補中益気湯は便秘に効果あり?体力がなく出せない人の特徴と理由

補中益気湯は便秘に効果あり?体力がなく出せない人の特徴と理由 漢方

補中益気湯は、体力がなく胃腸の働きが衰えている「気虚(ききょ)」という状態が原因の便秘に対して効果が期待できる漢方薬です。
疲れやすく、便を押し出す力(いきむ力)が不足しているタイプの便秘に用いられます。
単に便を出すだけでなく、胃腸の働きを整え、体全体のエネルギーを補うことで、便秘になりにくい体質へと導くことを目的としています。

もしかして「お疲れ胃腸」が原因?体力がなく便秘になるタイプとは

漢方では、生命活動の根源的なエネルギーを「気」と呼びます。
この気が不足した状態を「気虚」といい、気虚になると全身の機能が低下し、疲れやすくなります。
特に、消化吸収を担う胃腸の気が不足すると、腸の蠕動運動が弱まり、便をスムーズに送り出せなくなります。

これが、体力がなく便秘になる「弛緩性便秘」のメカニズムです。
食欲不振や食後の眠気、軟便なども気虚による胃腸の働きの低下が原因で起こりやすい症状です。

補中益気湯が「出す力がない」便秘にアプローチする仕組み

補中益気湯は、直接的に腸を刺激して排便を促す下剤とは異なり、便秘の根本原因である体全体のエネルギー不足に働きかけます。
胃腸の機能を高め、気を補い、内臓の位置を整えるという多角的なアプローチによって、自力で自然に排便できる状態を目指すのが特徴です。
体質からじっくりと便秘の改善を図ります。

胃腸の働きを活発にして便を送り出す力をサポートする

補中益気湯には、ニンジン、ビャクジュツ、ショウキョウといった胃腸の働きを助ける生薬が含まれています。
これらの生薬が、食べ物からエネルギー(気)を作り出す消化吸収機能を高めます。
胃腸が元気に働くようになると、腸の蠕動運動も活発になり、便を肛門までしっかりと送り出す力が回復します。

これにより、滞っていた便通がスムーズになることが期待できます。

全身のエネルギー不足(気虚)を補い排便に必要な体力をつける

薬の名前にある「補中」は中を補うこと、「益気」は気を増やすことを意味します。
主薬であるオウギなどが全身の気を補い、気力を充実させます。
排便は、いきむだけでなく、腸が動いたり便意を感じたりと、一連の動作にエネルギーを必要とします。

補中益気湯は、この排便に必要な体力そのものを補強し、疲れずにしっかりと出し切れるように体をサポートします。

内臓を持ち上げて腸の蠕動運動を正常に促す

気が不足すると、内臓を正しい位置に保持する力も弱まり、胃下垂や脱肛などを引き起こしやすくなります。
補中益気湯に含まれるサイコやショウマには、下がった内臓や気を上に持ち上げる「昇提」という作用があります。
内臓の位置が正常に戻ると、腸への不自然な圧迫が解消され、蠕動運動がスムーズに行われるようになります。

これにより、便通の改善につながります。

補中益気湯が適している便秘の人の具体的な症状チェックリスト

補中益気湯は、どのような便秘にも効果があるわけではありません。
特に、体力がなく、胃腸の働きが低下していることが原因で便秘になる人に適しています。
以下に挙げるような症状に心当たりがある場合、補中益気湯が体質に合っている可能性があります。

自分の状態と照らし合わせて確認してみてください。

排便時にいきんでも力が入らず、ひどく疲れてしまう

便意を感じてトイレに行っても、いきむ力が湧かず、なかなか便が出ないのが特徴です。
排便に非常に時間がかかり、終わった後には汗をかいたり、ぐったりと疲労困憊してしまったりします。
これは、排便という行為自体が大きな負担になるほど、全身のエネルギーが不足しているサインです。

無理にいきむことで、痔になってしまうこともあります。

便意があってもスッキリ出ない、残便感がある

便を完全に押し出す力が弱いため、排便後もまだ便が残っているようなスッキリしない感覚(残便感)があります。
便の性状は、必ずしも硬いわけではなく、むしろ柔らかい場合も少なくありません。
それでも、腸の動きが鈍いために少量ずつしか出ず、何度もトイレに行きたくなることがあります。

このような状態は、スムーズな便通とは言えません。

食欲不振や胃もたれなど、胃腸全体の不調を感じる

便秘だけでなく、胃腸全体の機能が低下していることも特徴です。
具体的には、「あまり食欲がない」「食べるとすぐに胃がもたれる」「食事の量が減った」といった症状が見られます。
これらは、消化吸収能力が落ちているサインであり、エネルギーを十分に作り出せないために体力が低下し、結果として便秘になるという悪循環に陥っている可能性があります。

産後や病後、加齢などで体力が著しく落ちている

出産や大きな病気、手術の後などは、体力を大きく消耗し「気」が不足しやすい状態です。
また、加齢に伴い、筋力だけでなく内臓の働きも自然と衰えてきます。
このような明確な体力の低下が背景にある場合、腸の動きも鈍くなりやすく、便秘になることが少なくありません。

