当帰芍薬散(ツムラ23番)の効果とは?副作用と合わない人を解説

当帰芍薬散(ツムラ23番)の効果とは?副作用と合わない人を解説 漢方

冷え性やむくみ、つらい生理不順といった不調を抱え、「当帰芍薬散が自分に合うのか知りたい」と感じていませんか。
この記事では、当帰芍薬散に期待できる効果や効能、体質との相性、副作用、他の漢方との違いを詳しく解説します。

読み終える頃には、ご自身の症状や体質が当帰芍薬散の適応であるか確信し、安心して服用を開始できるか、あるいは医師に相談すべきかの判断ができるようになります。

▼この記事でわかること
・冷えやむくみ、生理トラブルを改善する当帰芍薬散の仕組みと主な効果
・虚証・実証の体質や他の婦人科漢方との違いから自分に適しているか見極めるポイント
・胃腸の不調などの副作用リスクを抑えて安全に服用する方法
・体質改善の効果を実感するまでに必要な継続期間の目安

当帰芍薬散(ツムラ23番)はどんな漢方?女性特有の悩みに寄り添う薬

当帰芍薬散は、古くから「女性の聖薬」として知られ、月経不順や冷え症、貧血、更年期障害といった女性特有のさまざまな不調に用いられてきた漢方薬です。
ツムラの医療用漢方製剤では製品番号23番がこれにあたります。
この漢方は、体内の「血」を巡らせながら、余分な「水」の排出を促すことで、血行を促進し、水分代謝を整える働きを持ちます。

特に、体力がなく、疲れやすく、冷えやすい「虚証」と呼ばれる体質の人に適しています。
具体的な効果を理解することで、よりご自身の症状と照らし合わせやすくなります。

当帰芍薬散に期待できる具体的な効果一覧

当帰芍薬散は、血と水の巡りを改善する作用から、多岐にわたる薬効が期待できます。
主に、婦人科系のトラブル、血行不良による症状、水分代謝の異常に関連する症状の改善に用いられます。
これらの効果は、複数の生薬が組み合わさることで、体全体のバランスを整えながら穏やかに発揮されるのが特徴です。

ここからは、月経に関する悩みから更年期、産後の不調に至るまで、具体的な症状に対する効果を一つずつ見ていきましょう。

月経不順やPMS(月経前症候群)など生理の悩みを和らげる

当帰芍薬散は、血行を促進し、水分代謝の乱れを整える作用があるため、月経不順や月経困難症、PMS(月経前症候群)といった生理に関する悩みの緩和が期待できます。
血の巡りを良くすることで骨盤内のうっ血を改善し、生理痛を和らげます。

また、血と水を巡らせることで不調を改善し、PMSに伴う頭痛、むくみといった症状を総合的にケアする働きがあります。

つらい冷え性や立ちくらみを改善する

当帰芍薬散の持つ「活血」の作用は、血行不良の改善に直接的に働きます。
血の巡りを良くすることで、体の末端まで熱と栄養を届け、手足の冷えやしもやけといった症状を改善します。
また、めまいや立ちくらみ、動悸、疲労感なども、血が巡ることで軽減されます。

特に、体力がない虚弱体質の方の冷え性改善に適しています。

顔や手足のむくみを取り除く

当帰芍薬散には、体内の余分な水分を排出し、水分代謝を正常化する「利水」という作用があります。
この働きにより、特に夕方になるとひどくなる足のむくみや、朝起きた時の顔のむくみといった症状の改善が見込めます。
水分が体に溜まることで起こる体の重だるさや、めまい、頭重感などの不調にも効果的です。

血行促進作用と合わさることで、冷えを伴うむくみに対して特に有効とされています。

更年期障害に伴うめまいや頭重感を軽くする

更年期に入ると、女性ホルモンの減少によって自律神経が乱れ、めまい、頭重感、肩こり、疲労倦怠感など、さまざまな不調が現れやすくなります。
当帰芍薬散は、血行を促進し、水分バランスを整える作用により、これらの症状を緩和します。
特に、ふわふわとした回転性のないめまいや、頭が重く感じる症状に効果的です。

ホルモンバランスの乱れからくる血と水の滞りを改善し、心身の不調を穏やかに整えます。

産前産後の体力低下や不調をサポートする

当帰芍薬散は、妊娠中のむくみや足のつり、貧血などのトラブルや、産後の体力低下、めまい、疲労感の回復をサポートする作用があります。
血を巡らせるとともに、水分代謝を整えることで、母体の負担を軽減します。
構成生薬が比較的穏やかであるため、産前産後に選ばれる機会の多い漢方薬の一つです。

ただし、妊娠中や授乳中の服用は、必ず医師や薬剤師に相談の上、その指示に従ってください。

なぜ効くの?血を補い水の巡りを整える当帰芍薬散の仕組み

当帰芍薬散の効果の根幹には、漢方医学における「血」と「水」の概念があります。
この漢方は、「血」が不足した状態である「血虚」と、「水」の流れが滞った状態である「水滞」を同時に改善する作用を持ちます。
当帰や芍薬、川芎が血の巡りを良くし、蒼朮や沢瀉、茯苓が余分な水分を排出します。

