ホットフラッシュの漢方薬が効かない原因は?別の薬や治療法も解説
漢方
更年期のつらいホットフラッシュを和らげるために漢方薬を服用しているものの、期待したほどの効果が得られず悩んでいませんか。
漢方薬の効果が実感できない場合、体質との相性や服用期間、生活習慣など、いくつかの原因が考えられます。
この記事では、ホットフラッシュに対して漢方薬が効かないと感じる理由と、その場合の対処法、そして漢方以外の治療法の選択肢について解説します。
ホットフラッシュに漢方が効かないと感じる4つの主な理由
ホットフラッシュの漢方薬が効かないと感じる背景には、いくつかの理由が考えられます。
漢方とは、個々の体質に合わせて薬が選択されることで、心と体のバランスを整え、不調を改善に導くものです。
そのため、選ばれた漢方薬が体質に合っていない、効果が出るまで時間がかかるといったケースは少なくありません。
ここでは、効果を実感しにくい主な4つの理由について解説します。
ご自身の体質(証)に漢方薬が合っていない
漢方薬で効果が得られない最も一般的な原因は、ご自身の体質、すなわち「証」に漢方薬が合っていないことです。
漢方医学では、体力や抵抗力の充実度を示す「実証」と、虚弱な状態を示す「虚証」など、独自の基準で体質を判断し、最適な薬を決定します。
例えば、体力がある方向けの漢方薬を虚弱な方が服用しても、効果が出にくいばかりか、かえって胃もたれなどの不調を招くことがあります。
もし効果を感じられない場合は、服用している漢方薬が本当にご自身の証に適合しているか、一度専門の医師や薬剤師に相談し、見直してもらうことが必要です。
効果を実感するには服用期間が足りていない
漢方薬は、症状を直接抑える西洋薬とは異なり、体全体のバランスを整えながら体質を根本から改善していくことを目的としています。
そのため、効果を実感するまでにはある程度の時間が必要です。
一般的に、効果が出始める目安は2週間から1ヶ月程度とされていますが、これはあくまで目安であり、症状の重さや体質によって個人差があります。
特に、長年の不調を改善する目的で服用する場合は、数ヶ月単位での継続が必要になることも少なくありません。
すぐに効果が現れないからといって諦めず、専門家に相談しながら、服用を続けることが大切です。
漢方の効果を妨げる生活習慣を送っている
せっかく体質に合った漢方薬を服用していても、日々の生活習慣がその効果を妨げている可能性があります。
例えば、体を冷やす冷たい飲食物の過剰摂取、睡眠不足による自律神経の乱れ、過度なストレスなどは、漢方薬が目指す心身のバランス調整を阻害する要因となります。
漢方薬の効果を最大限に引き出すためには、薬の力だけに頼るのではなく、バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動といった生活習慣の見直しが不可欠です。
ご自身の生活を振り返り、改善できる点がないか確認してみることも、症状改善への重要な一歩となります。
漢方だけでは対応しきれないほど症状が重い
ホットフラッシュの症状が非常に強く、日常生活に大きな支障をきたしている場合、漢方薬だけでは対応が難しいケースもあります。
漢方薬は体質を穏やかに改善していくアプローチのため、急激で重い症状を速やかに抑える力は、ホルモン補充療法(HRT)などの西洋医学的治療に及ばない場合があります。
特に、女性ホルモンの急激な減少が原因で起こる重度の更年期障害の場合、漢方薬での体質改善と並行して、より直接的な治療法を検討することが有効です。
効果が見られない場合は、我慢せずに婦人科医に相談し、漢方以外の治療法も視野に入れることをおすすめします。
【タイプ別】「婦人科三大処方」の漢方薬が効かないケースとは?
