アトピーなどの皮膚疾患は、内臓状態の現れです
漢方では、「皮膚は内臓の鏡」と言われています。
一見つながりのないように思えるふたつの器官は、どのように関係しているのでしょうか。
今回は、漢方の視点で見たアトピーなどのアレルギー症状についてご説明します。
アトピーを引き起こす原因
実は、アトピーは発症のメカニズムが解明されていない慢性疾患です。
アトピーの症状が身体に現れると、かゆみや炎症を引き起こします。
一口にアトピーと言っても、乾燥して粉を吹くタイプ、ジュクジュクとなるタイプなどがあり、タイプごとに治療法も異なります。
アトピー症状を引き起こす原因として考えられている一部の原因をご紹介すると、「環境」「体質」「ストレス」などがあります。
「環境」が原因でアトピー症状が引き起こされている場合、
・ダニやカビ、ハウスダスト
・アレルゲン物質
・化学繊維、化学物質
が関係していると考えられます。
「体質」として、生まれながらにアトピー素因を持ち、悩まされ続けている方もいらっしゃいます。
乳児期においては、胃腸機能が弱いため、母乳やミルクを吐き戻す、下痢や便秘をしやすいという特徴があります。
タンパク質をアミノ酸に分解することができないなどの理由で、かゆみを引き起こすヒスタミンが過剰に分泌されてしまいます。
つまり、子どもの頃にアトピーを発症する理由のひとつとして、身体の機能、発達が未熟であることが考えられます。
一方、大人になってからでも、何らかの原因により皮膚のバリア機能が低下している場合は要因が異なり、突然アトピーを発症することもあります。
成人後、突然アトピーを発症する場合、乳児期とは異なり胃腸機能は十分に発達しています。
しかし、仕事などによるストレスや疲労、食生活の乱れ、睡眠不足、過度な飲酒あるいは喫煙、不衛生な環境での生活など、さまざまな場において、アレルゲンに晒される機会が増加することでアトピーが発症すると考えられています。
成人のアトピーの症状として特徴的なのは、お肌がゴワゴワとして乾燥することです。
特に上半身に症状が多く見られ、顔が赤らんだり、色素沈着が起こる場合もあります。
漢方はアトピーの根本の原因に働きかけます
アトピー特有の症状として挙げられるのは、全身に現れる痒みを伴った湿疹です。
漢方の視点でアトピーを見たとき、急性(初期)の場合と慢性化した場合でそれぞれタイプが分かれています。
急性の場合、お肌が赤くぶつぶつとしている時は、余分な「熱」が溜まっている状態です。
ジュクジュクは「湿」が溜まっている状態です。
赤みとジュクジュクが重なっている症状を「湿熱」と呼びます。
「湿熱」はお肌がジュクジュク、ベタベタし、自覚症状として「口がよく乾く」「便秘気味」などがあります。
体内に余分な熱と湿が停滞している状態です。
対して慢性化の場合は、カサカサと乾燥し、ひび割れを伴う場合などもあります。
湿疹の状態もそれぞれ異なり、赤みを帯びた湿疹、プツプツと盛り上がる湿疹、ジュクジュクとした湿疹がありますが、これらの湿疹を引っ掻くことによって、その部分の皮膚が硬くなったり、かさぶたができたりします。
病院でアトピーの治療を行う場合、一般的には痒み止めやステロイド剤が処方されると思います。
これらの薬で「一時的に症状を抑えること」が必要な場合もありますが、特にステロイド剤は長期間連用することによりシミとして残ったり、使用をやめた途端に症状が悪化してしまう「リバウンド」という状態を引き起こすことがあります。
アトピーを引き起こしている原因は人それぞれ異なり、お悩みの症状もさまざまです。
漢方は、アトピーを引き起こしている根本の原因に働きかけます。
いわば「体質強化」を行うことで、アトピーの素因を持ち合わせている状態でも、症状が現れない身体づくりを目指します。
