非結核性抗酸菌症の咳・副作用に漢方という選択肢を

非結核性抗酸菌症の咳・副作用に漢方という選択肢を 漢方

非結核性抗酸菌症の治療は、複数の薬剤を長期間服用する必要があり、つらい症状や副作用にお悩みの方も少なくありません。
現在の西洋医学的な治療に加えて、漢方薬を併用することで、つらい症状や副作用を和らげ、身体の抵抗力を高めるというアプローチがあります。
この記事では、非結核性抗酸菌症の治療に漢方薬を取り入れるメリットや代表的な漢方薬について解説します。

漢方薬を服用する際の参考にしてください。

非結核性抗酸菌症の治療でこのようなお悩みはありませんか?

非結核性抗酸菌症の治療は年単位に及ぶことが多く、その過程で様々な困難に直面することがあります。
西洋医学の標準治療を続けていても、なかなか改善が見られなかったり、薬の副作用に悩まされたりすることも少なくありません。

また、続く咳や痰、全身の倦怠感によって体力が徐々に削られていくことへの不安を感じている方もいるでしょう。
ここでは、多くの患者さんが抱える共通の悩みについて具体的に見ていきます。

標準治療を続けているが、なかなか症状が良くならない

複数の抗菌薬を組み合わせた標準治療を一年以上にわたって継続しても、咳や痰、微熱といった症状がすっきりと改善しないケースは珍しくありません。
レントゲンやCT検査で肺の影が思うように消えなかったり、喀痰検査で菌が検出し続けられたりすると、治療へのモチベーションを維持することが難しくなることもあります。

西洋医学の治療は菌を直接叩くことを目的としていますが、体の抵抗力が落ちている状態では薬の効果が十分に出にくい場合も考えられます。
このような状況で、漢方を用いて体全体のバランスを整え、自己治癒力を高めるアプローチが有効な選択肢となり得ます。

長期間の服薬による副作用がつらい

非結核性抗酸菌症の治療で用いられる薬は、胃腸障害(吐き気、食欲不振、下痢)、肝機能障害、視力障害、めまいなど、様々な副作用を引き起こす可能性があります。
特に、治療が長期にわたるため、これらの副作用がQOL(生活の質)を著しく低下させる原因となります。

副作用が強く出ると、決められた量の薬を飲み続けることが困難になり、治療計画の変更や中断を余儀なくされることもあります。
治療を継続するためには、これらの副作用をいかにコントロールするかが重要な課題であり、漢方薬は消化器症状などを和らげることで、治療の継続をサポートする役割が期待されます。

しつこい咳や痰、倦怠感で体力が落ちている

絶え間なく続く咳は、体力を著しく消耗させます。
夜間に咳がひどくなると睡眠が妨げられ、日中の活動にも支障をきたします。
また、粘り気の強い痰が絡むと、それを排出しようとしてさらに咳き込むという悪循環に陥りがちです。

こうした呼吸器症状に加え、病気そのものによる全身の倦怠感や体重減少も、患者さんの気力を奪っていきます。
体力が低下すると、病気に対する抵抗力も弱まり、感染症にかかりやすくなるなど、さらなる健康問題を引き起こす可能性も否定できません。
このような消耗した状態を改善するために、漢方では気力や体力を補う処方を用いて、病気と闘うための土台作りを目指します。

西洋医学の治療に漢方薬をプラスする3つのメリット

非結核性抗酸菌症の治療において、西洋薬が菌を直接攻撃する役割を担う一方、漢方薬は体全体の調和を取り戻し、人が本来持つ治癒力を高めることを目指します。
この二つのアプローチを組み合わせることで、単独の治療では得られにくい相乗効果が期待できます。
具体的には、身体の抵抗力を高めて菌の増殖を抑えたり、咳や痰などのつらい症状を緩和したり、さらには抗生物質の副作用を軽減したりといったメリットが挙げられます。

ここでは、漢方薬を併用する3つの利点について解説します。

メリット1:身体の免疫力を高めて菌の増殖を抑える

漢方医学では、病気は外からの要因(菌など)と、体内の抵抗力のバランスが崩れたときに発症すると考えます。
そのため、菌を殺すだけでなく、患者さん自身の免疫力を高め、菌が増殖しにくい体内環境を作ることが重要です。
非結核性抗酸菌は、健康な人の身体や環境にも存在する常在菌の一種であり、完全に排除するのではなく「菌と共存」できる状態を目指すことも一つの治療目標となります。

