アトピーにお悩みの方は専門の薬剤師にご相談を
福神トシモリ薬局では、アトピーを改善するための漢方薬を「体質強化」という考え方をもとに選定しています。
漢方の考え方は、お悩みの症状を引き起こしている根本の原因を改善することで症状の緩和、治癒を目指すというものですが、アトピーの場合には、「体質改善」というよりも「体質強化」が必要だと考えます。
これはどういうことかと言いますと、例えば現在コップに7分目まで水が入っている、とします。
コップは自分の身体のアトピーに対する耐久力で、水はアトピーを起こす要因(食生活・生活習慣・アレルゲン・ストレスなど)と考えてください。
この状態でコップの大きさよりも多い水が入ると、水は溢れてしまいますよね。
水が溢れることによって、アトピーの症状は発症するのだと考えてください。
「体質強化」で目指すのは、このコップそのものを大きくすることです。
器の容量が増えることで、同じ量の水が入っても、溢れてしまうということがなくなります。
また、同時にコップに入る水の量を減らしていくことも大切です。
生まれ持った体質などによりアトピーの症状を引き起こす要素は持っていても、その症状が現れないよう、体質を強化していこうというのが福神トシモリ薬局での考え方になります。
今回は、体質強化のために用いられる漢方の代表的な方剤をいくつかご紹介させていただきます。
アトピーの改善に用いられる代表的な漢方方剤
一口にアトピーと言っても、お肌に現れる症状やかゆみ、炎症の度合いなどは人それぞれ異なります。
肌が乾燥してカサカサするタイプの方には、当帰飲子(とうきいんし)などを選定することがあります。
当帰飲子(とうきいんし)は、皮膚疾患に使用する代表的な方剤のひとつです。
10種類の生薬を合わせた漢方薬で、お肌に潤いを与え、かゆみを鎮めます。
カサカサ乾燥タイプの方に対して、アトピーでお悩みの方に見られるのが、お肌が赤くなり、ジュクジュクするタイプです。
胃腸の働きが悪かったり、お酒をたくさん飲まれる方は、体内に余分な水分が溜まることで皮膚表面にも影響が現れやすく、ジュクジュクしたアトピーの症状を引き起こします。
また、このタイプのアトピーは、夏や季節の変わり目の時期に悪化するのも特徴です。
赤くてジュクジュクし、滲出液が多いタイプの方には、以下のような漢方が代表方剤として挙げられます。
・消風散(しょうふうさん)
荊芥(けいがい)、防風(ぼうふう)、蒼朮(そうじゅつ)
木通(もくつう)、石膏(せっこう)、知母(ちも)、苦參(くじん)
地黄(じおう)、当帰(とうき)、牛蒡子(ごぼうし)、胡麻(ごま)
蝉退(ぜんたい)、甘草(かんぞう)
の13の生薬から成ります。
かゆみが強かったり、滲出液が多いという点に注目して選定します。
消風散(しょうふうさん)が効果的だと判断された場合、該当する症状を漢方では「湿熱(しつねつ)」と言います。
アトピーに限らず、じんましんなど、皮膚トラブルに用いられる代表処方です。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
黄連(おうれん)、黄ごん(おうごん)、黄柏(おうばく)、山梔子(さんしし)の4つの生薬で構成され、抗炎症作用を持ち、熱や赤みを鎮める働きがあります。
一方で、身体を冷やす効果があるため、炎症、熱のない人、冷え性の方には選定いたしません。
・茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)
茵蔯(いんちん)・山梔子(さんしし)・大黄(だいおう)
この3種の生薬で構成された漢方薬です。
大黄(だいおう)には便通を改善し、血行を良くする作用があります。
「皮膚は内臓の鏡」と言われています
上でご紹介した茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)には便通の改善を促す大黄(だいおう)が含まれていますが、「アトピーと便通はどんな関係があるの?」と思われる方もいらっしゃると思います。
