期外収縮に用いる漢方薬|ツムラの炙甘草湯など不整脈に用いる漢方薬

期外収縮に用いる漢方薬|ツムラの炙甘草湯など不整脈に用いる漢方薬 漢方

病院の検査で「心配ない」と言われても、動悸や脈が飛ぶ感覚は不快で不安なものです。
期外収縮と呼ばれるこの不整脈の症状は、西洋薬での治療に至らないケースも少なくありません。
この記事では、そのようなお悩みに対し、体質からアプローチする漢方薬という選択肢を解説します。

処方箋適応の薬にもあるツムラの炙甘草湯など、期外収縮の改善に用いられる代表的な漢方を紹介します。

「病院で異常なしと言われたのに…」その期外収縮の症状、漢方でアプローチできる可能性があります

心電図検査などで「治療の必要はない」と診断されても、動悸や脈の乱れといった期外収縮の自覚症状が続くと、日常生活に支障をきたすこともあります。
多くの場合、命に関わる危険な不整脈ではありませんが、不快感や不安感はご本人にとって大きなストレスです。

漢方では、こうした自覚症状を心身のバランスの乱れと捉え、体質を整えることで症状の緩和を目指します。
西洋医学とは異なる視点で、つらい症状にアプローチできる可能性があります。

漢方が期外収縮に効果的な理由|自律神経のバランスを整える東洋医学の考え方

東洋医学では、心身の健康は「気・血・水」の3つの要素がバランス良く巡ることで保たれると考えます。
期外収縮は、特に精神的ストレスや過労によって「気」の流れが滞ったり、消耗したりすることで起こりやすい状態です。
これは自律神経の乱れと深く関係しています。

漢方療法は、乱れた「気」の流れを整え、不足した「血」を補うなど、身体全体のバランスを調整することを目指します。
部分的な症状を抑えるだけでなく、不調の根本原因に働きかけることで、期外収縮が起こりにくい身体へと導きます。

【症状・体質別】期外収縮の改善に用いられる代表的な漢方薬

期外収縮の改善に用いられる漢方薬は、症状だけでなく、その人の体力や体質(証)に合わせて選ばれます。
ここでは、代表的な4つの漢方薬を紹介しますが、これが全てではありません。
ご自身の状態に最も合う薬を見つけるためには、専門家によるカウンセリングが不可欠です。

あくまで一般的な例として参考にしてください。

脈の乱れや疲労感が気になる方向け「炙甘草湯(しゃかんぞうとう)」

炙甘草湯は、体力が低下し、顔色が悪く、疲れやすい方の動悸や息切れ、脈の乱れに用いられる代表的な漢方です。
不整脈の改善の基本の漢方薬とも言われ、心臓の働きを栄養する「血」を補い、脈を整える作用が期待されます。
期外収縮には心室性と上室性のタイプがありますが、この薬はどちらのタイプかに関わらず、体質改善の観点から用いられます。

消耗した心身を潤し、心拍のリズムを安定させることを目指す漢方薬です。

ストレスや不安が強く、動悸がする方向け「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」

柴胡加竜骨牡蛎湯は、比較的体力があり、精神的なストレスや不安、イライラが原因で動悸や不眠、胸の圧迫感などの症状が現れる方に適しています。
精神的な緊張を和らげ、高ぶった神経を鎮めることで、心臓への負担を軽減します。
ストレスを感じると症状が悪化するタイプの期外収縮に効果が期待できる処方で、自律神経のバランスを整え、心と体の両面からアプローチします。

のどの詰まり感や不安感を伴う方向け「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」

半夏厚朴湯は、体力は中程度で、気分がふさぎがち、のどの異物感を伴う不安感や動悸に用いられます。
ストレスによって滞った「気」の流れをスムーズにし、精神的な不安を和らげる効果が期待されます。
神経質な方や、心配事で胸がドキドキしやすい方の期外収縮に適しており、精神安定作用により症状の緩和を目指します。

めまい・立ちくらみを伴う動悸向けの「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」

苓桂朮甘湯は、めまいや立ちくらみ、頭痛、耳鳴りなどを伴う動悸に用いられる漢方です。
体内の水分代謝の乱れ(水滞)が原因で起こる症状を改善する働きがあります。
特に、立ち上がった時にフワッとするような感覚がある方の動悸に適しています。

更年期に見られる自律神経の乱れからくる動悸やめまいにも応用されることが多く、体の余分な水分を排出し、「気」の巡りを上向きに整えることで症状を和らげます。

漢方薬はいつから効果が出る?服用期間の目安について

漢方薬の効果が現れるまでの期間は、その人の体質や症状の程度、生活習慣によって大きく異なります。
一般的に、2週間から1ヶ月ほど服用を続けると何らかの変化を感じ始める方が多いですが、これはあくまで目安です。