漢方薬、特に「補剤(ほざい)」と呼ばれる処方は、消耗した気力や体力を補い、消化吸収機能を高めることで、身体が本来持っている防御機能をサポートします。
これにより、菌の活動性を抑え、病状の進行を防ぐ効果が期待されます。

メリット2:つらい咳・痰・血痰などの症状を和らげる

非結核性抗酸菌症の患者さんを最も悩ませる症状の一つが、しつこい咳や痰、そして血痰です。
西洋薬の咳止めや去痰薬だけでは、十分にコントロールできないことも少なくありません。
漢方薬は、これらの症状に対して多角的なアプローチが可能です。

例えば、乾いてコンコンと出る咳には、肺を潤して気道の乾燥を和らげる漢方薬を、粘り気が強く切れにくい痰には、痰の性状を変化させて排出しやすくする漢方薬を用います。
また、気道の炎症を鎮め、繰り返す血痰のリスクを低減させる働きも期待できます。
このように、症状の性質や患者さんの体質に合わせて漢方薬を使い分けることで、つらい呼吸器症状の緩和を目指します。

メリット3:抗生物質による胃腸障害などの副作用を軽減する

長期間にわたる抗生物質の服用は、吐き気や食欲不振、下痢といった胃腸障害を引き起こしやすく、治療継続の大きな妨げとなります。
漢方薬には、胃腸の働きを整え、消化吸収機能を助ける漢方薬が数多く存在します。
これらの漢方薬を併用することで、薬による胃腸への負担を和らげ、食事を美味しく摂れるようにサポートします。

副作用が軽減されれば、患者さんは精神的・肉体的な負担が少なくなり、処方された抗生物質を計画通りに服用し続けることが可能になります。
結果として、西洋医学の治療効果そのものを高めることにも繋がり、より良い治療結果が期待できるのです。

【症状別】非結核性抗酸菌症の治療で用いられる代表的な漢方薬

漢方療法の大きな特徴は、病名だけで薬を決めるのではなく、患者さん一人ひとりの体質やその時々の症状の現れ方(証)を重視する「随証治療」にあります。
したがって、同じ非結核性抗酸菌症であっても、選択される漢方薬は人によって異なります。
ここでは、非結核性抗酸菌症の漢方療法において、特定の症状に対してよく用いられる代表的な漢方薬をいくつか紹介しますが、これらはあくまで一例であり、実際の薬の選択は専門家のもとで決定されます。

空咳が止まらない方には「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」

麦門冬湯は、特に喉が乾燥し、粘膜に張り付くような痰が少量出るものの、激しく咳き込むような乾いた咳(空咳)が続く場合に適した漢方薬です。
咳が込み上げてくると顔が真っ赤になる、声がかすれるといった特徴が見られる方によく用いられます。
この漢方薬は、主薬である麦門冬をはじめ、身体に潤いを与える生薬で構成されており、乾燥した肺や気管支を潤すことで、刺激に対する過敏性を和らげ、咳を鎮める効果が期待できます。

体力が中等度以下の方に適しており、長引く咳によって体力を消耗している場合に特に有効とされています。

粘り気の強い痰がからむ方には「清肺湯(せいはいとう)」

清肺湯は、黄色く粘り気の強い痰が多く、それが気道に絡んで切れにくい場合に用いられる代表的な漢方薬です。
気管支の熱や炎症を冷まし、膿のような痰を排出しやすくする働きがあります。
咳と共に粘稠な痰が出る、呼吸が苦しいといった症状に効果が期待でき、慢性気管支炎や気管支拡張症など、長引く呼吸器の炎症性疾患に応用されることが多いです。

