未病とは?漢方・漢方薬で改善する原因不明の不調を解説| 不妊・妊活の漢方薬局(岡山) | 福神トシモリ薬局(オンライン相談可)

未病とは?漢方・漢方薬で改善する原因不明の不調を解説| 不妊・妊活の漢方薬局(岡山) | 福神トシモリ薬局(オンライン相談可) 漢方

病院で検査をしても特に異常はないのに、なんとなく続く慢性的な不調に悩んでいませんか。
その原因不明の不調は、漢方医学でいう「未病」の状態かもしれません。
未病とは、本格的な病気ではないものの、健康ともいえない心身のバランスが崩れた状態を指します。

この記事では、未病という考え方や、その改善になぜ漢方が適しているのかを解説し、具体的な症状に合わせた漢方薬や相談先を紹介します。

そもそも「未病」とは?病気と健康の間のグレーゾーンな状態

未病とは、明確な病気と診断される前の、心身のバランスが少し崩れた状態のことです。
健康と病気の状態を白と黒ではっきりと分けるのではなく、その間には連続したグレーゾーンが存在するという考え方に基づいています。

自覚症状はあるものの、検査数値には異常が現れないため、西洋医学では病気として扱われないケースが少なくありません。
この段階で心身の不調に気づき、適切な対処を行うことで、本格的な病気への進行を防ぐことが未病の考え方の基本です。

あなたも当てはまる?未病のサインを示す具体的な症状例

未病のサインは、日常生活の中で感じる些細な不調として現れます。
「疲れがなかなか取れない」「手足がいつも冷えている」「寝つきが悪い、眠りが浅い」「理由もなくイライラしたり、気分が落ち込んだりする」といった症状はその一例です。

他にも、肩こりや頭痛、胃腸の不調、むくみなど、多岐にわたる症状が考えられます。
これらは病気とまではいえないものの、心身のバランスが崩れ始めているという体からの信号です。
このようなサインを見逃さず、未病を治すための対策を始めることが重要です。

西洋医学とどう違う?漢方が未病の改善に適している理由

西洋医学が特定の病名に対して治療を行うのに対し、漢方医学は個々の体質や心身全体のバランスの乱れに着目します。
検査数値に異常が出にくい未病の状態は、特定の臓器や部位に原因を特定しにくいことが多く、西洋医学的なアプローチが難しい場合があります。

一方で漢方医学は、症状そのものだけでなく、その背景にある体質的な問題を捉え、心と体の調和を取り戻すことを目的とするため、原因不明の不調を抱える未病の改善に適したアプローチといえます。

体全体のバランスを整え、根本原因にアプローチする

漢方医学では、私たちの体を構成する要素として「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という3つの要素を重視します。
これらは生命活動を支えるエネルギー、栄養や熱を運ぶ血液、そして血液以外の体液を指し、互いに影響し合いながら体内を巡っています。
これらのバランスが崩れることで、さまざまな不調が現れると考えられています。

漢方治療は、現れている症状だけを抑えるのではなく、問診や舌診、脈診などを通じて「気・血・水」のどこに問題があるのかを見極め、体全体のバランスを整えることで不調の根本的な原因に働きかけます。
これにより、体が本来持っている自然治癒力を高め、不調が起こりにくい状態を目指すのです。

一人ひとりの体質に合わせて不調を改善する

漢方医学の大きな特徴は、個人の体質(証)に合わせて治療法を選択する点にあります。
例えば、同じ「頭痛」という症状であっても、体が冷えて血行が悪くなっていることが原因の人と、ストレスによって気の巡りが滞っていることが原因の人とでは、処方される漢方薬が異なります。
これを「同病異治(どうびょういち)」といいます。

逆に、異なる症状でも根本的な原因が同じであれば、同じ漢方薬が用いられる「異病同治(いびょうどうち)」という考え方もあります。
このように、漢方医学は一人ひとりの状態を丁寧に見極め、その人に合ったオーダーメイドの処方を行うため、画一的な治療では改善しにくい未病の不調に対して効果を発揮しやすいのです。

【症状別】未病の改善が期待できる代表的な漢方薬

未病の段階で現れるさまざまな不調に対して、漢方薬は心身のバランスを整えることで改善を促します。
ここでは、代表的な症状別に用いられることがある漢方薬を紹介しますが、これらはあくまで一例です。

漢方では個人の体質を重視するため、同じ症状でも適した処方は異なります。
自己判断で選ぶのではなく、専門家に相談した上で、自分の体質に合ったものを見つけることが、未病を治すための近道となります。

なんとなく体がだるい・疲れやすい方向けの漢方

慢性的な疲労感や倦怠感は、生命活動のエネルギーである「気」が不足している「気虚」の状態と考えられます。
特に、胃腸の働きが弱って食事から十分にエネルギーを作り出せない場合に起こりやすい症状です。
このような体質の方には、胃腸の働きを助けながら気を補う「補中益気湯」が用いられることがあります。

