月経過多を漢方で改善|貧血・子宮筋腫など原因別に選び方を解説
漢方
ナプキンが1時間もたないほどの経血量に、日常生活で不安を感じていませんか。
この記事では、ご自身の月経過多のタイプを把握し、原因に合った漢方薬を見つけることができます。
子宮筋腫などの病気が隠れているサインや、病院での治療法、40代以降の更年期における注意点も解説しており、貧血などのつらい生理症状を改善するための一歩を踏み出すための情報を得られます。
▼この記事でわかること
・経血量や貧血症状から病気のサインに気づくためのセルフチェック基準
・「気虚」「血熱」「瘀血」の体質タイプに応じた漢方薬の選び方
・子宮筋腫などの疾患を見逃さずに婦人科を受診すべき判断目安
・漢方の効果を高めて生理トラブルを根本改善するための日常の養生法
これって月経過多?まずは7つの項目でセルフチェック
月経過多とは、1回の生理期間における経血量が異常に多い状態を指し、医学的には140ml以上が目安とされます。
しかし、実際に量を測ることは難しいため、以下のような自覚症状で判断するのが一般的です。
当てはまる項目が多いほど、月経過多の可能性が高いと考えられます。
まずはご自身の生理の状態を確認してみましょう。
⬜︎昼間でも夜用のナプキンを使わないと不安
⬜︎ナプキンが1時間もたずに交換する必要がある
⬜︎経血にレバーのような大きな血の塊(直径3cm以上)が混じる
⬜︎生理期間が8日以上と長い
⬜︎めまいや立ちくらみ、動悸など貧血のような症状がある
⬜︎寝ている間に経血が漏れて、下着やシーツを汚してしまうことがよくある
⬜︎以前と比べて明らかに経血量が増えたと感じる
月経過多を放置する危険性|貧血や病気のサインかも
月経過多を「いつものこと」だと放置すると、鉄欠乏性貧血につながる可能性があります。
経血とともに体内の鉄分が大量に失われることで、血液中のヘモグロビンが減少し、めまい・立ちくらみ・倦怠感・動悸・息切れといった症状を引き起こします。
また、月経過多は子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープといった婦人科系の病気が原因となっているケースも少なくありません。
特に急に生理の量が増えた場合や、痛みがひどくなった場合は注意が必要です。
では、漢方医学では月経過多の原因をどのように捉えるのでしょうか。
漢方医学で考える月経過多の主な3つの原因
漢方医学では、月経過多は体内のバランスが乱れることで起こると考えます。
特定の臓器の不調ではなく、全身の「気・血・水」のバランスが崩れることが、過剰な出血につながるという考え方です。
そのため、漢方療法では、一人ひとりの体質や生理の状態を見極め、根本的な原因にアプローチします。
主な原因として、「気虚」「血熱」「瘀血」の3つのタイプが挙げられます。
エネルギー不足で経血をコントロールできない「気虚(ききょ)」
「気虚」とは、生命活動のエネルギー源である「気」が不足している状態を指します。
漢方では、気には血液が血管から漏れ出ないようにコントロールする「固摂(こせつ)」という働きがあるとされます。
気が不足するとこの固摂作用が弱まり、経血を体内に留めておけず、ダラダラと出血が続いたり量が増えたりします。
疲れやすい、食欲不振、胃腸が弱い、日中から眠いといった全身のエネルギー不足のサインが見られるのが特徴です。
生理の経血は色が薄く、サラサラしている傾向があります。
体の熱がこもり出血しやすくなる「血熱(けつねつ)」
「血熱」とは、ストレスや辛いものの食べ過ぎ、不規則な生活などによって体内に余分な熱がこもり、血液自体が熱を帯びてしまった状態です。
熱を持った血液は勢いを増して体内を駆け巡るため、血管が拡張しやすくなり出血傾向になります。
これが月経過多を引き起こす一因と考えられています。
イライラしやすい、のぼせやほてりを感じる、目が充血する、口が渇くといった症状を伴うことが多く、経血の色は鮮やかな赤色で、粘り気があるのが特徴です。
生理周期が早まる傾向も見られます。
血の巡りが悪く塊が出やすい「瘀血(おけつ)」
「瘀血」とは、血の流れが滞り、スムーズに巡っていない状態のことです。
冷えやストレス、運動不足などが原因で血行が悪くなると、子宮内で血液が滞留しやすくなります。
その結果、剥がれ落ちた子宮内膜がスムーズに排出されず、塊となって押し出されるため、レバーのようなドロッとした塊が多く見られます。
また、滞った血を排出しようと子宮が強く収縮するため、下腹部痛などの重い生理痛を伴うことが多いのも特徴です。
経血の色は暗赤色や紫がかった色味になります。
ご自身の体質タイプが分かったところで、次におすすめの漢方薬を見ていきましょう。
