気象病におすすめの漢方薬【症状別の選び方・対策】

気象病におすすめの漢方薬【症状別の選び方・対策】 漢方

天候の変化によって引き起こされる頭痛やめまいなどの不調は「気象病」と呼ばれ、多くの方を悩ませています。
対症療法だけでは改善しないと感じる場合、体質から見直す漢方薬がおすすめです。

この記事では、気象病の症状に合わせたおすすめの漢方薬やその選び方、日々の対策について解説します。

そもそも気象病とは?低気圧で体調不良が起こる仕組み

気象病とは、気圧や温度、湿度といった気象の大きな変化が原因で起こる体調不良の総称です。
特に、低気圧が近づくと症状を訴える人が多く見られます。
主な症状には頭痛、めまい、吐き気、関節痛、古傷の痛み、疲労感や倦怠感などがあります。

このメカニズムには、耳の奥にある内耳が気圧の変化を敏感に察知し、その情報が脳に伝わることで自律神経が乱れることが関係していると考えられています。
自律神経のバランスが崩れると、血管の収縮や拡張がうまくコントロールできなくなり、さまざまな不調として現れます。

気象病に漢方が効果的な理由|乱れた体内の水分バランスを整える

漢方では、私たちの体は「気・血・水」の3つの要素で構成され、これらがバランス良く巡ることで健康が保たれると考えられています。
気象病は、特にこの「水」の巡りが滞る「水滞」の状態が大きく関わっているとされます。
低気圧などの影響で体内の水分バランスが崩れ、余分な水分が溜まることで、むくみや頭痛、めまいといった症状が引き起こされるのです。

漢方薬は、この乱れた水分バランスを整え、水の巡りを正常化させる働きがあります。
体質に合わせて漢方薬を選ぶことで、気象病の根本的な改善を目指します。

【症状別】あなたのタイプは?気象病におすすめの漢方薬

気象病の症状は人それぞれ異なります。
そのため、漢方薬を選ぶ際は、自分の症状や体質に合ったものを見つけることが重要です。

ここでは、代表的な症状別におすすめの漢方薬をいくつか紹介します。
自分の体の声に耳を傾け、どのタイプに当てはまるか確認してみましょう。

【頭痛・むくみ・吐き気】体内の余分な水分を排出する「五苓散(ごれいさん)」

頭痛やむくみ、吐き気といった症状が特徴的な場合、体内に余分な水分が溜まっている「水滞」が原因かもしれません。
五苓散は、体内の水分代謝を調節し、不要な水分を尿として排出させる働きに優れた漢方薬です。
喉の渇きがある一方で、尿の出が悪かったり、むくみやすかったりする人に適しています。

気圧の変化で起こるズキズキとした頭痛や、車酔いのような吐き気を伴う場合にも用いられます。
症状が出てからでも効果が期待できるため、気象病の頓服薬としても利用されることがあります。

【めまい・立ちくらみ・動悸】気の巡りを整えて症状を緩和する「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」

立ち上がった時にクラッとする立ちくらみや、ぐるぐる回るようなめまい、動悸などが主な症状の場合は、苓桂朮甘湯が適しています。
このタイプの不調は、水分代謝の異常に加え、エネルギーである気が上半身に偏って滞ることが原因とされます。
苓桂朮甘湯は、体内の水分バランスを整えながら、気の巡りを正常化させて上衝を抑える働きがあります。

そのため、気象病によるめまいの改善によく用いられる代表的なめまい薬の一つです。
りょうけいじゅつかんとうと読みます。

【冷え・貧血・疲労感】血を補い巡りを良くする「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」

気象病の症状に加えて、手足の冷えや貧血傾向、月経不順、強い疲労感がある場合は、「血」が不足している「血虚」の状態が考えられます。
当帰芍薬散は、全身に栄養を運ぶ「血」を補い、その巡りを良くすることで体を温める漢方薬です。
水分代謝を整える作用もあり、むくみやすい体質にも対応します。

特に冬になると症状が悪化する人や、気分の落ち込みといったうつ症状、肩こりなどに悩む、比較的体力がなく華奢なタイプの女性に多く用いられます。

【めまい・頭痛がひどい】胃腸が弱く冷えやすい人向けの「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」

普段から胃腸が弱く、食欲不振や下痢を起こしやすい冷え性の人で、特に回転性のめまいや重い頭痛に悩まされる場合には、半夏白朮天麻湯が適しています。
この漢方薬は、胃腸の働きを助けて消化吸収機能を高め、体内の余分な水分を取り除くことで、めまいや頭痛の原因にアプローチします。

体力を補いながら症状を改善していくため、胃腸が弱く疲れやすい体質の人に向いています。
気圧の変化で症状が悪化する際に用いられることが多い処方です。

気象病の漢方薬はどこで買える?市販薬と処方薬の違いを解説

気象病に使われる漢方薬は、ドラッグストアや薬局、または病院で入手できます。
ドラッグストアでは、クラシエなどの製薬会社から様々な種類の市販薬が販売されており、薬剤師や登録販売者に相談して購入可能です。
一方、病院では医師の診察のもと、健康保険が適用される医療用漢方製剤が処方されます。

市販薬と処方薬の主な違いは、保険適応の有無です。
牛黄や鹿茸などの動物生薬は保険適応外になります。

症状が重い場合や、どの漢方薬が自分に合うか分からない場合は、まず医師や薬剤師などの専門家に相談して漢方薬を選んでもらうのが良いでしょう。

漢方薬を飲むタイミングはいつ?症状が出る前の予防服用が効果的

漢方薬を飲むタイミングは、症状や目的によって異なります。
一般的な服用方法は、食前または食間の空腹時です。
気象病の場合、頭痛やめまいなどの症状が現れてから服用しても効果は期待できますが、より効果的なのは予防的な服用です。

