漢方薬は胡散臭い?| 不妊・妊活の漢方薬局(岡山) | 福神トシモリ薬局(オンライン相談可)
漢方
漢方薬は本当に効くの?なんとなく胡散臭いと感じている人は少なくありません。
効果を実感するまでに時間がかかったり、科学的根拠が分かりにくかったりすることが、そのイメージにつながっているようです。
この記事では、漢方薬がなぜそのように思われがちなのか、西洋薬との違いや医療現場での実際の使われ方、そして効果を感じるためのポイントについて、客観的な視点から解説します。
なぜ漢方薬は「胡散臭い」と思われがちなのか?
漢方薬に対して「胡散臭い」というイメージが持たれる背景には、いくつかの理由が考えられます。
即効性が期待される西洋薬とは異なり、効果の実感に時間がかかることや、東洋医学特有の概念が現代の科学的な視点からは分かりにくいことなどが挙げられます。
また、個人の体質に合わせて選ぶ必要があるため、専門知識がないと適切に利用するのが難しい点も、とっつきにくさの一因となっているのかもしれません。
効果を実感するまでに時間がかかることについて
漢方薬は、体の内側からバランスを整え、体質そのものを改善することを目的とするものが多いため、効果を実感するまでに時間がかかる場合があります。
風邪の初期症状に用いられる葛根湯のように、比較的早く効果が現れるものもありますが、多くは数週間から数ヶ月単位で服用を続けることも多くあります。
病気の原因を直接叩く西洋薬のような即効性を期待して服用を始めると、効果が出る前に「効かない」と感じてしまい、服用を中断してしまうケースも少なくありません。
この時間差が、効果に対する不信感や「胡散臭い」というイメージにつながる一因と考えられます。
科学的な根拠が分かりにくいイメージがあるから
漢方医学では、「気・血・水」や「陰陽」といった独自の概念を用いて体の状態を診断します。
これらの言葉は、血液検査の数値や画像診断のように目に見える形で示されるものではないため、科学的な根拠が分かりにくいと感じられがちです。
現代医学が客観的なデータを重視するのに対し、漢方医学は個人の体質や自覚症状を総合的に判断するアプローチを取ります。
この考え方の違いが、科学的でない、つまり「胡散臭い」という印象を与えてしまう要因の一つになっています。
しかし、近年では漢方薬の効果を科学的に解明しようとする研究も進められています。
専門的な知識がないと選ぶのが難しいから
漢方薬は、同じ症状であっても個人の体質や状態、いわゆる「証(しょう)」によって処方が異なります。
例えば、同じ頭痛でも、体を温める漢方薬が合う人もいれば、冷やすものが適している人もいるのです。
この「証」を見極めるには、専門的な知識と経験が不可欠であり、自己判断で市販薬を選ぶのは非常に困難です。
薬局やドラッグストアには多くの種類の漢方薬が並んでいますが、どれが自分に合っているのかを正確に判断できないため、ご自身で選ぶことで、効果が得られなかったり、かえって体調を崩したりする可能性もあります。
この選択の難しさが、漢方薬を縁遠いものに感じさせ、「胡散臭い」というイメージにつながっている側面があります。
そもそも漢方薬とは?西洋薬との根本的な違い
漢方薬と西洋薬は病気や不調に対するアプローチが根本的に異なります。
西洋薬が特定の病気の原因となる細菌やウイルス、あるいは症状そのものをピンポイントで抑えることを目的とするのに対し、漢方薬は体全体のバランスの乱れを整えることで心身の不調を改善しようとします。
そのため一人ひとりの体質や状態に合わせて薬が決められるのが大きな特徴です。
どちらが優れているというわけではなく、それぞれの得意分野を理解し上手に使い分けることが重要です。
症状だけでなく体全体のバランスを整える考え方
西洋薬が頭痛には鎮痛剤、咳には咳止めといったように、特定の症状を抑える「対症療法」を得意とするのに対し、漢方薬は症状の根本にある体全体の不調和を整えることを目指します。
東洋医学では、心と体は一体であり、相互に関連し合っている(心身一如)と捉えます。
そのため、一つの症状が現れた場合でも、その背景にある冷えや血行不良、ストレスなど、全身の状態を考慮して処方を決定します。
このように、病名ではなく個人の状態を見て、体全体のバランスを正常な状態に戻すことで、結果的に症状を改善に導くというのが漢方医学の基本的な考え方です。
一人ひとりの体質に合わせて漢方薬は選ばれる
漢方医学の大きな特徴は、「同病異治(どうびょういち)」という考え方です。
