黄体機能不全と漢方|体質から整えるおすすめ漢方薬とは

黄体機能不全と漢方|体質から整えるおすすめ漢方薬とは 妊活・不妊

黄体機能不全による基礎体温の乱れや不妊に悩み、根本的な体質改善を目指して漢方薬を検討する方が増えています。
この記事では、黄体機能不全が起こる原因を東洋医学の視点から解説し、体質に合わせたおすすめの漢方薬や、漢方療法のメリットについて詳しく紹介します。

ホルモン剤に頼るだけでなく、ご自身の体が持つ力を引き出し、妊娠しやすい体づくりを目指すための情報をお伝えします。

黄体機能不全とは?基礎体温が上がらない・高温期が短い原因を解説

黄体機能不全とは、排卵後に卵胞から変化してできる「黄体」の働きが不十分な状態を指します。
黄体からは子宮内膜を厚くして着床を助ける黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されますが、この分泌が不足すると、基礎体温の高温期が10日未満と短くなったり、体温が十分に上がらなかったりします。
その結果、受精卵が着床しにくい、または着床を維持できないといった不妊の原因になることがあります。

なぜ黄体機能不全の改善に漢方が選ばれるのか?西洋医学とのアプローチの違い

西洋医学では、黄体ホルモン製剤を用いて不足しているホルモンを直接補充する治療が一般的です。
これは症状を一時的に抑える対症療法といえます。
一方、漢方では、ホルモンバランスが乱れている根本的な原因を体質にあると考えます。

血行不良やエネルギー不足、ストレスといった個々の体質を見極め、体全体のバランスを整えることで、自らの力でホルモンを正常に分泌できる体づくりを目指します。

あなたの体質はどれ?漢方で考える黄体機能不全の3つの原因

東洋医学では、黄体機能不全は単一の原因ではなく、体のバランスの乱れによって引き起こされると考えます。
その原因は一人ひとり異なりますが、主に「瘀血(おけつ)」「腎虚(じんきょ)」「気滞(きたい)」の3つのタイプに分けられます。
まずはご自身の体のサインに耳を傾け、どのタイプに近いかを知ることが、適切な漢方薬を選ぶ第一歩となります。

原因①:血の巡りが滞っている「瘀血(おけつ)」

「瘀血」とは、血液がドロドロになり、血行が悪くなっている状態のことです。
血の巡りが滞ると、卵巣や子宮に新鮮な血液と栄養が十分に行き渡らなくなり、卵子の質や黄体の機能が低下する原因となります。
瘀血タイプの人は、月経痛がひどい、経血にレバー状の塊が混じる、肩こりや頭痛が起きやすい、肌がくすみがちといった特徴が見られます。

体を温め、血行を促進することが改善の鍵となります。

原因②:生命エネルギーが不足している「腎虚(じんきょ)」

東洋医学でいう「腎」は、生命活動や生殖機能を司るエネルギーの源と考えられています。
加齢や過労、慢性的な睡眠不足などによってこの「腎」のエネルギーが消耗した状態が「腎虚」です。
腎虚になると、卵子の発育が悪くなり、質の良い黄体が形成されにくくなります。

疲れやすい、足腰がだるい、頻尿、白髪や抜け毛が増えるといった症状は、腎のエネルギーが不足しているサインかもしれません。

原因③:ストレスで気の巡りが悪い「気滞(きたい)」

「気滞」とは、ストレスや緊張によって生命エネルギーである「気」の流れが滞っている状態です。
気の巡りは自律神経と深く関わっており、気滞の状態が続くとホルモンバランスが乱れやすくなります。
これが黄体ホルモンの分泌に悪影響を及ぼし、黄体機能不全を引き起こす一因となります。