天気予報などを活用し、低気圧が接近する前日や当日の朝など、症状が出そうだと予測できるタイミングで早めに服用を開始することで、症状の発現を抑えたり、軽く済ませたりする効果が期待できます。
自分の体調と天気のパターンを把握し、服用タイミングを工夫してみましょう。

漢方薬を選ぶ際に知っておきたい注意点

漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、薬であることに変わりはありません。
選ぶ際にはいくつかの注意点があります。
最も重要なのは、自分の体質や症状に合ったものを選ぶことです。

漢方には「証」という考え方があり、体質や体力、症状の現れ方などを総合的に判断して薬を決定します。
合わない漢方薬を服用すると、効果が出ないばかりか、かえって体調を崩す原因にもなりかねません。
購入する際は、必ず医師や薬剤師、登録販売者といった専門家に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしてください。
また、アレルギー体質の人や、他に薬を服用している人は、飲み合わせについても事前に確認が必要です。

漢方と合わせて実践したい!気象病を和らげる3つのセルフケア

漢方薬による体質改善と並行して、日々の生活習慣を見直すことも気象病の対策には不可欠です。
薬の効果を高め、不調に負けない体を作るために、毎日の生活に取り入れやすいセルフケアを実践してみましょう。

食事で体内の水分バランスを整える

気象病の大きな原因である体内の水分バランスの乱れは、食事によっても整えることができます。
薬膳の考え方を取り入れ、利尿作用があり余分な水分を排出するのを助ける食材(きゅうり、冬瓜、あずき、ハトムギなど)や、体を温めて血行を促進する食材(生姜、ネギ、シナモンなど)を積極的に摂ることがおすすめです。

一方で、体を冷やす冷たい飲み物や食べ物、水分を溜め込みやすい塩分の多い食事は控えるように心がけましょう。
バランスの取れた食事で、体の内側から調子を整えます。

軽い運動で自律神経の働きをサポートする

適度な運動は、血行を促進し、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。
激しい運動は必要なく、ウォーキングやストレッチ、ヨガといった軽い運動を習慣にすることが大切です。
特に、体の歪みを整え、深い呼吸を意識するヨガやストレッチは、心身のリラックスにもつながり、自律神経の乱れやすい気象病の体質改善に効果が期待できます。

無理のない範囲で、毎日少しずつでも体を動かす習慣をつけましょう。

耳のマッサージで内耳の血流を促す

気圧の変化を感知する内耳の血流が悪くなると、めまいや頭痛といった気象病の症状が出やすくなります。
耳周りの血行を良くする簡単なマッサージは、症状の緩和や予防に効果的です。

両耳を軽くつまんで上下横に引っ張ったり、耳全体をゆっくりと回したり、耳を折りたたんで数秒キープしたりする動作を、仕事の合間やリラックスタイムに行うと良いでしょう。
痛みを感じない程度の力で、心地よいと感じる範囲で行うのがポイントです。

気象病の漢方に関するよくある質問

ここでは、気象病の改善で漢方薬を用いる際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

漢方薬はどのくらいの期間飲むと効果を実感できますか?

体質や症状によって異なりますが、早い場合は数日で効果を感じ始めます。
一般的には2週間から1ヶ月程度の服用で変化が見られることが多いです。
根本的な体質改善を目指す場合は、数ヶ月単位で継続することが必要になる場合もあります。

市販の鎮痛剤と漢方薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?

自己判断での併用は避けるべきです。
薬の成分によっては、相互に影響し合い、効果が弱まったり副作用が出やすくなったりする可能性があります。
鎮痛剤と漢方薬を併用したい場合は、必ず事前に医師や薬剤師、登録販売者に相談してください。

漢方薬に副作用はありますか?

自然由来の生薬が原料ですが、医薬品のため副作用が起こる可能性はあります。
体質に合わない場合、食欲不振や胃もたれといった胃腸症状、発疹、かゆみなどが出ることがあります。
異変を感じたら服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。

まとめ

気象病は、低気圧などによる自律神経や体内水分バランスの乱れが原因で起こります。
漢方薬は、この乱れを整え、体質から不調を改善するのに有効な選択肢です。
五苓散や苓桂朮甘湯など、症状や体質に合わせた様々な処方があります。

漢方薬を選ぶ際は、医師や薬剤師などの専門家に相談し、自分に合ったものを見つけることが重要です。
また、漢方薬の服用と合わせて、食事や運動、マッサージといったセルフケアを日常生活に取り入れることで、より効果的に気象病の対策ができます。

歳森 三千代
(としもり みちよ)
/ 薬剤師

岡山県岡山市にある不妊・妊活専門の漢方相談薬局 福神トシモリ薬局で、漢方と体質改善による妊活支援・身体づくりを専門とする薬剤師。これまで延べ1,300名以上の妊娠相談実績を持つ(全国からの相談対応あり)。 ブログでは「漢方や健康に関する豆知識」「妊活・不妊のお役立ち情報」「体質に合わせた漢方の使い方」など、専門知識に基づく実践的な情報を発信しています。読者の生活に寄り添い、長年の相談実績をもとに分かりやすく解説することを心がけています。
※掲載内容は一般的な情報であり、効果には個人差があるため、効果を必ずしも証するものではありません。