桔梗湯と銀翹散の違い|喉の痛みや風邪症状での選び方と注意点

桔梗湯と銀翹散の違い|喉の痛みや風邪症状での選び方と注意点 漢方

喉の痛みに用いられる漢方薬である桔梗湯と銀翹散は、どちらも喉の痛みに使われますが、適した症状に違いがあります。
桔梗湯と銀翹散の違いを正しく理解し、自身の症状に合わせて適切に使い分けることが回復への近道です。

この記事では、それぞれの特徴や選び方の基準、併用する際の注意点について解説します。
症状に合った漢方薬を選択し、つらい喉の痛みを和らげましょう。

桔梗湯と銀翹散の使い分け|症状に合わせた選び方を解説

桔梗湯と銀翹散はどちらも喉の痛みに効果が期待できますが最適な症状は異なります。

使い分ける際の最も大きなポイントは症状が喉に限定されているかそれとも熱感や頭痛といった風邪の諸症状を伴うかという点です。

ご自身の症状をよく観察しより適した漢方薬を選ぶための具体的な判断基準について見ていきましょう。

喉の痛みだけが気になる場合は「桔梗湯」がおすすめ

喉の痛みや腫れ、声枯れなど、症状が喉に限定されている場合には桔梗湯が適しています。
風邪のひき始めで、熱はあまりないものの、喉がイガイガしたり、何か飲み込む際に痛みを感じたりする初期症状に効果的です。

桔梗湯は、炎症を鎮めて排膿を促す作用を持つ生薬で構成されており、喉の患部に直接働きかけます。
そのため、頭痛や鼻水、体全体の倦怠感といった他の風邪症状が見られない、ピンポイントな喉の不快感を和らげたい場合に選ぶと良いでしょう。

喉の痛みに加えて熱感や風邪の症状があるなら「銀翹散」

喉の痛みに加え、熱っぽさ、頭痛、咳、喉の渇きといった風邪の諸症状も伴う場合は銀翹散が適しています。
銀翹散は、体内にこもった熱を冷ましながら発散させる働きがあるため、特にゾクゾクする寒気よりも体のほてりや熱っぽさを感じる「熱証」タイプの風邪の初期症状に効果的です。

喉の炎症を抑えるだけでなく、風邪によるさまざまな症状を総合的に緩和する漢方薬です。
黄色い痰が出るような場合にも用いられることがあり、喉の痛みを中心とした風邪症状全般に対応します。

喉の痛みにピンポイントで効く「桔梗湯」の特徴

桔梗湯は、その名の通り「桔梗(キキョウ)」と「甘草(カンゾウ)」という二つの生薬のみで構成された、非常にシンプルな漢方薬です。

このシンプルな構成だからこそ、喉の痛みや腫れといった局所的な症状に対して、シャープに効果を発揮します。

ここでは、桔梗湯がどのような症状に有効で、どのように服用するとより効果的なのかを解説します。

桔梗湯が効果を発揮する具体的な症状

桔梗湯は、特に扁桃炎や扁桃周囲炎の初期段階に見られる症状に適しています。
具体的には、喉が赤く腫れていて、食べ物や唾を飲み込む際に強い痛みを感じる場合や、声がかすれてしまうような症状に有効です。

構成生薬である桔梗には痰を切りやすくし膿を排出する作用が、甘草には炎症や痛みを和らげる作用があります。
これらの働きにより、喉の粘膜の炎症を直接鎮め、不快な症状を緩和します。
熱っぽさなどの全身症状は少なく、喉の局所的な問題に集中している場合に最も効果が期待できる漢方薬です。

効果を高めるための桔梗湯の飲み方

桔梗湯の効果をより高めるためには、特徴的な飲み方が推奨されています。
それは、ぬるま湯に溶かした薬液でうがいをするように喉に行き渡らせてから、少しずつ飲み込む方法です。
この服用法により、有効成分が喉の患部に直接触れる時間が長くなり、炎症を鎮める効果が高まります。

製品によって用法は異なりますが、一般的にはお湯に溶かして、喉を潤すようにゆっくりと服用することがポイントです。
食前または食間に服用することで、成分の吸収も良くなるとされています。

風邪のひき始めの諸症状にアプローチする「銀翹散」の特徴

銀翹散は桔梗湯とは対照的に多くの生薬から構成されており、喉の痛みだけでなく、風邪に伴うさまざまな初期症状に幅広く対応できる漢方薬です。
「銀花」や「連翹」といった熱を冷ます生薬が中心で、体内にこもった熱を発散させる働きが特徴です。

ここでは、銀翹散がどのような症状や体の状態に適しているのかを具体的に解説していきます。

銀翹散が適している具体的な症状

銀翹散は、喉の痛みを伴う風邪のひき始めで、特に熱っぽさを感じる場合に適しています。
具体的な症状としては、喉の痛みや腫れ、発熱、頭痛、体のほてり、口や喉の渇き、咳などが挙げられます。
ウイルスや細菌による感染症の初期段階で、炎症によって熱が生じている状態に有効です。