漢方によって、余分なものがある場合には排出を促し、潤いが足りなければ補う、というように、おひとりおひとりオーダーメイドの方法によって、アトピーの改善に取り組んでいきます。
漢方では、皮膚は内臓の鏡だと考えられています
漢方では、「皮膚は内臓の鏡」と言われています。
つまりアトピーの原因は、身体の中と深く関係しています。
アトピーに限らず、さまざまな皮膚トラブルの原因は、内臓の機能が低下していたり、体内のバランスが崩れているためだと考えられます。
「皮膚」の「膚」の文字の中に、「胃」が含まれているように、皮膚トラブルの原因を探るときには、特に胃腸の状態に注目します。
漢方では、胃腸を「脾(ひ)」といいます。
脾(ひ)が弱ると、
①余計なものが身体に溜まり
②身体の中に熱が生まれ
③必要なものが必要な場所に届かなくなります。
皮膚のトラブルを改善するためには、脾(ひ)の働きを高めることが重要です。
また、脾(ひ)以外の他の内臓とも皮膚は関係しています。
特に皮膚と関係している臓器
漢方の五行学説では、特に「肺(はい)」「腎(じん)」「脾(ひ)」の状態が皮膚に映し出されていると考えます。
・呼吸を管理する「肺(はい)」
漢方でアトピーを考えるとき、肺は内部と皮膚を繋いでいる臓器と考えます。
栄養やエネルギーなどを皮膚に送り届ける働きがあります。
また、皮膚は呼吸をしています。
そのため皮膚は、呼吸機能を管理している「肺」に分類されます。
そして「肺」は、身体に溜まった老廃物や排泄物を体外に排出する働きを持っています。
皮膚・肺・大腸は漢方では繋がっていると考えるので、大腸の機能が低下していると排泄を十分に行うことができなくなり、肺の働きに影響を及ぼし、肌荒れなどの症状が現れるのです。
したがって、便秘しないことも大切です。
また、「肺」は身体に空気を取り込む器官であり、花粉やウイルスといった異物から身体を守る役目を担っています。
「肺」が担う防衛反応、つまり、バリア機能が正常に働かないと、花粉症などのアレルギー疾患が起こったり、風邪を引いたりします。
・気や血を作り出し、肺を機能させる「脾(ひ)」
「脾」には、食べ物を消化・吸収し、「気」や「血」の源を作り出す働きがあります。
また、「脾」は上記の「肺」に栄養を与えている場所です。
「脾」の状態が悪くなることで、「肺」の機能にも支障をきたしてしまいます。
暴飲暴食やストレスなどの負担によって消化や吸収の働きが正常に行われなくなると、余計なものが身体に溜まったり、身体の中に熱が生まれたり、必要なもの(潤いなど)が必要な場所に届きにくくなります。
・免疫機能を司る「腎(じん)」
「腎」は、体内の水分量の調節や、骨、ホルモンの分泌などと関係しています。
腎の働きが悪くなると、ホルモンバランスが乱れ、免疫機能も低下します。
免疫機能に異常が生じると、アトピーや喘息といったアレルギー疾患が慢性化したり、他のアレルギー疾患を発症することもあります。
アトピーを改善して健康的な生活を
漢方を服用することで、「肺」や「脾」、「腎」といった内臓の機能を強化し、バランスを整え、身体の内側からアトピーの改善を目指します。
その漢方の力を最大限生かすためには、生活習慣の改善も欠かせません。
福神トシモリ薬局では、食事や睡眠、腸内環境、ホルモンバランスなど、様々な面に焦点を当ててカウンセリングを行っています。
綿密なカウンセリングによって、その方だけの「改善プラン」を計画していきます。
アトピーを引き起こしている根本の原因を見直し、症状を改善したいとお考えの方は、ぜひ福神トシモリ薬局の専門の薬剤師にご相談ください。
身体の中からアトピーを改善して、健康な毎日を過ごしましょう!