を抑える作用があります。
特に、食べても飲んでも吐いてしまうような、強い吐き気や嘔吐に悩む場合に適しています。
喉のつかえ感や気分の落ち込みには「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」
半夏厚朴湯は、ストレスや不安によって引き起こされる気の滞りを改善する漢方薬です。
つわりの症状の中でも、吐き気に加えて、喉に何か詰まっているような違和感や、胸のつかえ、気分の落ち込み、動悸などが気になる場合に用いられます。
精神的なストレスが身体症状として現れているタイプのつわりに効果的で、神経をリラックスさせ、不安な気持ちを和らげる働きが期待できます。
胃腸が弱く冷えやすい体質なら「人参湯(にんじんとう)」
人参湯は、もともと胃腸が弱く、冷え性で体力がない人のつわりに適した漢方薬です。
体を内側から温め、弱った胃腸の働きを活発にすることで、消化機能を高めます。
そのため、食欲不振、食べてもすぐにお腹が張る、吐き気、よだれが多く出るといった症状の改善が期待できます。
特に、冷たいものを食べたり飲んだりすると症状が悪化するような場合に用いられます。
めまいやむくみが気になる場合は「五苓散(ごれいさん)」
五苓散は、体内の水分バランスを調整する働きに優れた漢方薬です。
つわりの症状として、吐き気とともに、めまい、頭痛、むくみ、下痢などが見られる場合に適しています。
特に、水を飲むと吐いてしまう、あるいは水っぽいものを嘔吐する、唾液が異常に多く出るよだれつわりといった、水分代謝の異常が原因と考えられる症状に効果を発揮します。
喉の渇きがある場合にも用いられます。
妊娠中に漢方薬を服用する際の注意点
漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、「薬」であることに変わりはなく、服用する際にはいくつかの注意点があります。
特に妊娠中というデリケートな時期においては、自己判断での使用は避けなければなりません。
ここでは、安全性や副作用、専門家への相談の重要性について解説します。
赤ちゃんへの影響は?知っておきたい安全性について
妊娠中に薬を飲む際、最も気になるのが赤ちゃんへの影響です。
「漢方薬なら大丈夫」というイメージがあるかもしれませんが、100%安全とは言い切れません。
漢方薬に含まれる生薬の中には、大黄や牡丹皮、桃仁など、子宮収縮を促す作用を持つ可能性があり、妊娠中は避けるべきものが存在します。
そのため、医師が妊婦さんの状態を診察し、安全に使用できると判断した漢方薬を処方してもらうことが非常に重要です。
漢方薬で起こりうる副作用の症状
漢方薬でも、体質に合わない場合は副作用が起こることがあります。
主な副作用としては、発疹、かゆみなどの皮膚症状や、食欲不振、胃の不快感、下痢、便秘といった消化器系の症状が報告されています。
また、まれに肝機能障害や間質性肺炎などの重篤な副作用が起こる可能性もゼロではありません。
服用を始めてから何らかの異変を感じたり、症状が悪化したりした場合は、すぐに服用を中止し、処方した医師や薬剤師に相談してください。
自己判断は危険!服用前に必ず医師や薬剤師へ相談を
つわりの症状は同じでも、その人の体質によって適した漢方薬は異なります。
合わない漢方薬を服用すると、効果がないばかりか、かえって体調を崩してしまう可能性もあります。
ドラッグストアなどで市販薬を購入する場合でも、自己判断で選ぶのは危険です。
まずはかかりつけの産婦人科医に相談するか、漢方に詳しい医師のいる病院を受診しましょう。
安全かつ効果的につわりの症状を和らげるためには、専門家による適切な診断が不可欠です。
つわりに使う漢方薬はどこで手に入る?
つわりに用いる漢方薬は、主に医療機関で処方してもらう方法と、ドラッグストアなどで市販薬を購入する方法の2つがあります。
それぞれのメリットや注意点を理解し、自分に合った方法で入手することが大切です。
産婦人科や内科で保険適用で処方してもらう
産婦人科や内科などの医療機関では、医師の診察に基づいて、その時の症状や体質に最も合った漢方薬を処方してもらえます。
この場合、健康保険が適用されるため、費用負担を抑えられるのが大きなメリットです。
例えば、小半夏加茯苓湯は「ツムラ21番」、半夏厚朴湯は「ツムラ16番」といったように、製薬会社の製品番号で処方されることが一般的です。
まずはかかりつけの産婦人科で相談してみるのが良いでしょう。
ドラッグストアで買える市販薬はある?
