コレステロール対策と漢方|悪玉(LDL)値と体質改善の漢方薬

コレステロール対策と漢方|悪玉(LDL)値と体質改善の漢方薬 漢方

健康診断で悪玉(LDL)コレステロールの高さを指摘され、生活習慣の改善だけでは数値を下げるのが難しいと感じていませんか。
西洋薬に抵抗がある場合、体質から見直して根本的な改善を目指す漢方薬が選択肢の一つになります。
漢方は、単にLDLコレステロールの値を下げるだけでなく、身体全体のバランスを整えることで、健康的な状態へ導くことを目的としています。

健康診断でコレステロール値を指摘された方へ|漢方という選択肢

コレステロール値が高い、あるいは高めだと指摘されても、自覚症状がないため放置してしまう方も少なくありません。
しかし、この状態が続くと動脈硬化のリスクが高まります。
改善には西洋薬が一般的ですが、副作用への不安や、飲み続けることへの抵抗感から他の方法を探している方もいるでしょう。

漢方は、なぜコレステロール値が高くなるのかという原因に目を向け、一人ひとりの体質に合わせたアプローチで改善を目指します。

漢方薬がコレステロール対策で注目される理由とは?体質へのアプローチ

コレステロール対策に用いられる漢方薬は、数値を直接コントロールする西洋薬とはアプローチが異なります。
漢方では、コレステロール値が高くなる原因を「体質」にあると考え、その根本を整えることを目指します。
例えば、血行が悪く、老廃物が滞りがちな「瘀血」や、体内に余分な水分や脂肪が溜まった「痰湿」といった状態が、脂質代謝の乱れにつながると捉えます。

自分に合った漢方薬は、これらの体質を改善することから始まります。

原因①:血の巡りが悪い「瘀血(おけつ)」タイプ

瘀血(おけつ)とは、血の流れが滞り、ドロドロになった状態を指します。
この状態では、全身に栄養が届きにくくなるだけでなく、コレステロールなどの老廃物の排出もスムーズに行われません。
肩こりや頭痛、肌のシミやくすみ、女性では月経痛や月経不順といった症状が見られるのが特徴です。

また、高めの血圧も、血の巡りが悪いことと関連している場合があります。
瘀血を改善する漢方薬は、血行を促進し、コレステロールが正常に代謝される身体づくりをサポートします。

原因②:体内に不要なものが溜まる「痰湿(たんしつ)」タイプ

痰湿とは、体内の水分代謝や脂質代謝が低下し、余分な水分や汚れが溜まってしまった状態のことです。
暴飲暴食や脂っこい食事、運動不足などが原因で起こりやすく、むくみや身体のだるさ、めまい、軟便などの症状として現れます。

このタイプの方は、コレステロールだけでなく中性脂肪も高くなる傾向があります。
痰湿を改善する漢方薬は、消化吸収機能を整え、体内の余分なものを排出する働きを助けることで、脂質代謝の改善を目指します。
夏太り対策やダイエットにおける食物繊維の重要性については「夏太り対策・ダイエットには食物繊維が役に立つ!」で詳しく紹介しています。

【悩み・体質別】コレステロール改善が期待できる代表的な漢方薬

コレステロール対策に用いられる漢方薬は、個人の体質や体力、具体的な症状によって異なります。
漢方医学では、その人の状態を示す「証」を見極め、最適な漢方薬を選ぶことが重要です。

ここでは、悩みや体質別に、コレステロールの改善が期待できる代表的な漢方薬を紹介します。
自分のタイプに近いものを参考にし、専門家へ相談する際の手がかりにしてください。

肥満気味で便秘がちな方には「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」

防風通聖散は、体力が充実しており、お腹周りに皮下脂肪が多く、便秘がちな「がっちりタイプ」の方に適した漢方薬です。
体の熱を冷まし、汗や便、尿として余分なものを排出する働きがあります。

発汗を促し、便通を整えることで、体内に溜まった老廃物や脂肪の排出を助け、脂質代謝を活発にします。
食生活の乱れからくる肥満や、それに伴う高血圧やむくみが気になる場合にも用いられる漢方薬です。

がっちり体型でストレスを感じやすい方には「大柴胡湯(だいさいことう)」

大柴胡湯は、体力があり、筋肉質でがっちりした体型の方に向いている漢方薬です。
特に、ストレスによる過食やイライラ、胸から脇腹にかけての張りや痛み、便秘といった症状がある場合に用いられます。
漢方でいう「肝」の働きを整え、気の巡りをスムーズにすることで、自律神経のバランスを調整し、脂質代謝を促進します。

ストレスが原因でコレステロール値が上がっていると感じる方におすすめの漢方薬です。

更年期による女性ホルモンの乱れには「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」

桂枝茯苓丸は、血の巡りが滞る「瘀血(おけつ)」を改善する代表的な漢方薬で、特に更年期の女性によく用いられます。
体力は中程度で、のぼせや足先の冷え、肩こり、頭痛、月経不順といった症状がある方に適しています。
血行を促進することでホルモンバランスの乱れを整え、滞った血の流れをスムーズにします。