【原因・体質別】月経過多の改善におすすめの漢方薬の選び方
月経過多の改善に用いる漢方薬は、根本原因となっている体質に合わせて選ぶことが重要です。
前述した「気虚」「血熱」「瘀血」のタイプ別に、それぞれに適した漢方薬が存在します。
貧血症状や子宮筋腫に伴う症状など、生理の量以外の不調も考慮して薬が選ばれます。
自分の症状や体質がどのタイプに近いかを確認し、漢方薬選びの参考にしてください。
貧血や疲労感が気になる「気虚」タイプ向けの漢方薬
エネルギー不足の気虚タイプは、気を補って出血をコントロールする力を高める漢方薬が適しています。
代表的な漢方薬には補中益気湯や帰脾湯があります。
補中益気湯は、胃腸の働きを整えて気力を補い、疲労倦怠感を改善します。
一方、帰脾湯は気を補うとともに血も補う作用があり、貧血症状や不安感、不眠といった精神的な不調も伴う場合に用いられることが多い漢方薬です。
どちらも、生理で消耗した体力を回復させる助けとなります。
イライラやのぼせを感じやすい「血熱」タイプ向けの漢方薬
体内に熱がこもる「血熱」タイプには、余分な熱を冷まして血の巡りを穏やかにする漢方薬が用いられます。
「温清飲(うんせいいん)」や「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」などが代表的です。
また、特に40代以降の更年期にさしかかり、ホルモンバランスの乱れからくるイライラやのぼせ、不眠などを伴う場合は「加味逍遙散(かみしょうようさん)」が適しています。
気の巡りを整えながら熱を冷まし、精神的な不安定さを和らげることで、生理に関する不調を改善します。
経血にレバー状の塊が混じる「瘀血」タイプ向けの漢方薬
血の巡りが悪い「瘀血」タイプには、滞った血の流れを改善する「駆瘀血剤」が中心となります。
代表的な漢方薬が「桂枝茯苓丸」です。
比較的体力がある方向けで、月経過多のほか、重い生理痛や子宮筋腫、子宮内膜症の漢方療法にも応用されます。
また、出血が続き貧血傾向もある場合には、血を補いながら止血する作用を持つ「芎帰膠艾湯」が適しています。
ただし、漢方を試す前に確認すべき点もあります。
漢方を試す前に知っておきたいこと|病院を受診すべきケース
月経過多の症状緩和に漢方薬は有効な選択肢ですが、その背景に子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系の病気が隠れている可能性も否定できません。
自己判断で漢方療法を始める前に、まずは一度、婦人科を受診して器質的な異常がないかを確認することが重要です。
特に、これまでの生理と比べて急激な変化があった場合や、貧血症状がひどい場合は、速やかに医療機関に相談してください。
子宮筋腫と漢方の関係については「子宮筋腫に漢方という選択肢」で詳しく紹介しています。
婦人科で受診した方がよい症状の具体例
以下のような症状が見られる場合は、子宮筋腫や子宮内膜症、あるいは悪性の疾患が隠れている可能性も考えられるため、漢方療法の前に婦人科の受診が推奨されます。
⬜︎経血量が急に増えた、または閉経したはずなのに出血がある。
⬜︎日常生活に支障が出るほどの激しい生理痛や下腹部痛がある。
⬜︎生理期間以外の不正出血を伴う。
⬜︎動悸、息切れ、強いめまいなど、重度の貧血症状がある。
⬜︎妊娠の可能性がある場合。
これらのサインを見逃さず、専門医による適切な診断を受けることが、根本的な治療への第一歩です。
病院で行われる月経過多の検査と主な治療法
婦人科では、まず問診で生理の周期や経血量、痛みなどの症状について詳しく聞き取ります。
その後、内診や経腟超音波(エコー)検査で子宮や卵巣の状態を調べ、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気の有無を確認します。
貧血の程度を調べるために血液検査を行うことも一般的です。
治療法は原因によって異なりますが、低用量ピルや黄体ホルモン製剤(IUS:子宮内システム)によるホルモン療法、止血剤の処方などが行われます。
貧血がひどい場合は鉄剤が処方されます。
子宮筋腫などが原因の場合は、手術が治療の選択肢となることもあります。
漢方薬の服用を始めた場合、どのくらいの期間で効果が現れるのでしょうか。
月経過多の漢方薬はいつから効果が出る?服用期間の目安
漢方薬は、体質を根本から改善していくことを目的とするため、西洋薬のように即効性があるわけではありません。
効果の現れ方には個人差がありますが、一般的にはまず2~3ヶ月程度、服用を続けることが推奨されます。
飲み始めて1ヶ月ほどで、生理の状態や付随する症状に何らかの変化が見られるかどうかを一つの目安にするとよいでしょう。
