我慢によるストレスと漢方薬の選び方|イライラや喉のつまりを解消

我慢によるストレスと漢方薬の選び方|イライラや喉のつまりを解消 漢方

仕事や家庭で感じるイライラや、言いたいことを飲み込んだときの喉のつかえ感は、我慢によるストレスが原因かもしれません。
そうした精神的な負担は、心だけでなく体にも影響を及ぼします。

漢方薬は、体の内側からバランスを整え、特定の症状を解消する手助けをします。
この記事では、我慢からくるストレスのタイプ別に、自分に合った漢方薬の選び方を解説します。

つい我慢してしまうその癖、心と体の不調サインかもしれません

「自分が我慢すれば丸く収まる」と考えて、夫や職場の人に対して言いたいことを飲み込んでしまうことはないでしょうか。
小さな我慢の積み重ねは、知らず知らずのうちに心身を蝕み、原因のわからないモヤモヤやだるさを引き起こします。
特に病気と診断されるわけではないのに、なんとなく調子が悪い状態が続くのは、抑え込んだ感情が体からのSOSサインとして現れているのかもしれません。

なぜ「我慢」が体に良くないのか?東洋医学の視点で解説

東洋医学では、心と体は一体であり、感情の変動が体の機能に直接影響すると考えます。
我慢という感情の抑制は、生命エネルギーである「気(き)」の流れを停滞させます。

この気の滞りが、頭痛や肩こり、冷え、めまいといった身体的な不調や、気分の落ち込み、うつ状態などの精神的な症状を引き起こす原因となります。
特に女性はホルモンバランスの影響もあり、我慢による心身への影響が顕著に現れることがあります。

気の巡りが滞る「気滞(きたい)」が不調の始まり

気滞とは、ストレスや我慢によって気の巡りがスムーズでなくなり、渋滞を起こしている状態を指します。
気が滞ると、お腹が張って苦しくなったり、吐き気やゲップが出やすくなったりします。
また、イライラや不安感、気分の落ち込みといった精神的な不安定さも気滞の代表的なサインです。

便秘と下痢を繰り返す、寝ている間に歯ぎしりをしてしまうといった症状も、気の巡りが悪くなっていることが原因の場合があります。

イライラや気分の落ち込みは「肝」の乱れが原因

東洋医学における「肝」は、全身の気の流れをスムーズに調整し、感情をコントロールする重要な役割を担います。
過度な我慢やストレスはこの「肝」の機能を乱し、気の巡りをさらに悪化させます。

その結果、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、逆に急に気分が落ち込んだりします。
身体的には、胸や脇腹の張り、お腹にガスが溜まっておならが増える、頻尿といったサインとして現れることも少なくありません。

【症状別】あなたの「我慢ストレス」に合う漢方薬の選び方

我慢によって生じるストレスの症状は、その人の体質や感情の表れ方によってさまざまです。
そのため、漢方医学では一人ひとりの状態に合わせて適切な漢方薬を選ぶことが重要になります。
ここでは、代表的な症状のタイプ別に、どのような漢方薬が適しているかを紹介します。

自分の心と体の声に耳を傾け、どのタイプに当てはまるかを確認してみてください。

カッとなる怒りやイライラを鎮めたい方向けの漢方薬

普段は我慢していても、些細なことでカッとなり、怒りが爆発してしまうことはありませんか。
このような症状は、東洋医学でいう「肝」の気が高ぶっている状態と考えられます。
このタイプのイライラには、高ぶった神経を鎮める働きのある「抑肝散」が代表的な漢方薬です。

抑肝散は、筋肉の緊張をほぐす作用もあり、怒りによる頭痛や肩こり、不眠、歯ぎしりなどの症状緩和も期待できます。
比較的体力がある人には「柴胡加竜骨牡蛎湯」も用いられます。

言いたい事が言えない…喉のつかえ感や不安を和らげる漢方薬

会議で意見が言えなかったり、不満を飲み込んだりした後に、喉に何かが詰まっているような違和感を覚えることがあります。
これは「梅核気(ばいかくき)」と呼ばれ、気の滞り(気滞)が原因で起こる典型的な症状です。
この喉のつかえ感や、それに伴う不安には「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」がよく用いられます。

この漢方薬は、滞った気の巡りを改善し、喉の不快感だけでなく、動悸や吐き気、気分の落ち込みを和らげる働きがあります。

繊細で疲れやすい…不安や緊張で消耗している方向けの漢方薬

人一倍気を遣い、ささいなことが気になってしまう繊細な人は、常に不安や緊張を抱えて心身を消耗しがちです。
このようなタイプは、エネルギーである「気」や栄養である「血」が不足していると考えられます。
神経が過敏になり、動悸や不眠に悩む場合には「桂枝加竜骨牡蛎湯」が適しています。

