神経性胃炎の漢方薬|ストレス性の胃痛に用いる安中散など市販薬の選び方
漢方
ストレスや不安からくる胃のキリキリとした痛みや、すっきりしない胃もたれ。
これらは神経性胃炎のサインかもしれません。
この記事では、神経性胃炎の症状緩和や体質改善に役立つ漢方薬について解説します。
特に、ストレス性の胃痛に用いられる安中散など、ドラッグストアで購入できる市販の漢方薬の選び方や、症状別の適切な漢方薬を紹介します。
はじめに:ストレスによる胃の不調、漢方で体質から見直しませんか?
病院で検査を受けても「特に異常はない」と言われたのに、胃の不調が続くことはありませんか。
ストレス社会といわれる現代では、精神的な負担が原因で胃の機能が低下する「神経性胃炎」や「機能性ディスペプシア」に悩む人が増えています。
漢方医学では、このような不調を心と体のバランスの乱れと捉え、一時的な症状緩和だけでなく、不調の根本原因にアプローチして体質から整えていくことを目指します。
なぜ神経性胃炎(機能性ディスペプシア)に漢方が選ばれるのか
神経性胃炎や機能性ディスペプシアは、胃カメラなどの検査では器質的な異常が見つからないにもかかわらず、胃痛や胃もたれなどの症状が現れる状態です。
このような不調は、自律神経の乱れが大きく関わっていると考えられています。
心と体のつながりを重視する漢方のアプローチは、こうした機能的な胃腸の不調に対して有効な選択肢となり得ます。
症状を抑える西洋薬と、根本原因に働きかける漢方薬のアプローチの違い
西洋薬は、主に胃酸の分泌を抑えることで胃痛などの症状を直接的に緩和します。
これは「対症療法」と呼ばれ、つらい症状を速やかに抑えるのに非常に有効です。
一方、漢方薬は、特定の症状だけを狙うのではなく、不調の背景にある体質、例えば「気(エネルギー)」「血(血液とその働き)」「水(体液)」の乱れを整えることを目指します。
これにより、胃腸だけでなく心身全体のバランスを回復させ、不調が起こりにくい体づくりをサポートします。
自律神経のバランスを整えて胃腸の働きを正常化する
過度なストレスは、体を活動的にする交感神経とリラックスさせる副交感神経からなる自律神経のバランスを崩します。
交感神経が優位になると、胃の血管が収縮して血流が悪くなったり、胃酸の分泌が過剰になったりして、胃痛や不快感を引き起こします。
漢方薬には、高ぶった神経を鎮めたり、気の巡りを改善したりすることで自律神経のバランスを整える働きを持つものがあり、胃腸が本来の機能を取り戻すのを助けます。
【症状・タイプ別】あなたの神経性胃炎に合う漢方薬の選び方
漢方では、同じ神経性胃炎という診断でも、個人の体力、体質、具体的な症状によって適した薬が異なります。
これを「同病異治」と呼びます。
ここでは、代表的な症状や体質のタイプ別に、どのような漢方薬が適しているかを紹介します。
自分の状態に最も近いものを見つけるための参考にしてください。
ストレスによるキリキリした胃痛が主な症状の場合
ストレスを感じると胃が痙攣するようにキリキリと痛むタイプには、気の巡りを良くし、体の冷えを取りながら痛みを和らげる漢方薬が適しています。
代表的な漢方薬は「安中散」で、体力が中等度以下で、腹部は力がなくて冷えやすい人の胃痛や胸やけに用いられます。
また、ストレスが強く、みぞおちから脇腹にかけて張ったような痛みを感じる場合は「柴胡桂枝湯」が選択肢になることもあります。
胃もたれや食欲不振、吐き気が気になる場合
胃腸のエネルギーが不足し、消化機能が低下している「気虚」という状態が考えられます。
このタイプには、胃腸の働きを助け、元気を補う漢方薬が向いています。
代表的な漢方薬である「六君子湯」は、食欲不振や胃もたれ、みぞおちのつかえ感などを改善します。
また、吐き気やげっぷ、下痢などを伴う場合は、胃の機能を整える「半夏瀉心湯」が適していることもあります。
不安感や気分の落ち込み、喉のつかえ感を伴う場合
ストレスによって気の巡りが滞る「気滞」が原因で、精神的な症状や身体的な違和感が生じることがあります。
特に、喉に何か詰まったような異物感(梅核気)があり、不安感や動悸を伴う場合には「半夏厚朴湯」が用いられます。
また、くよくよ考え込みがちで、不眠や貧血傾向があり、胃腸も弱いといった心身の疲れには「加味帰脾湯」が適しています。
みぞおちのつかえやゲップ、下痢が気になる場合
みぞおちのあたりが張って苦しい感じ(心下痞)や、頻繁なゲップ、お腹がゴロゴロ鳴って下痢をするなどの症状には、胃腸の働きを正常化する漢方薬が用いられます。
このタイプの代表的な漢方薬として「半夏瀉心湯」があります。
ストレスや飲食の不摂生などによって胃腸の機能が乱れ、熱と冷えが混在した状態を改善します。
冷えが特に強く、下痢や嘔吐を伴う場合は「人参湯」が適応となることもあります。
ドラッグストアで購入可能!神経性胃炎におすすめの市販漢方薬