更年期障害の治療でよく用いられる漢方薬には、「当帰芍薬散」「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」といった代表的なものがあります。
これらは「婦人科三大処方」とも呼ばれ広く使われていますが、体質によっては効果が出にくい、あるいは副作用のような不調を感じることもあります。
ここでは、それぞれの漢方薬がどのような場合に効きにくいのか、具体的なケースを解説します。
虚弱・冷えがちな体質で「当帰芍薬散」が合わない場合
当帰芍薬散は、体力がなく、冷え性で貧血傾向のある「虚証」タイプの方向けの漢方薬です。
主に血行を促進し、体を温めることで、冷えやめまい、むくみといった症状を改善します。
しかし、もともと胃腸が弱い方が服用すると、胃もたれや食欲不振といった消化器系の不調を感じることがあります。
また、体力があり、のぼせやほてりが強い「実証」タイプの方が服用しても、十分な効果は期待できず、
ホットフラッシュが主症状の方には、かえってのぼせを助長する可能性も考えられます。
イライラや不安が強く「加味逍遙散」が効きにくい場合
加味逍遙散は、体力が中等度以下で、冷えのぼせがあり、精神的なストレスからくるイライラや不安、不眠といった症状が強い方向けの漢方薬です。
気の巡りを改善し、精神を安定させる効果が期待できます。
市販薬の「加味逍遥散」も同様です。
しかし、ホットフラッシュの症状としてのぼせや発汗が非常に激しい場合、加味逍遙散だけでは熱を冷ます力が不足し、効果が追いつかないことがあります。
また、落ち込みよりもイライラが前面に出るタイプの症状には効果的ですが、気分の落ち込みが激しい場合は、別の漢方薬がより適している可能性が考えられます。
体力がありのぼせがちなのに「桂枝茯苓丸」が適さない場合
桂枝茯苓丸は、比較的体力があり、のぼせや下腹部痛、肩こりなどが気になる実証タイプの方向けの漢方薬です。
主に血の巡りの滞りである瘀血を改善する働きがあります。
このため、体力のない虚証タイプの方や、冷えが強い方が服用すると、体のエネルギーを消耗してしまい、かえって疲労感が増したり、体調を崩したりする可能性があります。
桂枝茯苓丸は、ホットフラッシュの中でも、特に顔はほてるのに足は冷えるといった冷えのぼせの症状に適していますが、全身が冷え切っているような方には不向きです。
漢方薬で効果が見られないときに検討したい他の治療法
漢方薬を一定期間試してもホットフラッシュの改善が見られない場合、他の治療法に切り替えることも一つの選択肢です。
特に症状が重い場合には、より直接的な効果が期待できるホルモン補充療法(HRT)がおすすめされることがあります。
また、市販のサプリメントを試すという方法もありますが、いずれの場合も自己判断はせず、専門家への相談が不可欠です。
ここでは、漢方以外の治療法について解説します。
より直接的な効果が期待できるホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)は、更年期に減少する女性ホルモン(エストロゲン)を飲み薬や貼り薬などで補充する治療法です。
ホットフラッシュや発汗といった血管運動神経症状に対して、漢方薬よりも速やかで高い効果が期待できるとされています。
特に、症状が重く日常生活に支障が出ている場合には、第一選択肢として検討されます。
ただし、乳がんや血栓症のリスクを考慮する必要があるため、定期的な検診が不可欠であり、既往歴によっては治療を受けられない場合もあります。
HRTを開始する際は、必ず婦人科医と相談し、メリットとデメリットを十分に理解した上で判断することが重要です。
市販で購入できるエクオールなどのサプリメントを試す
エクオールは、大豆イソフラボンが腸内細菌によって変換されて作られる成分で、女性ホルモンのエストロゲンに似た構造と働きを持つことから、更年期症状の緩和が期待されています。
体内でエクオールを産生できるかどうかは個人差があるため、産生できない人や産生量が少ない人は、市販のサプリメントで直接摂取する方法があります。
漢方薬やHRTに抵抗がある場合、まずは手軽に始められる選択肢の一つです。
ただし、サプリメントは医薬品ではなく、あくまでも食品であり、効果の現れ方には個人差が大きいことを理解しておく必要があります。
