40代の不妊治療の現状と成功率を上げる方法|アラフォー向け解説| 不妊・妊活の漢方薬局(岡山) | 福神トシモリ薬局(オンライン相談可)

40代の不妊治療の現状と成功率を上げる方法|アラフォー向け解説| 不妊・妊活の漢方薬局(岡山) | 福神トシモリ薬局(オンライン相談可) 妊活・不妊

40代の不妊治療は、妊娠率の低下や流産率の上昇など、医学的なデータを見ると厳しい側面があることは事実です。
特にアラフォー世代からの妊活は、卵子の質の変化という年齢的な要因と向き合う必要があります。

しかし、現在の医療技術の進歩は目覚ましく、適切な治療法を選択し、生活習慣を整えることで、妊娠の可能性を高めることは可能です。
この記事では、40代の不妊治療が直面する現状と、成功率を上げるための具体的な方法について、客観的な情報に基づいて解説します。

40代で妊娠が難しくなるのはなぜ?知っておきたい3つの理由

一般的に、女性の妊孕性(妊娠する力)は35歳頃から緩やかに低下し始め、40歳を過ぎるとそのスピードは加速します。
年齢が上がるとともに、自然妊娠が難しくなり、不妊症と診断される割合も高くなる傾向があります。
この背景には、単一ではなく複数の要因が複雑に絡み合っています。

主な理由として、卵子の数と質の変化、年齢とともにリスクが高まる婦人科系疾患、そしてパートナーの加齢による影響が挙げられます。
これらの医学的な事実を理解することは、適切な治療法を選択する上での第一歩となります。

卵子の数が減少し質も変化するため

女性が一生のうちに持つ卵子の数は、生まれたときにすでに決まっており、その後新たに作られることはありません。
年齢とともに卵子の数は減少し続け、40代になるとその数は大幅に少なくなります。
さらに重要なのは、数の減少だけでなく質も変化する点です。
残っている卵子の中に、染色体異常を持つものの割合が年齢とともに高くなります。

染色体異常のある卵子が受精すると、受精卵がうまく分割できなかったり、子宮内膜に着床しにくかったり、着床しても初期の段階で流産に至る確率が上がったりします。
40代の妊娠率低下と流産率上昇の最も大きな原因は、この卵子の質の変化にあると考えられています。

子宮内膜症など婦人科系の病気にかかりやすくなるため

年齢を重ねると、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症といった婦人科系の病気にかかるリスクが高まります。
これらの疾患は、自覚症状がないまま進行していることも少なくありません。
例えば、子宮筋腫ができる場所や大きさによっては、受精卵の着床を妨げる原因となります。

また、子宮内膜症は、卵管の癒着を引き起こして卵子のピックアップを妨げたり、卵巣にチョコレート嚢胞を形成して卵巣機能を低下させたりすることがあります。
不妊の原因は女性側だけとは限らず、約半数は男性側にも何らかの要因がある、あるいは男女双方に原因がある男性不妊のケースも報告されており、カップルでの検査が不可欠です。

パートナーの精子の質も年齢とともに変化するため

不妊の原因は女性側の年齢だけにあるわけではなく、男性の加齢も妊娠の成立に影響を与えます。
男性も年齢を重ねることで、精子の数や運動率が低下し、精子のDNAが損傷する割合が高まることが分かっています。
精子のDNA損傷は、受精能力の低下や、受精後の胚の発育不良、流産率の上昇に関係すると考えられています。

一般的に、その変化は40歳頃から、特に43歳を超えると顕著になるとの報告もあります。
不妊治療はカップルで取り組むべき課題であり、女性だけでなく男性も自身の体の状態を正確に把握し、必要に応じて生活習慣の改善や治療を行うことが、妊娠への近道となります。

【データで見る】40代の妊娠・出産・流産の確率

40代の妊娠を考える際、客観的なデータを把握しておくことは非常に重要です。
日本産科婦人科学会のデータによると、体外受精などの生殖補助医療を行った場合でも、出産に至る割合は40歳で約10%ですが、年齢とともに低下し45歳では1%未満となります。

