五淋散と猪苓湯の違いは?膀胱炎の症状・体質に合わせた選び方

五淋散と猪苓湯の違いは?膀胱炎の症状・体質に合わせた選び方 漢方

膀胱炎を疑うような排尿時の痛みや頻尿、残尿感といった不快な症状が出た際に、市販の漢方薬で対処したいと考える方は少なくありません。
代表的な漢方薬である「五淋散(ごりんさん)」と「猪苓湯(ちょれいとう)」は、どちらも尿トラブルに用いられますが、その効果や適した体質は異なります。

この記事では、症状や体質に応じた両者の適切な使い分けについて、分かりやすく解説していきます。

【結論】五淋散と猪苓湯の使い分けは「炎症の強さ」と「個人の体質」がカギ

五淋散と猪苓湯の最も大きな違いは、炎症を抑える力の強さにあります。
排尿時の痛みや熱感、血尿といった炎症症状が強い場合は、「五淋散」が適しています。
一方、痛みはそれほど強くないものの、頻尿や残尿感、むくみが気になる場合は、利水作用で尿量を増やして洗い流す「猪苓湯」が向いています。

この使い分けに加え、個人の体力や胃腸の状態といった体質も考慮して選ぶことが重要です。

【一覧表】五淋散と猪苓湯の効能・適した体質・成分の違いを比較

五淋散と猪苓湯は、どちらも膀胱炎などの尿路系のトラブルに用いられる漢方薬ですが、その特徴は明確に異なります。
五淋散は炎症を抑える生薬を多く含み、排尿痛や残尿感が強い体力中等度の方に適しています。
対して猪苓湯は、体力を問わず使用でき、利水作用によって尿の出を促す点にあります。

むくみや口の渇きを伴う場合の頻尿や排尿困難に効果的です。
成分の違いが、それぞれの効能の差に繋がっています。

炎症をしっかり抑えたい方向けの「五淋散」

五淋散は、11種類の生薬から構成され、特に膀胱や尿道の炎症を鎮める作用に優れています。
山梔子(サンシシ)や黄ごん(オウゴン)といった生薬が持つ抗炎症作用により、排尿時の鋭い痛みや焼けるような熱感、血尿といった急性の強い症状を和らげる効果が期待できます。
そのため、膀胱炎の初期段階や症状がピークの時に頼りになる漢方薬です。

ただし、構成生薬の地黄(ジオウ)は胃に負担をかけることがあるため、もともと胃腸が弱い方は注意が必要です。
他の薬との併用を考えている場合は、事前に医師や薬剤師に相談してください。

体力を問わず尿トラブル全般に使いやすい「猪苓湯」

猪苓湯は、猪苓や茯苓など5種類の生薬で構成され、主に体内の水分バランスを整えることで効果を発揮します。
その中心的な働きは利水作用であり、尿量を増やして排尿を促すことで、膀胱内の細菌や炎症物質を体外へ洗い流すのを助けます。

五淋散ほど強い抗炎症作用はありませんが、体力に関わらず使用できるため、体力が落ちている方や高齢者、胃腸が弱い方でも服用しやすいのが大きな特徴です。
腎仙散など他の市販薬もありますが、猪苓湯は特に残尿感や頻尿、むくみが気になる場合に適しています。

あなたの症状はどっち?膀胱炎のタイプ別に見る最適な漢方の選び方

五淋散と猪苓湯の基本的な違いを理解した上で、次に自分の具体的な症状にどちらが合っているのかを見ていきましょう。
膀胱炎の症状は、その進行度や個人の体質によって現れ方が異なります。
「痛み」が主体の症状なのか、それとも「尿の出方」に関するトラブルが中心なのかを見極めることが、最適な漢方薬を選ぶための第一歩です。

ここでは、代表的な症状のタイプ別に、どちらの漢方薬がより適しているかを解説します。

排尿時の痛みや熱感が強いなら「五淋散」がおすすめ

排尿の際に「ツーンとしみる」「ズキズキと痛む」といった強い痛みを感じたり、尿道に焼けるような熱感を伴ったりする場合は、膀胱や尿道で炎症が起きているサインです。
このような急性の炎症症状には、抗炎症作用に優れた五淋散が第一選択となります。
特に、症状が出始めたばかりの段階で服用すると、悪化を防ぎ、つらい症状を和らげる効果が期待できます。

また、炎症によって尿が濁ったり、血が混じったりするケースにも適しています。
体力がある程度あり、炎症を直接抑えたいと考えている方には、五淋散がおすすめです。

頻尿や残尿感、むくみが気になるなら「猪苓湯」が向いている

強い痛みはないものの、「トイレに行ったばかりなのに、またすぐに行きたくなる」「排尿後も尿が残っている感じがしてスッキリしない」といった症状が続く場合は、猪苓湯が適しています。
これらの症状は、体内の水分代謝が滞っていることの現れである可能性があります。