去痰作用を持つ生薬が豊富に含まれており、気道をきれいにすることで呼吸を楽にするのを助けます。
体力が中等度で、痰による不快感が強い方に適しています。

食欲不振や倦怠感が強い方には「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」

補中益気湯は、「元気の素」である「気」を補う代表的な漢方薬(補剤)です。
非結核性抗酸菌症のように、慢性的な病気によって体力が著しく消耗し、食欲不振、全身の倦怠感、少し動いただけでの息切れ、寝汗などの症状が見られる場合に適しています。
この漢方薬は、胃腸の働きを整えて消化吸収を助け、食事からエネルギーを効率よく作り出せるように身体をサポートします。

体力を回復させることで、免疫力を高め、病気と闘うための基礎体力を養うことを目的とします。
病後の体力回復や夏バテなど、様々な消耗状態に広く用いられる漢方薬です。

微熱や寝汗でお困りの方には「滋陰降火湯(じいんこうかとう)」

滋陰降火湯は、体の潤い(陰)が不足し、その結果として体内に余分な熱(虚熱)が生じている状態(陰虚火旺)を改善する漢方薬です。
具体的な症状としては、午後から夕方にかけての微熱、手足のほてり、寝汗、喉の渇き、乾いた咳などが挙げられます。
非結核性抗酸菌症のような消耗性疾患では、このような陰虚の症状が現れやすくなります。

この漢方薬は、体に潤いを与えて乾燥を和らげると同時に、体内にこもった虚熱を冷ますことで、これらの不快な症状を緩和します。
体力が低下し、体が痩せてきている方に適しています。

現在服用中の薬と漢方薬は併用できます

非結核性抗酸菌症の治療で既に抗生物質などを服用している場合、漢方薬を新たに始めることに不安を感じるかもしれません。
しかし、基本的には西洋薬と漢方薬の併用は可能であり、むしろ両者の長所を活かすことで、より良い治療効果が期待できるケースが多くあります。
ただし、薬の組み合わせによっては相互作用が起こる可能性もゼロではないため、必ず専門家である医師や薬剤師の管理のもとで併用することが大前提となります。

西洋薬との併用で期待できる相乗効果

西洋薬と漢方薬は、病気に対するアプローチが異なります。
西洋薬が特定の菌や症状に対して直接的に作用するのに対し、漢方薬は身体全体のバランスを整え、自己治癒力を高めることを目的とします。
この二つを組み合わせることで、多角的な治療が可能になります。

例えば、漢方薬で胃腸の調子を整えることで、抗生物質の吸収を助けたり、副作用である下痢や食欲不振を軽減したりできます。
また、漢方薬で免疫力をサポートすることで、西洋薬の効果を高めることも期待されます。
このように、それぞれの治療法が互いの弱点を補い、長所を伸ばし合うことで、治療全体の質の向上が見込めるのです。

漢方薬を始める前に必ず担当の医師に相談しましょう

漢方薬は天然の生薬から作られていますが、医薬品であることに変わりはなく、体質に合わない場合や、特定の薬との組み合わせによっては副作用が起こる可能性があります。
特に、複数の薬を服用している非結核性抗酸菌症の患者さんの場合、薬の飲み合わせには細心の注意が必要です。

まずは、現在の治療を担当している主治医に漢方薬の併用を検討していることを伝え、相談することが最も重要です。
かかりつけの病院で漢方薬の処方が難しい場合は、漢方外来を設置しているクリニックや漢方薬局、漢方に詳しい内科医や薬剤師を紹介してもらうなど、必ず専門家の監督のもとで漢方薬の服用を開始するようにしてください。

漢方療法の効果をより高めるための日常生活のポイント

漢方薬による効果を最大限に引き出すためには、薬の服用だけでなく、日々の生活習慣を見直す「養生」が非常に重要です。
漢方では、食事、睡眠、運動といった生活の基本が、体質を改善し、病気に対する抵抗力を高めるための土台になると考えられています。

薬の力を借りながら、生活習慣を整えることで、より早い回復と再発予防につながります。
ここでは、漢方療法の効果を高めるための日常生活における3つの重要なポイントを解説します。

十分な栄養と睡眠で体力の回復をはかる

非結核性抗酸菌症は、慢性的な炎症や咳などによって体力を消耗しやすい病気です。
そのため、失われた体力を補い、免疫力を維持するためには、十分な栄養と休養が不可欠です。
食事は、消化が良く、タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く含んだものを心がけましょう。