つわりに対応する漢方薬の一部は、ドラッグストアや薬局で市販薬として購入することが可能です。
例えば、「ツムラの漢方」シリーズなどで見つけることができます。
すぐに手に入れたい場合には便利ですが、購入する際は自己判断で選ばず、必ず常駐している薬剤師や登録販売者に相談してください。
また、市販薬を服用する場合でも、かかりつけの産婦人科医には、その旨を必ず伝えておくことが重要です。
つらい時でも大丈夫!漢方薬を上手に飲むための3つのコツ
つわりがひどい時は、薬を飲むこと自体が困難な場合があります。
特に漢方薬は独特の味や香りがあるため、苦手意識を持つ人も少なくありません。
しかし、少し工夫するだけで格段に飲みやすくなります。
ここでは、つらい時でも漢方薬を上手に飲むための3つのコツを紹介します。
コツ①:お湯に溶かして少量ずつ飲む
漢方薬(エキス顆粒)は、基本的にお湯に溶かして飲むのがおすすめです。
温めることで漢方特有の香りが立ち、吸収も良くなるとされています。
ただし、匂いで吐き気が誘発される場合は、無理せず人肌程度に冷ましてから飲むと良いでしょう。
一度に飲み干すのが難しい場合は、数回に分けて少しずつ口に含むようにすると、負担が少なくて済みます。
コツ②:ゼリーやアイスに混ぜて味や匂いを緩和する
どうしても味や匂いが苦手で飲めないという場合は、食べ物と混ぜる方法も有効です。
薬局で販売されている服薬補助ゼリーを使うと、味や香りを包み込んでつるんと飲み込めます。
また、バニラアイスやヨーグルト、プリンなど、味がしっかりしていて冷たいものに混ぜ込むと、漢方の風味がかなり緩和されて飲みやすくなります。
コツ③:どうしても飲めない場合は錠剤タイプを選ぶ
顆粒や粉末の漢方薬を飲むのがどうしても難しい場合は、錠剤タイプの漢方薬を選択肢に入れるのも一つの方法です。
錠剤であれば味や香りを感じにくいため、スムーズに服用できることがあります。
ただし、すべての漢方薬に錠剤タイプがあるわけではなく、種類は限られます。
希望する場合は、漢方薬を選んでもらう医師や薬局の薬剤師に、錠剤タイプがないか相談してみましょう。
つわりの漢方薬に関するよくある質問
ここでは、つわりの漢方薬に関して、多くの妊婦さんが抱きやすい疑問についてQ&A形式で回答します。
服用を始める前に、これらの疑問点を解消しておくことで、より安心して漢方薬を取り入れることができるでしょう。
Q. 漢方薬は妊娠何週目から服用できますか?
医師の診断のもとで必要と判断されれば、つわりの症状が現れる妊娠初期から服用できます。
漢方薬の服用は週数で決まるものではなく、あくまでその時の症状と体質に合わせて処方されます。
症状が妊娠後期まで続く場合も、医師の指導に従って服用を継続することがあります。
Q. 飲み始めてからどれくらいで効果を実感できますか?
効果が現れるまでの期間には個人差があり、体質や症状の重さによって異なります。
早い人では2〜3日で効果を感じることもありますが、一般的には1〜2週間ほど服用を続けて様子を見ることが多いです。
もし効果が実感できない場合は、処方された医師に相談してみましょう。
Q. 複数の症状がある場合、どの漢方を選べば良いですか?
吐き気と頭痛など複数の症状がある場合、まずは一番つらい症状を改善することを優先して漢方薬を選びます。
ただし、漢方は体全体のバランスを整えるため、一つの処方で複数の症状が改善することも少なくありません。
予防的な服用はせず、必ず医師に全ての症状を伝え、総合的に判断してもらいましょう。
まとめ
つわりの緩和に用いられる漢方薬には、吐き気止めとして代表的な小半夏加茯苓湯をはじめ、症状や体質に合わせてさまざまな種類があります。
漢方薬は産婦人科で保険適用で処方してもらえるほか、一部は市販もされています。
服用する際は、自己判断を避け、必ず医師や薬剤師に相談することが重要です。
つらい症状を我慢せず、専門家のアドバイスのもとで漢方薬を上手に活用し、少しでも快適なマタニティライフを送りましょう。