猪苓湯は、利水作用によって尿量を増やし、スムーズな排尿を促すことで、膀胱内の細菌を洗い流し、不快な残尿感を改善します。
また、体の余分な水分を排出する働きがあるため、手足のむくみや口の渇きを伴う場合にも効果的です。

体力が落ちている時や胃腸が弱い方は「猪苓湯」を検討しよう

風邪をひいた後や、仕事の疲れがたまって体力が落ちている時に膀胱炎を繰り返す方は少なくありません。
このように体力が低下している状態では、体に負担の少ない漢方薬を選ぶことが大切です。
五淋散に含まれる一部の生薬は、胃腸が弱い方にとって負担になることがあります。

その点、猪苓湯は構成生薬が比較的シンプルで、体力を問わずに使用できるため、虚弱体質の方や高齢者でも安心して服用しやすい漢方薬です。
症状の強さだけでなく、ご自身の体調や体質を考慮して、猪苓湯を選択肢に入れるとよいでしょう。

市販薬「ボーコレン」の正体は五淋散!その特徴と効果を解説

ドラッグストアなどで膀胱炎の薬としてよく見かける「ボーコレン」は、漢方薬の「五淋散」を有効成分とする市販薬です。
したがって、その効果や特徴はこれまで解説してきた五淋散と基本的に同じであり、「体力中等度のものの次の諸症:排尿痛、頻尿、残尿感、尿のにごり」を効能・効果としています。
炎症を抑え、原因菌を押し流す働きで、つらい排尿痛や残尿感を和らげます。

膀胱炎の症状でどの市販薬を選べばよいか迷った際に、痛みや炎症が強い場合はボーコレンが選択肢の一つになります。

漢方薬を飲む前に確認!症状が悪化した場合に病院を受診する目安

市販の漢方薬はセルフケアにおいて有用ですが、全ての症状に対応できるわけではありません。
漢方薬を2~3日間服用しても症状が全く改善しない、あるいはかえって悪化する場合には、服用を中止して速やかに医療機関を受診する必要があります。
特に、38度以上の高熱、悪寒、背中や腰に強い痛みがある場合は、腎盂腎炎という重い病気の可能性も考えられます。

また、血尿が続く、排尿が全くできないといった場合も危険なサインです。
自己判断で様子を見続けず、泌尿器科や内科など専門医の診察を受けてください。

五淋散と猪苓湯に関するよくある質問

五淋散と猪苓湯について、多くの方が疑問に思う点や、服用する上で知っておきたい注意点があります。
ここでは、これらの漢方薬に関するよくある質問を取り上げ、簡潔に回答します。
特に、薬の併用や効果が現れるまでの期間、効果が見られない場合の対処法など、実際に使用する際の参考にしてください。

正しい知識を持つことで、より安心して漢方薬を活用することができます。

五淋散と猪苓湯は一緒に飲んでも大丈夫?

自己判断で五淋散と猪苓湯を一緒に飲むことは避けてください。
両方の漢方薬には、効果や作用が重複する生薬が含まれているため、併用すると特定の成分を過剰に摂取してしまう可能性があります。
その結果、予期せぬ副作用を招く恐れもあります。

症状に合わせてどちらか一方を選び、改善しない場合は医師や薬剤師に相談して処方を変更してもらうのが適切な対応です。

飲み始めてからどのくらいで効果を実感できますか?

効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、膀胱炎のような急性の症状の場合、早い方では服用開始から1~3日程度で症状の改善が見られることがあります。
ただし、これはあくまで目安です。
数日間服用を続けても全く症状が変わらない、もしくは悪化するようであれば、薬が合っていないか、他の原因が考えられるため、服用を中止して医療機関を受診してください。

どちらの漢方薬も効果がない場合はどうすればいい?

五淋散や猪苓湯を数日間試しても効果が見られない場合は、すぐに服用を中止し、泌尿器科や内科などの専門医の診察を受けるようにしてください。
症状の原因が漢方薬では対応できない種類の細菌感染であったり、膀胱炎以外の疾患(間質性膀胱炎や尿路結石など)が隠れていたりする可能性も考えられます。
自己判断で服用を継続せず、正確な診断に基づいた適切な治療を受けることが重要です。

まとめ

五淋散と猪苓湯は、どちらも膀胱炎などの尿トラブルに用いられますが、最適な選択は症状と体質によって決まります。
排尿痛や熱感といった炎症症状が強い場合は「五淋散」、頻尿や残尿感が中心で体力に自信がない場合は「猪苓湯」が基本的な使い分けのポイントです。

市販薬は手軽ですが、症状が改善しない、あるいは悪化した際には、自己判断を続けずに必ず医療機関を受診することが大切です。

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