漢方を飲むことで妊娠しやすい身体を作ります
漢方
なぜ不妊に漢方？
西洋医学は対症療法が中心ですが、東洋医学は根本療法を目指すと言われています。
風邪の治療を例にお話をさせて頂きますね。
風邪を引くと熱や咳、鼻水などの症状が出ると思います。
病院では、熱を冷ます薬や、咳や鼻水を抑える薬で対処します。
つまり、風邪そのものを治療するわけではありません。
現れた症状に対処する、これが西洋医学です。
一方、東洋医学は、身体のバランスを整え、人が本来持っている生命力を高め、そもそも風邪を引きにくい身体、風邪をこじらせない身体づくりを行います。
これが東洋医学であり、漢方です。
それでは不妊の話に移りましょう。
不妊は、「絶対不妊」と「相対不妊」の2つに大きく分けられます。
「絶対不妊」は、妊娠を妨げている原因が明らかで自然妊娠が不可能なため、西洋医学の力が必要になります。
それに対して、「相対不妊」とは、夫婦のどちらにも明らかな原因を見つけれない、又は、さまざまな原因が妊娠の妨げになっている場合を指します。
ここで西洋医学の特徴が見えてきます。
西洋医学は明確な原因を治療することで病気を治療しますが、逆を言えば明確な原因が分からない場合や、病気を起こしている原因が多い場合は、対応が難しいという点です。
一方、異なった視点を持つ漢方医学は、原因が不明であったり、体質に大きく依存するような病気、または原因は分かっていても、その原因が多すぎて西洋医学的に対応が難しい病気に対しても有効です。
例えば、西洋医学では「冷え性」そのものは病気と考えません。
しかし、「冷え性」は不妊の原因のひとつです。
身体の冷えは、子宮や卵巣の冷えにまで及び、質の良い卵子が出来づらくなる可能性もあります。
西洋医学では病気と考えない状態に対しても、漢方はその力を発揮します。
不妊に漢方を用いるのは、病気ではない身体の不調も改善し、身体が本来持っている力を高めるからなのです。
命を育む土台を整えましょう
不妊で悩んでいらっしゃる方に、仕事や家事で働き、常に疲労気味の女性が多く見られます。
また、不規則な食生活、栄養の偏り、昼夜逆転・夜遅い生活、冷え性や貧血等々、知らず知らずに身体を酷使し、エネルギーが枯渇状態になっています。
妊娠とは、自分の身体の中に新たな命を宿すことです。
自分自身の身体が疲弊している状態では、新たな命を宿すことはもちろん、命を育む力も足りません。
「排卵促進剤を飲み続けても、いい結果が出ない」
「人工授精や体外受精をしたけれど、着床しなかった、流産してしまった」
不妊治療は経済的にも、肉体的にも大きな負担となります。
そして何より精神的な負担は計り知れません。
出口の見えない暗いトンネルに迷い込んだような孤独と苦痛、そして焦り。
そのストレスがまた母体環境を悪化させる。
このような悪循環を引き起こしてしまいます。
命を授かるということは、これだけ努力したのだから、これだけの結果が出るということにはなりません。
しかし、諦めてしまえばそこから先には進みません。
まずは身体づくりです！
なぜなら、荒れた大地にいくら種を蒔いても根付かないからです。
土台となる母体が不安定では、卵子の発育は望めません。
現在のあなたのため、未来のあなたと赤ちゃんのために
私たち人間は本来素晴らしい生命力を持っています。
ところが、さまざまな要因により、その力が奪われ、弱っている方が多くいらっしゃいます。
漢方は、人が持つ本来の力を取り戻し、底上げするサポートをします。
エネルギーに満ち溢れた身体に整えば、卵巣自体の機能も高まります。
そして、漢方によって母体の環境が整えば、人工授精や体外受精を受けても、妊娠する確率がより高くなります。
ただし、豊かな大地を作るには時間がかかるものです。
漢方と身体に必要な栄養素を飲んでも、その影響を受けた良質な卵子が出てくるのは、4ヵ月以降。
妊娠には1年程度かかると思った方がよいでしょう。
たとえ時間はかかっても、健康な身体づくりは妊娠の為だけでなく、これからの人生の為にもとても大切なことです。
まずは出産がありますよね。
出産には膨大なエネルギーと体力を必要とします。
陣痛から始まり分娩までにかかる時間も痛みも人それぞれ違います。
そして、命を授かり、母親になるということ…、妊娠・出産はゴールではありません。
長い子育てが待っています。
子育てこそ体力勝負！
子供にとってお母さんの存在は太陽です。
太陽の光を十分に浴びた子供はすくすく育ちます。
未来のあなたと赤ちゃんの為にも、丈夫で健康な身体をつくり、子育てを存分に味わい、楽しんで頂きたいと、私は願っています。
不妊によく用いられる漢方
漢方薬局であれば、どこへ行っても不妊治療に適した漢方があるというわけではありません。
なぜかと言いますと、通常の漢方薬局ですと、不妊のための漢方が数種類程度しか置いてない場合もあるからです。
これでは、ひとりひとりの身体に合った漢方というわけにはいきません。