イライラしやすい、気分の浮き沈みが激しい、胸や脇腹が張る、ため息が多いといった症状が特徴です。

【体質・症状別】黄体機能不全の改善におすすめの漢方薬

黄体機能不全の改善には、ご自身の体質に合った漢方薬を選ぶことが非常に重要です。
ここでは、東洋医学の3つの原因タイプ「瘀血」「腎虚」「気滞」それぞれにおすすめの代表的な漢方薬を紹介します。
ただし、これらはあくまで一例であり、最適な漢方薬は専門家による判断のもとで決まるため、自己判断での服用は避けましょう。

「瘀血」タイプ向け:血行を促進し体を温める漢方薬

血行不良が原因である「瘀血」タイプには、滞った血の流れをスムーズにする「駆瘀血剤」が用いられます。
代表的な漢方薬には「芎帰調血飲第一加減」や「桂枝茯苓丸」、「当帰芍薬散」があります。
これらの漢方薬は、骨盤内の血流を改善し、子宮や卵巣に栄養を届けることで、ホルモンバランスを整え、冷えや月経痛の緩和も期待できます。

「腎虚」タイプ向け:生命エネルギーを補い卵子の質を高める漢方薬

生命エネルギーの不足が原因の腎虚タイプには、腎を補い、生殖機能を高める補腎薬が中心となります。
特に、動物生薬である鹿茸製剤がよく用いられます。
また、体を温める力が弱い場合は八味地黄丸、血が不足し冷えもある場合は当帰芍薬散や温経湯などが用いられます。

これらの漢方薬は、生命エネルギーを補うことで、卵子の質の向上や黄体機能の改善をサポートします。

「気滞」タイプ向け:気の巡りを整えストレスを緩和する漢方薬

ストレスによる気の滞りが原因の気滞タイプには、気の巡りを整えて心身の緊張を和らげる理気薬が適しています。
代表的な漢方薬は、イライラや不安感を鎮める加味逍遙散や、手足の冷えや気分の落ち込みに用いられる四逆散です。
これらの漢方薬は、自律神経のバランスを整えることで、ストレスによるホルモン分泌の乱れを改善します。

漢方で黄体機能不全を改善する3つのメリット

黄体機能不全の改善に漢方薬を取り入れることには、西洋医学のホルモン療法とは異なるメリットがあります。
ホルモンバランスを根本から整えることをはじめ、基礎体温の安定化や、不妊以外の不調も同時にケアできるなど、体全体に良い影響をもたらすことが期待できます。
ここでは、具体的な3つのメリットについて解説します。

メリット①:ホルモンバランスを根本から整え、妊娠しやすい体を目指せる

漢方療法の最大のメリットは、不足したホルモンを外から補充するのではなく、体質そのものを改善することで、自らの力でホルモンバランスを整えられるように導く点にあります。
血流を改善し、生命エネルギーを補い、ストレスを緩和することで、ホルモンが正常に分泌される土台を作ります。
これは、一時的な改善ではなく、持続的に妊娠しやすい体づくりにつながるアプローチです。

メリット②:乱れがちな基礎体温の安定化が期待できる

黄体機能不全に悩む方の多くが、基礎体温の乱れを気にしています。
漢方薬は、血行を促進して体を温めたり、自律神経のバランスを整えたりすることで、基礎体温の安定化をサポートします。
服用を続けることで、「高温期が短かったのが伸びた」「低温期と高温期の二相性がはっきりしてきた」「ガタガタだったグラフが滑らかになった」といった変化が期待できます。

メリット③:冷えや生理痛など、不妊以外の不調も同時にケアできる

東洋医学では、体はすべてつながっていると考え、一つの不調だけでなく全身のバランスを見てを改善を目指します。
そのため、黄体機能不全の改善を目的として漢方薬を服用すると、冷え性や月経痛、肩こり、イライラ、疲労感といった、多くの女性が抱える不妊以外の不調も同時に改善されることが少なくありません。
心と体の両面から健やかな状態を目指せるのも、漢方ならではの利点です。

漢方療法を始める前に知っておきたいこと

黄体機能不全の改善のために漢方療法を検討する際、多くの方が疑問に思う点があります。
病院での不妊治療との併用は可能なのか、どこで漢方薬を手に入れればよいのか、また効果を実感するまでにどのくらいの期間や費用がかかるのかなど、事前に知っておくべき基本的な情報について解説します。

病院のホルモン治療と漢方は併用できる?

