赤ちゃんが欲しいあなたに親になる喜びを~不妊と漢方の関係について~

赤ちゃんが欲しいあなたに親になる喜びを~不妊と漢方の関係について~ 漢方

現在、不妊に悩まれている方が多く見受けられます。
福神トシモリ薬局にも、不妊に悩み、心身ともに疲れ切った患者さんが多くいらっしゃいます。

私は子どもを持つ母親として、我が子を胸に抱ける喜びを身をもって経験しています。
そして、私の元を訪ねて漢方を飲み始めた方が妊娠し、無事に出産できたときの大きな喜びを共有するたびに、命の誕生のお手伝いができることの尊さを強く感じています。

自分の手に我が子を抱ける喜びと、母になる幸せ、その感動を味わっていただくお手伝いをしたいと思っています。

私の不妊相談では、漢方と栄養素を飲むことにより、良い卵子と着床できる子宮、そしてお腹に宿った命をしっかりと育むことができる身体作りをしていただいています。

不妊と漢方の関係をお話しするにあたり、まずは不妊について、前段からお話しさせていただこうと思います。

不妊とは

不妊と聞くと単純に妊娠ができないこと、と思われる方が多いと思います。
けれども、実は不妊には定義があり、生殖年齢の男女が赤ちゃんが欲しい、と望み、避妊することなく通常の性交をしているのにも関わらず、妊娠ができない状態が1年以上続くと、不妊、ということになります。

また、原因が分かっている・いないに関わらず、この不妊の状態になった場合に「不妊症」と定義されます。
不妊症は検査をしていることや不妊の理由に関わらず定義されるため、不妊症イコール病気ではありません。

病気ではない、ということが不妊の方の苦悩をさらに深めていると感じます。
なかなか周囲の理解が得られず、苦しんでいる方がたくさんいらっしゃいます。
私はこういった方の心と身体を癒し、新しい命を育む力をつけるお手伝いがしたいと考えています。

自然妊娠が不可能な絶対不妊

実は不妊は、絶対不妊と相対不妊に分けられます。

絶対不妊というのは、妊娠を妨げている原因が明らかで、自然妊娠が不可能なことを言います。
女性の場合は、排卵が全くない場合、男性の場合は精液中に全く精子がいないことなどが原因です。
また、極端な例を挙げますと、子宮や睾丸がない、というのも絶対不妊となります。

このような状態の場合には、ART(生殖補助医療)をしなければ妊娠は望めません。
代理母や卵子・精子提供が必要になります。
ですから絶対不妊の場合には、漢方での不妊体質改善というよりは、病院での治療が中心となります。

原因が改善されれば自然妊娠の可能性がある相対不妊

相対不妊というのは、妊娠しづらくしている何らかの原因が男性側か女性側、あるいは双方にあり、その原因が改善されれば自然妊娠の可能性がある場合を指します。

例えば、女性の基礎体温、という一つの指標があります。
妊娠に至るまでの理想的な指標ではほぼ二週間の低温相とほぼ二週間の高温相に分かれ、温度差が0.3℃以上あることが理想的であるとされています。

しかし、私どもの薬局に相談に来られる方の大半が、基礎体温が理想の形とは程遠い状態です。
毎朝基礎体温を測っていただき、基礎体温表を付けていただいておりますが、基礎体温表のグラフがガタガタになっている方や、低体温になっている方がいらっしゃいます。

また、プロゲステロン値が低く、黄体機能不全に陥っていることや、子宮筋腫、子宮内膜症にかかっていることが原因で不妊になっている場合も、相対不妊であると言えます。

お母さんと赤ちゃん 相対不妊の場合には、漢方による不妊体質改善をおすすめしています。
福神トシモリ薬局では、その方の体質に合わせた漢方と栄養素を飲んでいくことで、妊娠しやすい身体作りをしていきます。

妊娠しやすい身体を作る、と聞くと遠回りに感じるかもしれませんが、身体に新しい命を育む力をつけることが何より大切であると思います。

植物だって、荒れた土地にいくら種をまいても芽が出ません。
人間だって同じことなのです。

着床しやすい健康な身体を作ること。
母体に赤ちゃんを育てる力を備えるお手伝いをすること。
これが私の使命だと考えています。

一般的な検査では明らかな原因が特定できない機能性不妊

相対不妊の中には機能性不妊というものがあります。
これは、一般的な不妊症の検査を病院で行っても、明らかな原因が夫婦のどちらにも見つけられない場合のことを言います。
より精密な検査を行えば、その原因が特定できる場合もあります。

