妊婦の蓄膿症の対策|妊娠中に使える薬・市販薬と自分でできる対処法

妊婦の蓄膿症の対策|妊娠中に使える薬・市販薬と自分でできる対処法 妊活・不妊

妊娠中はホルモンバランスの変化や免疫力の低下により、蓄膿症(副鼻腔炎)を発症しやすくなります。
鼻づまりや頭痛などのつらい症状があっても、お腹の赤ちゃんへの影響を考えると、薬の服用や治療に不安を感じる方は少なくありません。
この記事では、妊娠中の蓄膿症に対して使用できる薬や安全な改善方法、そして自宅でできるセルフケアについて解説します。

妊娠中は免疫力の低下で蓄膿症(副鼻腔炎)になりやすい?

妊娠すると、プロゲステロンという女性ホルモンの分泌が増加します。
このホルモンには血管を広げる作用があるため、鼻の粘膜がむくみやすくなり、鼻づまりが起こりやすくなります。
また、妊娠中は胎児を異物と認識しないように、母体の免疫機能が自然と抑制されます。

この免疫力の低下によって細菌やウイルスに感染しやすくなり、鼻の炎症が副鼻腔にまで広がることで、蓄膿症(副鼻腔炎)を発症しやすくなるのです。
東洋医学では、妊娠によって母体の「気」や「血」が胎児を育むために集められ、体の防御機能が手薄になることも一因と考えられています。

もしかして蓄膿症?妊娠中に見られる症状セルフチェック

風邪と似た症状もありますが、以下のような状態が続く場合は蓄膿症の可能性があります。
セルフチェックをしてみましょう。

⬜︎粘り気のある黄色や緑色の鼻水が出る
⬜︎鼻づまりがひどく、口呼吸になる
⬜︎鼻水が喉に落ちる(後鼻漏)
⬜︎食べ物のにおいや味が分かりにくい
⬜︎頬、目の奥、おでこに痛みや圧迫感がある
⬜︎歯や歯茎が痛む
⬜︎頭が重い、ズキズキとした頭痛が続く
⬜︎微熱やだるさが続く

これらの症状が1週間以上続く場合は、単なる風邪ではなく蓄膿症を発症している可能性が考えられます。

妊娠中の蓄膿症、お腹の赤ちゃんへの影響と放置するリスク

蓄膿症の菌が直接胎児に影響を及ぼすことは、基本的にはありません。
しかし、症状を放置することは避けるべきです。
鼻づまりによる息苦しさや頭痛は、母体のストレスや睡眠不足につながり、体力を消耗させます。

また、炎症が耳に広がって中耳炎を併発したり、気管支炎や肺炎を引き起こしたりする可能性もあります。
症状が悪化すると、より強い薬が必要になる場合や、慢性副鼻腔炎へと移行してしまうケースも考えられます。
母体の健康を保つことが、お腹の赤ちゃんにとっても重要であるため、早めの対処が肝心です。

まずはかかりつけの産婦人科へ!その後の耳鼻咽喉科受診の流れ

蓄膿症が疑われる症状がある場合、自己判断で市販薬を使用したり、以前処方された薬を飲んだりするのは避けてください。
まずは、妊娠の経過を把握しているかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
産婦人科で現在の症状を伝え、耳鼻咽喉科の受診について指示を仰ぐのが最も安全な流れです。

場合によっては、産婦人科から提携している病院の耳鼻咽喉科を紹介されることもあります。
耳鼻咽喉科を受診する際は、必ず妊娠中であること、そして現在の妊娠週数を正確に伝えることが、適切な治療を受けるために不可欠です。

妊娠中でも安心して受けられる蓄膿症の治療法

妊娠中の蓄膿症治療は、母体と胎児の安全性を最優先に行われます。
薬の使用に抵抗がある場合でも、薬物療法以外に症状を和らげる方法が存在します。
妊娠週数や症状の重さに応じて、医師が最適な治療法を選択します。

抗生物質や痛み止めの処方だけでなく、鼻水の吸引やネブライザー治療といった耳鼻咽喉科ならではの処置も受けられます。
不安な点があれば医師とよく相談し、納得のいく治療を進めていくことが可能です。

