痛風と漢方薬:尿酸値を下げるために役立つ薬局で買える薬
漢方
痛風の激しい痛みは、血中の尿酸値が高い状態が続くことで引き起こされます。
漢方薬は、西洋薬とは異なる視点から体質そのものに働きかけ、痛みの緩和や根本的な改善を目指します。
体内の水分バランスや血流を整えることで、尿酸値を下げる効果が期待できる漢方薬が存在します。
一部の漢方薬は薬局でも購入可能であり、症状や体質に合わせて選ぶことで、痛風の悩みに対する選択肢の一つとなり得ます。
そもそも痛風とは?足の指などに激しい痛みが走る仕組み
痛風は、血液中の尿酸が多くなりすぎる「高尿酸血症」が原因で起こる関節炎です。
尿酸は水分に溶けにくい性質を持つため、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態が続くと、体内で結晶化しやすくなります。
この尿酸の結晶が足の親指の付け根などの関節に沈着すると、それを異物とみなした白血球が攻撃を始め、激しい炎症反応が起こります。
これが「痛風発作」と呼ばれる状態で、ある日突然、耐えがたいほどの激しい痛みに襲われるのが特徴です。
この痛みは数日から1週間ほど続くことがあります。
痛風における漢方薬の考え方とアプローチ
西洋医学が痛みを抑える薬や尿酸値を直接下げる薬を用いる対症療法が中心であるのに対し、漢方では痛風を体全体のバランスの乱れと捉えます。
特に、体内の水分代謝が滞る「水毒(すいどく)」や、血の巡りが悪くなる「瘀血(おけつ)」が痛風の主な原因と考えられています。
漢方薬は、これらの乱れを正常な状態に戻すことで、症状を根本から改善することを目指します。
単に痛みを抑えるだけでなく、尿酸が溜まりにくい体質へと導き、発作の再発を予防するアプローチを取るのが特徴です。
【症状・目的別】痛風に用いられる代表的な漢方薬
痛風に対して用いられる漢方薬は、急な痛みを抑えたいのか、体質を改善して再発を予防したいのかといった目的や、個々の体質によって異なります。
例えば、炎症を鎮める作用を持つもの、体内の余分な水分を排出するもの、肥満や生活習慣の乱れを整えるものなど、様々な漢方薬が存在します。
ここでは、症状や目的別におすすめの漢方薬をいくつか紹介しますが、自分の体質に合ったものを選ぶためには、専門家への相談が不可欠です。
急な激しい痛みを和らげたいときに使われる漢方薬
痛風発作による急激な痛みや腫れ、熱感といった強い炎症症状に対しては、体内の熱を冷まし、痛みを鎮める作用を持つ漢方薬が用いられます。
代表的な薬として、関節の腫れや痛みに効果が期待できる「越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)」があります。
また、血行を促進しながら痛みを取り除く働きのある「疎経活血湯(そけいかっけつとう)」も、痛風による関節の痛みに応用されることがあります。
これらの漢方薬は、主に発作時のつらい症状を緩和することを目的としており、症状が落ち着いた後は、体質改善を目指す漢方薬に切り替えていくのが一般的です。
体内の余分な水分を排出し尿酸値を下げる漢方薬
漢方では、体内の水分代謝の異常である「水毒」が痛風の一因と考えられています。
この水毒を改善し、尿酸の排泄を促す目的で用いられる代表的な漢方薬が「五苓散(ごれいさん)」です。
五苓散は、体内の水分バランスを調整し、利尿作用によって余分な水分を体外へ排出する働きを持ちます。
これにより、尿量が増え、尿と共に尿酸が排出されやすくなるため、結果として尿酸値を下げる効果が期待できます。
むくみやすい、喉が渇きやすいといった体質の方に適しており、痛風の根本的な体質改善を目指す際に用いられる漢方薬の一つです。
肥満や生活習慣が気になる方の体質改善をサポートする漢方薬
肥満や脂っこい食事、飲酒といった生活習慣は、痛風のリスクを高める大きな要因です。
このような体質の方には、体の新陳代謝を高め、余分な脂肪や老廃物を排出する働きのある漢方薬が適しています。
代表的な薬として知られるのが「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」です。
この漢方薬は、体に溜まった熱を冷まし、便通を改善することで、体内の不要なものを排出しやすくします。
脂質代謝を改善する効果も期待できるため、肥満の解消をサポートしながら、痛風になりにくい体質へと導いていきます。
薬局やドラッグストアで市販されている痛風向けの漢方薬
痛風の症状緩和や体質改善に用いられる漢方薬の中には、薬局やドラッグストアで購入できるものもあります。
市販の薬は、病院に行く時間がない場合でも手軽に入手できる利点があります。
しかし、漢方薬は個人の体質や症状に合わせて選ぶことが非常に重要です。
自己判断で選んだ薬が体質に合わない場合、期待した効果が得られないだけでなく、副作用のリスクも考えられます。
購入する際は、自分の状態を正しく把握し、慎重に製品を選ぶ必要があります。
市販の漢方薬を選ぶ際に確認すべきポイント
市販の漢方薬を選ぶ際は、まず自分の症状が急な痛みなのか、それとも予防や体質改善を目指しているのかを明確にしましょう。