不妊に至る原因は、冷え性、生理不順、子宮腺筋症、子宮内膜症、多のう胞性卵巣、高プロラクチン血症などなど、人によってそれぞれ違います。
また、同じような症状だとしても、身体の状態も実にさまざまです。
福神トシモリ薬局では、不妊専用の漢方だけでも10種類以上あります。
では、実際にどのような漢方があるのかご紹介していきましょう。
附子理中湯（ぶしりちゅうとう）
冷え性に悩む方の中でも、顔色が悪く、手足の冷え、下痢などの症状がある方に用います。
鹿茸（ろくじょう）
中国最古の薬物書といわれる、『神農本草経［しんのうほんぞうきょう］』にも記述があり、「悪血、寒熱驚癇を主治し、気を益し、志を強くし、歯を生じ」とあるように、滋養強壮に非常に優れた漢方です。
生殖機能、全身機能などを活発化し、子宮の冷えによる不妊や、虚弱体質、不正出血、めまいや耳鳴り、老化に伴う様々な症状に力を発揮します。
真武湯（しんぶとう）
身体の「水（すい）」を整える働きを持ち、虚弱体質で冷えやめまいを感じている方に用います。
漢方の考え方で「水（すい）」は、血液以外の体液を指し、体内の水分や免疫機能などに関わっているとされています。
冠心逐瘀丹（かんしんちくおたん）
血液が滞った状態である「瘀血（おけつ）」の状態がある方に。
目の下にくまができたり、頭痛や肩こり、めまいの症状がある方に用いられます。
補中益気湯（ほちゅうえっきとう）
「補中」とは、衰えた胃を補い強化する、「益気」とは、滅入りがちな気持ちをひきたてるという意味で、消化器系の機能低下、体力の低下・虚弱の回復を目指します。
胃腸機能の衰えによる疲労感、倦怠感を訴える人で、普段から病弱な体質、体が疲れやすくだるい、食欲がない、寝汗をかくなどの症状や病後の衰弱などがある方に用います。
当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）
「当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）」は、全身に栄養を与え、血行を促進させるのと同時に利尿作用で余分な水分をとり除いて、冷えや生理不順を改善します。
足腰の冷えやすく顔色が悪い、生理不順、汗をかきにくい方などに有効です。
人参養栄湯（にんじんようえいとう）
「人参養栄湯（にんじんようえいとう）」は、消化器の働きを高め、栄養を身体のすみずみに行き渡らせます。
貧血、胃腸消化力の低下、手足の冷え、疲労倦怠、病後の体力が低下した時などに用います。
十全大補湯（じゅうぜんだいほとう）
「十全大補湯（じゅうぜんだいほとう）」は、“完全に大いに補う”という意味で名付けられています。
胃腸のはたらきを高め、食べ物の栄養分を消化吸収できるようにして、体力と気力を補い、元気を取り戻します。
朝起きるのがつらいほど疲れている、休んでも疲れが抜けない、病中・病後・手術後で体力が弱っている方に用います。
逍遥散（しょうようさん）
肝の働きが悪くなり、胃腸に悪影響を起こしている状態を緩和します。
イライラがある、緊張すると下痢してしまう、ガスが溜まりやすい、お腹が張りやすい、ゲップが出やすい方に用います。
加味逍遥散（かみしょうようさん）
血液循環をよくして血行を促進する一方、のぼせなど上半身にたまった熱を冷やします。
また、気分を安定させ自律神経を整えます。
疲れやすくイライラする方、気分が不安定になりやすい方に用います。
加味帰脾湯（かみきひとう）
日中疲れやすく、夜眠れない方に効果を発揮する漢方薬です。
不眠や睡眠不足に悩まされている方の、不足している「血（けつ）」を補い、熱を鎮め、眠りやすくします。
亀鹿霊仙廣（きろくれいせんこう）
漢方薬の名前に含まれている「亀」と「鹿」はそれぞれ中国神話によく登場する動物で、その甲羅や角は古来より健康維持に必要な物として重宝されてきました。
潤いや精を補う作用があります。
四逆湯（しぎゃくとう）
内臓、四肢を温める「乾姜」が含まれているため、手足の強い冷えを感じている方、下痢の症状がある方に用います。
あなたの体質と症状に合った漢方を飲むことが大切です
不妊に用いる漢方をたくさんご紹介してきましたが、漢方はただ飲めばいいというわけではありません。
一見同じような症状だとしても、身体の状態はお一人お一人違うからです。
福神トシモリ薬局では、カウンセリングを非常に大切にしています。
ご相談に来られた方の検査値や基礎体温、生活環境など細かくお聞きして、身体の状態を分析した上で、身体づくりに必要な漢方と栄養素をご提案させていただきます。
漢方と栄養素でホルモンを活性化し、質の良い卵と着床力の高い身体づくりをして、自然妊娠された方が大勢いらっしゃいます。
また、40歳以上の妊娠率がどんどん高くなってきています。
H26年〜H28年の3年間の当店の全妊娠数276人の42%が、40歳以上の方々です。
遠い祖先から脈々と受け継がれてきた命のバトンタッチがスムーズに行われるよう、精一杯サポートをさせていただきます。
一緒に頑張りましょう！