これら6つの生薬が協調して働くことで、体を温め、栄養を届け、不要な水分を取り除くという総合的な効果を発揮するのです。
では、このような作用を持つ当帰芍薬散は、具体的にどのような体質の人に最も効果的なのでしょうか。

あなたは当帰芍薬散が合うタイプ?体質をセルフチェック

当帰芍薬散は、誰にでも効果があるわけではなく、特定の体質の人に特に効果を発揮しやすい漢方薬です。
漢方では、その人の体質や状態を「証」と呼び、当帰芍薬散は主に「虚証」の人に適しているとされます。
これから挙げる特徴に当てはまる項目が多いほど、当帰芍薬散が体質に合っている可能性が高いと考えられます。

体力がなく疲れやすい虚弱体質の人

当帰芍薬散が適しているのは、体力があまりなく、疲れやすい虚証タイプの人です。
具体的には、少し動いただけですぐに疲れてしまう、風邪をひきやすい、声に力がなく小さい、といった特徴が見られます。
これは、生命活動のエネルギー源である気や、体に栄養を運ぶ血が不足している状態と考えられます。

当帰芍薬散は血を巡らせることで、このような虚弱体質の改善をサポートします。

色白で筋肉が少なく、冷えやすい人

見た目の特徴としては、肌の色が白く、血色があまり良くない方が多い傾向にあります。
これは血虚の典型的なサインの一つです。
また、全体的に筋肉が少なく、華奢でなよやかな体つきであることも特徴で、いわゆる水太りしやすいタイプとも言えます。

筋肉は熱を生み出す重要な組織であるため、筋肉量が少ないと体が冷えやすくなります。
当帰芍薬散は血行を促進し体を温めるため、このような体質の方の冷え症に効果的です。

胃腸が弱い傾向がある人

もともと食が細かったり、食べ過ぎると胃がもたれやすかったりと、胃腸の働きが弱い傾向があるのも、当帰芍薬散が合う人の特徴です。
漢方では、胃腸は栄養を吸収し、「気」や「血」を生み出す源と考えられています。
そのため、胃腸が弱いと気血が不足しやすく、虚証につながります。

ただし、当帰芍薬散に含まれる芍薬は、人によっては胃にもたれることがあるため、胃腸が特に弱い方は注意が必要です。

要注意!当帰芍薬散が合わない人の特徴とは

当帰芍薬散は、体力がなく冷えやすい「虚証」タイプの人に適した漢方薬ですが、反対に体力が充実している「実証」タイプの人が服用すると、効果が得られなかったり、症状が悪化したりする可能性があります。
実証タイプの特徴は、体格ががっしりしていて筋肉質、声が大きく活気がある、食欲旺盛、暑がりで汗をかきやすい、のぼせやすい、便秘気味であることなどが挙げられます。

このような方が当帰芍薬散を服用すると、胃もたれや下痢などの不調を引き起こすことがあるため注意が必要です。
体質に合わない場合は、別の漢方薬が適しているかもしれません。

加味逍遙散・桂枝茯苓丸との違いは?症状別の選び方

婦人科系の不調に用いられる代表的な漢方薬には、当帰芍薬散の他に「加味逍遙散」と「桂枝茯苓丸」があり、これらは「婦人科三大処方」と呼ばれます。
どの薬を選ぶかは、その人の体力と、最も顕著に現れている症状によって異なります。
これら他の漢方薬との違いを理解することで、自分に最も合った選択がしやすくなります。

イライラや精神不安が強いなら加味逍遙散

加味逍遙散は、体力が中等度以下で、特に精神的な症状が強く出る方に適しています。
イライラ、怒りっぽい、不安感、不眠、気分の落ち込みといった「気」の巡りの滞り(気滞)や乱れによる症状が特徴です。
肩こり、疲れやすさ、のぼせなどを伴うこともあります。

当帰芍薬散や他の漢方と比較して、精神神経症状の緩和に重点が置かれている処方です。

のぼせや肩こりが気になるなら桂枝茯苓丸

桂枝茯苓丸は、比較的体力があり、血の巡りが滞っている「瘀血」の状態が強い方に用いられます。
具体的な症状としては、のぼせて足は冷える、肩こり、頭痛、下腹部痛、月経痛が重い、経血に塊が混じる、といった特徴が見られます。
他の2つの漢方薬と比べ、血の滞りを解消する作用が最も強力です。

冷えとむくみが主体なら当帰芍薬散

当帰芍薬散は、体力がなく(虚証)、冷え性でむくみやすい方に最も適しています。
血が不足している「血虚」と、水の巡りが悪い「水滞」が同時に見られるのが特徴です。
めまい、立ちくらみ、疲労感、月経不順などが主な症状となります。

他の2つの漢方薬と異なり、精神症状や瘀血の症状は比較的軽度で、貧血傾向や水分代謝の不調が中心の場合に選ばれます。

当帰芍薬散の副作用と注意点

当帰芍薬散は副作用が少ない漢方薬とされていますが、体質や体調によっては好ましくない症状が現れることがあります。
また、他の薬との飲み合わせや、市販薬と医療用の違いについても知っておくことが大切です。

