子宮筋腫と漢方|「桂枝茯苓丸加薏苡仁」の効果と正しい飲み方| 不妊・妊活の漢方薬局(岡山) | 福神トシモリ薬局(オンライン相談可)

子宮筋腫と漢方|「桂枝茯苓丸加薏苡仁」の効果と正しい飲み方| 不妊・妊活の漢方薬局(岡山) | 福神トシモリ薬局(オンライン相談可)

子宮筋腫による月経痛や過多月経、腰痛などのつらい症状に悩む方は少なくありません。
西洋医学的な治療と並行して、体質から改善を目指す漢方という選択肢に関心を持つ方も増えています。

この記事では、子宮筋腫の症状緩和に用いられる代表的な漢方薬の一つ、「桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)」について、その効果や正しい飲み方、注意点などを詳しく解説します。

桂枝茯苓丸加薏苡仁とは?子宮筋腫にどう働くのか解説

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、血の巡りを改善する「桂枝茯苓丸」に、肌のトラブルやむくみの改善に用いられる「薏苡仁(ヨクイニン)」を加えた漢方薬です。
漢方では、子宮筋腫は滞った血の塊である「瘀血(おけつ)」が原因の一つと考えられています。

この漢方薬は、瘀血を解消することで、子宮筋腫に伴うさまざまな症状を和らげる働きが期待されます。

滞った血の巡り「瘀血(おけつ)」を改善する漢方薬

漢方医学において「瘀血(おけつ)」とは、血が滞り、流れが悪くなった状態を指します。
瘀血は、冷えやストレス、ホルモンバランスの乱れなどによって引き起こされ、月経痛、月経不順、肩こり、シミ、下腹部の痛みといった様々な不調の原因になると考えられています。

子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫などの婦人科疾患も、瘀血が深く関わっているとされます。
桂枝茯苓丸加薏苡仁は、この瘀血を改善する「駆瘀血剤(くおけつざい)」の代表的な漢方薬であり、血行を促進し、滞りを解消することで、子宮筋腫に伴う痛みや不快な症状を根本から和らげることを目的としています。

配合されている6種類の生薬それぞれの役割

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、6種類の生薬で構成されています。
「桂皮(けいひ)」は体を温め、気や血の巡りを良くし、のぼせや冷えを改善します。
「茯苓(ぶくりょう)」は余分な水分を排出し、むくみを和らげる働きがあります。
「牡丹皮(ぼたんぴ)」と「桃仁(とうにん)」は、滞った血(瘀血)を解消する中心的な生薬で、月経痛や下腹部の抵抗感を和らげます。

「芍薬(しゃくやく)」は筋肉の緊張を緩めて痛みを鎮める作用があり、月経痛の緩和を助けます。
これらに加えられた「薏苡仁(よくいにん)」は、体内の水分代謝を整え、肌荒れやイボの改善にも用いられる生薬です。
これらの生薬が協力し合い、婦人科領域の様々な症状に対応します。

子宮筋腫の症状に期待できる桂枝茯苓丸加薏苡仁の3つの効果

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、血の巡りを整え、体内の余分な水分を取り除くことで、子宮筋腫に伴うつらい症状の緩和が期待できます。
特に、月経時の痛みや経血量の問題、下腹部の不快感、さらには更年期に見られるようなのぼせや冷えといった全身の不調にも働きかけます。

ここでは、代表的な3つの効果について具体的に解説します。

月経時のつらい痛みや経血量の多さを和らげる

子宮筋腫があると、子宮内膜の面積が広がる、あるいは子宮の収縮がうまくいかなくなることで、月経痛がひどくなったり経血量が増えたりすることがあります。
漢方では、これらの症状は骨盤内の血行が悪くなる「瘀血」が大きな原因と考えられています。

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、滞った血の流れをスムーズにする働きを持つ桃仁や牡丹皮を含んでおり、骨盤内のうっ血を改善します。
これにより、子宮やその周辺の組織への血行が促進され、月経時の強い痛みや、レバー状の塊が混じるような過多月経の症状を和らげる効果が期待できます。

