更年期のつらい肩こりの原因と治し方|自宅でできるセルフケアから治療法まで
漢方
マッサージをしてもすぐに元に戻ってしまう、つらい肩こりに悩んでいませんか。
その不調は、更年期が原因かもしれません。
この記事では、更年期の肩こりがなぜ起こるのか、その原因と治し方を詳しく解説します。
自宅でできるセルフケアの対処法から専門的な治療法までを知ることで、ひどい肩こりの苦痛を和らげる見通しを立てられるようになります。
▼この記事でわかること
・ 更年期の肩こりを引き起こす女性ホルモンと自律神経の仕組み
・ つらい症状を緩和するための具体的なセルフケア方法
・ セルフケアで改善しない場合に検討すべき治療法と病院の選び方
なぜ更年期に肩こりがひどくなるの?女性ホルモンと血流の関係とは
40代後半から50代にかけて、多くの女性が経験する更年期の症状のなかでも、ひどい肩こりは代表的なものの一つです。
これには、女性ホルモンの減少による血行不良や自律神経の乱れが深く関係しています。
身体的な変化だけでなく、精神的なストレスも症状を悪化させる一因となるため、その原因を正しく理解することが改善への第一歩です。
女性ホルモン(エストロゲン)の減少が引き起こす血行不良
女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、血管のしなやかさを保ち、血流をスムーズにする働きがあります。
しかし、更年期に入り卵巣の機能が低下するとエストロゲンの分泌量が急激に減少し、血管の収縮をコントロールしにくくなります。
その結果、首や肩まわりの血行が悪化し、筋肉に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、老廃物が溜まることでこりや痛みの原因となるのです。
これが、更年期に肩こりが悪化する大きな原因と考えられています。
自律神経の乱れによる筋肉の緊張とこわばり
エストロゲンの減少は、脳の視床下部にある自律神経のコントロールセンターにも影響を及ぼします。
自律神経は、心拍、血圧、体温などを無意識に調整する重要な役割を担っています。
このバランスが崩れると、体を活動的にする交感神経が過剰に働き、常に筋肉が緊張した状態になります。
特に首や肩、背中などの筋肉は緊張しやすく、ガチガチにこわばってしまいます。
この筋肉の過緊張が、持続的な肩こりの原因となります。
女性ホルモンを増やす方法については「女性ホルモンを増やす方法はあるの?」で詳しく紹介しています。
ストレスや不安感が招くさらなる悪化
更年期は、体の変化だけでなく、仕事や家庭環境の変化など、精神的なストレスを感じやすい時期でもあります。
ストレスや不安は交感神経をさらに優位にし、血管を収縮させて血行を悪化させます。
また、無意識のうちに体に力が入り、肩をすくめるような姿勢になることも少なくありません。
このような身体的・精神的な要因が重なることで、つらい肩こりが悪循環に陥り、さらに悪化する原因となるのです。
これらの原因を踏まえると、ご自身の症状が更年期によるものかを見極めることが重要です。
その肩こり、更年期が原因かも?当てはまったら要注意の症状チェックリスト
単なる疲れによる肩こりなのか、更年期が原因なのかを判断するために、肩こり以外の症状にも目を向けてみましょう。
以下の項目に複数当てはまる場合、そのつらい肩こりは更年期障害の一症状である可能性が高いと考えられます。
不眠やだるさなど、一見関係なさそうな症状も重要なサインです。
⬜︎肩こりと一緒に、頭痛や吐き気がある。
⬜︎首筋から後頭部にかけて重だるさを感じる。
⬜︎腕や指先にしびれを感じることがある。
⬜︎突然顔がカッと熱くなる。
⬜︎理由もなくイライラしたり、気分が落ち込んだりする。
⬜︎寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるなどの不眠症状がある。
⬜︎めまいや耳鳴りがする。
⬜︎以前より汗をかきやすくなった。
⬜︎常に体がだるさで重い感じがする。
このような症状に心当たりがある場合、ホルモンバランスの乱れを整える視点でのケアが効果的です。
次の章では、具体的なセルフケア方法を紹介します。
今日から試せる!つらい更年期の肩こりを和らげる5つのセルフケア
更年期の肩こりは、日々の生活習慣を見直すことで症状の改善が期待できます。