その上で、製品のパッケージに記載されている「効能・効果」の欄をよく確認し、「関節痛」「神経痛」「むくみ」といった、自分の症状に関連する記載があるかを見ます。
しかし、漢方薬は種類が多く、自己判断は難しい場合が少なくありません。
最もおすすめの方法は、薬局にいる薬剤師や登録販売者に相談することです。
専門家は、症状や体質をヒアリングした上で、適切な漢方薬を選ぶ手助けをしてくれます。
痛風の漢方薬を服用する前に知っておきたい注意点
漢方薬は自然由来の生薬から作られているため、体に優しいイメージがありますが、医薬品であることに変わりはありません。
そのため、服用する前にはいくつかの注意点を理解しておくことが重要です。
体質に合わない薬を選んだり、用法・用量を守らなかったりすると、思わぬ不調を招く可能性もあります。
安全かつ効果的に漢方薬を活用するためには、正しい知識を持って向き合うことが求められます。
漢方薬でも副作用が起こる可能性はある
漢方薬は副作用が全くないわけではありません。
体質に合わない場合や、特定の生薬に対するアレルギー反応として、胃もたれや食欲不振、下痢、便秘といった消化器症状や、皮膚の発疹、かゆみなどが現れることがあります。
また、甘草(カンゾウ)という生薬を含む漢方薬を長期にわたって服用すると、まれに「偽アルドステロン症」という副作用が起こることも。
これは、血圧の上昇やむくみ、手足のだるさなどを引き起こす状態です。
期待される効果だけでなく、こうしたリスクも理解し、服用中に何らかの異変を感じた場合は、すぐに服用を中止して専門家に相談してください。
自己判断せず医師や薬剤師に相談することが大切
痛風の症状がある場合、まずは医療機関を受診し、医師の診断を受けることが基本です。
その上で漢方薬の利用を検討する際は、自己判断で選ぶのではなく、必ず漢方に詳しい医師や薬剤師さんに相談しましょう。
専門家は、症状だけでなく、体質や生活習慣、他に服用している薬などを総合的に判断し、最も適した漢方薬を提案してくれます。
特に、病院で処方された薬を飲んでいる場合、漢方薬との飲み合わせによっては予期せぬ影響が出る可能性もあるため、専門家への相談は不可欠です。
適切なアドバイスを受けることが、安全な治療への第一歩となります。
漢方とあわせて実践したい痛風を予防する生活習慣
漢方薬で体質改善を目指すのと同時に、痛風の根本原因となる生活習慣を見直すことが、症状の改善と再発予防には不可欠です。
食事や運動などの日々の積み重ねが、尿酸値をコントロールする上で大きな役割を果たします。
漢方薬の効果を最大限に引き出し、健康な状態を維持するためには、薬だけに頼るのではなく、生活全体で尿酸値を下げる取り組みを実践していくことが重要です。
プリン体の多い食品やアルコールを控える食生活
尿酸は細胞の核にあるプリン体という物質が分解されて作られます。
そのためプリン体を多く含む食品の過剰な摂取は尿酸値を上げる直接的な原因となります。
具体的にはレバー類、白子、あん肝、エビ、イワシ、カツオなどに多く含まれるため、これらの摂取は控えめにしましょう。
またアルコールは体内で尿酸が作られるのを促進し腎臓からの排出を妨げる働きがあります。
特にビールはプリン体も多いため注意が必要ですが、種類を問わず飲酒量そのものを減らすことが、尿酸値が基準の7.0mg/dLを超えないように管理する上で大切です。
十分な水分補給で尿酸の排出を促す
体内の尿酸は、主に尿として排出されるため、尿量を増やすことが痛風予防には非常に効果的です。
そのためには、意識的に水分を摂取することが重要になります。
1日に2リットルを目安に、水や麦茶、ほうじ茶などカフェインの少ない飲み物をこまめに飲むように心がけましょう。
糖分の多いジュースや清涼飲料水は、飲み過ぎると肥満につながり、かえって尿酸値を上げてしまう可能性があるため避けるのが賢明です。
特に汗をかきやすい夏場や運動後には、失われた水分をしっかりと補給して、尿酸が体内に溜まらないようにしましょう。
ウォーキングなど軽い有酸素運動を取り入れる
肥満は痛風の大きなリスク因子であるため、適度な運動によって体重をコントロールすることは予防に繋がります。
おすすめは、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、水泳といった有酸素運動です。
これらの運動は、体に過度な負担をかけずに脂肪を燃焼させ、血行を促進します。
ただし、息が切れるような激しい運動は、かえって一時的に尿酸値を上昇させ、痛風発作の引き金になることがあるため注意が必要です。
痛みがあるときは運動を休み、あくまで無理のない範囲で、楽しみながら継続することが大切です。
まとめ
痛風の改善において漢方薬は、発作時の痛みを和らげるだけでなく、水分の巡りや血行を改善し、尿酸が溜まりにくい体質へと導くための有効な選択肢です。
しかし、漢方薬の効果を最大限に活かすためには、プリン体を控えた食生活や十分な水分補給、適度な運動といった生活習慣の見直しが欠かせません。
自分の体質や症状に合った漢方薬を専門家と相談しながら選び、日々の生活改善と併せて取り組むことで、尿酸値を下げることを目指し、痛風の根本的な改善と再発予防につなげることが可能です。