体質の変化を実感できるようになるまでには、数ヶ月から半年程度の期間が必要になることもあります。
焦らずにじっくりと自分の体と向き合いながら、服用を続けることが大切です。
薬の効果を最大限に引き出すためには、日常生活の見直しも欠かせません。
漢方薬の効果を高めるために日常生活でできる3つの養生法
漢方療法と並行して、日々の生活習慣を見直す「養生」を行うことで、より効果的に月経過多の改善が期待できます。
養生とは、食事や睡眠、運動などを通じて体のバランスを整え、病気になりにくい体を作るという漢方独自の考え方です。
特に「食事」「体を温めること」「休養」の3つは、女性の体のリズムを整える上で非常に重要です。
体を冷やさない温活習慣を取り入れる
体の冷えは血行不良を招き、生理トラブルの大きな原因となります。
特に下腹部が冷えると子宮周りの血流が滞り、「瘀血」を助長してしまいます。
普段から体を冷やさない工夫を心がけましょう。
シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる習慣をつけるのがおすすめです。
また、腹巻やカイロを活用してお腹や腰を温める、冷たい飲食物を避けて温かいものを摂る、軽いウォーキングなどで血行を促進するといった「温活」を日常生活に取り入れてみてください。
鉄分とタンパク質を意識した食事を心がける
月経過多の方は経血と一緒に多くの鉄分を失うため、貧血に陥りやすい状態です。
食事から意識的に鉄分を補給することが大切です。
鉄分には、肉や魚に含まれる吸収率の高いヘム鉄と、野菜や豆類に含まれる非ヘム鉄があります。
非ヘム鉄は、ビタミンCや、血液の材料となるタンパク質と一緒に摂ることで吸収率がアップします。
バランスの良い食事で、失われがちな栄養を補いましょう。
十分な睡眠をとり心身のバランスを整える
睡眠不足やストレスは、自律神経やホルモンバランスの乱れに直結し、生理周期にも影響を与えます。
特に夜更かしは、エネルギーを消耗して「気虚」を悪化させたり、体に熱をこもらせて「血熱」を招いたりする原因になります。
質の良い睡眠を確保するために、就寝前はスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスできる環境を整えましょう。
心と体を十分に休ませることが、正常な生理のリズムを取り戻すための土台となります。
最後に、月経過多と漢方薬に関するよくある質問にお答えします。
月経過多と漢方薬に関するよくある質問
ここでは、月経過多の漢方療法に関する疑問について解説します。
市販薬の選び方や、他の薬との飲み合わせなど、服用を始める前に知っておきたいポイントをまとめました。
月経過多に用いる漢方薬はドラッグストアでも購入できますか?
はい、一部の漢方薬はドラッグストアなどの市販薬として購入可能です。
しかし、漢方薬は個人の体質(証)に合わせて選ぶことが非常に重要です。
自己判断で選んだものが体質に合っていないと、十分な効果が得られないばかりか、副作用を招く可能性もあります。
購入する際は、薬剤師や登録販売者などの専門家に相談することをおすすめします。
漢方薬とピルや鎮痛剤を一緒に服用しても問題ありませんか?
自己判断での併用は避けるべきです。
必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。
薬の組み合わせによっては、互いの効果に影響を与えたり、予期せぬ副作用が出たりする可能性があります。
特に病院でピルなどの治療を受けている場合は、漢方薬を試したい旨を必ず医師に伝え、指示を仰ぐようにしましょう。
子宮筋腫が原因の月経過多も漢方で改善が期待できますか?
漢方薬で子宮筋腫そのものを消滅させることは困難ですが、月経過多や重い生理痛といった随伴症状を緩和する効果は期待できます。
漢方療法では、血行を改善する「桂枝茯苓丸」などを用いて、筋腫の増大を抑制したり、つらい症状を和らげたりすることを目指します。
多くの場合、婦人科での西洋医学的な治療と並行して行われます。
桂枝茯苓丸の効果については「子宮筋腫の漢方療法」で詳しく紹介しています。
まとめ
月経過多の原因は、エネルギー不足や血行不良といった体質的なものから、子宮筋腫のような病気まで多岐にわたります。
漢方薬は、体の内側からバランスを整え、つらい生理の症状を根本から改善するための有効な選択肢の一つです。
しかし、重篤な病気が隠れている可能性もあるため、まずはセルフチェックや婦人科受診を通じて自身の状態を正しく把握することが重要です。
貧血などの症状がある場合は特に注意が必要です。
専門家と相談しながら、漢方薬の服用と生活習慣の見直しを組み合わせ、健やかな毎日を取り戻しましょう。


