冷えと足のむくみを改善する市販の漢方薬|体質・症状別の選び方

冷えと足のむくみを改善する市販の漢方薬|体質・症状別の選び方 漢方

多くの女性が悩む足の冷えやパンパンになるむくみは、体質的な問題が関係していることが少なくありません。
これらの不調を根本から改善したいと考えるなら、東洋医学の考え方に基づいた漢方薬が選択肢の一つになります。
この記事では、冷えとむくみの原因を漢方の視点から解説し、薬局やドラッグストアなどで購入できる市販の漢方薬を体質・症状別に紹介します。

そもそも漢方で考える「冷え」と「むくみ」の根本原因とは?

漢方では、私たちの体は「気」「血」「水」の3つの要素がバランス良く巡ることで健康が保たれていると考えます。
冷え性やむくみは、特に体を温める「血」や、体内の水分を司る「水」のバランスが乱れることで生じる不調と捉えられます。
西洋医学のように特定の部位だけを見るのではなく、体全体のバランスの乱れが「ひえ」などの不調を引き起こす根本原因と考え、整えていくのが漢方の特徴です。

体内の水分バランスの乱れ「水滞(すいたい)」が不調を招く

漢方でいう「水(すい)」は、血液以外の体液全般を指し、体を潤す役割があります。
しかし、この水の巡りが悪くなると、体の一部に余分な水分が溜まってしまいます。
この状態を「水滞(すいたい)」または「水毒(すいどく)」と呼びます。

溜まった水分は体を冷やす性質があるため、冷えの原因となるのです。
また、余分な水分が皮膚の下に溜まることで、むくみとなって現れます。
特に重力の影響を受けやすい下半身に症状が出やすいのが特徴です。

血行不良が冷えと水分の滞りを悪化させる「血虚(けっきょ)・瘀血(おけつ)」

「血」は、全身に栄養と熱を運ぶ重要な役割を担っています。
この血が不足した状態を「血虚」、血の流れが滞った状態を「瘀血」と呼びます。
どちらの状態も、手足の末端といった四肢の隅々まで温かい血液が届きにくくなるため、深刻な冷えの原因となります。

さらに、血行不良は水分代謝の悪化にもつながります。
血の流れが悪いと、リンパの流れや静脈の働きも低下し、余分な水分の回収が滞るため、むくみが悪化するという悪循環に陥りやすくなります。

【体質・症状別】冷えとむくみに活用する代表的な市販漢方薬

冷えとむくみに用いられる漢方薬は複数あり、自分の体質や症状に合ったものを選ぶことが重要です。
ドラッグストアでは、クラシエやツムラといったメーカーから様々な種類の薬が販売されています。

ここでは、代表的な漢方薬をそれぞれの特徴とともに紹介しますので、自分に合うものを見つける参考にしてください。

【貧血気味で生理不順も気になる方】血行を促す「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」

当帰芍薬散は、血の巡りを良くして体を温める「血虚」タイプの方向けの漢方薬です。
体力がなく、冷え性で貧血傾向があり、疲れやすいといった特徴を持つ人に適しています。
血を補いながら水分代謝を整える作用があるため、冷えやむくみの改善に加え、月経不順やめまい、立ちくらみ、肩こりなど、女性特有の不調にも効果が期待できます。

目の下のクマや更年期障害の症状が気になる方にも用いられることがあります。

【水太り体質で疲れやすい方】余分な水分の排出を助ける「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」

防已黄耆湯は、色白で筋肉が柔らかい、いわゆる「水太り」体質の方に適した漢方薬です。
体力が中等度以下で、疲れやすく、汗をかきやすいといった特徴があります。
胃腸の働きを整えて水分代謝を改善し、体に溜まった余分な水分の排出を促す作用があります。

特に、下半身がむくみやすい、夕方になると足がパンパンになる、関節に痛みや腫れがあるといった下半身の症状に悩む方におすすめです。

【加齢による足腰の冷えが気になる方】体を温める力が衰えた方向けの「八味地黄丸(はちみじおうがん)」

八味地黄丸は、加齢などによって体を温めるエネルギーが不足した腎虚という状態の方に用いられる漢方薬です。
体力が中等度以下で、疲れやすく、手足よりも腰から下が特に冷えやすいという特徴があります。
体を内側から温める力を補い、血行を促進することで、足腰の冷えやしびれ、むくみを改善します。

加齢による頻尿や夜間尿、かすみ目などの症状にも効果が期待できる薬です。

【乗り物酔いや二日酔いのむくみに】水分の偏りを整える「五苓散(ごれいさん)」

五苓散は、体内の水分バランスの偏りを整える働きに優れた漢方薬です。
体質に関わらず、のどの渇きと尿量の減少がある場合に広く用いられます。
特に、低気圧による頭痛やめまい、乗り物酔い、二日酔いによるむくみや吐き気など、急性の症状に効果を発揮します。

体質改善を目的とする他の漢方薬とは異なり、一時的な不調を改善する目的で使われることが多いのが特徴で、胃腸炎による下痢や嘔吐にも用いられます。

ドラッグストアで自分に合う漢方薬を選ぶ2つのポイント

ドラッグストアで漢方薬を選ぶ際は、数多くの商品の中から自分に最適なものを見つけ出す必要があります。

パッケージに記載されている効能効果だけでなく、自分の体力や体質に合っているかどうかが重要な判断基準です。

また、漢方薬は継続して服用することが多いため、自分が続けやすい形状であるかも考慮すると良いでしょう。

便秘の有無なども体質を見極める一つの指標になります。

自分の体力や体質に合っているか確認する

漢方薬を選ぶ上で最も重要なのが、自分の体力や体質を示す「証」に合っているかという点です。
一般的に、体力があり、がっちりした体格の人は「実証」、体力がなく、疲れやすい虚弱体質の人は「虚証」に分類されます。

