背中にできるニキビの改善に役立つ漢方薬とは?効果的な種類と選び方を解説 | 不妊・妊活の漢方薬局【岡山】 | 福神トシモリ薬局(オンライン相談可)

スキンケアだけではなかなか治らない背中や胸のしつこいニキビに、体の内側からアプローチする漢方薬が選択肢の一つになります。
背中ニキビは、皮脂の分泌だけでなく、体内のバランスの乱れが原因となっている場合も少なくありません。
この記事では、東洋医学の考え方に基づいたニキビの原因から、症状別に適した漢方薬の種類、治療を始める際の注意点、そして漢方の効果を高めるセルフケアまでを詳しく解説します。
しつこい背中ニキビの原因は?漢方で体の内側からケアする考え方
背中ニキビは、皮脂の過剰分泌や毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖が直接的な原因ですが、漢方ではその背景にある体質的な要因を重視します。
例えば、体内に余分な熱がこもる「熱証」、血の巡りが滞る「瘀血」、ストレスなどによるエネルギーの滞り「気滞」などが、ニキビを引き起こす根本原因と考えられています。
漢方薬は、これらの乱れたバランスを整えることで、ニキビができにくい体質へと導くことを目的とします。
顔のニキビによく用いられる清上防風湯なども、体の熱を冷ますことで炎症を鎮める漢方薬の一つです。
【症状別】自分のタイプに合った背中ニキビ向け漢方薬の選び方
背中ニキビと一言でいっても、赤く腫れているもの、黄色く膿んでいるもの、生理周期で悪化するものなど、その症状は人それぞれです。
漢方治療では、こうした個々の症状や体質を丁寧に見極め、最も適した漢方薬を選ぶ「随証治療(ずいしょうちりょう)」という考え方を基本とします。
自分のニキビがどのタイプに当てはまるのかを把握することが、改善への第一歩となります。
ここでは、代表的な症状ごとにおすすめの漢方薬のタイプを紹介します。
赤く腫れて痛むニキビには熱を冷ます漢方薬
赤みや腫れが強く、熱感や痛みを伴う炎症性のニキビは、漢方では体内に過剰な「熱」がこもっている状態と捉えます。
特に上半身に熱が集中しやすいため、背中や胸、顔に症状が現れやすいのが特徴です。
このタイプのニキビには、こもった熱を冷まして炎症を鎮める「清熱剤(せいねつざい)」に分類される漢方薬が適しています。
代表的な漢方薬として、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)や荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)などがあり、皮脂の分泌を抑制し、化膿を防ぐ働きが期待されます。
ツムラやクラシエなどの製薬会社から、医療用医薬品や市販薬として提供されています。
黄色く膿んでしまったニキビには排膿を促す漢方薬
ニキビの炎症が進行し、黄色い膿が溜まってしまった状態は、体内の解毒作用が追いつかず、細菌感染が起きているサインです。
この段階では、炎症を強力に抑えながら、膿を体外へ排出しやすくする作用を持つ漢方薬が用いられます。
膿をスムーズに出すことで、ニキビの治りを早め、色素沈着やクレーター状のニキビ跡が残るリスクを軽減する効果も期待できます。
代表的な漢方薬には、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)や排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)があります。
これらは化膿性の皮膚疾患に広く応用され、肌のターンオーバーを助けながら、炎症の悪化を防ぎます。
生理周期で悪化するニキビには血の巡りを整える漢方薬
生理前になると決まって背中ニキビが悪化する、あるいはニキビの色が紫がかった暗い色で治りにくいといった場合は、女性ホルモンのバランスの乱れや、漢方でいう「瘀血(おけつ)」、すなわち血の巡りが滞っている状態が原因として考えられます。
瘀血になると、皮膚に十分な栄養が届かず、老廃物が溜まりやすくなるため、ニキビをはじめとする肌トラブルが起こりやすくなります。
このタイプには、血行を促進してホルモンバランスを整える桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などが適しており、ニキビだけでなく、生理痛や月経不順といった婦人科系の不調の改善も期待できます。
ストレスや不規則な生活によるニキビには気の巡りを整える漢方薬
強いストレスや睡眠不足、不規則な食生活などが続くと、自律神経が乱れ、生命エネルギーである「気」の巡りが滞る「気滞」という状態に陥りやすくなります。
気の巡りが悪くなると、体の熱のバランスが崩れて上半身に熱がこもりやすくなったり、ホルモンバランスが乱れたりして、ニキビの発生につながります。
イライラしやすい、気分の浮き沈みが激しいといった精神的な不調を伴うことも少なくありません。
このような場合は、気の巡りをスムーズにする加味逍遙散などが用いられ、心身の緊張を和らげることで、ストレスによる肌荒れを改善に導きます。
漢方薬を始める前に知っておきたい3つのポイント
背中ニキビの改善を目指して漢方薬を取り入れる際には、事前にいくつかのポイントを理解しておくことが大切です。