下腹部の張りや重い腰痛を軽くする

子宮筋腫が大きくなると、下腹部に張りや圧迫感、しこりのようなものを感じることがあります。
また、骨盤内の血行不良(瘀血)は、腰周りの重だるさや鈍い痛みを引き起こす原因にもなります。
このような症状は、子宮筋腫だけでなく卵巣嚢腫などでも見られることがあります。

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、血行を促進して瘀血を取り除く作用により、子宮周辺の組織の緊張を和らげます。
さらに、水分代謝を整える茯苓や薏苡仁の働きも加わることで、下腹部の不快な張りや重苦しい腰痛を軽減する効果が期待されます。

のぼせや手足の冷えといった不調を整える

上半身はのぼせて顔が赤くなるのに、手足の先は冷たいといった症状は、漢方で「上熱下寒」と呼ばれる状態で、全身の血行が滞っているサインとされます。
これは自律神経の乱れなどでも起こりやすく、子宮筋腫を持つ方にしばしば見られる不調です。

桂枝茯苓丸加薏苡仁に含まれる桂皮には、気と血を巡らせて全身の血行バランスを整える働きがあります。
滞っていた血の流れがスムーズになることで、熱がこもりやすい上半身の熱を分散させ、冷えやすい手足の末端まで温かい血液を届けることができます。
薬局やドラッグストアで市販薬も販売されており、これらの不快な症状の改善に役立ちます。

桂枝茯苓丸加薏苡仁が体質に合う人の特徴

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質、いわゆる「証」に合わせて選ぶことが非常に重要です。
桂枝茯苓丸加薏苡仁も例外ではなく、誰にでも効果があるわけではありません。
この漢方薬が効果を発揮しやすいのは、特定の体質的特徴を持つ方です。

ここでは、どのような体質の人に桂枝茯苓丸加薏苡仁が適しているのか、具体的な特徴を解説します。

比較的体力があり、赤ら顔でのぼせやすい人

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、漢方でいう「実証」タイプの人に適した漢方薬です。
実証とは、比較的体力があり、体格ががっしりしている人を指します。
具体的な特徴としては、のぼせやすく、顔色が赤みを帯びていることが多い傾向があります。

また、下腹部が張って重苦しい感じがしたり、足が冷える一方で上半身はほてったりする「冷えのぼせ」の症状が見られることも、この漢方薬が合う人のサインの一つです。
逆に、体力がなく疲れやすい虚弱体質(虚証)の人が服用すると、胃腸に負担がかかる場合があるため注意が必要です。

下腹部を押すと抵抗や痛みを感じる人

漢方ではお腹の状態から体質を判断する「腹診」を重要視します。
桂枝茯苓丸加薏苡仁が適応となる「瘀血」の状態は、腹診によってもある程度判断できます。

特に、おへその左下あたり(漢方でいう「小腹」)を指でゆっくり押したときに、張りや抵抗感、あるいは鈍い痛みを感じる場合は、瘀血が溜まっているサインと考えられます。
この所見は「小腹急結」や「瘀血圧痛点」と呼ばれ、この漢方薬を選ぶ上での重要な目安となります。
このような自覚症状がある場合は、桂枝茯苓丸加薏苡仁が体質に合っている可能性が高いと言えます。

シミやニキビといった肌トラブルも併発している人

血行不良の状態である「瘀血」は、婦人科系の症状だけでなく、皮膚にも影響を及ぼします。
血の巡りが悪いと、肌の新陳代謝が低下し、老廃物が溜まりやすくなるため、シミやそばかす、くすみができやすくなります。
また、ニキビ、特にあご周りにできる治りにくい大人ニキビも、瘀血が原因の一つと考えられることがあります。

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、血行を改善する作用に加えて、肌の状態を整える薏苡仁が配合されています。
そのため、子宮筋腫の症状とともに、このような肌トラブルにも悩んでいる人には特に適した漢方と言えます。