妊娠の時期に合わせて処方される抗生物質や痛み止め

妊娠中の薬の使用は慎重に行われますが、細菌感染が原因である蓄膿症の治療には、抗生物質が必要となる場合があります。
特に胎児の器官が形成される妊娠初期は注意が必要ですが、妊娠週数に応じて比較的安全に使用できるとされるペニシリン系やセフェム系の抗生物質が選択されることが多いです。
これらの抗生物質は、胎児への影響が少ないと報告されています。

また、つらい頭痛や顔面痛に対しては、アセトアミノフェンなどが比較的安全な痛み止めとして処方されることがあります。
いずれの薬も、必ず医師の診断と処方に基づいて服用してください。

胎児への影響が少ないとされる漢方薬の種類

漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、薬であることに変わりはなく、専門的な知識に基づいて使用する必要があります。
妊娠中の蓄膿症に対しては、体への負担が少なく、胎児への影響が少ないとされる漢方薬が選択されることがあります。
例えば「葛根湯加川芎辛夷」は、鼻づまりや鼻水、頭痛などの症状を和らげる効果が期待できる代表的な漢方の薬です。
葛根湯加川芎辛夷の効果については「葛根湯加川芎辛夷の効果と副鼻腔炎への効果」で詳しく紹介しています。

ただし、漢方薬は個々の体質に合わせて処方されるため、自己判断での服用は禁物です。
必ず医師や薬剤師に相談の上、適切なものを選択してもらうようにしましょう。

診断に必要なレントゲンやCT検査の安全性について

蓄膿症の確定診断には、副鼻腔の状態を確認するためにレントゲンやCT検査が行われることがあります。
妊娠中の放射線検査に不安を感じるかもしれませんが、顔まわりの撮影で胎児が直接放射線を受けることはありません。
撮影時には腹部を鉛のプロテクターで覆うため、胎児への被ばく量はごく微量であり、通常は奇形などの影響を心配する必要はないとされています。

とはいえ、不要な検査は避けるべきです。
医師が症状の重さや、まれに必要となる手術の可能性などを考慮し、検査が不可欠と判断した場合にのみ行われます。

薬を使わない鼻水の吸引やネブライザー治療

薬の使用をできるだけ避けたいと考える妊婦さんには、耳鼻咽喉科での処置が有効です。
鼻水の吸引は、専用の器具を使って副鼻腔に溜まった膿や鼻水を直接吸い出す治療法です。
これにより、鼻づまりや顔の圧迫感がすみやかに軽減されます。

また、ネブライザー治療は、抗炎症薬や抗生物質などを含んだ薬液を霧状にして、鼻や喉の粘膜に直接噴霧する方法です。
薬液が局所的に作用するため、全身への影響が少なく、妊娠中でも比較的安全に行えます。
市販の点鼻薬とは異なり、粘膜の腫れを効果的に抑えることが期待できます。

市販の蓄膿症薬(チクナインなど)は妊娠中に使用できる?

自己判断で市販薬を使用することは、絶対に避けてください。
チクナインをはじめとする蓄膿症向けの市販薬には、複数の成分が含まれています。
その中には、妊娠中の服用に関する安全性が確立されていない成分や、妊婦は服用を避けるべきとされる成分が含まれている可能性があります。

特に漢方薬系の市販薬であっても、子宮の収縮を促す成分が含まれている場合もあるため注意が必要です。
つらい症状を早く和らげたい場合でも、まずはかかりつけの産婦人科医や耳鼻咽喉科医、薬剤師に相談し、安全な対処法について指示を仰ぐことが重要です。

つらい症状を和らげる!妊婦さんが自宅でできる対処法

病院での治療と並行して、自宅でできるセルフケアを取り入れることで、つらい症状を和らげることができます。
薬に頼るだけでなく、日常生活の中で少し工夫するだけでも、鼻の不快感を軽減させることが可能です。

これから紹介する方法は、妊娠中でも安心して試せるものなので、ぜひ参考にしてみてください。
ただし、症状が改善しない場合や悪化するようであれば、無理をせず医療機関を受診しましょう。