神経性胃炎に対応した漢方薬は、ドラッグストアや薬局でも購入できます。
ツムラをはじめとする各社から、顆粒や錠剤など様々なタイプの製品が販売されています。
市販薬を選ぶ際は、パッケージに記載されている効能・効果や体力要件を確認し、自分の症状や体質に合ったものを選ぶことが重要です。
迷った場合は、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。
ストレスからくる胃痛が気になる方向けの市販薬
ストレスによるキリキリとした胃痛には、「安中散(あんちゅうさん)」が配合された市販薬が第一選択肢となります。
「太田漢方胃腸薬Ⅱ」などがこのタイプに該当し、神経をしずめ、胃の痛みを和らげる効果が期待できます。
特に、痩せ型で体力がなく、冷えやすい人の慢性的な胃の不調に適しています。
錠剤タイプと散剤(粉薬)タイプがあるため、飲みやすい方を選ぶとよいでしょう。
普段から胃腸が弱く、疲れやすい方向けの市販薬
もともと胃腸が弱く、食後に胃がもたれたり、疲れやすかったりするタイプには、胃腸の働きを補いながら痛みを鎮める漢方薬が適しています。
「大正漢方胃腸薬」は、「安中散」と、筋肉の緊張を和らげて痛みを鎮める「芍薬甘草湯」を組み合わせて作られており、弱った胃腸の機能を高める効果が期待できます。
食欲不振や胃もたれを改善したい場合に適した選択肢です。
漢方薬を服用する前に知っておきたい注意点
漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、医薬品であることに変わりはありません。
安全かつ効果的に使用するためには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。
自己判断で漫然と使用するのではなく、専門家のアドバイスを参考にしながら、自分の体と向き合うことが大切です。
まずは薬剤師や登録販売者に自分の体質を相談する
市販の漢方薬を選ぶ際には、ドラッグストアに常駐している薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。
自分の具体的な症状(いつ、どんな時に、どのように不調か)、体質(冷えやすい、疲れやすいなど)、便通の状態、他に服用している薬などを詳しく伝えることで、数ある漢方薬の中からより自分に合ったものを提案してもらえます。
専門家への相談は、適切な薬選びの第一歩です。
一定期間服用しても症状が良くならない場合は医療機関へ
市販の漢方薬を説明書の通りに1〜2週間ほど服用しても症状が全く改善しない、あるいは悪化するような場合は、服用を中止して医療機関を受診してください。
神経性胃炎や機能性ディスペプシアだと思っていても、背景に胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎など、他の病気が隠れている可能性があります。
自己判断で長期間服用を続けることは避け、専門医による正確な診断を受けることが重要です。
神経性胃炎と漢方に関するよくある質問
ここでは、神経性胃炎で漢方薬の服用を検討している方からよく寄せられる質問について、簡潔に回答します。
漢方薬はどのくらいの期間で効果を実感できますか?
体質や症状によって異なりますが、早い方で数日、一般的には2週間から1ヶ月程度の服用で効果を感じ始めることが多いです。
漢方薬は体質を根本から改善することを目指すため、ある程度の期間、継続して服用することが重要になります。
漢方薬に副作用の心配はありませんか?
漢方薬も医薬品のため、副作用が起こる可能性はあります。
例えば、甘草(カンゾウ)を含む漢方薬では、まれに偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇など)がみられます。
体質に合わない場合もあるため、異変を感じたら服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
病院で処方される漢方と市販の漢方薬では何が違いますか?
医療用漢方薬は医師が診察に基づいて処方し、保険が適用されます。
一方、市販薬は比較的多くの人に合うよう成分量が調整されているのが一般的です。
処方箋医薬品は、医師の専門的な判断で選ばれますが、市販薬でも十分な効果が期待できるものは多くあります。
まとめ
ストレスによる神経性胃炎の症状緩和には、漢方薬が有効な選択肢の一つです。
西洋薬が症状を直接抑えるのに対し、漢方薬は自律神経のバランスを整え、胃腸の働きを正常化させることで、不調の根本原因にアプローチします。
自分の症状や体質に合わせて「安中散」や「六君子湯」などが配合された市販薬を選び、改善が見られない場合は医療機関を受診することが大切です。
迷った際は漢方に詳しい薬剤師などの専門家に相談しましょう。