効果を実感するための桂枝茯苓丸加薏苡仁の正しい飲み方

漢方薬は、効果を最大限に引き出すために、正しい用法・用量を守ることが大切です。
体質に合った漢方薬を選んでも、飲み方が適切でなければ十分な効果が得られないこともあります。

ここでは、桂枝茯苓丸加薏苡仁を服用する際に知っておきたい、効果を実感するための基本的な飲み方や注意点について解説します。

効果を実感できるまでの期間は1ヶ月が目安

漢方薬は、西洋薬のようにすぐに効果が現れるものではなく、体質をゆっくりと改善していくことで症状を和らげるのが特徴です。
効果の現れ方には個人差があり、体質や症状の程度によって異なりますが、一般的にはまず1ヶ月程度の継続服用が推奨されます。

飲み始めてすぐに変化が感じられなくても、焦らずに続けることが重要です。
1ヶ月服用しても症状に全く改善が見られない場合や、かえって体調が悪くなった場合は、薬が体質に合っていない可能性も考えられるため、医師や薬剤師に相談してください。

1日2〜3回、食前または食間に服用するのが基本

漢方薬は、空腹時に服用することで有効成分の吸収が良くなると考えられています。
そのため、一般的に食事の30分〜1時間前である「食前」、または食事と食事の間(食後2時間程度)である「食間」に水または白湯で服用するのが基本です。
製品によって用法・用量が異なる場合があるため、必ず説明書を確認しましょう。

胃腸が弱い方で、食前の服用で胃に不快感を覚える場合は、食後に服用するなどの調整が必要なこともあります。
その際は自己判断せず、医師や薬剤師に相談することが望ましいです。

飲み忘れても2回分を一度に飲むのは避ける

毎日決まった時間に服用を続けることが大切ですが、万が一飲み忘れてしまった場合は、気づいた時点で1回分を服用してください。
ただし、次の服用時間が迫っている場合(例えば、昼食前の分を飲み忘れ、夕食前の服用時間まで2〜3時間しかないなど)は、飲み忘れた分は飛ばして、次の服用時間に1回分だけを飲みましょう。

効果を高めようとして、2回分を一度にまとめて服用することは避けるべきです。
有効成分の過剰摂取につながり、副作用のリスクを高める可能性があります。
用法・用量を守って正しく服用を続けることが、安全かつ効果的な治療につながります。

服用前に確認すべき副作用と注意すべき点

漢方薬は自然の生薬から作られているため、副作用がない、あるいは少ないというイメージを持つ方もいますが、医薬品である以上、体質や体調によっては副作用が起こる可能性があります。
桂枝茯苓丸加薏苡仁を安全に服用するためにも、あらかじめどのような副作用や注意点があるのかを理解しておくことが重要です。

体に異変を感じた場合は、すぐに服用を中止し、専門家に相談しましょう。

胃の不快感や食欲不振など消化器系の症状

桂枝茯苓丸加薏苡仁の服用によって、まれに消化器系の副作用が現れることがあります。
具体的には、胃の不快感、食欲不振、胃もたれ、吐き気、下痢などの症状です。

特に、もともと胃腸が弱い虚弱体質の人が服用した場合に、こうした症状が出やすい傾向があります。
服用を始めてから、このような消化器症状が続く場合は、体が薬を受け付けていないサインかもしれません。
症状が軽い場合でも、我慢せずに服用を中止し、処方を受けた医師や購入した薬局の薬剤師に相談してください。

発疹やかゆみといった皮膚に現れる症状

配合されている生薬に対してアレルギー反応が起こり、皮膚に症状が現れることがあります。
主な症状としては、発疹や発赤、かゆみなどが挙げられます。
漢方薬を飲み始めてから、これまでになかった皮膚の異常に気づいた場合は、アレルギー性の副作用の可能性があります。