鼻づまり解消に効果的な鼻うがいの正しい方法

鼻うがいは、鼻腔内に溜まった膿やアレルギー物質を洗い流し、鼻の通りを良くするのに効果的です。
まず、体温と同じくらいのぬるま湯に食塩を溶かし、体液に近い濃度の生理食塩水を作ります。
市販の鼻うがい専用キットを使用すると、簡単かつ安全に行えます。
片方の鼻の穴からゆっくりと洗浄液を流し込み、もう片方の鼻の穴や口から出すようにします。

このとき、洗浄液を飲み込まないように注意しましょう。
鼻の粘膜を傷つける可能性があるため、水道水をそのまま使うのは避けてください。
このケアで、不快な症状の緩和が期待できます。

顔や頭の痛みを軽減する蒸しタオルの使い方

蓄膿症による顔の痛みや頭痛には、患部を温めることが有効です。
水で濡らして軽く絞ったタオルを電子レンジで1分ほど加熱し、やけどしない程度の温度になった蒸しタオルを作ります。
これを痛みを感じる鼻の付け根や頬、おでこなどに当てて温めましょう。

血行が促進されることで鼻の粘膜の腫れが和らぎ、鼻づまりが楽になります。
また、温めることで副鼻腔に溜まった膿が排出しやすくなる効果も期待できます。
リラックス効果もあるため、つらい頭痛の緩和にもつながります。

加湿器で部屋の湿度を保ち鼻の粘膜を保護する

空気が乾燥していると、鼻の粘膜が乾いてしまい、ウイルスや細菌に対する防御機能が低下します。
その結果、炎症が悪化しやすくなります。
特に就寝中は口呼吸になりがちで、喉や鼻が乾燥しやすいため注意が必要です。
加湿器を使用して、部屋の湿度を50~60%程度に保つように心がけましょう。

適度な湿度は鼻の粘膜を潤し、保護する働きがあります。
これにより、鼻づまりなどの不快な症状が和らぎます。
加湿器を使用する際は、カビや雑菌が繁殖しないよう、定期的に清掃して清潔な状態を保つことも大切ですす。

蓄膿症 妊婦に関するよくある質問

妊娠中の蓄膿症は、多くの妊婦さんが不安に思う問題です。
薬の服用や治療法、治るまでの期間など、特によく寄せられる質問について、簡潔に解説します。
赤ちゃんへの影響を心配する気持ちは当然のことですので、正しい知識を得て、安心して対処できるようにしましょう。

Q. 薬の副作用が心配です。自然に治るまで待っても大丈夫ですか?

自然治癒に任せるのは推奨されません。
放置すると症状が悪化し、慢性化するリスクがあるためです。
重症化すると中耳炎を合併したり、より強い薬が必要になったりする場合もあります。

妊娠中でも安全に使用できる薬はありますので、自己判断で我慢せず、早めに専門医へ相談することが大切です。

Q. 授乳中に蓄膿症になった場合も、妊娠中と同じ治療を受けられますか?

治療は可能ですが、内容は異なります。
授乳中は、薬の成分が母乳へ移行する可能性を考慮する必要があります。
しかし、産後は妊娠中よりも使用できる薬の選択肢が増えることが一般的です。

治療を受ける際は、必ず授乳中であることを医師に伝え、安全な薬を処方してもらいましょう。

Q. 妊娠中の蓄膿症は、どのくらいの期間で治りますか?

症状の程度や治療法によりますが、急性の場合は適切な治療で1〜2週間程度で改善することが多いです。
ただし、完全に治るまでには数週間から数ヶ月かかることもあります。
症状が軽快しても、処方された薬は医師の指示通りに飲み切ることが重要です。

症状が長引く場合は、放置せずに再度受診してください。

まとめ

妊娠中の蓄膿症は、免疫力の低下などから誰にでも起こりうる症状です。
つらい症状を抱えながら、お腹の赤ちゃんへの影響を心配するあまり、我慢してしまう方も少なくありません。
しかし、妊娠中でも安全に受けられる治療法や、症状に応じて使用できる薬は存在します。

自己判断で市販薬を使用したり、放置したりせず、まずはかかりつけの産婦人科医に相談し、専門の耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
医師とよく相談し、適切な治療を受けましょう。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。