以前は便秘ではなかったのに、特定の出来事をきっかけに便秘がちになったというケースも該当します。

普段から疲れやすく、日中に眠気を感じることが多い

便秘の症状だけでなく、日常生活においてもエネルギー不足のサインが見られます。
「朝から体がだるい」「少し動いただけですぐに息切れがする」「十分な睡眠をとっても日中に強い眠気を感じる」といった症状は、典型的な気虚のサインです。
これらの症状と便秘が同時に起きている場合、補中益気湯の適用を考える一つの目安になります。

服用を始める前に知っておきたい補中益気湯の注意点

補中益気湯は、体質改善に役立つ一方で、すべての人に適しているわけではありません。
服用を始める前には、考えられる副作用や、服用が適さないケースについて正しく理解しておくことが重要です。

安心して服用を続けるために、基本的な注意点を確認しておきましょう。

考えられる副作用:胃の不快感や発疹など

主な副作用として、発疹、発赤、かゆみといった皮膚症状や、食欲不振、胃部不快感などが報告されています。
頻度は高くありませんが、もし服用を始めてからこのような症状が現れた場合は、薬が体に合っていない可能性があります。

その際は、直ちに服用を中止し、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。

服用を避けるべき人や注意が必要な飲み合わせ

補中益気湯には「甘草(カンゾウ)」という生薬が含まれており、まれに偽アルドステロン症(手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、むくみ、高血圧など)という副作用を引き起こす可能性があります。
そのため、高血圧や心臓病、腎臓病の治療を受けている人は、服用前に必ず医師に相談が必要です。

また、甘草を含む他の漢方薬との併用は、甘草の過剰摂取につながるため注意してください。

あなたの便秘はどのタイプ?他の漢方薬との使い分け

便秘に用いられる漢方薬は、補中益気湯だけではありません。
便秘の原因や体質によって適した薬は異なります。
自分の便秘がどのタイプに当てはまるかを知り、適切な漢方薬を選ぶことが、つらい症状を解消するための近道です。

ここでは、代表的な便秘の漢方薬と補中益気湯との使い分けについて解説します。

便が硬くて出にくい人向けの「麻子仁丸(ましにんがん)」

麻子仁丸は、腸内の潤いが不足し、便が硬くコロコロとした状態になって出にくいタイプの便秘に用いられます。
体力に関わらず、高齢者や乾燥肌の人に多い傾向があります。
腸を潤して便の滑りを良くし、自然に近いお通じを促すことで便秘の解消を目指します。

便を押し出す力はあるものの、便そのものが硬いという場合に適しています。

ストレスでお腹が張りやすい人向けの「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」

桂枝加芍薬湯は、ストレスや緊張によって自律神経が乱れ、腸が過度に緊張して痙攣することで起こる便秘に用いられます。
お腹が張って痛みがあったり、便秘と下痢を繰り返したりするのが特徴です。
腸の緊張を和らげ、お腹の痛みや張り感を落ち着かせることで、便通を整え便秘の解消を助けます。

比較的体力がなく、神経質な人に適しています。

比較的体力があり便秘がちな人向けの「大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)」

大黄甘草湯は、体力があり、便秘が習慣化している人に用いられる代表的な漢方薬です。
主薬である大黄が、大腸を直接刺激して蠕動運動を活発にし、力強い排便を促します。
効き目が比較的シャープで、一般的に便秘薬として広く使われています。

体力が低下している虚弱体質の人が使うと、腹痛や下痢などの副作用が出やすいことがあるため、補中益気湯とは適応が大きく異なります。
このタイプの便秘解消には適しません。

補中益気湯と便秘に関するよくある質問

ここでは、補中益気湯を便秘の改善目的で服用する際に、多くの方が疑問に思う点について解説します。
効果の現れ方や副作用など、服用を検討する上で知っておきたいポイントをまとめました。

服用してからどのくらいの期間で便通への効果が期待できますか?

補中益気湯は体質改善を目的とするため、効果を実感するまでには数週間から1ヶ月程度かかることが一般的です。
即効性は期待せず、継続的な服用が大切になります。
まずは1ヶ月を目安に服用を続け、便通や体調の変化を確認するのがよいでしょう。

補中益気湯を飲んで便秘が悪化することはありますか?

まれに体質に合わない場合や、もともと胃腸に熱がこもっているタイプの人が服用した場合、胃もたれなどが起こり、かえって便秘になる可能性があります。
その際は服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
副作用の可能性を考慮し、自分の体調変化に注意を払うことが大切です。

便秘が改善された後も、飲み続けても問題ないですか?

便秘が改善した後も、体力維持や疲労回復の目的で継続できます。
補中益気湯は、元気を取り戻すための薬としても広く使われるためです。

ただし、漫然と飲み続けるのではなく、症状に合わせて服用量や期間を調整することが望ましいため、医師や薬剤師に相談しながら継続を判断してください。
効果を感じながらの服用が基本です。

まとめ

補中益気湯は、疲れやすく体力がない「気虚」が原因で、便を押し出す力が弱くなっているタイプの便秘に効果が期待できる漢方薬です。
胃腸の働きを活発にし、全身のエネルギーを補うことで、便秘の根本的な改善を目指します。

ただし、便が硬いタイプやストレス性の便秘には他の漢方薬が適している場合があるため、自身の症状や体質を見極めることが重要です。
服用に際しては副作用などの注意点を理解し、必要に応じて専門家に相談しながら、つらい便秘の解消に取り組みましょう。

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