これは、同じ病名や症状であっても、患者さん一人ひとりの体質や体力、抵抗力、病気の進行度などを総合的に判断し、異なる漢方薬を処方することを意味します。
この個別の状態を「証」と呼び、専門家は「証」を見極めることで、その人に最も適したオーダーメイドの処方を行います。
逆に、異なる病名でも「証」が同じであれば、同じ漢方薬が用いられる「異病同治(いびょうどうち)」というケースもあります。
このように、画一的な治療ではなく、個々の状態に合わせたきめ細やかな対応が漢方治療の基本です。
西洋医学の薬と上手に使い分ける視点
漢方薬と西洋薬は、互いに補完し合える関係にあります。
例えば、西洋薬で手術や強力な治療を行った後の体力低下や副作用の軽減に漢方薬を用いる、あるいは検査では異常がないものの、冷えやだるさといった自覚症状が続く「未病」の状態に漢方薬で対応するなど、両方の長所を活かすことが可能です。
急性期の激しい症状には即効性のある西洋薬を使い、慢性的な不調や体質改善には漢方薬を用いるといった使い分けも有効です。
どちらか一方に固執するのではなく、症状や目的に応じて両者を組み合わせることで、より効果的な治療の選択肢が広がります。
漢方薬は本当に効果がある?病院で処方される理由
漢方薬が一部で「胡散臭い」と見なされる一方で、日本の医療現場では確立された治療法の一つとして用いられています。
多くの漢方薬は、国から医薬品として承認されており、その品質や有効性、安全性が公的に認められています。
実際に、医師が処方する医療用漢方製剤には健康保険が適用されるものも多く存在し、様々な疾患の治療ガイドラインにおいても、漢方薬の使用が選択肢として推奨されるケースが増えています。
これは、漢方薬が単なる民間療法ではなく、現代医療の中で確かな役割を担っていることを示しています。
多くの漢方薬が医療用医薬品として認められている
現在、日本で使われている医療用の漢方薬の多くは、厚生労働省によって承認された「医薬品」です。
具体的には148種類の漢方エキス製剤が薬価基準に収載されており、これらは品質、有効性、安全性について国が定めた基準をクリアしています。
医薬品であるため、製造過程では厳格な品質管理が行われており、成分の含有量なども一定に保たれています。
これは、効果が科学的に証明されていない健康食品やサプリメントとは明確に一線を画すものです。
病院で処方される漢方薬は、いわゆる「気休め」やプラセボ(偽薬)ではなく、治療効果が認められた正規の薬として位置づけられています。
保険が適用される漢方薬も存在する
日本の公的医療保険制度では、医師が必要と判断して処方した漢方薬に対して、保険が適用されます。
現在、医療用として認められている漢方エキス製剤のほとんどが保険適用の対象です。
これは、国が漢方治療を標準的な医療の一部として認めていることを意味します。
患者は、保険証を提示すれば、西洋薬と同様に一部負担金(通常は3割)で漢方薬の処方を受けることが可能です。
もし漢方薬が科学的根拠のないものであれば、国の医療費で賄われる保険適用が認められることはありません。
この事実は、漢方薬が日本の医療制度において確固たる地位を築いている証拠の一つです。
そして、保険適応外の漢方薬にも、素晴らしい働きを持つものが多くあります。
医療現場で治療の選択肢として活用されている
現代の医療現場では、漢方薬は様々な場面で活用されています。
西洋医学的な治療では効果が不十分な場合や、副作用で治療の継続が難しい場合の補助として用いられることがあります。
また、検査数値には異常が出ないものの、冷え、倦怠感、食欲不振といった患者のつらい自覚症状(不定愁訴)の改善にも有効です。
特に、更年期障害、月経前症候群(PMS)、アトピー性皮膚炎、がん治療の副作用緩和など、特定の疾患や症状に対しては、各種診療ガイドラインでも漢方薬の使用が推奨されています。
このように、漢方薬は西洋医学を補完し、治療の選択肢を広げる重要な役割を担っています。
漢方薬が「効かない」と感じてしまう主な原因
漢方薬を服用しても効果を実感できない場合、いくつかの原因が考えられます。
最も多いのは、その人の体質、すなわち「証」に処方が合っていないケースです。
漢方薬はオーダーメイドの治療法であるため、適切な「証」の見極めが効果を左右します。
また、体質改善にはある程度の時間が必要なため、効果が出る前に服用をやめてしまうことも一因です。
