五苓散は更年期のめまいや頭痛に。むくみ・天気痛への効果を解説

五苓散は更年期のめまいや頭痛に。むくみ・天気痛への効果を解説 漢方

更年期に起こるつらいめまいや頭痛、むくみといった不調は、女性ホルモンの減少だけでなく、体内の水分バランスの乱れが原因かもしれません。
漢方薬の五苓散(ごれいさん)は、この水分代謝を整えることで、更年期特有の症状に効果が期待できます。

この記事では、五苓散がどのような症状にアプローチするのか、その効果や他の漢方薬との違いについて詳しく解説します。

更年期の不調はホルモン減少だけが原因?「水の巡り」の乱れをチェック

更年期のさまざまな不調は、一般的に女性ホルモンの減少が主な原因とされています。
しかし、漢方の考え方では、体内の水分バランス、すなわち水の巡りの乱れも大きく影響すると考えます。
更年期障害では自律神経が乱れやすく、体内の水分コントロールがうまくいかなくなることがあります。

その結果、余分な水分が体内に溜まり、水滞という状態を引き起こし、むくみやめまい、頭重感、吐き気といった特有の症状につながるのです。

五苓散とは?体内の水分バランスを整える漢方薬

五苓散は、体内の水分バランスを調整する代表的な漢方薬です。
利水剤とも呼ばれ、体内に溜まった余分な水分を尿として排出し、同時に必要な水分は保持する働きがあります。
この作用により、むくみや下痢といった過剰な水分による症状と、口の渇きといった水分不足による症状の両方に対応できるのが特徴です。

五苓散料は、沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂皮という5つの生薬で構成されています。

五苓散が効果を期待できる更年期の3つの代表的な症状

五苓散は、体内の水分代謝を整える作用から、更年期におけるさまざまな不調に効果を発揮します。
特に、ホルモンバランスの乱れだけでなく、水分バランスの乱れが原因で起こる症状の改善が期待できます。
ここでは、五苓散が特に有効とされる3つの代表的な症状について解説します。

【症状1】朝の顔や夕方の足のつらい「むくみ」を軽減する

更年期には、朝起きると顔がパンパンにむくんでいたり、夕方になると靴がきつく感じるほど足がむくんだりすることがあります。
これは、体内の水分代謝が悪化し、細胞の間に余分な水分が溜まることで起こります。

五苓散は、体内の水分量を適切に調節し、余分な水分を尿として排出する効果があります。
この利水作用によって、つらいむくみを和らげ、体をすっきりさせる手助けをします。

【症状2】ふわふわ・ぐるぐるする不快な「めまい」を改善する

更年期に多い「ふわふわ」「ぐるぐる」するようなめまいは、耳の奥にある内耳のリンパ液の滞り、つまり内耳のむくみが原因の一つと考えられています。
五苓散は、全身の水分バランスを整える作用があるため、内耳の余分な水分も排出を促します。
これにより内耳の環境が整い、平衡感覚の乱れが原因で起こるめまいの改善が期待できます。

病院で原因が特定しにくいめまいに対しても、試してみる価値のある漢方薬です。

【症状3】頭が重くすっきりしない「頭痛・頭重感」を和らげる

ズキズキとした頭痛や、頭に何かをかぶったような重だるい感覚も、更年期によく見られる症状です。
これらの症状は、脳内の血管周囲がむくむことが一因とされています。

五苓散は、脳内の水分バランスを調整し、このむくみを改善することで、頭痛や頭重感を緩和する働きが期待できます。
特に、天候の変化によって悪化するタイプの頭痛に有効な場合があります。

雨の日に体調が悪化する「天気痛」にも五苓散が使われる理由

更年期になると、雨の日や台風が近づくなど、気圧が低いときに頭痛やめまい、だるさを感じる「天気痛(気象病)」に悩む人が増えます。
これは自律神経の乱れにより、体が気圧の変化にうまく対応できなくなるためです。
漢方薬の五苓散(ごれいさん)は、このような天候による不調に対しても用いられることがあります。
体内の水分バランスを整える働きが、気圧の変化による影響を和らげるのに役立つと考えられています。

低気圧が引き起こす頭痛やだるさにアプローチする仕組み

低気圧になると、外から体にかかる圧力が低下するため、体内の血管が拡張したり、細胞から水分が漏れ出してむくみやすくなったりします。
特に脳の血管が拡張すると、神経が圧迫されて頭痛が起こりやすくなります。

五苓散は、体内の水分量をコントロールし、細胞内外の水分バランスを整える作用があります。
この働きにより、気圧の変化によって生じる体内の水分の乱れを調整し、頭痛やだるさといった症状を予防・緩和する効果が期待されます。

つらい時だけ飲む「頓服」としての服用は可能か

五苓散は、体質改善を目的として継続的に服用することが基本ですが、比較的早く効果が現れやすい漢方薬の一つです。
そのため、天気痛の症状が出始めたときや、天気が崩れる予報が出たときに予防的に飲む「頓服」としての使用も可能です。
頭痛やめまいといったつらい症状を感じた際に服用することで、症状の悪化を防いだり、和らげたりする効果が期待できます。

ただし、適切な使い方については、事前に医師や薬剤師に相談することが望ましいです。

他の更年期向け漢方薬との使い分けや併用について

更年期の不調に対しては、五苓散以外にもさまざまな漢方薬が用いられます。
代表的なものに「加味逍遙散」や「桂枝茯苓丸」がありますが、それぞれ得意とする症状が異なります。
自分の体質や主な症状に合わせて適切な漢方薬を選ぶことが大切です。