副作用のリスクを最小限に抑えるためには、定められた服用量を守ることが基本ですが、万が一症状が悪化した際には速やかに服用を中止し、専門家に相談してください。
ここでは、服用する上で特に注意すべき点を解説します。

胃の不快感や食欲不振などの初期症状

当帰芍薬散の副作用として、最も報告が多いのが消化器系の症状です。
具体的には、胃の不快感、食欲不振、吐き気、下痢などが挙げられます。
これらは、もともと胃腸が弱い人に現れやすい傾向があります。

通常、食前に服用しますが、胃の症状が出る場合は食後に変更することで軽減されることもあります。
しかし、症状が続く、あるいは悪化するようであれば、薬が体質に合っていない可能性が高いため、服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。

当帰芍薬散の下痢副作用については「当帰芍薬散の下痢原因と対処法」で詳しく紹介しています。

他の薬や漢方薬との飲み合わせで気をつけること

当帰芍薬散は、西洋薬である他の医薬品との併用で重篤な副作用が起こることは稀とされています。
しかし、他の漢方薬を併用する際には注意が必要です。
漢方薬には複数の生薬が含まれており、異なる漢方薬を同時に服用すると、特定の生薬を過剰摂取してしまう可能性があります。

これにより、偽アルドステロン症といった副作用を引き起こすことがあるため、複数の漢方薬の服用を考えている場合は、必ず医師や薬剤師に相談してください。

市販薬「当帰芍薬散S」と医療用の違い

当帰芍薬散は、医師が処方する医療用医薬品と、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬があります。
両者の主な違いは、有効成分の含有量です。
一般的に、医療用の方が市販薬よりも多くの有効成分を含んでおり、より強い効果が期待できます。

市販薬は、比較的症状が軽い方向けに、安全性を重視して成分量が調整されています。
どちらを選ぶかは症状の程度によりますが、長期間改善しない場合や症状が重い場合は、医療機関を受診し、医師の診断を受けることが推奨されます。

効果はいつから実感できる?服用期間の目安

当帰芍薬散は、症状を一時的に抑える対症療法とは異なり、体質そのものを改善していくことを目的とする漢方薬です。
そのため、効果を実感できるまでにはある程度の時間が必要です。
個人差はありますが、一般的にはまず1ヶ月程度の継続服用が目安とされています。

早い方では2週間ほどで冷えやむくみの軽減などを感じ始めることもありますが、体質改善には数ヶ月単位での服用が必要になる場合もあります。
効果を得るためには、用法・用量を守り、毎日継続して飲み続けることが重要です。
通常は1日2回または3回、食前または食間に水か白湯で服用します。
定められた服用量を守り、焦らずに続けることが大切です。

当帰芍薬散に関するよくある質問

当帰芍薬散の服用を検討するにあたり、多くの方が抱く疑問についてお答えします。

当帰芍薬散は太るって本当ですか?

当帰芍薬散の服用が直接的な原因で太ることはありません。
むしろ、体内の余分な水分を排出する作用により、むくみが解消されて体重が減少したり、体がすっきりしたりすることがあります。
また、血行が促進されることで基礎代謝の改善につながる可能性も考えられます。

ロキソニンなどの痛み止めと当帰芍薬散は一緒に飲んでも大丈夫?

ロキソニン(ロキソプロフェン)などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と当帰芍薬散の併用は、基本的に問題ないとされています。
これまでに重篤な副作用の報告はありません。
ただし、他の医薬品を服用している場合は、念のため医師や薬剤師に飲み合わせを確認してもらうとより安心です。

当帰芍薬散を飲むと生理が遅れることはありますか?

当帰芍薬散にはホルモンバランスを整える作用があるため、服用開始後に一時的に月経周期が変動し、生理が早まったり遅れたりする可能性はあります。
多くの場合、服用を続けるうちに乱れた周期が整っていきますが、長期間にわたって不順が続く場合は、他の原因も考えられるため医師に相談してください。

男性が当帰芍薬散を服用しても効果はありますか?

はい、効果が期待できます。
当帰芍薬散は女性特有の症状に用いられることが多いですが、その効能は性別を問いません。
体力がなく疲れやすい、冷え性、めまい、むくみといった「虚証」で「血虚」「水滞」の体質が合致すれば、男性の同様の症状にも効果を発揮します。

まとめ

当帰芍薬散は、体力がなく冷えやむくみに悩む「虚証」体質の方の、月経不順、更年期障害に伴う不調などを改善する漢方薬です。
血と水の巡りを整えることで効果を発揮します。
一方で、体力が充実した「実証」タイプの方には合わない可能性があります。

副作用として胃腸症状が出ることがあるため、不調を感じた際は服用を中止し、専門家にご相談ください。
効果を実感するには1ヶ月程度の継続服用が目安となります。
ご自身の体質や症状と照らし合わせ、適切な選択をしてください。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。