清暑益気湯(ツムラ136)の効果と副作用|夏バテやだるさに活用する漢方薬

清暑益気湯(ツムラ136)の効果と副作用|夏バテやだるさに活用する漢方薬 漢方

清暑益気湯(せいしょえっきとう)は、夏の暑さによって引き起こされる夏バテや、それに伴うだるさ、食欲不振などの症状に使われる漢方薬です。医療用医薬品としては、ツムラの製品番号136が広く知られています。この記事では、清暑益気湯の具体的な効果や考えられる副作用、他の漢方薬との違い、正しい飲み方について解説します。

清暑益気湯とは?夏バテや暑さによるだるさに活用する漢方薬

清暑益気湯は、夏の暑さで消耗した「気」と呼ばれる生命エネルギーと、「津液」という体の潤いを補うための漢方薬です。暑さによって体力が奪われ、汗をかくことで体の水分が不足しがちな状態を改善する作用があります。弱った胃腸の機能を高めながら体内にこもった熱を冷まし、夏の特有の疲れやだるさを和らげることを目的としています。

清暑益気湯に期待できる6つの効果・効能

清暑益気湯は、暑さによって心身のバランスが崩れた際に現れる、さまざまな症状に対応します。
主に、夏バテに伴う体力低下や消化器系の不調、体内の熱感や水分不足の改善に用いられます。
ここでは、清暑益気湯に期待できる具体的な5つの効果・効能について解説します。

① 夏バテによる全身の倦怠感や疲労感を改善する

清暑益気湯は、夏バテによる著しい体力低下や、それに伴う全身の倦怠感を改善する効果が期待できます。配合されている人参や黄耆といった生薬が、消耗した「気」を補い、元気を取り戻すのを助けます。暑さで何もする気が起きない、体が重く感じるといった症状の緩和に役立ちます。

② 食欲不振や軟便・下痢といった胃腸症状を整える

夏の暑さや冷たいものの摂りすぎは、胃腸の働きを低下させ、食欲不振や軟便、下痢の原因となります。清暑益気湯には、胃腸の機能を整える作用を持つ蒼朮や陳皮が含まれています。これらの生薬が消化を助け、食欲を回復させるとともに、水分代謝を調整して下痢などの症状を改善します。

③ 体にこもった熱を冷まし、口の渇きを潤す

暑い夏には、体内に熱がこもりやすく、多量の汗をかくことで脱水傾向になりがちです。清暑益気湯に含まれる麦門冬や五味子は、体に潤いを与えて口の渇きを癒す働きがあります。また、黄柏には余分な熱を冷ます作用があり、ほてりやのぼせといった症状を和らげます。

④ 夏やせや体力低下からの回復をサポートする

食欲不振や消化機能の低下が続くと、体重が減少する「夏やせ」につながります。清暑益気湯は、胃腸の調子を整えて栄養の吸収を助けることで、低下した体力を回復させるサポートをします。夏バテで落ちてしまった体重を健康的に戻し、秋に向けての体づくりを支える役割も担います。

⑤ めまいや立ちくらみを和らげる

夏の暑さによる発汗で体内の水分が失われ、気力も消耗すると、めまいや立ちくらみが起こりやすくなります。清暑益気湯は、不足した「気」と「津液(潤い)」の両方を補うことで、体全体のバランスを整えます。
これにより、血圧の調整機能なども安定し、めまいや立ちくらみといった症状の緩和につながります。

⑥ 長引く咳や息切れなど気管支喘息の症状に応用されることもある

近年、季節を問わず長引く咳や息切れといった気管支喘息の症状の改善に用いられるケースが注目されています。
清暑益気湯によってエネルギーである「気」と潤いである「津液」を補うことで、空気の通り道である気道の状態を整え、過敏になっているのを和らげる効果が期待されています。
実際に、喘息発作の回数が減ったり、吸入ステロイド薬の量を減らせたりしたという報告もあります。
夏バテの症状に対する服用と並行して、呼吸器系の不調に悩んでいる場合にも応用されることがある漢方薬として知られています。

清暑益気湯と補中益気湯の違いは「暑さ」と「喉の渇き」

清暑益気湯とよく似た名前の漢方薬に「補中益気湯」があります。どちらも「気」を補い元気を出すという点では共通していますが、適した症状や体質が異なります。最も大きな違いは、夏の「暑さ」やそれに伴う「喉の渇き」、発汗といった症状に対応するかどうかです。