いくつかの種類が市販されているため、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。
自己判断は禁物!まずは婦人科の医師に相談する
漢方薬の効果が感じられないからといって、自己判断で服用を中止したり、他の治療法に切り替えたりすることは避けるべきです。
まずは、処方を受けた婦人科の医師に相談し、現状を正確に伝えることが最も重要です。
医師は、症状の変化や体質を再評価し、漢方薬の種類を変更したり、ホルモン補充療法(HRT)といった別の治療法を提案したりしてくれます。
また、漢方の専門知識が豊富な医師や、漢方薬局の薬剤師に相談することで、よりご自身の体質に合った薬が見つかる可能性もあります。
一人で悩まず、専門家のアドバイスを仰ぎながら、最適な解決策を見つけていきましょう。
今飲んでいる漢方の効果を最大限に引き出す3つの習慣
現在服用している漢方薬の効果が今ひとつ感じられない場合、薬を変える前に、まずは日々の生活習慣を見直してみることも大切です。
漢方薬は、その効果を最大限に発揮するために、正しい飲み方や生活の養生が大きく関わってきます。
ここでは、漢方の効果を引き出すために今日から実践できる3つの習慣を紹介します。
少しの工夫で、薬の効き方が変わってくるかもしれません。
「食前または食間」という正しい服用タイミングを守る
漢方薬は、多くの場合「食前(食事の30分前)」または「食間(食事と食事の間、食後2時間後)」の空腹時に服用するよう指示されます。
これは、胃に食べ物が入っていない状態の方が、漢方薬の有効成分が効率よく吸収されると考えられているためです。
食事の直後に服用すると、食べ物と混ざり合って吸収が妨げられ、期待される効果が十分に得られない可能性があります。
もし飲み忘れてしまった場合は、食後に服用しても問題ないとされることもありますが、基本的には決められたタイミングを守ることが、漢方の効果を最大限に引き出すための第一歩です。
日々の服用タイミングを今一度確認し、正しく実践できているか見直してみましょう。
漢方の吸収を助けるバランスの取れた食事を意識する
漢方薬の効果は、日々の食事内容にも影響を受けます。
特に、体を冷やす性質のある冷たい飲み物や食べ物、香辛料などの刺激物、脂肪分の多い食事の摂りすぎは、胃腸の働きを低下させ、漢方薬の吸収を妨げる可能性があります。
また、東洋医学では、食材にも体を温めるもの、冷やすものといった性質があると考えられています。
ホットフラッシュの改善を目指すのであれば、体を温める根菜類や発酵食品などを意識的に取り入れ、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
特定の食品に偏るのではなく、多様な食材から栄養を摂ることで、体全体の調和が整い、改善方向へと導かれます。
自律神経を整えるために十分な睡眠時間を確保する
ホットフラッシュをはじめとする更年期の不調は、女性ホルモンの減少だけでなく、自律神経の乱れも大きく関与しています。
睡眠不足は、この自律神経のバランスを崩す最大の要因の一つです。
夜更かしや不規則な睡眠は、交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズに行えなくさせ、ほてりやのぼせ、イライラといった症状を悪化させかねません。
漢方薬で体の内側から調子を整えようとしても、睡眠不足が続けばその効果は半減してしまいます。
毎日決まった時間に就寝・起床する、寝る前のスマートフォン操作を控えるなど、質の良い睡眠を確保するための工夫を取り入れ、心身をしっかりと休ませることが、漢方薬の効果を高める上で非常に重要です。
いつまで様子を見る?漢方薬の効果を見極める期間の目安
漢方薬を飲み始めたものの、「いつまで飲み続ければ効果が出るのだろう」と不安になる方は少なくありません。
効果の実感には個人差があり、一概に「この期間」と言い切ることは難しいですが、ある程度の目安を知っておくことで、服用を続けるかどうかの判断材料になります。
ここでは、漢方薬の効果を見極めるための期間の目安について、2つのステップで解説します。
まずは2週間から1ヶ月、体調の小さな変化に注目する