一度にたくさん食べられない場合は、食事の回数を分けるなどの工夫も有効です。
また、質の良い睡眠は、心身の疲労を回復させ、免疫機能を正常に保つ上で欠かせません。
夜更かしは避け、リラックスできる環境を整えて、毎日十分な睡眠時間を確保することが、改善の助けとなります。

体を冷やさず、適度な湿度を保つ

漢方では、「冷え」は血行を悪化させ、免疫力の低下を招くなど、様々な不調の原因になると考えられています。
特に呼吸器は冷えや乾燥の影響を受けやすいため、体を温めることを意識した生活が大切です。
服装は首元、手首、足首を冷やさないように工夫し、飲み物や食事もできるだけ温かいものを選びましょう。

また、空気が乾燥すると気道の粘膜が傷つき、咳が悪化しやすくなります。
特に冬場や冷暖房を使用する季節は、加湿器などを利用して室内の湿度を50~60%程度に保つように心がけてください。
うがいも喉の潤いを保ち、感染予防に役立ちます。

無理のない範囲で軽い運動を続ける

体調が悪いとつい安静にしがちですが、過度な安静はかえって筋力や体力の低下を招きます。
体調が良い日には、無理のない範囲で体を動かすことを習慣にしましょう。
ウォーキングやストレッチ、ラジオ体操など、息が切れない程度の軽い運動は、全身の血行を促進し、新陳代謝を高めます。

また、適度な運動は気分転換やストレス解消にも効果的であり、精神的な安定も免疫機能に良い影響を与えます。
腹式呼吸や深呼吸は、呼吸筋を鍛え、痰を出しやすくする助けにもなります。
あくまで自分の体調と相談しながら、少しずつ継続することが重要です。

非結核性抗酸菌症の漢方療法に関するよくある質問

非結核性抗酸菌症の治療に漢方を取り入れることを検討する際、多くの方が費用や治療期間、副作用などについて疑問を持たれます。
ここでは、漢方療法を始める前によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

実際に服用を開始する前の不安や疑問を解消するための一助としてください。
ただし、個別の状況については、必ず医師や薬剤師などの専門家にご確認ください。

漢方薬の服用に健康保険は適用されますか?

医師が診断に基づき治療のために処方する漢方薬(主にエキス製剤)には、健康保険が適用されます。
これにより、患者さんの費用負担は通常1割から3割程度に抑えられます。
ただし、保険適用外の漢方薬や、漢方薬局で相談して購入する煎じ薬などは全額自己負担となるため、事前に確認が必要です。

効果を実感できるまで、どのくらいの期間が必要ですか?

効果が現れるまでの期間は、症状の重さや体質、服用する漢方薬の種類によって大きく異なります。
一般的には、2週間から1ヶ月ほどで何らかの体調の変化を感じ始めることが多いとされます。

しかし、漢方薬は体質を根本から改善していくアプローチのため、数ヶ月から年単位でじっくりと継続することが重要です。

漢方薬に副作用はありますか?

漢方薬は天然由来の生薬から作られていますが、医薬品であるため体質に合わない場合は副作用が起こる可能性があります。
食欲不振や胃もたれなどの胃腸症状、皮膚の発疹、かゆみなどが代表的です。
まれに肝機能障害や間質性肺炎、偽アルドステロン症(甘草の過剰摂取による)などが報告されています。

異変を感じたら直ちに服用を中止し、処方した医師や薬を選んでもらった薬剤師に相談してください。

まとめ

非結核性抗酸菌症の治療は長期にわたることが多く、西洋医学の標準治療だけでは症状の改善が頭打ちになったり、副作用に悩まされたりすることがあります。
そのような場合に漢方薬を併用することは、つらい咳や痰を和らげ、抗生物質の副作用を軽減し、低下した体力や免疫力を補う上で有効な選択肢となり得ます。
ただし、漢方薬も医薬品であるため、自己判断での使用は避け、必ず医師や薬剤師など専門家の指導のもとで服用を進めることが重要です。

治療に行き詰まりを感じている場合は、東京だけでなく、大阪、京都、福岡など全国にいる漢方に詳しい名医や漢方薬局の専門家に一度相談してみてはいかがでしょうか。
オンライン対応している専門家も増えているので、自宅にいながら相談できるケースも増えていますよ。

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