夏バテに用いる漢方薬の選び方|食欲不振・だるさなど症状別におすすめを紹介
漢方
夏の厳しい暑さによって起こる食欲不振やだるさといった夏バテの症状には、体質改善を目指す漢方薬がおすすめです。
漢方は、弱った体の機能を内側から整え、人が本来持つ自然治癒力を高めることを目的としています。
この記事では、夏バテの主な原因と、症状別に適した漢方薬の選び方、そして日々の生活でできる対策について解説します。
▼この記事でわかること
・ 東洋医学で考える夏バテの主な原因
・ だるさや食欲不振など症状別の漢方薬の選び方
・ 漢方薬を服用する前に知っておきたい注意点
・ 漢方の効果を高めるための食事や生活の工夫
そもそも夏バテはなぜ起こる?東洋医学で考える主な原因
東洋医学では、夏バテは主に「気」と「水」の消耗や滞りが原因と考えられています。
高温多湿の環境下で大量に汗をかくと、エネルギーである「気」と体に必要な潤いである「水」が失われ、だるさや疲労感が生じます。
また、冷たい飲食物の過剰摂取や冷房による体の冷えは、消化吸収を担う胃腸の機能を低下させ、食欲不振や下痢を引き起こす一因となります。
あなたの夏バテはどのタイプ?症状で選ぶおすすめ漢方薬
夏バテの症状は、だるさや食欲不振、むくみなど人によってさまざまです。
そのため、自分の体質や症状に合った漢方薬を選ぶことが改善への近道となります。
例えば、暑さで体力を消耗し、激しい倦怠感に襲われるタイプや、もともと胃腸が弱く夏痩せしてしまうタイプなど、それぞれの状態に適した薬があります。
ここでは、代表的な症状ごとにおすすめの漢方薬を紹介します。
暑さによるだるさや食欲不振には「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」
清暑益気湯は、その名の通り暑さを解消し、気を補う働きを持つ漢方薬です。
「夏バテの特効薬」とも呼ばれ、暑さによって消耗したエネルギーと潤いを補給し、体にこもった余分な熱を冷まします。
特に、ひどい倦怠感、食欲不振、下痢、多汗といった症状が強く出る場合に適しています。
熱中症の回復期に体力を補う目的で用いられることもあります。
清暑益気湯については「清暑益気湯の効果と副作用」で詳しく紹介しています。
慢性的な疲労感や夏痩せには「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」
補中益気湯は、胃腸の働きを整えてエネルギーである「気」を補う代表的な漢方薬です。
元々体力に自信がなく、疲れやすい、胃腸が弱いといった虚弱体質の方が、夏バテでさらに元気がなくなり、食欲不振や夏痩せに悩む場合に用いられます。
疲労倦怠感を改善し、気力を取り戻すのを助けるため、高齢者の夏バテ対策としてもよく選ばれます。
むくみやめまい、吐き気には「五苓散(ごれいさん)」
五苓散(ごれいさん)は、体内の水分バランスの乱れを調整する働きがある漢方薬です。
汗をかいているのに尿量が少ない、体が重だるいといったむくみの症状や、水分の偏りからくるめまい、吐き気、頭痛、下痢などに効果を発揮します。
暑気あたりや二日酔いにも用いられ、体内の余分な水分を排出しながら、必要な潤いは保つという優れた特徴を持っています。
冷房や冷たい飲食物による胃腸の不調には「六君子湯(りっくんしとう)」
六君子湯は、冷えによって弱った胃の働きを助け、消化機能を高める漢方薬です。
冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎ、冷房の効いた環境で過ごすことが多いなどの理由で胃腸が冷え、食欲不振や胃もたれ、みぞおちのつかえ感がある場合に適しています。
胃の機能を改善することで、食事からエネルギーを作り出す力をサポートし、夏バテによる体力低下を防ぎます。
夏バテ対策で漢方薬を服用する前に知っておきたい注意点
漢方薬は比較的安全とされていますが、体質に合わないものを服用すると副作用が起こる可能性があります。
特に、自己判断での服用は注意が必要です。
例えば、体のほてりやのぼせを感じやすい方が体を温める漢方薬を用いると、症状が悪化することもあります。
更年期障害など他の不調を抱えている場合も、どの薬が適しているか専門的な判断が求められるため、医師や薬剤師に相談してから服用を開始してください。
漢方の効果を後押しする!今日からできる夏の養生法
漢方薬の効果を最大限に引き出すためには、日々の生活習慣を見直す「養生」が欠かせません。
食事は、胃腸に負担をかけないよう、なるべく温かいものを選びましょう。
ミョウガやシソ、ショウガなどの香味野菜は、食欲を増進させる働きがあります。
飲み物は冷たいものを避け、常温の水や温かいお茶をこまめに摂ることが大切です。
また、夏の不眠は体力を消耗させるため、就寝前にぬるめのお湯にゆっくり浸かってリラックスする時間を作りましょう。
夏の養生については「夏の養生まとめ(夏バテ、熱中症対策に)」で詳しく紹介しています。
夏バテ 漢方に関するよくある質問
以下によくあるご質問についてまとめてみました。
漢方薬は飲み始めてからどのくらいで効果を実感できますか?
体質や症状によりますが、早い場合は数日、一般的には2週間から1ヶ月程度で効果を感じ始めることが多いです。
急性的な症状には比較的早く体感し、慢性的な不調の改善には時間がかかる傾向があります。
効果が見られない場合は、薬が合っていない可能性もあるため、専門家にご相談ください。
病院で処方してもらう漢方薬と市販の漢方薬に違いはありますか?
医師が処方する医療用漢方薬は健康保険が適用されます。
一方、自費になりますが、市販の漢方薬は薬局やドラッグストアなどで手軽に購入できます。
ツムラなど同じメーカーでも、医療用と市販用では成分の含有量が異なる場合があります。
症状が強い場合や、どの薬を選べばよいか分からない場合は、漢方の専門家に相談することをおすすめします。
夏バテ予防として漢方薬を飲んでも良いのでしょうか?
体質に合っていれば、夏バテの予防として漢方薬を服用することも有効です。
特に、毎年夏になると決まって体調を崩すという方は、本格的な暑さが来る少し前から予防的に飲み始めると良いでしょう。
予防の目的で服用する場合も、自己判断せず、医師や薬剤師に相談の上で適切な漢方薬を選ぶことが重要です。
まとめ
夏バテの症状は、だるさや食欲不振、むくみなど多岐にわたりますが、漢方薬はそれぞれの症状や体質に合わせて選ぶことで、つらい不調の改善が期待できます。
清暑益気湯や補中益気湯など、自分の状態に合ったものを見つけることが大切です。
また、漢方薬の服用と並行して、食事や睡眠といった生活習慣を見直す養生法を取り入れることで、夏を元気に乗り切るための体づくりが行えます。