桔梗湯が喉の局所的な症状に特化しているのに対し、銀翹散は熱を冷ましながら喉の痛みを含む風邪の諸症状を全体的に緩和する働きを持っています。
インフルエンザの初期など、急な発熱と喉の痛みが同時に現れた場合にも用いられることがあります。

銀翹散を選ぶ際の体の状態の目安

銀翹散を選ぶ際の重要な目安は、体の状態が「熱証」であることです。
これは、ゾクゾクとした強い寒気(悪寒)よりも、体内に熱がこもっているような熱っぽさや、ほてりを感じる状態を指します。
風邪の初期でも、背中がゾクゾクするような寒気が強い場合は、体を温める作用のある葛根湯などが適していることが多いです。

一方で、銀翹散は体の熱を冷ますことを目的とするため、暑がりで、冷たい飲み物を欲しがり、汗ばむような傾向がある場合の風邪に適しています。
体力がある程度ある人の、炎症と熱を伴う初期の風邪症状に用いるのが基本です。

桔梗湯と銀翹散の併用は自己判断でしてはいけない理由

喉の痛みがひどいからといって、桔梗湯と銀翹散を自己判断で一緒に服用することは避けるべきです。
どちらも喉の痛みに効果があるとされていますが、併用することで特定の成分を過剰に摂取してしまい、予期せぬ副作用を招くリスクがあります。

なぜ併用が推奨されないのか、その具体的な理由について詳しく解説します。

成分が重複し副作用のリスクが高まる可能性があるため

多くのメーカーから販売されている銀翹散の薬の構成の中には、桔梗湯を構成する生薬である「桔梗」と「甘草」がすでに含まれています。
そのため、この二つの漢方薬を併用すると、これらの成分、特に甘草を過剰に摂取してしまうことになります。

甘草の過剰摂取は、「偽アルドステロン症」という副作用を引き起こす可能性があり、手足のむくみ、血圧の上昇、体内のカリウム値の低下といった症状が現れることがあります。
こうしたリスクを避けるため、桔梗湯と銀翹散は併用せず、ご自身の症状に合ったどちらか一方を選択して服用するのが原則です。

漢方薬の選択に迷ったときは薬剤師や登録販売者に相談しよう

桔梗湯と銀翹散のどちらが自分の症状に適しているか判断に迷う場合や、複数の症状が混在している場合は、自己判断で選ばずに専門家に相談することが重要です。
特に、高血圧や心臓病、腎臓病などの持病がある方や、他に薬を服用している方は、飲み合わせに注意が必要です。

ドラッグストアや薬局にいる薬剤師、または登録販売者に現在の症状や体質、既往歴などを具体的に伝えることで、より適切な漢方薬を選んでもらえます。
漢方薬は体質との相性も効果に大きく影響するため、専門家のアドバイスを受けることで、安全かつ効果的に症状を緩和できます。

桔梗湯と銀翹散に関するよくある質問

ここでは、桔梗湯と銀翹散について、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式で解説します。
併用の可否や、それぞれの漢方薬がどのような症状に特に有効なのか、また寒気がある場合に銀翹散を使っても良いのかといった、よくある質問にお答えします。
ご自身の疑問と照らし合わせながら、漢方薬選びの参考にしてください。

桔梗湯と銀翹散は一緒に飲んでも大丈夫?

自己判断で一緒に飲むのは避けてください。
多くの銀翹散には桔梗湯の成分である甘草や桔梗が含まれているため、併用すると成分の過剰摂取につながります。

特に甘草の摂りすぎは、むくみや血圧上昇などの副作用を招く恐れがあります。

桔梗湯はどのような喉の痛みに使いますか?

風邪の症状はあまりなく、喉の痛みや腫れ、声枯れといった症状にピンポイントで効果を発揮します。
扁桃炎の初期のように喉が赤く腫れ、つばを飲み込むのもつらい、といった局所的な炎症を鎮めるのに適しています。

熱感は伴わない場合に用います。

銀翹散はゾクゾクする寒気がある風邪にも有効ですか?

ゾクゾクする寒気が強い風邪には適していません。
銀翹散は体内にこもった熱を冷ます漢方薬のため、かえって寒気を悪化させる可能性があります。

寒気が主症状の場合は、体を温める作用のある葛根湯など、別の漢方薬を選ぶのが一般的です。

まとめ

桔梗湯と銀翹散は、どちらも喉の痛みに用いられる漢方薬ですが、適した症状が異なります。
症状が喉に限定され、熱感がない場合は桔梗湯が適しています。
一方、喉の痛みに加えて熱っぽさや頭痛、咳などの風邪症状を伴う場合は、体を冷ます作用のある銀翹散が選択肢となります。

この二つの漢方薬には重複する成分が含まれるため、自己判断での併用は副作用のリスクを高めます。
症状の判断に迷う場合や、持病がある場合は、購入前に薬剤師または登録販売者に相談して、適切なアドバイスを受けるようにして下さい。

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