このような症状が現れたら、直ちに服用を中止し、速やかに医師や薬剤師に連絡してください。
そのまま服用を続けると症状が悪化する恐れがあるため、自己判断で飲み続けないことが重要です。

妊娠中の人や体力が著しく衰えている人は服用に注意が必要

妊娠中または妊娠の可能性がある人の服用は、慎重な判断が必要です。
桂枝茯苓丸加薏苡仁に含まれる牡丹皮や桃仁といった生薬は、血行を促進する作用が強く、子宮の収縮に影響を与える可能性があるため、流産や早産のリスクを考慮する必要があります。

また、病後や手術後などで体力が著しく低下している人や、もともと胃腸が非常に弱い人が服用すると、体に負担がかかり、かえって体調を崩すことがあります。
これらのケースに該当する方は、自己判断での服用は絶対に避け、必ず事前に医師や薬剤師に相談し、指示に従うようにしてください。

桂枝茯苓丸加薏苡仁と子宮筋腫に関するよくある質問

子宮筋腫の症状緩和のために桂枝茯苓丸加薏苡仁の服用を検討するにあたり、様々な疑問が浮かぶことでしょう。
筋腫そのものへの影響や、他の薬との併用、どこで手に入れるのが良いかなど、気になる点は多いはずです。

ここでは、子宮筋腫とこの漢方薬に関して、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

服用すれば子宮筋腫は小さくなりますか?

桂枝茯苓丸加薏苡仁を服用することで、子宮筋腫そのものが小さくなる、あるいは消滅するという直接的な効果は、現時点では医学的に証明されていません。
この漢方薬の主な目的は、筋腫が原因で起こる月経痛、過多月経、腰痛、下腹部痛、冷えのぼせといった、つらい自覚症状を緩和することにあります。

血行を改善し、体質を整えることで、これらの症状を和らげ、生活の質(QOL)を向上させることを目指すものです。
筋腫の大きさの変化については、定期的に婦人科で検査を受ける必要があります。

病院の薬や他の漢方薬と併用できますか?

現在、病院で処方された薬(例えば、ホルモン剤や鎮痛剤など)を服用している場合や、他の漢方薬、サプリメントなどを利用している場合は、自己判断で桂枝茯苓丸加薏苡仁を併用してはいけません。
薬の組み合わせによっては、互いの作用を強めすぎたり、弱めたり、予期せぬ副作用を引き起こしたりする可能性があります。

特に、同じような作用を持つ生薬を含む漢方薬を重ねて飲むと、過剰摂取につながる危険があります。
必ず、かかりつけの医師や薬剤師、登録販売者に現在使用中の薬をすべて伝え、併用しても問題ないかを確認してください。

医師に処方してもらう漢方と市販薬では違いがありますか?

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、医師が処方する医療用医薬品と、ドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品(市販薬)の両方があります。
両者の主な違いは、有効成分である生薬の含有量や健康保険の適用の有無です。
一般的に、医療用の方が生薬の含有量が多く、効果が高いとされていますが、その分、副作用のリスクも考慮する必要があります。

医療用は医師の診断に基づいて処方され、健康保険が適用されます。
一方、市販薬は専門家の診断なしに購入できますが、保険適用外で全額自己負担となります。
どちらを選ぶかは、症状の程度や体質、受診のしやすさなどを考慮して判断すると良いでしょう。

まとめ

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、子宮筋腫に伴う月経痛、過多月経、腰痛、冷えのぼせといった「瘀血」による症状を緩和する漢方薬です。
比較的体力があり、のぼせやすい体質の方に適しています。
効果を実感するためには、食前または食間に1ヶ月程度継続して服用することが目安となります。

ただし、医薬品であるため、胃腸症状や皮膚症状などの副作用が起こる可能性もあります。
妊娠中の方や体力が著しく低下している方は服用に注意が必要です。
服用を検討する際は、自己判断せず、医師や薬剤師などの専門家に相談し、自分の体質や症状に合っているかを確認することが重要です。

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