更年期の物忘れは漢方で対策!体質別の選び方と改善法
漢方
更年期にさしかかり、「物忘れが増えた」と感じることはありませんか。
これは多くの女性が経験する更年期症状の一つであり、漢方による対策や生活習慣の見直しによる改善が期待できます。
この記事では、更年期の物忘れの原因から、ご自身の体質に合った漢方薬の選び方、日常生活でできるセルフケアまでを詳しく解説します。
▼この記事でわかること
・ 更年期の物忘れが起こる原因と認知症との見分け方
・ 自分の体質や併発する症状に合った漢方薬の選び方
・ 日常生活で記憶力の低下を防ぐためのセルフケア術
「人の名前が出てこない…」その物忘れ、更年期が原因かもしれません
「あれ、あの人の名前なんだっけ」「買い物に来たのに、何を買うのか忘れてしまった」など、40代後半から50代にかけて、記憶力の低下を感じる場面が増えることがあります。
これらの物忘れは、単なる年齢のせいだけでなく、更年期による女性ホルモンの変化が影響している可能性があります。
急にものを忘れることが増えると不安になりますが、その原因を知ることで冷静に対処できます。
女性ホルモンの減少が脳の記憶力に与える影響とは
女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、記憶を司る脳の「海馬」という部分の働きを活性化させる役割を担っています。
更年期に入りエストロゲンの分泌量が急激に減少すると、脳内の血流や神経伝達物質の働きが低下し、記憶力や集中力に影響が出やすくなります。
このホルモンバランスの乱れが、更年期における物忘れの主な原因と考えられています。
更年期の物忘れと認知症の初期症状の具体的な違い
更年期の物忘れは、体験したことの一部を忘れるのが特徴です。
例えば、「昨日の夕食に何を食べたか思い出せない」といったケースが挙げられます。
一方、認知症の初期症状では、「夕食を食べたこと自体を忘れる」など、体験そのものが記憶から抜け落ちてしまいます。
また、更年期の場合は物忘れに対する自覚がありますが、認知症では自覚がないことが多い点も違いです。
ただし、自己判断は禁物であり、不安が強い場合は専門の医療機関への相談が必要です。
更年期の物忘れ対策になぜ漢方が用いられるのか
更年期の物忘れに対して漢方薬が用いられるのは、特定の症状だけを抑えるのではなく、心と体の全体的なバランスを整えることで不調を根本から改善するという考え方に基づいているためです。
ホルモンバランスの乱れに伴うさまざまな症状を包括的にケアし、脳の働きを健やかな状態に導くことを目指します。
体全体のバランスを整え脳の働きをサポートする漢方の考え方
漢方では、人間の体は「気・血・水」の3つの要素で構成されていると考えます。
これらのバランスが乱れると、物忘れだけでなく、疲れや不眠、イライラ、冷え、眠気といったさまざまな不調が現れます。
漢方薬は、不足しているものを補い、滞っているものを巡らせることで「気・血・水」のバランスを正常化させます。
その結果、脳にも十分な栄養とエネルギーが行き渡り、記憶力や集中力の回復をサポートします。
あなたの不調はどのタイプ?体質から選ぶ漢方薬
漢方薬は、個々の体質や症状に合わせて選ぶことが重要です。
ここでは、更年期の物忘れに関連する代表的な3つの体質タイプと、それぞれに適した漢方薬を紹介します。
クラシエなど様々なメーカーから販売されていますが、自分の体質がどのタイプに当てはまるかを見極める参考にしてください。
疲れや不安感が強い「気血両虚(きけつりょうきょ)」タイプにおすすめの漢方
「気」と「血」がともに不足している状態で、心と体に栄養が行き届いていないタイプです。
主な症状として、疲れやすい、顔色が悪い、めまい、動悸、不眠、不安感などが挙げられます。
このタイプには、気と血を補い、心身の疲労を回復させる「加味帰脾湯」がよく用いられます。
ツムラなどのメーカーからも処方されており、胃腸の働きを助けながら精神を安定させ、物忘れや不眠の改善が期待できます。
加味帰脾湯については「帰脾湯と加味帰脾湯の違い」で詳しく紹介しています。
イライラや気分の落ち込みがある「気滞(きたい)」タイプにおすすめの漢方
「気」の巡りが滞り、精神的なストレスが溜まっているタイプです。
イライラしやすい、憂うつな気分になる、のどに何かがつかえた感じがする、胸や脇が張って痛むといった症状が見られます。
このタイプには、気の巡りをスムーズにし、精神を安定させる「加味逍遙散」や「抑肝散」などが適しています。
ストレスによる脳の緊張を和らげ、気分の波を穏やかにすることで、集中力の低下や物忘れに対応します。
気分の落ち込みに用いる漢方薬については「気分の落ち込みに用いる漢方薬」で詳しく紹介しています。
冷えやめまいも気になる「腎虚(じんきょ)」タイプにおすすめの漢方