また、気だけでなく、体に栄養を与える「血」も不足している「気血両虚」の状態には、気と血の両方を補う「十全大補湯」などの漢方薬が選択肢となります。
これらの漢方薬は、体の中から元気を補い、疲れにくい体づくりをサポートします。

冷えやむくみが気になる方向けの漢方

手足の冷えやむくみは、漢方では主に「血(けつ)」の巡りが悪い「瘀血(おけつ)」や、体内の水分代謝を担う「水(すい)」の滞りである「水滞(すいたい)」が原因と考えられています。
特に女性に多い冷えや、それに伴う月経不順などには、血行を促進し体を温める作用のある「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」がよく用いられます。

一方、むくみやめまい、頭痛などを伴う場合は、体内の余分な水分の排出を助ける「五苓散(ごれいさん)」などの漢方薬が適している場合があります。
これらの漢方薬は、血や水の巡りを整えることで、冷えやむくみにくい体質へと導きます。

寝つきが悪い・眠りが浅い方向けの漢方

不眠の悩みは、漢方では心身のバランスの乱れが原因と考えられています。
精神的な疲労やストレスによって心身が消耗し、熱がこもることで眠れなくなるケースがあります。
このような心身の疲れによる不眠には、熱を冷まし、精神を安定させる働きを持つ「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」が代表的な漢方薬です。

また、考え事が多くて眠れない、不安感が強いといった精神的な不調が原因の場合は、不足した「気」と「血」を補い、心の栄養不足を改善する「加味帰脾湯(かみきひとう)」が用いられることもあります。
これらの漢方薬は、心と体の両面に働きかけ、自然な眠りを取り戻す手助けをします。

イライラや気分の落ち込みを感じる方向けの漢方

精神的な不調であるイライラや気分の落ち込みは、主にエネルギーである「気」の巡りが滞る「気滞」の状態と関連が深いと考えられています。
ストレスなどが原因で気の流れがスムーズでなくなると、感情のコントロールが難しくなります。

特に、女性ホルモンのバランスが乱れやすい時期のイライラや不安感には、気の巡りを改善し、不足した「血」を補うことで精神を安定させる「加味逍遙散」がよく使われます。
また、喉に何かがつかえたような違和感(梅核気)を伴う不安感には、気の滞りを解消する「半夏厚朴湯」という漢方薬が適している場合があります。

漢方で未病を改善したいと思ったら?相談先の選び方

原因不明の不調を改善するために漢方を試したいと考えたとき、どこに相談すればよいか迷うかもしれません。
漢方薬は、専門家によるカウンセリングを通じて処方されるものから、ドラッグストアで気軽に購入できるものまで様々です。
自分の症状の程度やライフスタイルに合わせて、適切な相談先を選ぶことが、効果的に未病を治すための第一歩です。

ここでは、主な相談先である漢方薬局・クリニックとドラッグストアの特徴について解説します。

専門家にじっくり相談できる漢方薬局やクリニック

体質から根本的に改善したい場合や、複数の不調を抱えている場合は、漢方を専門とする薬局やクリニックに相談する方法が適しています。
専門家は、舌の状態を見る「舌診」や脈を診る「脈診」、詳しい問診などを通じて、その人の体質である「証」を丁寧に見極めます。

そして、数多くある漢方薬の中から、最もその人の状態に合った処方を選んでくれます。
保険適用の漢方薬を処方する医療機関もあれば、より幅広い種類の生薬を扱う自由診療の薬局もあります。
自分の症状や体質について深く理解し、じっくりと向き合いたい場合に選択すると良いでしょう。

まずは気軽に試せるドラッグストアの市販薬

比較的症状が軽い場合や、まずは漢方を試してみたいという場合には、ドラッグストアで購入できる市販の漢方薬も選択肢の一つです。
市販薬は、特定の症状に対して効果が期待できるものがパッケージに明記されており、手軽に入手できるメリットがあります。
ただし、種類が豊富なため、どれが自分に合うのか判断が難しい場合もあります。

購入する際には、常駐している薬剤師や登録販売者に症状を伝え、相談することをおすすめします。
自分の症状が比較的はっきりしており、それに合った漢方薬を見つけられれば、セルフケアの有効な手段となり得ます。

まとめ:原因不明の不調は漢方で「未病」のうちにケアしよう

検査では異常がないものの、なんとなく続く心身の不調は、本格的な病気へと移行する手前の「未病」というサインかもしれません。
漢方医学は、このような病気と健康の間のグレーゾーンな状態に対して、体全体のバランスを整えることでアプローチします。

一人ひとりの体質を見極め、不調の根本原因に働きかける漢方薬を用いることで、体が本来持つ自然治癒力を高め、健やかな状態へと導きます。
専門家への相談や市販薬の活用など、自分に合った方法で漢方を取り入れ、未病を治すためのセルフケアを始めることは、将来の大きな病気を防ぐことにもつながります。

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