補中益気湯と薬の飲み合わせ|風邪薬はOK?甘草の重複に注意

補中益気湯と薬の飲み合わせ|風邪薬はOK?甘草の重複に注意 漢方

補中益気湯は、虚弱体質や疲労倦怠の改善に使われる漢方薬です。
現在服用している薬との飲み合わせや、市販薬との併用について不安を感じる方もいるかもしれません。
この記事では、補中益気湯と他の薬や漢方薬を併用する際の注意点について解説します。

補中益気湯に「併用禁忌」となる薬は基本的にない

補中益気湯には、添付文書で併用が禁止されている「併用禁忌」に指定された医療用医薬品や市販薬は基本的にありません。
しかし、これはどんな薬と組み合わせても絶対に安全という意味ではなく、飲み合わせによっては注意が必要なケースが存在します。
特に、他の漢方薬や一部の市販薬に含まれる成分との重複には気をつける必要があります。

飲み合わせで最も注意すべき「甘草(カンゾウ)」の重複

補中益気湯との飲み合わせで最も注意すべき成分は「甘草(カンゾウ)」です。
甘草は、補中益気湯をはじめとする多くの漢方薬に含まれており、その主成分であるグリチルリチン酸は、市販の風邪薬や胃薬などにも配合されていることがあります。
知らず知らずのうちに甘草を過剰摂取してしまうと、副作用のリスクが高まるため注意が必要です。

甘草を含む他の漢方薬(葛根湯・芍薬甘草湯など)との併用

風邪のひきはじめに使われる葛根湯や、こむら返りに用いられる芍薬甘草湯など、甘草を含む漢方薬は数多く存在します。
他にも加味帰脾湯や加味逍遙散など、日常的に使われる多くの漢方薬に甘草は配合されています。
これらの漢方薬と補中益気湯を併用すると、甘草の摂取量が意図せず多くなる可能性があるため、複数の漢方薬を服用する際は必ず医師や薬剤師に相談してください。

グリチルリチン酸を含む市販の風邪薬や喉の薬

甘草の主成分であるグリチルリチン酸は、炎症を抑える作用があるため、市販の総合感冒薬、喉の痛みを和らげる薬、トローチ、胃薬などにも広く使用されています。
補中益気湯を服用中にこれらの市販薬を使用する場合は、パッケージの成分表示を確認し、「甘草」または「グリチルリチン酸」が含まれていないかチェックすることが重要です。

甘草の過剰摂取で起こりうる副作用「偽アルドステロン症」とは

甘草やグリチルリチン酸を過剰に摂取すると、「偽アルドステロン症」という副作用を引き起こすことがあります。
これは、体内のホルモンバランスが崩れることで、身体に水分とナトリウムが溜まりやすくなり、カリウムが排出されすぎてしまう状態です。
血圧の上昇やむくみといった症状につながるため、特に高齢者や高血圧の持病がある方は注意が求められます。

むくみや血圧上昇など偽アルドステロン症の初期症状

偽アルドステロン症の初期症状としては、「手足のむくみ」「血圧の上昇」が代表的です。
その他にも、「手足のだるさ、しびれ」「つっぱり感」「こわばり」「筋肉痛」などが現れることがあります。
補中益気湯の服用中にこのような症状に気づいた場合は、直ちに服用を中止し、医師や薬剤師に相談することが必要です。

【薬の種類別】補中益気湯と一般的な薬との飲み合わせ

ここでは、解熱鎮痛剤や風邪薬など、日常的に使用する機会の多い一般的な薬と補中益気湯の飲み合わせについて解説します。

解熱鎮痛剤(ロキソニン・カロナールなど)は併用できる?

ロキソプロフェンを主成分とするロキソニンや、アセトアミノフェンを主成分とするカロナールといった一般的な解熱鎮痛剤と補中益気湯の併用は、基本的に問題ないとされています。
これらの薬の成分と補中益気湯の成分が相互に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられています。
ただし、胃腸への負担を考慮し、用法・用量を守って服用することが大切です。

市販の総合感冒薬(風邪薬)を飲む際の確認ポイント

市販の総合感冒薬を併用する際は、成分に「甘草(カンゾウ)」やその主成分である「グリチルリチン酸」が含まれていないかを確認することが最も重要です。
多くの風邪薬には、喉の炎症を抑える目的でこれらの成分が配合されています。
重複摂取を避けるため、購入前に必ず成分表示をチェックし、不明な点は薬剤師や登録販売者に質問してください。