一方で、流産率は年齢とともに上昇し、40歳で約30%、45歳では約50%に達します。
これは主に卵子の質の変化によるものです。
避妊をしていない健康なカップルが1年以内に自然妊娠する確率も、30代前半までは比較的高く維持されますが、40代になると5%以下にまで低下すると言われています。

40代から始める不妊治療の主な種類

不妊治療には、体の負担や費用が比較的少ない一般不妊治療から、高度な技術を要する生殖補助医療まで、いくつかのステップが存在します。
代表的なものとして、タイミング法、人工授精、そして体外受精が挙げられます。
40代からの不妊治療では、残された時間を有効に使うという視点が極めて重要になります。

そのため、どの治療法から始めるか、どのタイミングで次のステップに進む(ステップアップする)かを、専門医と十分に相談しながら慎重に決定する必要があります。
ここでは、それぞれの治療法の概要を解説します。

タイミング法:排卵日を予測して性交渉を行う

タイミング法は、超音波検査で卵胞の大きさを計測したり、ホルモン値を測定したりすることで、最も妊娠しやすい排卵のタイミングを正確に予測し、その時期に合わせて性交渉を持つ方法です。
不妊治療の中では最も取り組みやすく、身体的・経済的な負担が少ないのが特徴です。
しかし、この方法で妊娠が成立するためには、質の良い卵子が排卵され、精子に問題がなく、卵管が通っていることなどが前提となります。

40代の場合、卵子の質の低下という根本的な課題があるため、タイミング法のみで妊娠に至る確率は低くなる傾向にあります。
そのため、数周期試して結果が出ない場合は、漫然と続けずに早期に次の治療ステップへ進むことが推奨されます。

人工授精:洗浄・濃縮した精子を子宮に注入する

人工授精は、排卵のタイミングに合わせて、採取した精液の中から運動性の良好な精子を洗浄・濃縮し、細いカテーテルを使って直接子宮内に注入する治療法です。
精子が子宮頸管を通過するプロセスを省略できるため、精子の数が少ない、運動率が低いといった軽度の男性不妊や、性交渉がうまくいかないカップルなどに有効な場合があります。
ただし、受精や着床は体内で自然に起こるのを待つため、卵子と精子が出会う確率を高める補助的な治療という位置づけです。

例えば、30代から7年、8年とタイミング法や人工授精を続けてきたものの結果が出ず、40代で体外受精に移行するケースは少なくなく、時間を考慮した治療計画が求められます。

体外受精:体外で受精させた胚を子宮に戻す

体外受精は、排卵誘発剤を用いて複数の卵子を育て、体外に取り出して(採卵)、精子と受精させる治療法です。
受精してできた胚(受精卵)を数日間培養し、発育状態が良好なものを子宮内に戻します(胚移植)。

卵子と精子を直接受精させるため、タイミング法や人工授精よりも妊娠率が高く、40代の不妊治療において中心的な選択肢となります。
受精の過程を体外で確認できるため、受精障害などの不妊原因が判明することもあります。
また、必要に応じて、染色体異数性を調べる着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)などの先進医療を組み合わせることも可能です。

40代の不妊治療で成功率を高めるためのポイント

40代の不妊治療は、時間との勝負という側面が強いのが現実です。
限られた時間の中で妊娠の可能性を最大限に高めるためには、治療法の選択だけでなく、治療への向き合い方も重要になります。

重要なのは、自己判断で時間を費やすのではなく、できるだけ早く専門家の助けを借りることです。
そして、年齢的な要因を考慮した上で、効果的な治療法を積極的に検討することが求められます。
また、すぐの妊娠を望んでいなくても、将来に備えて今できることを考えておくという視点も選択肢の一つとなり得ます。

1日でも早く不妊治療の専門クリニックを受診する

40代で妊娠を考え始めた場合、最も優先すべきは、1日でも早く不妊治療を専門とするクリニックを受診することです。
自己流のタイミング法などで時間を費やすことは、貴重な妊娠の機会を逃すことにつながりかねません。