病院で行われるホルモン補充療法などの不妊治療と漢方薬の併用は、多くの場合可能です。
併用することで、ホルモン剤の効果を高めたり、副作用を軽減したりする相乗効果が期待できることもあります。
ただし、飲み合わせによっては効果に影響が出る可能性もあるため、自己判断での併用は絶対に避けるべきです。

必ず不妊治療を受けている医師と、漢方の専門家(医師や薬剤師)の両方に相談し、許可を得てから始めましょう。

漢方薬はどこで手に入る?専門家への相談をおすすめする理由

漢方薬は、医師が処方する医療用漢方薬(保険適用)と、漢方薬局などで購入する一般用漢方薬(保険適用外)があります。
黄体機能不全の改善を目指すなら、専門家への相談をおすすめします。
漢方は、個人の体質(証)を正しく見極めて処方することが最も重要です。

専門家は、問診や舌や脈の状態などから総合的に体質を判断し、数多くの漢方薬の中から最適なものを選んでくれます。

効果を実感できるまでの期間と費用の目安

漢方は体質を根本から変えていくため、効果を実感するまでにはある程度の時間が必要です。
一般的に、まずは3ヶ月を一つの目安として続けることが推奨されます。
人によっては1ヶ月ほどで基礎体温の変化などを感じることもあります。

費用は、保険適用の漢方薬であれば月々数千円程度ですが、専門の漢方薬局で動物生薬や煎じ薬などを購入する場合は、月額2万円~4万円程度が目安となります。

黄体機能不全の漢方治療に関するよくある質問

ここでは、黄体機能不全の改善で漢方療法を検討している方からよく寄せられる質問にお答えします。
漢方の効果が現れるまでの期間や、市販薬との違い、日常生活でできるセルフケアなど、気になる疑問を解消していきましょう。

漢方を飲めばすぐに基礎体温は安定しますか?

すぐに安定するとは限りません。
漢方はホルモン剤とは異なり、体質をゆっくりと改善していくため、即効性は期待できない場合が多いです。
効果の現れ方には個人差がありますが、体の内側からバランスが整うにつれて、基礎体温も徐々に安定していきます。

まずは3ヶ月程度、焦らずに継続して服用することが大切です。

市販の漢方薬と専門家から購入する漢方薬に違いはありますか?

はい、違いがあります。
市販の漢方薬は、多くの人に当てはまるように作られており、安全性を考慮して成分量が調整されています。

一方、専門家から購入する漢方薬は、個人の体質を細かく判断した上で、生薬の種類や量を調整したオーダーメイドに近いものです。
根本的な体質改善を目指すのであれば、専門家にご自身の状態を診てもらった上で服用を開始することを推奨します。

黄体機能不全の改善のために、漢方以外に自分でできることはありますか?

生活習慣の見直しが非常に重要です。
栄養バランスの取れた食事を三食しっかり摂り、体を冷やさないように温かいものを中心にしましょう。
また、質の良い睡眠を十分にとり、ウォーキングなどの適度な運動を習慣づけることも効果的です。

ストレスはホルモンバランスを乱す大きな要因となるため、リラックスできる時間を作ることも心がけてください。

まとめ

黄体機能不全の改善において、漢方はホルモンバランスの乱れを根本から整え、妊娠しやすい体づくりを目指す有効な選択肢です。
東洋医学では、その原因を「瘀血」「腎虚」「気滞」などの体質にあると考え、個々に合わせた漢方薬でアプローチします。

改善には時間がかかりますが、基礎体温の安定や冷え、生理痛といった不調の改善も期待できます。
漢方薬の服用を始める際は、自己判断せず、必ず医師や漢方の専門家に相談することが重要です。

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