また、くよくよと考え込んで食欲が落ち、しっかり眠れないといった症状には、心と体に栄養を補う「加味帰脾湯」が用いられます。

漢方薬の効果をより高めるための生活習慣のヒント

漢方薬は心身のバランスを整えるための強力なサポートですが、その効果を最大限に引き出すためには、日々の生活習慣を見直すことも不可欠です。
食事や睡眠といった基本的な生活の質を高めることで、ストレスによる症状の緩和や、不調そのものの軽減が期待できます。
漢方薬の服用と並行して、これから紹介するセルフケアを取り入れ、ストレスに負けない心と体づくりを目指しましょう。

ストレスを溜めにくい体質を目指す食事のポイント

東洋医学では、食事も体質改善のための重要な要素と考えられています。
ストレスによって滞りがちな「気」の巡りを良くするためには、香りの良い食材を取り入れるのがおすすめです。
セロリ、春菊、しそ、ミントといった香味野菜や、みかん、ゆずなどの柑橘類は、気の巡りをスムーズにする手助けをします。

一方で、脂っこい食事や甘いもの、冷たい飲食物は気の流れを滞らせる原因になるため、摂りすぎには注意が必要です。
規則正しい時間に、腹八分目を心がけて食事を摂ることも大切です。

質の高い睡眠で乱れた自律神経を整える方法

我慢によるストレスは自律神経のバランスを乱し、不眠や浅い眠りの原因となります。
そして、眠れないことがさらなるストレスを生むという悪循環に陥りがちです。
質の高い睡眠を確保するためには、就寝前の過ごし方が重要です。

スマートフォンやパソコンの画面を見るのは就寝1時間前までにし、ぬるめのお湯にゆっくり浸かって心身をリラックスさせましょう。
軽いストレッチで体の緊張をほぐすのも効果的です。
朝は決まった時間に起きて太陽の光を浴び、体内時計を整えることが、夜の健やかな睡眠につながります。

我慢によるストレスと漢方に関するよくある質問

我慢による心身の不調を改善するために漢方薬を試してみたいと考えたとき、効果や副作用、入手方法などについて疑問が浮かぶことがあります。
ここでは、ストレスケアで漢方薬を用いる際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
基本的な知識を身につけ、安心して漢方を取り入れられるようにしましょう。

漢方薬は飲み始めてからどのくらいで効果が出ますか?

効果の現れ方には個人差がありますが、一般的には2週間から1ヶ月程度の服用で心身の変化を感じ始めることが多いです。
風邪などの急な症状に用いる場合は数日で効果がわかることもありますが、体質改善が目的の場合は、ある程度の期間、継続して服用することが重要です。

漢方薬を飲む際に副作用や注意すべき点はありますか?

漢方薬は自然由来ですが、副作用が全くないわけではありません。
体質に合わないと、胃もたれや食欲不振、皮膚の発疹などが現れる可能性があります。
複数の漢方薬や西洋薬を併用する際は、成分の重複なども考えられるため、必ず医師や薬剤師に相談してください。

ストレス向けの漢方薬は専門家に選んでもらうべきですか?

自己判断で選ぶのが難しい場合や、症状が長引いている場合は、医師の診察や漢方薬局を訪ねてみることを推奨します。
病院では、ツムラなどのメーカーが製造する医療用漢方製剤を、健康保険を適用して処方してもらえるメリットがあります。
漢方薬局では、保険適応外ですが、保険にはない優れた漢方薬を紹介してもらえたり、よりオーダーメイド的に煎じ薬を作ってくれるところもあります。
まずは専門家に相談し、自分の体質に合った漢方薬を選ぶのが確実です。

まとめ

我慢によるストレスは、東洋医学における「気滞」や「肝」の乱れを引き起こし、イライラや喉のつまり、不眠など様々な心身の不調として現れます。
これらの症状に対して、抑肝散や半夏厚朴湯といった漢方薬は、体質に合わせて心と体のバランスを整える助けとなります。
漢方薬の服用とあわせて、気の巡りを良くする食事や質の高い睡眠を心がけるなど、生活習慣を見直すことが、ストレスに強い体質づくりにつながります。

不調が続く場合は一人で抱え込まず、医師や薬剤師などの専門家に相談することも検討してください。

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