専門クリニックでは、血液検査や超音波検査、精液検査などを行い、現在の卵巣機能や子宮の状態、精子の状態などを医学的に正確に評価できます。
これにより、不妊の原因を特定し、個々の状況に合わせた最適な治療計画を立てることが可能になります。
まずは自分たちの体の状態を正しく知ることが、効果的な治療への第一歩です。

時間を考慮して体外受精を積極的に検討する

40代の不妊治療では、時間をいかに有効に使うかが成功の鍵を握ります。
タイミング法や人工授精といった一般不妊治療で妊娠に至る確率は、30代と比較して低くなるのが現実です。
これらの治療を長期間続けることは、結果的に妊娠の可能性が高い時期を逃してしまうリスクを伴います。

そのため、年齢的な要因、特に卵子の質の変化を考慮すると、初めから妊娠率が比較的高い体外受精を積極的に検討することが合理的な選択となる場合があります。
専門医と相談の上、一般不妊治療を省略、あるいはごく短期間にとどめ、早期に体外受精へステップアップする治療計画も視野に入れるべきです。

将来の妊娠に備える卵子凍結という選択肢

現時点ですぐに妊娠を希望しているわけではないものの、将来的に子どもを持つ可能性を残しておきたいと考える場合、卵子凍結が一つの選択肢となります。
これは、若く、質の良いうちに採取した卵子を凍結保存しておく技術です。
将来、パートナーが見つかったり、妊娠を望むタイミングが来たりした際に、凍結しておいた卵子を使って体外受精を行うことができます。

妊娠率は、凍結した時点での年齢に依存するため、少しでも若いうちに採卵することが望ましいとされています。
40代前半であれば、まだ質の良い卵子が残っている可能性もあり、専門医に相談してみる価値はあります。
ただし、妊娠を保証するものではなく、費用もかかる点を理解しておく必要があります。

妊娠の可能性を高めるために今日からできる生活習慣の見直し

不妊治療の効果を最大限に引き出すためには、高度な医療技術だけに頼るのではなく、自分自身の体づくりも並行して行うことが不可欠です。
妊娠しやすい体とは、ホルモンバランスが整い、血行が良く、心身ともに健康な状態を指します。
日々の食事や運動、睡眠といった基本的な生活習慣を見直すことは、体の土台を整え、卵子や精子の質の向上にもつながる可能性があります。

治療中は精神的な負担も大きくなりがちですが、生活リズムを整えることは、ストレスの緩和にも役立ちます。
ここでは、今日から実践できる具体的な生活習慣の改善点を紹介します。

バランスの取れた食事で必要な栄養素を摂取する

妊娠しやすい体作りの基本は、毎日の食事からバランス良く栄養を摂取することです。
特定の食品だけを食べるのではなく、主食・主菜・副菜をそろえ、多様な食材を取り入れるよう心がけます。
特に、細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用のあるビタミンC(パプリカ、ブロッコリーなど)やビタミンE(ナッツ類、アボカドなど)、細胞の生成を助ける葉酸(ほうれん草、枝豆など)は意識して摂取したい栄養素です。

また、体を温め血行を促進することも重要なので、冷たい飲み物や食べ物は控えめにし、温かいスープや根菜類などを食事に取り入れると良いでしょう。
サプリメントを利用する際は、医師や専門家に相談の上、適切に活用します。

適度な運動で心身のコンディションを整える

適度な運動は、全身の血行を促進し、子宮や卵巣への血流を改善する効果が期待できます。
血流が良くなることで、卵巣機能が活性化され、質の良い卵子が育つ環境を整えることにつながります。

激しい運動はかえって体にストレスを与え、ホルモンバランスを乱す原因にもなりかねないため、ウォーキングやヨガ、ストレッチといった、心地よく続けられる有酸素運動が推奨されます。
運動は気分転換やストレス解消にも効果的です。
日常生活の中に無理なく取り入れ、継続することが心身のコンディションを良好に保つ上で役立ちます。
パートナーと一緒に取り組むのも良いでしょう。

質の良い睡眠を確保してストレスを溜めない

睡眠は、体の機能を修復し、ホルモンバランスを整える上で非常に重要な役割を果たします。
特に、睡眠中に分泌されるメラトニンというホルモンは、卵子の質にも良い影響を与えることが報告されています。
質の良い睡眠を確保するためには、毎日決まった時間に就寝・起床し、生活リズムを整えることが基本です。
就寝前はスマートフォンやパソコンの画面を見るのを避け、リラックスできる環境を作りましょう。