ここでは、これらの漢方薬との違いや使い分けについて解説します。
自己判断での併用は避け、必ず専門家に相談してください。

【比較】イライラやほてりが主症状なら「加味逍遙散」

加味逍遙散は、漢方でいう気の巡りを整えることで、精神的な不調を改善する代表的な漢方薬です。
更年期によく見られるイライラ、不安感、気分の落ち込み、不眠といった精神神経症状や、ホットフラッシュが主な悩みの場合に適しています。
水の滞りを改善する五苓散とは異なり、加味逍遙散はストレスやホルモンバランスの乱れによる気の滞りや熱症状を主なターゲットとする漢方です。

【比較】のぼせや血行不良が気になるなら「桂枝茯苓丸」

桂枝茯苓丸は、血の巡りを改善する効果に優れた漢方です。
血行不良によって起こる症状、例えばのぼせと足先の冷えが同時にある冷えのぼせ、肩こり、シミ、月経不順や月経痛などに用いられます。

体内の水分バランスを整える五苓散に対し、桂枝茯苓丸は滞った血の流れをスムーズにすることで不調を改善します。
比較的体力がある方向けの漢方とされています。

複数の漢方薬を併用したい場合は医師への相談が必須

複数の症状が重なっている場合、漢方薬の併用を考えるかもしれません。
例えば、めまいとイライラの両方がある場合などです。
しかし、自己判断で漢方薬を併用することは避けるべきです。

漢方薬には多くの生薬が含まれており、組み合わせによっては特定の成分を過剰摂取してしまったり、予期せぬ副作用が現れたりする可能性があります。
体質や症状に合った適切な薬を選択するためにも、複数の漢方薬を服用したい場合は必ず医師や薬剤師に相談してください。

五苓散を服用する前に知っておきたい注意点

五苓散(ごれいさん)は比較的安全性の高い漢方薬とされていますが、服用するにあたってはいくつかの注意点があります。
効果の現れ方や副作用、市販薬と処方薬の違いなど、事前に知っておくことで、より安心して服用を始められます。
ここでは、五苓散を服用する前に押さえておきたいポイントを解説します。

効果はいつから実感できる?服用期間の目安

五苓散の効果の現れ方には個人差があります。
二日酔いや急性胃腸炎など、急性の症状に対しては比較的早く、数回の服用で効果を感じることもあります。
一方で、更年期症状のような体質が関わる慢性的な不調の改善を目的とする場合は、効果を実感するまでに時間がかかることが一般的です。

まずは2週間から1ヶ月程度、服用を続けてみて、症状の変化を確認するのが一つの目安となります。

考えられる副作用と服用を避けるべき人

五苓散は副作用が少ない漢方薬ですが、まれに皮膚の発疹・発赤、かゆみ、食欲不振、胃の不快感、吐き気といった症状が現れることがあります。
このような症状が出た場合は、服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。
また、もともと体力が著しく低下している方や、妊娠中または妊娠の可能性がある方、授乳中の方は、服用前に必ず専門家へ相談が必要です。

アレルギー体質の方も慎重な判断が求められます。

市販薬と医療機関で処方される漢方薬の違い

五苓散は、ドラッグストアなどで購入できる市販薬と、医師が処方する医療用医薬品があります。
主な違いは、有効成分の含有量と保険適用の有無です。
一般的に、医療用の漢方薬(例:ツムラ五苓散料エキス顆粒)の方が市販薬よりも有効成分の含有量が多く、医師の診断のもとで処方されるため保険が適用されます。

市販薬は手軽に購入できるメリットがありますが、自分の症状に合った適切な漢方薬を選んでもらうのが望ましいので、購入前に一度専門家に相談してみましょう。

五苓散 更年期に関するよくある質問

ここでは、更年期の不調で五苓散の服用を検討している方からよく寄せられる質問にお答えします。
ホットフラッシュへの効果や頓服での使用、他の漢方との併用など、気になる疑問を解消し、正しく服用するための参考にしてください。

五苓散は更年期のホットフラッシュ(ほてり)にも効果がありますか?

五苓散が更年期のホットフラッシュに直接的な効果を発揮することは少ないです。
ホットフラッシュは主にホルモンバランスの乱れによる自律神経の不調や血の滞りが原因とされ、加味逍遙散などが適しています。
五苓散は体内の水分バランスを整える漢方薬であり、むくみやめまいが主な適応となります。

むくみが気になるときだけ頓服として飲んでも良いのでしょうか?

はい、頓服としての使用も可能です。
五苓散(ごれいさん)は比較的即効性が期待できるため、特にむくみがひどい日や、雨の日の頭痛など、症状がつらい時にだけ服用する方法も有効です。
ただし、更年期の不調のように体質改善を目指す場合は、継続的な服用がより効果的とされています。

使い方については医師や薬剤師に相談しましょう。

加味逍遙散と五苓散は一緒に飲んでも大丈夫ですか?

自己判断での併用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。
症状によっては併用されるケースもありますが、漢方薬の組み合わせは専門的な判断が必要です。

体質や症状を正しく見極めた上で処方されるべきものであり、安易に複数の漢方薬を飲むと、予期せぬ副作用を招く可能性もあるため注意が必要です。

まとめ

五苓散(ごれいさん)は、体内の水分バランスを整えることで、更年期に起こりがちなむくみ、めまい、天気痛といった「水の巡り」の不調にアプローチする漢方薬です。
特に、他の更年期向け漢方で改善しきれない症状に悩む場合に有効な選択肢となります。
ただし、漢方は体質や症状によって適するものが異なります。

自己判断で服用を始める前に、一度、医師や薬剤師などの専門家に相談し、自分に合った対処法を見つけることが重要です。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。