暑さや脱水傾向が強い場合は清暑益気湯が適している

清暑益気湯が適しているのは、夏の暑さが原因で体調を崩している場合です。具体的には、体がだるい、食欲がないといった症状に加え、体に熱がこもる、汗をたくさんかく、口や喉が渇くといった特徴が見られます。漢方医学的な体質(証)でいうと、暑さによって気と津液(潤い)の両方が消耗した「気陰両虚(きいんりょうきょ)」の状態に適しています。

季節を問わず元気がなく胃腸が弱い場合は補中益気湯が向いている

一方、補中益気湯は「元気の素」である気を補う代表的な漢方薬で、季節を問わず使用されます。主な対象は、胃腸の働きが弱く、疲れやすい、食欲がない、手足がだるいといった「気虚(ききょ)」の状態です。特に暑さや喉の渇きが顕著でない場合に適しており、病後の体力回復や冬の風邪予防などに用いられることもあります。

清暑益気湯の働きを支える9種類の生薬

清暑益気湯は、9種類の生薬が互いに作用し合うことで効果を発揮します。主な成分は、気を補う「人参」「黄耆」、体を潤し熱を冷ます「麦門冬」「五味子」「黄柏」、胃腸の働きを助ける「蒼朮」「陳皮」、血を補う「当帰」です。これらを調和させる役割として「甘草」が配合されており、夏バテの複合的な症状に対応します。

清暑益気湯の正しい服用方法

漢方薬は、正しい方法で服用することで、その効果を最大限に引き出すことができます。清暑益気湯を服用する際は、タイミングや飲み方が重要です。一般的に、漢方薬は独特の味や香りがしますが、それも効果の一部と考えられています。
ここでは、基本的な服用方法について解説します。

基本は1日3回、食前または食間に水か白湯で服用する

医療用のエキス顆粒剤の場合、通常、成人では1日7.5gを3回に分け、食前または食間の空腹時に服用します。胃の中に食べ物がない状態で飲むことで、生薬の成分が吸収されやすくなるためです。製品によっては粒タイプもあります。

飲み忘れた場合は気づいた時点で服用し、次の服用時間に近ければ1回分を飛ばす

飲み忘れたことに気づいた際は、その時点ですぐに1回分を服用してください。ただし、次の服用時間まで2〜3時間しかないなど、時間が近い場合は忘れた分は飲まずに、次の服用時間から通常通り再開します。自己判断で2回分を一度にまとめて服用することは避けるべきです。

胃腸が弱い場合は食後に服用することも検討する

漢方薬は胃の中に食べ物がない食前や食間に飲むことで、成分が吸収されやすくなります。
しかし、もともと胃腸がデリケートな方が空腹時に服用すると、胃に負担を感じて不快感を覚えることがあります。
そのような場合は、無理をせずに食後に服用することで、胃への刺激を和らげることが可能です。
自己判断で飲み方を変更するのではなく、まずは医師や薬剤師に相談して飲むタイミングを調整してください。
自身の体質に合わせた服用方法を見つけることが大切です。

清暑益気湯の副作用と服用時の注意点

清暑益気湯は比較的安全な漢方薬とされていますが、体質や体調によっては副作用が現れる可能性があります。特に、他の薬との併用や持病がある場合は注意が必要です。服用後に普段と違う症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、医師や薬剤師に相談することが重要です。

胃の不快感や食欲不振、発疹などの初期症状に注意

服用を開始して間もない時期に、胃の不快感、もたれ、吐き気、食欲不振といった消化器系の症状や、皮膚に発疹、赤み、かゆみなどが現れることがあります。また、まれに動悸や不眠を訴えるケースも報告されています。これらの症状が続く場合は、薬が体質に合っていない可能性が考えられます。

重大な副作用として偽アルドステロン症(むくみ・血圧上昇)の可能性

頻度は非常にまれですが、重大な副作用として「偽アルドステロン症」が起こる可能性があります。これは、配合生薬の甘草(かんぞう)の作用によるもので、主な症状として手足のむくみ、血圧の上昇、だるさ、筋肉のけいれんや脱力感などが現れます。
尿量の変化などを伴うこともあるため、初期症状を見逃さないよう注意が必要です。

高齢者や高血圧、心臓・腎臓に持病がある方は医師への相談が必要

高齢者は生理機能が低下していることが多いため、副作用が現れやすい傾向にあります。また、高血圧や心臓病、腎臓病の持病がある方は、偽アルドステロン症のリスクが高まるため、服用前に必ず医師への相談が不可欠です。小児の服用についても、安全性を考慮し、医師の慎重な判断のもとで行われます。