胃腸薬や便秘薬と一緒に服用しても問題ないか

一般的な胃腸薬や便秘薬との併用は、特に問題となることは少ないです。
ただし、漢方成分を含む胃腸薬や便秘薬の場合、甘草などの成分が重複する可能性があります。
例えば、大黄甘草湯などの便秘薬には甘草が含まれています。

複数の漢方薬を服用することになる場合は、事前に専門家へ相談しましょう。

サプリメントや健康食品との組み合わせについて

サプリメントや健康食品は医薬品ではないため、明確な併用の禁忌はありません。
しかし、特定の成分が体質に合わなかったり、予期せぬ相互作用を引き起こしたりする可能性は完全には否定できません。
特に、複数の成分が配合された製品を利用する場合は注意が必要です。

心配な場合は、かかりつけの医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

飲み合わせ以外に補中益気湯の服用で注意すべきこと

補中益気湯の服用にあたっては、飲み合わせ以外にも注意すべき点があります。
ツムラなどの医療用漢方製剤の添付文書にも記載されている副作用や、持病との関連について解説します。

服用後に皮膚の発疹やかゆみが出た場合の対処法

補中益気湯の副作用として、皮膚に発疹、発赤、かゆみなどが現れることがあります。
これらは、体質に合わない場合やアレルギー反応の可能性があります。
もし、服用を開始してからこのような皮膚症状が出た場合は、すぐに服用を中止して、処方した医師または購入した薬局の薬剤師に相談してください。

食欲不振や胃の不快感などの消化器系の副作用

補中益気湯は胃腸の働きを助ける効果が期待される一方、まれに食欲不振、胃部不快感、吐き気、下痢などの消化器系の副作用が報告されています。
特に胃腸が非常に弱い方の場合、漢方薬自体が負担になることもあります。
症状が続くようであれば、服用を中止して専門家に相談しましょう。

高血圧や心臓・腎臓に持病がある方は服用前に相談を

高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けている方は、補中益気湯の服用を開始する前に必ず医師への相談が必要です。
甘草の副作用である偽アルドステロン症は、血圧の上昇やむくみを引き起こし、これらの持病を悪化させるリスクがあります。
自己判断での服用は絶対に避けてください。

妊娠中や授乳中に服用を希望する場合の注意点

妊娠中または授乳中の方が補中益気湯の服用を希望する場合は、必ずかかりつけの産婦人科医に相談してください。
妊娠中の服用に関する安全性は確立されておらず、医師が治療上の有益性が危険性を上回ると判断した場合にのみ処方されます。

自己判断で服用を開始することは避けるべきです。
授乳中も同様に、医師の指示に従ってください。

補中益気湯の飲み合わせに関するよくある質問

補中益気湯の飲み合わせに関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

飲み合わせが心配な場合、誰に相談すればよいですか?

医師、薬剤師、または登録販売者に相談してください。
処方薬との飲み合わせは、かかりつけの医師や薬局の薬剤師への確認が最も安全です。
市販薬や漢方薬、サプリメントとの併用については、ドラッグストアの専門家にも相談できます。

飲み合わせが悪い場合、どのような症状が出ますか?

主に甘草の過剰摂取による「偽アルドステロン症」の症状に注意が必要です。
具体的には、手足のむくみ、血圧の上昇、だるさ、筋肉痛、手足のしびれなどが現れることがあります。
このような異変を感じたら、すぐに服用を中止して受診してください。

他の薬を飲む際、補中益気湯と服用時間をずらす必要はありますか?

基本的には服用時間を厳密に守る必要はありません。
しかし、薬同士の吸収への影響を考慮し、30分から1時間ほど間隔をあけるとより安心です。
補中益気湯は通常、食前または食間に1日2回または3回服用する薬です。

まとめ

補中益気湯には、併用が禁止されている薬は基本的にありません。
しかし、最も注意すべき点は、他の漢方薬や市販の風邪薬などに含まれる「甘草(グリチルリチン酸)」との重複摂取です。
過剰摂取は偽アルドステロン症という副作用を引き起こす可能性があります。

実際に飲んでみた結果、むくみや血圧上昇などの体調変化を感じた場合は、すぐに服用を中止してください。
薬の飲み合わせに不安がある場合は、自己判断せず、必ず医師や薬剤師、登録販売者などの専門家に相談することが重要です。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。