漢方薬の効果を見極める最初のステップとして、まずは2週間から1ヶ月間、服用を続けてみましょう。
この期間に、ホットフラッシュの頻度や程度が劇的に改善することは少ないかもしれませんが、何かしらの小さな変化が現れることがあります。
例えば、「以前より寝つきが良くなった」「イライラすることが減った」「手足の冷えが少し和らいだ」など、主症状以外の部分での改善も効果のサインと捉えることができます。
こうした体調のプラスの変化が見られる場合は、その漢方薬がご自身の体質に合っている可能性が高いと考えられます。
まずは焦らず、心身の細やかな変化に意識を向けてみることが大切です。
体質改善が目的なら3ヶ月は継続を検討してみる
2週間から1ヶ月で何らかの良い変化を感じられた場合、次のステップとして3ヶ月程度の継続を検討してみましょう。
漢方療法は、根本的な体質改善を目指すものであり、その効果が安定して現れるまでには時間がかかります。
特に、長年にわたって蓄積された体の不調を整えるには、相応の期間が必要です。
3ヶ月ほど服用を続けると、当初の目的であったホットフラッシュの症状にも、より明確な改善が見られるようになるケースが多くあります。
ただし、1ヶ月を過ぎても全く何の改善も見られない、あるいはかえって体調が悪化したという場合は、薬が合っていない可能性が高いため、漫然と続けずに専門家に相談してください。
ホットフラッシュの漢方療法に関するよくある質問
ホットフラッシュの改善で漢方薬を服用していると、さまざまな疑問や不安が浮かんでくることがあります。
ここでは、病院で処方される漢方薬と市販薬の違いや、副作用の可能性、他の治療法との併用など、特に多く寄せられる質問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。
服用を続ける上での参考にしてください。
Q1. 病院で処方される漢方と市販薬では効き目に違いはありますか?
医療用漢方薬と市販薬では、含まれる有効成分の種類は同じですが、成分の含有量が異なる場合があります。
ツムラやクラシエなど多くのメーカーが両方を製造しています。
一般的に医療用の方が成分量が多い傾向があります。
市販薬は処方箋薬より種類が豊富にありますが、
専門家による体質の見極めがないため、自分に合わないものを選んでしまうリスクがあります。
専門家に相談をして、自分に合った薬を選んでもらうことが大切です。
Q2. 漢方を飲み始めて症状が悪化した気がします。これは副作用ですか?
副作用の可能性も、好転反応の可能性も両方考えられます。
好転反応は一時的に症状が悪化したように見える状態ですが、自己判断は危険です。
特に、発疹、かゆみ、胃の不快感、下痢などの症状が現れた場合は、副作用の可能性が高いと考えられます。
体に合わないと感じたら、すぐに服用を中止し、処方した医師や薬を選んでもらった薬剤師に相談してください。
そのまま飲み続けることは避けるべきです。
Q3. ホルモン補充療法(HRT)と漢方薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?
医師の管理のもとであれば、併用できるケースは多くあります。
HRTで直接的にホルモンを補充しつつ、漢方薬で体全体のバランスを整えることで、相乗効果が期待できる場合もあります。
しかし、薬の組み合わせによっては予期せぬ相互作用が起こる可能性もゼロではありません。
自己判断で併用を始めることは絶対に避けてください。
必ずかかりつけの医師に相談し、指示に従うことが安全な治療への第一歩です。
まとめ
ホットフラッシュに対して漢方薬が効かないと感じる場合、その原因は体質との不一致、服用期間の不足、生活習慣、症状の重さなど多岐にわたります。
まずは、現在服用している漢方薬が本当に自分の体質に合っているのかを見直すことが重要です。
効果が見られない場合は、ホルモン補充療法(HRT)やサプリメントといった他の選択肢もありますが、自己判断で切り替えるのは避けましょう。
最も大切なのは、一人で悩まずに婦人科の医師や薬剤師などの専門家に相談することです。
現在の症状や服用状況を正確に伝え、対話を重ねることで、ご自身にとって最適な改善方法を見つけることができます。