甘草を含む他の漢方薬や市販の風邪薬との飲み合わせに注意する

清暑益気湯には、働きをまとめる役割として「甘草(かんぞう)」という生薬が含まれています。
この甘草は、芍薬甘草湯などの他の漢方薬や、市販の風邪薬、胃腸薬などにも頻繁に配合されています。
複数の薬を併用することで知らず知らずのうちに甘草を過剰に摂取してしまい、偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすくなる恐れがあります。
普段から他のお薬やサプリメントを飲んでいる方は、必ず医師や薬剤師に伝えて飲み合わせを確認しましょう。
安全に服用を進めるためにも併用薬のチェックは欠かせません。

妊娠中や授乳中の方は自己判断での服用を避ける

妊娠中や授乳中の女性が清暑益気湯を服用することに関する安全性は、まだ十分に確立されていません。
服用したお薬の成分が、お腹の赤ちゃんや母乳を通じて乳児に影響を与える可能性が完全に否定できないためです。
そのため、基本的には自己判断での服用を避けることが望ましいとされています。
服用によって得られるメリットがリスクを上回ると医師が判断した場合にのみ慎重に判断されます。
服用を希望する場合は、必ず事前に専門家へ相談して指示を仰ぐようにしてください。

清暑益気湯は市販されている?「清暑益気湯S」などドラッグストアで買える商品

清暑益気湯は、医師の処方が必要な医療用医薬品のほかに、市販薬としても販売されています。ドラッグストアや薬局で購入できる商品としては、小太郎漢方製薬の「清暑益気湯エキス錠S」などがあります。
市販薬は、医療用に比べて成分の配合量が異なる場合があるため、購入の際はパッケージの説明をよく読み、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。

清暑益気湯に関するよくある質問

ここでは、清暑益気湯について多く寄せられる質問にお答えします。

清暑益気湯はどのくらいの期間服用すれば効果が出ますか?

効果の現れ方には個人差がありますが、一般的に2週間から1ヶ月程度の服用で体調の変化を感じる方が多いです。それ以上服用を続けても症状の改善が見られない場合は、薬が体質に合っていない可能性もあるため、処方した医師や薬を選んでもらった薬剤師に相談してください。

熱中症になってから飲んでも効果はありますか?

清暑益気湯は、重度の熱中症に対する直接的な薬ではありません。あくまで夏バテや軽度の熱中症の予防、または回復期における体力低下を改善する目的で用います。意識障害やけいれんなどが見られる場合は、漢方薬に頼らず、速やかに医療機関を受診してください。

清暑益気湯は太るという噂は本当ですか?

清暑益気湯そのものに体重を増加させる作用はありません。この薬は、夏バテで低下した胃腸の働きを活発にし、食欲を正常な状態に戻す働きがあります。
そのため、夏やせしていた方が服用によって食欲を取り戻し、健康的に体重が回復することは考えられます。

清暑益気湯の効果を高める夏の食事と生活習慣

漢方薬の服用と併せて日々の生活習慣を見直すことで、お薬の効果をさらに高め、夏バテに負けない健やかな体づくりにつながります。
ここでは、疲れた体を労わる毎日の食事の工夫や、自律神経を整えるための効果的な水分の摂り方について解説します。

冷たいものの摂りすぎを避け、夏野菜や薬味を取り入れる

暑いからといってアイスや冷たい飲み物ばかりを摂取すると、胃腸の働きが低下してしまいます。
トマトやきゅうりといった夏野菜は、体の余分な熱を自然に冷ましてくれるため、日々の食事に適度に取り入れるのがおすすめです。
また、食欲が落ちている時は、しそやみょうがなどの薬味を活用することで胃腸の働きを助け、無理なく食事を摂ることができます。
栄養バランスの取れた食事を意識して、低下した体力の回復を図りましょう。

エアコンの温度設定に注意し、常温の水分をこまめに補給する

エアコンの冷たい風が直接体に当たったり、室内を冷やしすぎたりすると、自律神経の乱れを引き起こし、夏バテをさらに悪化させてしまいます。
設定温度は下げすぎず、体が冷えないような心地よい環境を保ちましょう。
また、喉が渇いたと感じる前に、常温の水や麦茶などでこまめに水分を補給することが大切です。
コーヒーやアルコールは利尿作用があるため、水分補給の目的としては適していません。
体を冷やさない工夫と適切な水分摂取で、不調の予防に努めてください。

まとめ

清暑益気湯は、夏の暑さによる倦怠感や食欲不振といった夏バテ症状に用いられる漢方薬です。医療用医薬品と市販薬があり、いずれもエキス製剤が主流です。服用する際は、必ず添付文書を確認し、医師や薬剤師の指示に従ってください。
なお、医療用としての薬価は、処方される内容や保険適用によって変動します。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。