自分に合った漢方薬を見つけ、無理なく治療を継続するためには、薬の形状や入手方法、費用の違いなどを知っておくとよいでしょう。
また、漢方薬による体質改善には時間がかかることもあるため、症状によっては皮膚科での西洋医学的な治療を組み合わせることも、より早い改善につながる有効な選択肢となります。
無理なく続けられる剤形(錠剤・顆粒)を選ぶ
漢方薬は、生薬を煮出して成分を抽出する「煎じ薬」が最も効果的とされていますが、手間がかかるのが難点です。
現在では、煎じ薬のエキスを乾燥させて粉末にした「顆粒(エキス剤)」や、それを固めて飲みやすくした「錠剤」が主流となっています。
漢方薬は毎日継続して服用することで効果が現れるため、自分のライフスタイルに合わせて、無理なく続けられる剤形を選ぶことが重要です。
漢方特有の味や香りが苦手な場合は錠剤、お湯に溶かして飲むことで香りを楽しみながら服用したい場合は顆粒など、それぞれのメリットを考慮して選択するとよいでしょう。
ドラッグストアなどで購入できる市販薬は、主に顆粒や錠剤タイプです。
早く治したい場合は皮膚科での治療も選択肢に
漢方薬は体質を根本から改善することを目的としているため、効果を実感するまでには数週間から数ヶ月かかることが一般的です。
そのため、炎症が強く痛みを伴うニキビや、広範囲にわたって症状が広がっている場合など、早期の改善を求める際には、皮膚科での西洋医学的な治療を併用することが推奨されます。
皮膚科では、抗菌作用のある外用薬や内服薬、毛穴の詰まりを改善するピーリングなど、ニキビの症状に直接働きかける治療が受けられます。
漢方薬で体の内側からケアしつつ、皮膚科の治療で外側から炎症を抑えることで、より効果的かつスピーディーな改善が期待できます。
漢方の効果を高める!背中ニキビを改善するセルフケア
漢方薬による体質改善の効果を最大限に引き出すためには、日々の生活習慣を見直すことが欠かせません。
特に食事、睡眠、スキンケアの3つは、肌の状態に直接影響を与えるため、漢方薬の服用と並行して取り組むことが重要です。
体の外側と内側の両方から総合的にケアを行うことで、ニキビができにくい健やかな肌状態を目指し、再発を予防することにもつながります。
毎日の少しの心がけが、根本的な改善への近道となります。
脂っこい食事を避け、バランスの良い食生活を心がける
揚げ物やスナック菓子、白砂糖を多く含む甘いものなどの脂質や糖質が多い食事は、皮脂の分泌を過剰にし、ニキビを悪化させる一因となります。
漢方の観点からも、こうした食事は体内に余分な「熱」や不要な水分である「湿」を溜め込み、ニキビができやすい環境を作ると考えられています。
皮脂の分泌をコントロールするビタミンB群(豚肉、レバーなど)、肌の再生を助けるビタミンC(パプリカ、ブロッコリーなど)、抗酸化作用のあるビタミンE(アボカドなど)を積極的に摂取することが大切です。
野菜やきのこ、海藻などを食事にバランス良く取り入れ、肌の健康を内側から支えましょう。
肌のターンオーバーを促す質の良い睡眠をとる
健やかな肌を保つためには、肌の細胞が生まれ変わる「ターンオーバー」が正常に行われることが不可欠です。
このターンオーバーは、主に睡眠中に分泌される成長ホルモンによって促進されます。
特に、眠りについてから最初の3時間は成長ホルモンの分泌が最も活発になるため、この時間帯に深く眠ることが重要です。
眠りにつく時間も大切で、諸説ありますが、成長ホルモンの一時ピークは21時、二時ピークは0時という話もあります。
つまり、早寝や遅くともその日のうちに寝ることが重要です。
睡眠不足や睡眠の質の低下は、ホルモンバランスの乱れや自律神経の不調を招き、皮脂の過剰分泌や肌のバリア機能の低下につながります。
就寝前はスマートフォンなどのブルーライトを避け、リラックスできる環境を整えるなどして、質の良い睡眠を確保する工夫を取り入れましょう。
背中を清潔に保つための正しいスキンケア方法
背中は皮脂腺が多く、衣類で蒸れやすいため、アクネ菌が増殖しやすい環境です。
清潔を保つことが基本ですが、洗いすぎは禁物。
ナイロンタオルなどで強くこすると、肌のバリア機能が損なわれ、かえってニキビを悪化させる可能性があります。
洗浄力がマイルドな石鹸やボディソープを選び、たっぷりと泡立てて、手でなでるように優しく洗いましょう。
また、シャンプーやコンディショナーのすすぎ残しが毛穴を詰まらせる原因になることもあります。
体を洗うのは、髪をすすいだ後に行うのがおすすめです。
入浴後は、清潔で吸水性の良いタオルで水分を優しく押さえるように拭き取り、乾燥を防ぐために保湿ケアを行いましょう。
まとめ
しつこい背中や胸のニキビは、漢方薬を用いて体の内側からバランスを整えることで、根本的な改善を目指せます。
漢方では、ニキビの原因を「熱」や血の巡りの滞りである「瘀血」、ストレスによる「気滞」など多角的に捉え、個々の症状や体質に応じて清上防風湯や桂枝茯苓丸といった体質に合った適切な漢方薬を選びます。
漢方薬を始める際は、続けやすい剤形を選んだり、市販薬と処方薬の違いを理解したりすることが大切です。
また、症状が重い場合は皮膚科での治療を併用することも有効な手段となります。
さらに、脂質の多い食事を避ける、質の良い睡眠を確保する、正しいスキンケアを行うといったセルフケアを組み合わせることで、漢方薬の効果を高め、ニキビの再発を防ぎます。