漢方でいう「腎」は、生命エネルギーや成長・生殖を司る重要な部分であり、加齢とともにその機能が衰えると考えられています。
これが「腎虚」の状態です。
足腰のだるさ、頻尿、耳鳴り、めまい、白髪や抜け毛、そして物忘れなどが主な症状です。
このタイプには、「腎」を補うことで老化による諸症状をケアする「八味地黄丸」や「杞菊地黄丸」などが用いられます。
腎虚の漢方薬については「腎虚と漢方薬「八味地黄丸」」で詳しく紹介しています。
漢方とあわせて実践したい!記憶力を維持する生活習慣
更年期の物忘れ対策は、漢方薬の服用だけでなく、日々の生活習慣を見直すことも非常に重要です。
薬やサプリに頼るだけでなく、食事や睡眠、脳の使い方を少し工夫することで、記憶力の維持につながります。
ここでは、今日から始められる簡単なセルフケアを紹介します。
脳の栄養となる食材を意識した食事メニューの工夫
脳の働きをサポートする栄養素を積極的に食事に取り入れましょう。
記憶力向上に役立つとされるDHAやEPAが豊富な青魚(サバ、イワシなど)や、神経伝達物質の材料となるレシチンを含む大豆製品(豆腐、納豆)、抗酸化作用があり脳の老化を防ぐビタミンEが豊富なナッツ類やアボカドなどがおすすめです。
これらの食材をバランス良く日々の献立に加えることが大切です。
例えば、朝食に納豆ご飯、昼食に焼き魚定食、間食にナッツなどを意識的に選んでみましょう。
睡眠の質を向上させて記憶の定着を促す方法
睡眠は、日中に得た情報を脳が整理し、記憶として定着させるための重要な時間です。
睡眠不足や質の低い睡眠は、記憶力低下の直接的な原因となります。
質の良い睡眠を確保するため、就寝前のスマートフォン操作は控え、ぬるめのお湯にゆっくり浸かってリラックスする時間を作りましょう。
また、カフェインの摂取は午後に避け、寝室の環境を整えるなど、安眠できる工夫を心がけてください。
中途覚醒におすすめの漢方薬については「中途覚醒におすすめの漢方薬」で詳しく紹介しています。
日記やメモを活用して脳を整理する習慣づけ
書くという行為は、脳を活性化させ、記憶を整理するのに役立ちます。
日々の予定ややるべきことをメモに書き出す「To-Doリスト」を作成すると、記憶の負担が減り、うっかり忘れを防げます。
また、寝る前にその日の出来事を3行程度の日記に書き出す習慣もおすすめです。
思い出す作業が脳の良いトレーニングになり、思考の整理にもつながります。
スマートフォンとの上手な付き合い方で脳の疲労を防ぐ
スマートフォンから絶えず流れ込む大量の情報は、脳を疲れさせ、記憶力や集中力を低下させる一因となります。
意識的にスマートフォンから離れる「デジタルデトックス」の時間を設けることが重要です。
例えば、食事中や就寝前の1時間はスマホを見ない、SNSの通知をオフにするといった簡単なルールを作るだけでも、脳の疲労を軽減できます。
更年期 物忘れ 漢方に関するよくある質問
ここでは、更年期の物忘れと漢方薬に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。
物忘れに効果的な漢方薬はどのくらいの期間で効き始めますか?
漢方薬の効果が現れるまでの期間は体質や症状により異なりますが、一般的には2週間から1ヶ月程度で心身の変化を感じ始める方が多いです。
漢方は体質を根本から改善していくため、即効性を求めるのではなく、継続して服用することが大切になります。
漢方薬を服用する際に副作用はありますか?
漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、医薬品であるため体質に合わない場合は副作用が起こる可能性があります。
食欲不振や胃もたれ、皮膚の発疹やかゆみなどが代表的です。
体に異変を感じた際は、すぐに服用を中止し、処方した医師や漢方薬を選んでもらった薬剤師に相談してください。
漢方薬はどこで購入できますか?保険は適用されるのでしょうか?
医師の診察に基づき処方される漢方薬は、健康保険が適用されます。
婦人科や心療内科、更年期外来などで相談が可能です。
一方で、薬局やドラッグストアで市販されている漢方薬は、保険適用外の自己負担となります。
まとめ:更年期の物忘れは一人で悩まず漢方とセルフケアで改善を目指しましょう
更年期に起こる物忘れは、女性ホルモンの減少による自然な変化の一つであり、多くの女性が経験する症状です。
しかし、年齢のせいだと諦める必要はありません。
漢方薬は心と体のバランスを整え、物忘れを含むさまざまな不調を根本から改善する手助けとなります。
また、食事や睡眠といった生活習慣を見直すセルフケアも非常に有効です。
一人で抱え込まず、専門家への相談も視野に入れながら、自分に合った対策を見つけていきましょう。