つらい症状を少しでも和らげるためには、血行を促進し、自律神経のバランスを整えるセルフケアを毎日の生活に取り入れるのが効果的です。
ここでは、今日からすぐに始められる5つの対策・対処法を紹介します。
自分に合った解消法を見つけて、継続的に行いましょう。
ガチガチの肩をじんわりほぐす効果的なストレッチ
硬くなった筋肉を直接ほぐすストレッチは、血行を促進し痛みを和らげる効果的な解消法です。
特に、長時間同じ姿勢でいることが多い人は、肩甲骨まわりの筋肉が固まりがちです。
背中で両手を組んで胸を張る、腕を大きく回すといった簡単なストレッチを、仕事の合間や入浴後など、体が温まっている時に行いましょう。
強いマッサージはかえって筋肉を傷つけることもあるため、ゆっくりと気持ち良い範囲で伸ばすのがポイントです。
血行を促進するツボ押しで痛みを緩和する
東洋医学では、体のエネルギーである「気」と「血」の通り道にあるツボを刺激することで、不調を解消できると考えられています。
肩こりには、首の付け根と肩先の真ん中にある「肩井」や、首の後ろの髪の生え際にある太い筋肉の外側のくぼみ「天柱」が効果的です。
痛気持ちいい程度の強さで、5秒ほどゆっくり押して離す動作を数回繰り返すと、血行が促進され痛みが和らぎます。
シャワーで済ませず、ぬるめのお風呂で体を温める
体を芯から温めることは、血行促進とリラックスに非常に有効な対策です。
忙しいとシャワーで済ませがちですが、38〜40℃程度のぬるめのお湯に15分ほどゆっくり浸かることをおすすめします。
体を温めることで副交感神経が優位になり、心身の緊張がほぐれます。
血行が良くなることで筋肉のこわばりが和らぎ、肩こりの緩和につながります。
好きな香りの入浴剤などを活用するのも良い方法です。
食事から改善!血流を良くする栄養素とおすすめの食材
更年期の肩こり対策として、食事からのアプローチも重要です。
血行を促進するビタミンE(ナッツ類、かぼちゃ)、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボン(豆腐、納豆)、筋肉の材料となるタンパク質(肉、魚、卵)などを積極的に摂取しましょう。
また、東洋医学では体を温める性質を持つ食材(生姜、ネギ、シナモンなど)を取り入れることも推奨されています。
バランスの良い食事で体の中から改善を目指します。
質の良い睡眠で自律神経のバランスを整える
睡眠不足は自律神経の乱れを悪化させ、肩こりをはじめとする様々な不調の原因となります。
更年期は不眠に悩む人も多いため、質の良い睡眠をとるための対策が改善の鍵です。
就寝前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのを控え、リラックスできる音楽を聴いたり、温かい飲み物を飲んだりして心身を落ち着かせましょう。
自分に合った寝具を選ぶことも大切です。
十分な睡眠は、ホルモンバランスと自律神経を整える上で欠かせません。
これらのセルフケアを試しても症状が改善しない場合は、一人で抱え込まず専門家へ相談することも考えましょう。
セルフケアで改善しない場合は?病院で受けられる専門的な治療法
セルフケアを続けても、日常生活に支障が出るほどのつらい肩こりが改善しない場合は、医療機関での専門的な治療を検討しましょう。
更年期障害の治療には、西洋医学的なアプローチと、東洋医学的なアプローチがあります。
代表的な治療法としてホルモン補充療法(HRT)や漢方薬があり、それぞれの特徴を理解して自分に合った方法を選択することが大切です。
ホルモンを補って症状を和らげるホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)は、減少したエストロゲンを飲み薬や貼り薬、塗り薬などで補う治療法です。
ホルモンバランスを整えることで、肩こりの根本原因である血行不良や自律神経の乱れを直接的に改善する効果が期待できます。
ほてりやのぼせ、発汗といった他の更年期症状にも効果が高く、多くの女性のQOL(生活の質)向上に貢献します。
ただし、血栓症のリスクなどもあるため、医師と相談の上で慎重に検討する必要があります。
体質から改善を目指す漢方薬による治療
漢方療法は、一人ひとりの体質や症状に合わせて心と体のバランスを整え、不調を根本から改善することを目指します。
東洋医学では、肩こりは「気・血・水」の巡りが滞る「瘀血」などが原因と考えます。