幸せそうな妊婦

精密検査で特定できるものには、「子宮内膜症」や「子宮内膜ポリープ」が挙げられます。

しかし、精密検査でも特定できない原因もあるのです。
一番の大きな原因として考えられているのが「卵子の質の低下」です。

女性は年齢を重ねていくごとに原子卵胞の母数が減っていき、染色体異常の数も多くなります。

30代後半~40代になると妊娠しにくくなる、と一般的に言われるのはこのためです。

 

しかし、年齢だけで諦めないでほしいと思います。
40歳過ぎてからでも漢方と栄養素で身体作りをすれば、赤ちゃんを迎え入れることのできる身体になります。

原因に対して何らかの対処ができる器質性不妊

機能性不妊とは反対に、検査によって不妊の原因が明らかになり、何らかの対処ができる不妊のことを器質性不妊と言います。

妊娠するまでには、排卵→受精→受精卵の分割→着床という流れが必要になります。
この流れのどこかに問題があり、妊娠が困難になっている状態が器質性不妊です。

女性不妊の検査

女性が原因の不妊、女性不妊には、
・卵巣機能不全
・高温期不全
・高プロラクチン血症
・抗リン脂質抗体症候群
・多嚢胞性卵巣症候群
などが原因に挙げられます。

女性にはまず、基礎体温表を付けていただくようにし、排卵が正常に行われているかチェックしていきます。

その後、病院で卵管の通過性の検査をします。
排卵があり、卵管に詰まりがない場合には、排卵日を正確に予測した上で夫婦生活を持ってもらう、タイミング法を行っていきます。

基礎体温表のチェックや検査の結果、何らかの排卵障害が認められる場合には、投薬の治療を始められることもあります。
また、必要に応じて子宮鏡検査などの検査を行って原因を明らかにしていきます。

男性不妊について

夫婦 不妊と聞くと女性に多いようなイメージがあると思いますが、実は男性不妊が不妊原因の約40~50%を占めていると言われています。

男性の場合は、精液中の精子の数や運動状態、精子の形などに原因がある場合が多いため、精液検査をすることが大切です。

軽度から中等度の精液性状低下の場合には、生活習慣の見直しから始めていきます。

喫煙やアルコールの過剰摂取や、男性不妊の原因になり得るものは、できる範囲で控えていただきます。

睡眠を十分にとることも大切です。
その他にも、漢方や栄養素を摂取していただき、精子の数を増やしたり、精子の運動率を高めたり、という対応をしていきます。

軽度から中等度程度の精液性状低下でしたら、タイミング法または人工授精で妊娠することも多くあります。
高度の精液性状低下や無精子症の場合には、精巣精子摂取術や顕微授精、精路再建手術といった治療に進んでいきます。

福神トシモリ薬局では、男性不妊が原因の場合の相談ももちろん受け付けております。

不妊症の原因は男性と女性どちらにあるかはそれぞれですが、不妊相談に来られる際には是非ご主人にも一緒にお越しいただきたいと思います。

夫婦で不妊症を理解することが、お互いのためにも必要ですよね。
夫婦ともに正しく不妊を理解し支え合うことが、より良い結果に結びつきやすくなるはずです。

男性は自分に原因があると、なかなか相談しづらい、という場合も多いですが、是非安心して相談にお越しいただければと思います。

漢方と不妊の関係

さて、いよいよ漢方と不妊の関係のお話に入りたいと思います。

西洋医学は人間の表に現れた「症状」を見て治療を行いますが、漢方医学は人間の「全身状態」を見て治療を行います。

西洋医学では対症療法が中心で、症状に合わせた薬を選びます。
それに対して漢方医学では、原因療法を中心に行います。

漢方薬例えば頭痛がする方の薬を選ぶ場合、鎮痛剤ではなく、頭痛を引き起こしている漢方医学的な原因に対して薬を選びます。

漢方医学では根本からの治療を目指すため、漢方薬を服用することで身体がもっている本来の働きや自然治癒力を高めます。

西洋薬に比べれば、漢方薬は効果の確認に時間がかかることも多いかもしれませんが、身体本来の持つ力を高めることで、病気にかかりにくい丈夫な身体作りを目指しています。

漢方医学から見た不妊

不妊相談に来られる方のほとんどは、漢方医学で言うところの「精が不足」している方が多いです。

精というのは人の身体のエネルギーの源、生命の根幹を担うものです。
そして、生殖の原動力にもなるものなのです。

精には性ホルモンも含まれます。
つまり精が不足するということは、ホルモンの働きが低下する、ということです。
精というのは年齢とともに不足し、35歳くらいを境にどんどん減っていくのです。