更年期に入ってからコレステロール値が上昇し始めた場合の体質改善に役立ちます。

冷えやすく精神的な不調も感じる方には「加味逍遙散(かみしょうようさん)」

加味逍遙散は、体力がなく虚弱体質で、疲れやすく、冷え性の方に適した漢方薬です。
肩こりや倦怠感に加えて、イライラや不安感、不眠といった精神的な不調を伴う場合によく用いられます。
気と血の流れを整え、自律神経のバランスを調整することで、心身の不調和を改善します。

ストレスによる影響を減らし、身体全体の機能を高めることで、脂質代謝の正常化をサポートします。

更年期に女性のコレステロール値が上昇しやすくなる仕組み

女性のコレステロール値は、更年期を迎える閉経前後に上がる傾向があります。
これは、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌量が減少するためです。
エストロゲンには、肝臓でのLDL(悪玉)コレステロールの分解を促進し、血中のLDLコレステロール値を下げる働きがあります。

更年期になり、このエストロゲンの分泌が急激に減ることで、LDLコレステロールが分解されにくくなり、結果として数値が上昇しやすくなるのです。

漢方薬を始める前に確認すべき3つのポイント

コレステロール対策として漢方薬を試す際には、いくつかの注意点があります。
自然由来の薬というイメージから安易に始めると、期待した効果が得られなかったり、思わぬ不調につながったりすることもあります。
安全かつ効果的に漢方を取り入れるために、市販薬との違いや副作用の可能性、そして生活習慣の重要性という3つのポイントを事前に確認しておくことが大切です。

病院で処方される漢方薬と市販薬の違い

漢方薬は、医師が処方する「医療用漢方製剤」と、ドラッグストアなどで購入できる「一般用漢方製剤(市販薬)」に大別されます。
医療用は、医師の診断に基づいて、健康保険が適用されます。
一方、市販薬は、選択肢が豊富で、自己判断で選ぶことができ手軽ですが、保険は適用されません。

また、含まれる生薬の種類や量が異なる場合があり、期待する効果を得るためには、薬剤師や登録販売者などの専門家に相談することが推奨されます。

漢方薬にも副作用はある?服用時の注意点

漢方薬は天然の生薬から作られていますが、医薬品であるため副作用のリスクが全くないわけではありません。
体質に合わない漢方薬を服用すると、食欲不振や胃もたれ、下痢、発疹などの症状が現れることがあります。
まれに、間質性肺炎や肝機能障害といった重篤な副作用が起こる可能性も報告されています。

特に複数の漢方薬や西洋薬を併用する場合は注意が必要です。
服用後に少しでも体調の変化を感じたら、すぐに服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。

効果を高めるために大切な生活習慣の見直し

漢方薬は、あくまで体質を改善し、身体が本来持つ機能を正常に近づけるためのサポート役です。
その効果を最大限に引き出すためには、日々の生活習慣を見直すことが欠かせません。
特に、血中コレステロール値に直接影響する食事内容の改善は重要です。

動物性脂肪を控え、魚や大豆製品、食物繊維が豊富な野菜・海藻類を積極的に摂るように心がけましょう。
また、ウォーキングなどの適度な運動を習慣化することも、脂質代謝の向上につながります。

コレステロール 漢方に関するよくある質問

コレステロール対策で漢方を検討する際に、多くの方が抱く疑問についてまとめました。
効果を実感できるまでの期間や、他の薬との併用、保険適用の可否など、気になる点を事前に解消しておきましょう。

漢方薬を飲み始めてから効果が出るまでの期間はどれくらいですか?

効果を実感できるまでの期間は体質や症状によって異なりますが、一般的には2週間から1ヶ月ほどで変化を感じ始めることが多いです。
ただし、体質を根本から改善するには時間がかかるため、3ヶ月以上の継続服用が推奨されます。

焦らずじっくりと取り組むことが大切です。

現在服用している西洋薬と漢方薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?

自己判断での併用は避けてください。
薬の組み合わせによっては、作用が強まりすぎたり、予期せぬ副作用が生じたりする危険性があります。
コレステロール低下薬など、他の薬を服用している場合は、必ずかかりつけの医師や薬剤師、漢方の専門家に相談することが必要です。

漢方薬の処方に健康保険は適用されますか?

医師が治療に必要と判断し、医療機関で処方される漢方薬には、健康保険が適用されます。
一方で、薬局やドラッグストアで購入する市販の漢方薬は保険適用外となり、全額自己負担です。

まとめ

コレステロール対策における漢方のアプローチは、単にLDL(悪玉)コレステロールの数値を下げることだけを目的としません。
血の巡りを改善したり、体内の余分なものを排出したりすることで、脂質が正常に代謝される身体環境を整えることを目指します。
これにより、総コレステロールやHDL(善玉)コレステロールとのバランスも含めた根本的な体質改善が期待できます。

自分に合った漢方薬を見つけるためには、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することから始めましょう。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。