高齢不妊の治療には、「身体づくり」が欠かせません
一般的に、「妊娠を希望して1年間夫婦生活を持っているにも関わらず妊娠しない状態」を「不妊症」と定義します。
日本産婦人科学会では、満35歳を超えて初産を迎えることを「高齢出産」としています。
同様に、35歳を過ぎても自然妊娠することができなければ、「高齢不妊」ということになります。
避妊をしなければすぐに妊娠できると考えるのが普通です。
しかし、私たちの身体機能は、加齢に伴い低下していきます。
35歳を境に、妊娠に必要な女性ホルモンの分泌量は急速に低下します。
38歳ではピーク時の半分まで減少、さらに40歳を過ぎると顕著に低下します。
何もしていなくても歳を取るように、妊娠に必要な身体の機能も、何もしなければどんどん衰えていってしまう一方なのです。
不妊治療を行っている婦人科、不妊を専門とするクリニックの数は、日本が世界でいちばん多いと言われているほどです。
日本ではそれだけ不妊にお悩みの方が多く、また、晩婚化や経済的な背景から、高齢出産を望む方が増えているのだと言えます。
また、自分自身とまったく同じ人間がいないように、高齢不妊と一口に言っても、不妊の原因はそれぞれ異なります。
それはつまり、お一人お一人適応される不妊治療は異なるということ。
自分に合った不妊治療の進め方を考えていきましょう。
もちろん、高齢不妊だからといって妊娠することができないわけではありません。
芸能ニュースなどでも見たことのある方もいらっしゃると思いますが、「妊活」を公表している芸能人の方がたくさんいらっしゃいますよね。
その中でも特に話題となるのが40代の方の妊娠・出産会見です。
世界中たくさんの方が年齢に関係なく妊娠・出産をしているように、たとえ「高齢出産」と言われる年齢であっても、妊娠・出産することは可能です。
一方、「年齢のために妊娠しにくい」ことは事実ですから、妊娠に向けての準備を行わなければなりません。
年齢とともに卵子の数は減少する傾向にあります
高齢不妊の方の中には、AMHの値が低い、という方がいらっしゃいます。
AMHとはアンチミューラリアンホルモン(または抗ミュラー管ホルモン)の略です。
これは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンのことを指しています。
この値でわかるのは卵巣の中にある卵子の残量の目安です。
卵巣年齢と言い換えることも可能です。
この値は卵子の質の良し悪しを表すものではありません。
そのため、AMHの値が高いから妊娠しやすい、あるいは低いから妊娠しづらいということはありません。
また、AMHの値は実年齢と相関していません。
同じ年齢でも高い方・低い方がいらっしゃいます。
しかし、AMHの値は加齢とともに減少、つまり卵子の数は年齢を重ねるごとに減少する傾向にあります。
もちろんAMHの数値が低い場合にも、妊娠は可能です。
一方で、AMHの値が低いということは、卵の数が少ないということを意味しています。
数が限られている貴重な卵子です。
確実に妊娠につなげたいと思っていても、卵子の質が低下している場合、受精や着床まで至ることが難しくなってしまいます。
また、卵子の質が低下していると、染色体異常が生じやすくなったり、着床しても胎児の発育が遅れがちになったりするということがあります。
卵子の質が低下する主な原因は、加齢による卵胞ホルモンの分泌低下です。
卵胞ホルモンが低下すると、卵巣で作られる卵子そのものも老化が進むと考えられています。
卵子の老化のスピードは、個人差が激しいと言われています。
ですから同じ40代でも、卵子の質が良くすぐに妊娠できたという方もいらっしゃいますし、30代でも卵子の質が関係して、妊娠まで至らないという方もいらっしゃいます。
高齢不妊の場合、目指すべきは「卵子の質」を向上させることです。
しかし、現代の高度な生殖技術をもってしても、卵子の質、あるいは精子の質を引き上げることはできません。
身体づくりを行って、卵巣機能を向上させましょう
不妊治療は、西洋医学の他に、東洋医学も存在します。
前述の、「高度な生殖補助技術」は、いわゆる西洋医学の分野です。
不妊治療は、ふたつの医学が手を結ぶことで効果的に治療を進めていくことができるのです。
明確な原因に対するアプローチや、手術や移植などの技術を要する医療が西洋医学の得意分野だとすると、東洋医学は、病気とは診断されない症状に着目して、体質改善を目指そうという考え方です。
西洋医学の視点では「冷え性」や「ストレス」は不妊の直接的な原因とは捉えません。
一方、東洋医学の視点では、慢性的な「冷え性」や「ストレス」は、身体機能の低下を引き起こしていると考えます。
「冷え性」は血行不良を引き起こす原因となり、身体の中の老廃物を排出できにくくしたり、子宮に栄養を行き渡らせることをできにくくします。
また、「ストレス」は自律神経に影響を及ぼすため、ホルモンバランスが乱れる原因となります。
漢方を飲むことで、身体の中から根本的な原因に働きかけ、「妊娠しやすい身体づくり」を目指します。
「妊娠しやすい身体」とは、身体機能が回復・向上している状態を指します。
卵巣の機能が向上すれば、おのずと「質の良い卵子」が形成されるのです。
けれども、漢方と栄養素を飲んだからといって、すぐに劇的な変化が訪れるということではありません。
漢方と栄養素の影響が卵子に現れるまでには、時間がかかります。