漢方療法は、症状を一時的に抑える対症療法とは異なり、体質そのものを改善していくことを目的とします。
そのため、根本的な改善には数ヶ月から年単位の継続的な服用が必要になる場合もあります。

期外収縮の漢方療法を始めるには?相談できる場所を紹介

期外収縮の症状を漢方で改善したいと考えた場合、どこに相談すればよいのでしょうか。
主に二つの選択肢があります。
それぞれに特徴があるため、ご自身の状況に合わせて選ぶことが重要です。

まずはかかりつけ医や漢方に詳しい医師に相談する

まずは、現在かかっている循環器内科の医師や、かかりつけ医に相談するのが第一歩です。
漢方医学に理解のある医師であれば、症状や体質に合わせた漢方薬を保険適用で処方してくれる場合があります。
ツムラをはじめとする多くのメーカーが、医療用の漢方製剤を製造しており、西洋薬との併用についても専門的な判断をしてもらえます。

総合病院やクリニックの中には漢方外来を設けているところもあるため、探してみるのも一つの方法です。

専門の漢方薬局でじっくり相談して選ぶ

より専門的で、時間をかけたカウンセリングを希望する場合は、漢方専門の薬局や薬店に相談する方法があります。
ここでは、独自の問診や舌診、脈診などを用いて体質(証)を詳しく見極め、その人に最適な漢方薬を提案してくれます。
保険適用外の生薬を組み合わせたオーダーメイドの漢方薬を受けられることもメリットです。

市販の漢方薬を選ぶ際にも、常駐している薬剤師に相談することで、より自分に合ったものを見つけやすくなります。

漢方薬を服用する際に知っておきたい注意点

漢方薬は自然由来の生薬から作られており、体に優しいイメージがありますが、医薬品であることに変わりはありません。
効果を最大限に引き出し、安全に服用するためにはいくつかの注意点があります。

自己判断での服用は避け、専門家のアドバイスを受ける

漢方薬は、その人の体質(証)に合っていなければ効果が期待できないばかりか、かえって体調を崩す原因にもなり得ます。
インターネットの情報や知人の話を鵜呑みにし、自己判断で服用を始めるのは危険です。
市販の漢方薬を試す場合でも、必ず医師や薬剤師、登録販売者といった専門家に相談し、自分の症状や体質に合ったものを選ぶようにしましょう。

副作用が起こる可能性も理解しておく

「漢方は副作用がない」と思われがちですが、それは誤解です。
体質に合わない薬を服用したり、特定の成分にアレルギー反応を起こしたりすることがあります。
代表的な副作用には、食欲不振や胃もたれなどの消化器症状、発疹やかゆみなどの皮膚症状があります。

また、まれに「偽アルドステロン症」や「間質性肺炎」といった重篤な副作用が起こる可能性もゼロではありません。
服用後に少しでも体調の異変を感じたら、すぐに中止して専門家に相談してください。

期外収縮 漢方に関するよくある質問

ここでは、期外収縮の改善のために漢方薬の服用を検討している方からよく寄せられる質問にお答えします。

漢方薬に健康保険は適用されますか?

医師が治療に必要と判断し、病院やクリニックで処方される医療用漢方製剤には健康保険が適用されます。
一方、漢方薬局で相談して購入する煎じ薬や独自の製剤は、原則として自由診療となり、全額自己負担です。

病院で処方された薬と漢方薬は一緒に飲んでも大丈夫ですか?

自己判断での併用は絶対に避けてください。
薬の組み合わせによっては、互いの効果を弱めたり、強めすぎたり、予期せぬ副作用を引き起こす可能性があります。
現在服用中の薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に伝え、飲み合わせに問題がないか確認してもらう必要があります。

漢方を試しても症状が改善しない場合はどうすればよいですか?

まずは処方してもらった医師や薬を選んでもらった薬剤師に相談してください。
漢方薬が体質に合っていない可能性があり、薬の見直しが必要かもしれません。
また、症状の裏に別の病気が隠れている可能性も考えられます。

必要に応じて、再度医療機関で精密検査を受けることも検討しましょう。

まとめ

病院の検査で異常なしと診断された期外収縮でも、自覚症状が辛い場合には、漢方薬が有効な選択肢となることがあります。
漢方療法は自律神経のバランスを整え、不調の根本原因にアプローチすることで、症状の緩和を目指します。
ただし、漢方薬の効果を最大限に引き出すためには、専門家による正確な判断に基づき、ご自身の体質に合った薬を選ぶことが不可欠です。

自己判断での服用は避け、必ず医師や漢方薬局の専門家に相談してから始めましょう。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。