精が不足すると、男性であれば精子が少なくなったり、運動率が悪くなったりします。
女性であれば着床しにくくなったり、卵子の質が低下していきます。
不妊につながってしまうのです。

精は腎に蓄えられ、腎の精が不足すると「腎虚(じんきょ)」という状態になり、また、漢方用語としての「血(けつ)」には、全身の組織や器官に栄養を与えるもの、という意味があります。
子宮に栄養を運ぶ血の不足も不妊症につながると考えられています。

血の流れが悪くなることは、子宮に栄養を運べなくなるだけではありません。
女性には大敵と言われる冷えも引き起こします。

身体が冷えることが不妊につながる一つの原因にもなります。
身体が冷えると、内臓である子宮や卵巣も冷えます。
すると、妊娠には欠かせない良い卵子ができづらくなってしまいます。

もちろん、冷えだけで不妊症になっている方ばかりではありません。
フルタイムで働いている女性も多くいらっしゃいますが、慢性的な疲れや睡眠不足など、生活習慣が乱れている方が増えてきています。
そういった要因が重なることで不妊になっている方が多いのです。

福神トシモリ薬局ではそういった様々な原因を考え、身体の不調の原因を解決していくことで、身体全体を健康にしていきます。
それが結果的に、不妊症の改善につながり、妊娠してからも流産しにくい身体、赤ちゃんを育む力を作るのです。

私たちは漢方と栄養素で、良い卵子と着床できる身体作りのお手伝いをしたいと考えています。

漢方で命を育むお手伝いを

では、私たちは不妊症の方一人一人にぴったりの漢方をどのように選んでいるのか、お話ししたいと思います。

例えば、現代病名で子宮筋腫を患っている方。
具体的な症状としては、
・月経周期が長い
・経血にレバーのような固まりがある
・無月経である
…などの症状がみられる方には、活血化瘀(かっけつかお)という治法を用いて漢方薬を選定します。

一方で、現代病名で卵管通過障害と診断された方は、
漢方医学ではいくつかの治法に分かれていきます。

例えば卵管通過障害の他にも
・頻尿
・尿が濃い
・悪臭のあるおりもの
などの症状がみられる場合には、清熱利湿(せいねつりしつ)という治法を用います。

また、卵管通過障害の他に
・イライラしやすい
・怒りっぽい
・寝つきが悪い
という症状がある方には養血柔肝(ようけつじゅうかん)という治法を。

・貧血
・疲れやすい
・元気がない
という症状がある方には益気養血(えっきようけつ)という治法を用いるのです。

先ほどもお話ししたように、漢方というのは症状だけを見るのではなく、ご相談に来られた方の全身状態を見て、合った漢方を出していきます。

日頃生活する上で気になっていること、例えばむくみや乾燥、頻尿など、一見不妊には関係ないようなことから、その方の持っている症状を判断していきます。

ですから、ご相談いただいた方一人一人に、一律同じ漢方を出すことはありません。
薬局に来られた方から詳しくお話を聞き、その方の身体の状態に合わせた漢方を飲んでいただきます。

子どもを望むすべての方に、母になる喜びを感じていただくために

家族 薬局に来られる方のお話を聞いていると、赤ちゃんをなかなか授かれない苦しい気持ちや不安な気持ちをひしひしと感じます。

また夫婦で時に悩み苦しみながらも、漢方と栄養素を続けることでしっかりとした身体を作り、無事出産にまで至った方を見ていると、赤ちゃんを授かり無事に抱っこできる喜びと幸福感の大きさを身をもって感じています。

「赤ちゃんが欲しい」と望む方のお手伝いをし、赤ちゃんを抱く喜びと幸せを感じていただくこと。
これこそが私の使命であり、願いでもあります。

命の誕生に関わるということは身の引き締まる思いと深い喜びを感じます。

私はこれからも、赤ちゃんを望む方のお役に立ちたい。
そして相談に来られた方の身体のケアだけではなく心のケアも行い、無事に赤ちゃんを育てられる身体作りのお手伝いをしていきたいと考えています。
赤ちゃんを望むすべての方に、母になる喜びをさしあげることができますように!

 

 

歳森 和明 / 薬剤師 - 国際中医専門員A級

薬剤師、国際中医師、笑顔セミナー認定講師。漢方薬局三代目。おだやかで大人しく見られがちですが、サーフィン、ダイビング、トライアスロンなど身体を動かすことや、食べ歩き・旅行が大好きなアクティブ人間です。SNS(Twitter、Facebook)で漢方や健康情報、勉強会情報を随時発信しています。