血行を促進し体を温める「当帰芍薬散」、自律神経を整え精神的なストレスを和らげる「加味逍遙散」などが代表的な漢方薬です。
体全体のバランスを整えることで、肩こり以外の様々な不調の改善も期待できます。
しかし、病院を受診する場合、どの病院に行けばよいか迷うかもしれません。
加味逍遥散の頭痛への効果については「加味逍遥散の頭痛への効果」で詳しく紹介しています。
病院へ行くべき?受診を検討する症状の目安と診療科の選び方
セルフケアではどうにもならない痛みや、他の症状も併発している場合は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。
ただし、症状によって適切な診療科が異なるため、自分の状態に合わせた選択が重要です。
また、中には重篤な病気が隠れている可能性もあるため、危険なサインを見逃さないようにしましょう。
適切な治療を受けるためにも、受診の目安を知っておくことが大切です。
婦人科?整形外科?症状に合わせた診療科の選び方
更年期症状が原因と考えられる肩こりの場合、まずは婦人科への相談が基本です。
特に、ほてり、イライラ、不眠など他の更年期症状を伴う場合は、ホルモン補充療法や漢方薬など、総合的な治療が受けられます。
一方、肩が上がらない、特定の動作で激しく痛むなど、肩関節自体の問題が疑われる場合は整形外科が適しています。
どちらを受診すべきか迷う場合は、まず婦人科で相談し、必要に応じて他の診療科を紹介してもらうのがスムーズです。
ただの肩こりじゃないかも?注意すべき危険な症状
安静にしていても痛みが治まらない、夜間に痛みで目が覚める、といった症状がある場合は注意が必要です。
特に、胸を締め付けられるような痛みや息苦しさ、背中の痛みを伴う肩こりは、心筋梗塞や狭心症といった心臓の病気の可能性があります。
また、手足のしびれや麻痺、激しい頭痛や吐き気を伴う場合は、脳卒中などの脳血管疾患も疑われます。
これらの危険な症状が見られる場合は、速やかに内科や循環器内科、救急外来を受診してください。
関節痛がひどい場合はリウマチなどの可能性も考えられます。
最後に、更年期の肩こりに関して多くの方が抱く疑問についてお答えします。
更年期の肩こりに関するよくある質問
ここでは、更年期の肩こりについて多く寄せられる質問にお答えします。
更年期のつらい肩こりは、いつごろ楽になりますか?
個人差が大きいため一概には言えませんが、閉経後、ホルモンバランスが新たな状態で安定してくると、つらい症状は徐々に落ち着く傾向にあります。
更年期は一般的に閉経を挟んだ前後10年間とされますが、セルフケアや適切な治療を行うことで、ひどい肩こりをコントロールし、この期間をより快適に過ごすことが可能です。
肩こりと一緒に頭痛やめまいもひどいのですが、これも更年期が原因ですか?
はい、更年期が原因である可能性が高いです。
女性ホルモンの減少による自律神経の乱れは、血管の収縮や血圧のコントロールに影響を及ぼします。
その結果、頭痛やめまい、吐き気といった症状が肩こりと同時に現れることは少なくありません。
これらの症状も婦人科で相談できる代表的な更年期症状です。
更年期のめまいや頭痛については「五苓散は更年期のめまいや頭痛に」で詳しく紹介しています。
更年期の肩こりに効く市販薬やサプリメントはありますか?
血行を促進するビタミンEや、筋肉の疲労回復を助けるビタミンB群などが配合された市販薬は、症状緩和に効果が期待できます。
また、漢方の考え方に基づいた薬もドラッグストアで購入可能です。
サプリメントでは、女性ホルモンと似た働きを持つエクオールなどが選択肢になりますが、まずは薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。
まとめ
更年期のつらい肩こりは、女性ホルモンの減少に伴う血行不良や自律神経の乱れが主な原因です。
症状を改善するためには、ストレッチや入浴などのセルフケアで血行を促進し、自律神経のバランスを整えることが有効です。
食事や睡眠といった生活習慣の見直しも、根本的な体質改善につながります。
セルフケアで解消法が見つからない場合や、症状がひどい場合は、我慢せずに婦人科などの専門医に相談し、ホルモン補充療法や漢方薬の服用も検討しましょう。
ご自身に合った対策を見つけ、つらい時期を上手に乗り越えてください。