パッケージには「体力中等度以下で」といった記載があるため、必ず確認しましょう。
また、胃腸の強さや暑がりか寒がりかといった点も、自分に合う漢方薬を見極めるための大切な情報になります。

続けやすい形状(錠剤・顆粒)から選ぶ

市販の漢方薬には、主に「錠剤」と「顆粒(粉薬)」の2つのタイプがあります。
錠剤は、漢方特有の味や香りを感じにくいため、風味が苦手な方でも飲みやすいのがメリットです。

一方、顆粒は一般的に体内への吸収が早いとされていますが、独特の味や香りがすることがあります。
漢方薬は一定期間飲み続けることで効果が現れるため、味や飲みやすさなど、自分がストレスなく継続できる形状のものを選ぶことが大切です。

漢方と併せて実践したい!冷えとむくみを和らげるセルフケア

漢方薬で体質改善を目指すと同時に、日々の生活習慣を見直すことで、より効果的に冷えやむくみを和らげることができます。
食事や運動、入浴といった日常のセルフケアは、血行を促進し、体の巡りを良くする上で非常に重要です。
特定のツボを刺激することも有効ですが、まずは簡単に取り入れられる生活習慣から始めてみましょう。

体を内側から温める食事を心がける

冷えやむくみの改善には、体を内側から温める食事が欠かせません。
薬膳の考え方でも、食材には体を温める性質のものと冷やす性質のものがあるとされています。

生姜やネギ、ニンニク、カボチャなどの根菜類は体を温める代表的な食材です。
一方、トマトやキュウリなどの夏野菜や、南国の果物、白砂糖、冷たい飲み物は体を冷やす傾向があるため、摂りすぎには注意が必要です。

特に気温が下がる冬は、温かいスープや煮込み料理を積極的に取り入れましょう。

ふくらはぎを動かす簡単なストレッチを取り入れる

ふくらはぎの筋肉は、下半身に溜まった血液を心臓へと押し戻すポンプの役割を担っており、「第二の心臓」とも呼ばれています。
この筋肉を動かすことで、全身の血行が促進され、冷えやむくみの改善に繋がります。
デスクワークの合間に座ったまま足首を回したり、かかとを上げ下げする運動を繰り返したりするだけでも効果的です。

また、ウォーキングや階段の上り下りなど、日常生活の中で意識的にふくらはぎを使う機会を増やすことも有効です。

ぬるめのお風呂にゆっくり浸かって血行を促進する

忙しいとシャワーだけで済ませてしまいがちですが、冷えやむくみの改善には湯船に浸かる習慣が効果的です。
38〜40度程度のぬるめのお湯に15〜20分ほどゆっくり浸かることで、体の芯から温まり、全身の血行が促進されます。

リラックス効果によって自律神経のバランスが整い、血管が拡張して血流がスムーズになります。
入浴中にふくらはぎや足首を軽くマッサージすると、さらにむくみ解消の効果が高まります。

冷えとむくみの漢方に関するよくある質問

ここでは、冷えやむくみの改善で漢方薬を試してみたい方が抱きやすい疑問について解説します。

漢方薬は飲み始めてからどのくらいで効果が出ますか?

体質や症状によりますが、一般的に2週間から1か月程度の服用で効果を感じ始めることが多いです。
漢方薬は、体質を根本から改善していくことを目的とするため、即効性を期待するものではありません。
まずは1か月を目安に継続して服用し、症状の変化を見ることが大切です。

効果が見られない場合は、薬が体質に合っていない可能性もあるため、専門家に相談してください。

複数の漢方薬を同時に飲んでも大丈夫ですか?

自己判断で複数の漢方薬を併用することは避けるべきです。
漢方薬には多くの生薬が含まれており、異なる漢方薬を同時に飲むと、特定の生薬が重複して作用が強く出すぎたり、予期せぬ副作用を招いたりする危険性があります。

複数の症状で悩んでいる場合でも、まずは一つの漢方薬に絞るのが基本です。
どうしても併用したい場合は、必ず医師や薬剤師、登録販売者に相談してください。

漢方薬に副作用はありますか?

天然の生薬から作られている漢方薬ですが、副作用が全くないわけではありません。
体質に合わない場合や、その時の体調によっては、食欲不振や胃もたれなどの胃腸症状、皮膚の発疹やかゆみといったアレルギー反応が出ることがあります。
何か異変を感じた場合は、すぐに服用を中止し、購入した薬局の薬剤師や医師に相談することが重要です。

まとめ

冷えとむくみは、漢方の考え方では体内の水分バランスの乱れ(水滞)や血行不良(血虚・瘀血)が主な原因とされています。
市販の漢方薬を選ぶ際は、当帰芍薬散や防已黄耆湯など、自分の体力や体質に合ったものを選ぶことが重要です。

また、漢方薬の服用と並行して、体を温める食事や適度な運動、入浴などのセルフケアを実践することで、より効果的に症状を改善することが期待できます。
ドラッグストアの薬剤師や登録販売者に相談しながら、自分に合ったケアを見つけていきましょう。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。