加えて、食前や食間といった漢方薬特有の正しい飲み方を守らないと、十分な効果が得られないこともあります。
自分の体質(証)に合っていない可能性がある
漢方薬の効果が実感できない最大の理由は、選ばれた薬がその人の体質や状態を示す「証」に合っていないことです。
漢方では、同じ病気や症状でも、体力のある人(実証)とない人(虚証)、体が冷えている人(寒証)と熱を持っている人(熱証)では、用いる薬が全く異なります。
例えば、テレビCMなどで有名な漢方薬を自己判断で購入しても、それが自分の「証」と合致していなければ、効果がないばかりか、かえって体調を悪化させる危険性もあります。
効果を得るためには、専門家による正確な「証」の診断が不可欠であり、これが適切でないと「漢方は効かない」という結論に至りやすくなります。
服用期間が短い、または飲み方が正しくない
漢方薬、特に体質改善を目的とするものは、効果が現れるまでに一定の期間を要します。
数日間服用しただけで「効かない」と判断し、中断してしまうケースは少なくありません。
一般的には、自分にあった漢方薬を選び、まず2週間から1ヶ月程度は服用を続けて様子を見ることが推奨されます。
また、漢方薬は空腹時に服用することで成分の吸収が良くなると考えられており、多くは「食前」または「食間(食事の約2時間後)」に飲むよう指示されます。
これを忘れがちで食後に飲んだり、飲み忘れたりすることが続くと、期待される効果を十分に得られない可能性があります。
正しい用法・用量を守って継続することが、効果を実感するための重要な要素です。
漢方薬を正しく活用するためのポイント
漢方薬の効果を最大限に引き出し、安全に利用するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
まず最も大切なのは、自己判断で選ぶのではなく、漢方の知識を持つ医師や薬剤師といった専門家に相談することです。
専門家は、その人の体質や症状に合った適切な漢方薬を選んでくれます。
また、「自然由来だから安全」というイメージは必ずしも正しくなく、医薬品である以上、副作用のリスクも存在することを理解しておく必要があります。
まずは医師や薬剤師などの専門家に相談する
漢方薬の服用を検討する際は、まず漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することが最も重要です。
専門家は、問診や舌診、脈診などを通してその人の体質(証)を的確に見極め、数ある漢方薬の中から最も適したものを選択してくれます。
これにより、効果が得られやすくなるだけでなく、副作用のリスクを最小限に抑えることにもつながります。
また、現在服用中の西洋薬がある場合、飲み合わせによっては相互に影響を及ぼす可能性もあるため、専門家によるチェックは不可欠です。
ドラッグストアで手軽に購入できる市販薬であっても、まずは専門家に相談し、自分の状態に合ったものを選ぶというステップを踏むことが、漢方薬を正しく活用するための第一歩です。
副作用が起こる可能性も理解しておく
漢方薬は天然の生薬から作られているため、副作用がないというのは誤解です。
漢方薬も医薬品の一種であり、体質に合わなかったり、特定の成分にアレルギー反応を示したりすることで、副作用が起こる可能性があります。
代表的なものとして、食欲不振や吐き気、下痢などの消化器症状、皮膚の発疹やかゆみなどが挙げられます。
また、稀ではありますが、間質性肺炎や肝機能障害、偽アルドステロン症(高血圧やむくみ、低カリウム血症などを引き起こす)といった重篤な副作用も報告されています。
万が一、服用後にいつもと違う症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、処方を受けた医師や薬剤師に相談することが必要です。
まとめ
漢方薬が「胡散臭い」と感じられる背景には、効果実感までの時間、西洋医学とは異なる独自の理論、そして専門知識が必要な選択の難しさがあります。
しかし、漢方薬は体全体のバランスを整えるというアプローチで、個々の体質に合わせて処方される医療です。
多くの漢方薬は国に医薬品として承認され、保険適用のもとで医療現場の治療選択肢として活用されています。
効果を感じられない場合は、体質に合っていないか、服用期間や方法が適切でない可能性があります。
漢方薬を正しく活用するためには、自己判断を避け、まずは医師や薬剤師などの専門家に相談し、副作用の可能性も理解した上で利用することが求められます。