また、不妊治療は精神的なストレスが大きくなりがちですが、ストレスはホルモンバランスの乱れに直結します。
趣味の時間を持ったり、信頼できる人に話を聞いてもらったりする、運動習慣を取り入れるなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。

喫煙や過度なアルコール摂取は控える

喫煙は、男女ともに生殖機能に悪影響を及ぼすことが科学的に証明されています。
タバコに含まれる有害物質は、卵巣機能を低下させ、卵子の質の悪化を招き、閉経年齢を早める可能性があります。
パートナーが喫煙している場合、受動喫煙でも同様のリスクがあるため、カップルで禁煙に取り組むことが強く推奨されます。

また、過度なアルコール摂取もホルモンバランスを乱し、排卵障害や着床障害のリスクを高めることが指摘されています。
飲酒は完全に断つ必要はありませんが、適量を心がけ、治療周期中や妊娠の可能性がある時期は控えるのが賢明です。
健康的な体作りは、妊娠への第一歩となります。

40代の不妊治療で活用したい費用と助成金制度

不妊治療、特に体外受精などの高度生殖医療は、経済的な負担が大きくなることがあります。
治療を始める前、あるいは継続していく上で、費用の全体像を把握し、利用できる公的な支援制度について知っておくことは、安心して治療に臨むために不可欠です。

2022年4月から、人工授精や体外受精などの基本的な不妊治療に公的医療保険が適用されるようになり、自己負担額が原則3割に軽減されました。
しかし、先進医療など保険適用外の治療もあり、費用が高額になるケースもあります。
ここでは、治療費の目安と、負担を軽減するための助成金制度について解説します。

治療ステップごとの費用相場を把握する

不妊治療の費用は、治療内容によって大きく異なります。
保険適用の場合、タイミング法は1周期あたり数千円から1万円程度、人工授精は1回あたり1万円から2万円程度が目安です。
体外受精は、行う処置によって費用が変動します。
採卵、媒精、胚培養、胚移植の一連の流れで、1回あたり10万円から20万円程度の自己負担となることが多いですが、採卵する卵子の数や、顕微授精、胚の凍結保存などのオプションを追加すると費用は加算されます。

また、保険適用には年齢や回数の制限があるため、それを超える場合や先進医療を受ける場合は自費診療となり、費用は全額自己負担となるため、事前にクリニックで詳細な費用説明を受けることが重要です。

申請できる公的な助成金制度を確認する

2022年4月からの保険適用拡大に伴い、国の特定不妊治療費助成制度は終了しましたが、地方自治体によっては独自の助成金制度を継続・新設している場合があります。
特に、保険適用外となる先進医療にかかる費用や、保険適用の回数制限を超えた治療費の一部を助成する制度など、内容は自治体によって様々です。
また、不妊検査に関する費用を助成している自治体もあります。

これらの助成金には、所得制限や年齢制限、対象となる治療内容などの条件が設けられていることがほとんどです。
自分が住んでいる市区町村のホームページを確認したり、保健所の窓口に問い合わせたりして、利用できる制度がないか最新の情報を確認することをお勧めします。

まとめ

40代の不妊治療は、加齢による卵子の質の変化という生物学的な課題に直面するため、厳しい側面があることは否定できません。
客観的なデータを見ても、妊娠率の低下と流産率の上昇は避けられない事実です。
しかし、医学の進歩により、体外受精をはじめとする高度生殖医療によって妊娠・出産に至るケースも数多くあります。

成功の可能性を高めるためには、1日でも早く不妊治療の専門クリニックを受診し、自身の体の状態を正確に把握した上で、時間を有効に使う治療戦略を立てることが求められます。
また、治療と並行して、食事や運動、睡眠といった生活習慣を見直すことも、体を最適な状態に整える上で有効です。
経済的な負担に対しては、公的な保険適用や自治体の助成金制度を事前に調べ、活用することが治療継続の支えとなり得ます。

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