漢方では、内臓を「五臓六腑」に分けて考えます。
肝・心・脾・肺・腎を五臓、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦を六腑としています。
五臓と六腑はそれぞれ結びついていて、肺と大腸は相互関係を持ちます。
肺は栄養やエネルギーなどを皮膚に送り届ける働きがあります。
脾は食べ物を消化、吸収し、エネルギーなどに変換する重要な役割を担っています。
消化吸収がきちんとできないと、必要なもの(潤いなど)が不足したり、余分な水分や熱が溜まりやすくなります。
アトピーだけに限らず、皮膚トラブルを改善するためには消化器官を整えることが必要だと、漢方では考えられています。
漢方の外用薬をご紹介
アトピーを改善するための漢方薬では、塗り薬をお渡しする場合もあります。
・紫雲膏(しうんこう)
患部に熱感がなく、肌がカサカサしている場合に使用します。
火傷の際に使用する薬として、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
余談ではありますが、この紫雲膏(しうんこう)は日本生まれの軟膏です。
世界で初めて麻酔を使って手術を行った、江戸末期の名医「華岡青州」という外科医が考案し、「潤肌膏」という漢方薬を元に作られました。
・中黄膏(ちゅうおうこう)
患部に熱がある場合や、化膿している場合に使用します。
こちらも上でご紹介した紫雲膏と同じく、外科医「華岡青洲」が「黄連膏」という軟膏を改良することで作られました。
アトピーを改善するためには生活習慣の改善も
アトピーのタイプや症状、普段の生活習慣は人によって異なります。
睡眠や食事、運動など、私たちの身体は、日々の生活によってつくられています。
アトピーの症状を引き起こしている「根本の原因」を改善するためには生活習慣を見直すことも大切です。
漢方の服用だけではなく、生活習慣の改善も同時に行うことで改善のスピードを加速させることができます。
漢方を用いた体質強化を進めるにあたって、こんな例え話をすることがあります。
改善するまでのスピードについて、「新幹線を選ぶか鈍行列車を選ぶか」という例え話です。
いずれの手段の場合にも、「アトピーの改善」という目的地は変わりません。
生活習慣の改善と漢方の服用を同時に行った場合には、目的地まで早く移動することができます。
一方、生活習慣は変えず、漢方だけで症状の改善を目指す場合には、鈍行列車のようにゆっくりとしたスピードで進むことになります。
ご相談に来られた方の生活スタイルや生活環境に合わせて、「目的地までのプラン」を練っていくということです。
また、アトピーの症状は食生活にも起因しています。
アトピーでお悩みの方がなるべく摂取を控えたほうがよいものとして、
・白砂糖
・油を多く使ったもの
・スナック菓子やファストフード
などが挙げられます。
アトピー症状につながっている生活習慣を見直し、体質強化を目指しましょう!
アトピーにお困りの方は漢方で体質強化を
自然由来の優しい漢方とは言え、体質、肌質に合っていないものを使うと、アレルギー反応やニキビなどの皮膚トラブルを引き起こす、といった可能性もあります。
今回ご紹介した漢方方剤も、あくまで代表方剤の一例です。
「アトピーの方にはこれ」というように、全ての方に同じ漢方薬を選定することは出来ません。
お悩みの症状や体質、生活習慣などによって、最適な漢方は異なります。
また、「脱ステロイド」を目指す時、現在ステロイド剤を使用している方が自己判断で急に使用を中断すると、リバウンドにより、さらに症状が悪化してしまうこともあります。
漢方薬を用いて、アトピーを根本から改善したいとお考えの方は、漢方専門の薬剤師がいる、福神トシモリ薬局にお任せください。
体質強化のために最適な漢方薬を、綿密なカウンセリングによって選定します。
ステロイドや抗アレルギー剤などの薬で、症状を一時的に押さえ込むだけではなく、アトピーの原因に対する体質強化を行っていきましょう!