具体的な数値としては、良質な卵子の形成には90日かかります。
つまり、90日前の生活が、卵子に影響を与えるのです。
そこから人工授精や体外受精にトライすることになりますから、不妊治療には最低でも1年はかかると考えてください。
「身体づくり」を行っている期間は、いわば充電期間に相当します。
妊娠がゴールなのではありません。
無事出産を迎えられてこそ、不妊治療のゴールだと言えるのではないでしょうか。
そして、出産を迎えたあとは、子育てが待っています。
すくすく育つ赤ちゃんのお世話をするお母さんこそ、元気なエネルギーに溢れていなくてはいけませんよね。
携帯電話やスマートフォンなどの充電を行うとき、充電器を何度も抜き差ししていたのでは、なかなか充電を終えることができないように、私たち人間もすぐにエネルギー満タンとはいきません。
妊娠、そして出産を迎えられる身体をつくるためには、漢方と栄養素を継続して服用することが大切なのです。
不妊治療を続けていくための仕事と、不妊治療のために辞める仕事
お仕事をしながら不妊治療に取り組むことを考えている方、あるいは、まさに現在お仕事をしながら不妊治療に取り組んでいる方がいらっしゃると思います。
お仕事を続けながら不妊治療を行う場合には、以下のような「課題」が考えられます。
・仕事による疲労やストレスが軽減できない
・夫婦生活を持つため、パートナーとの予定を合わせる必要がある
・排卵などのタイミングに合わせて急に休まなければならないことがある
他にも、排卵誘発剤などの薬を使用すると、頭痛や吐き気、むくみなどの副作用が現れることもあり、業種によってはお仕事を中断せざるを得ないという方もいらっしゃると思います。
また、35歳間近の方、あるいはすでに40代の方は、会社の中でも重要なポジションに着任しているという方も少なくないと思います。
その場合、そもそもお仕事を辞めるという選択肢を選ぶことができないという方がいらっしゃることも確かです。
とはいえ、ART、いわゆる人工授精や体外受精といった「生殖補助医療」を受けるときには、肉体的にも精神的にも大変疲弊します。
望んだ結果が得られなかった場合には、落胆し、絶望してしまう方も少なくありません。
それでも翌日からまたお仕事に向かわなければならない状況がある場合、心と身体のバランスを崩してしまわないかが懸念されます。
不妊治療に専念するために、お仕事をお休みするという選択肢を選ぶ方は決して少なくありません。
一方で、不妊治療を考えているからこそお仕事に精を出すという方もいらっしゃいます。
不妊治療を行うにはお金が必要です。
経済的な面での安定は、すなわち精神的な安定とも考えられます。
お金がないからもう不妊治療を行うことができない、妊娠することができないという切迫した状況に追い込まれてしまうと、ストレスの原因となってしまうことが考えられます。
経済的な余裕が生まれることで、ARTなどの不妊治療にも安心して臨むことができる、ということも十分考えられるのです。
ご自身の心の声は、その方にしか聞こえないものです。
不妊治療にどのような姿勢で向き合っていくのかを、今一度問いかけてみましょう。
同時に、妊娠は男女のどちらか一方だけで成り立つものではありません。
不妊治療もまた、男女どちらかだけで行うものではなく、パートナーとふたりで行っていくものです。
お仕事とお身体の関係、経済面のことなど、不妊治療についてパートナーと今一度話し合うこともまた、不妊治療の一環と言えるでしょう。
妊娠しやすい身体づくりのためには生活習慣の改善も欠かせません
私たちの身体は、日々の生活によって作られています。
普段の食事によって血や骨は作られるように、ホルモンもまた、普段の生活リズムが大きく関係しているのです。
よく、夜の10時から2時のあいだは美肌が作られる時間だと言われていますよね。
つまり、この時間帯は体内のホルモンが活発に働いているということです。
そのため、夜の11時には熟睡している状態が好ましいのですが、仕事などで毎日遅い時間に就寝している方がたくさんいらっしゃいます。
また、毎日バラバラの時間に食事をとったり、食事の栄養バランスが偏っていたり、昼夜が逆転した生活というものに心当たりはございませんか。
乱れた生活習慣は、ホルモンバランスをも乱してしまうのです。
妊娠するための身体づくりには生活習慣の改善も欠かすことができません。
しかし、生活習慣の改善もまた、1日だけ行ったのでは改善とは呼べませんよね。
お仕事との兼ね合いや体質などによって、お一人お一人、最適な生活スタイルが異なります。
不妊の原因を根本から見直し、妊娠に適した生活習慣を身に付けたいとお考えの方は、不妊を専門とする漢方薬局、福神トシモリ薬局にご相談ください。
漢方と栄養素による身体づくりと並行して、妊娠・出産に適した生活習慣のご提案をさせていただきます。
福神トシモリ薬局では2004年1月1日から2016年12月31日までの12年間で、945名という大勢の方が、漢方による身体づくりを行ったことで妊娠に成功しています。
また、当薬局での最高妊娠年齢は47歳で妊娠、48歳で元気な双子の女の子を初産で出産されました。
高齢不妊はめずらしいことではありません。
それはつまり、高齢不妊に対する治療法も、ちゃんと存在するということです。
自分にあった漢方と栄養素、そして生活習慣を取り入れて、高齢不妊の治療を目指しましょう!