寒冷蕁麻疹の体質改善と漢方薬|原因と選び方を解説

寒冷蕁麻疹の体質改善と漢方薬|原因と選び方を解説 漢方

寒さで肌にかゆみやミミズ腫れが現れる寒冷蕁麻疹は、アレルギーの一種です。
抗ヒスタミン薬で一時的に症状を抑えることはできますが、根本的な改善には至らないケースも少なくありません。

この記事では、東洋医学の視点から寒冷蕁麻疹の原因を探り、体質改善によって寒さに負けない体を目指すために自分に合った漢方薬の選び方や生活習慣について解説します。

寒冷蕁麻疹と抗ヒスタミン薬

病院で処方される抗ヒスタミン薬は、つらいかゆみや発疹を速やかに抑えるのに有効です。
しかし、薬を止めると再発を繰り返すことも多く、長期的な服用に不安を感じる方もいるでしょう。

アレルギー反応を一時的に抑えるだけでなく、寒さに過剰反応してしまう体質そのものを見直すアプローチが、根本的な改善には求められます。

西洋薬と漢方薬でのアプローチの違いとは

西洋薬は、アレルギー反応の原因となるヒスタミンの働きをブロックすることで、かゆみや発疹といった今ある症状を抑える対症療法が中心です。
これに対し、漢方薬は症状そのものではなく、症状を引き起こしている体の内部のバランスの乱れに着目します。
体を温めたり、血行を促進したり、肌のバリア機能を高めたりすることで、寒冷刺激に反応しにくい体質へと導くことを目指す点が大きな違いです。

そのため、効果を実感するまでに時間はかかりますが、根本的な改善が期待できます。

漢方で「寒さに反応しにくい体」を目指す

漢方では、寒冷蕁麻疹を「冷え」が原因で引き起こされる不調と捉えます。
そのため、漢方薬を使った改善方法(漢方療法)では、体を温めることを重視し、血行を促進して体の隅々まで熱と栄養を届けられるようにします。
また、肌のバリア機能を高めることで、外部からの寒さという刺激に対する抵抗力を養います。

このように、漢方療法は単に症状を抑え込むのではなく、体の内側からバランスを整えることで、冷えに負けない、蕁麻疹が出にくい体質そのものを作り上げることを目的としています。

なぜ寒さで蕁麻疹が?東洋医学が考える根本的な原因

東洋医学では、寒冷蕁麻疹が起こる背景には、体の防御機能の低下やエネルギー不足が潜んでいると考えます。
特に「冷え」は、気血の流れを滞らせ、皮膚の正常な働きを妨げる大きな要因とされています。
ここでは、東洋医学の視点から寒冷蕁麻疹を引き起こす代表的な2つの原因、「風寒」と「気血不足」について解説します。

原因①:冷えの侵入が引き起こす「風寒(ふうかん)」

東洋医学では、自然界の気候変化が体に影響を及ぼすと考え、その中でも寒さや冷たい風は「寒邪(かんじゃ)」と呼ばれます。
この寒邪が、体の抵抗力が落ちているときに皮膚から侵入すると、体表近くの気や血の流れを滞らせます。
この滞りが熱の巡りを悪化させ、結果として皮膚に赤みやかゆみ、膨疹といった蕁麻疹の症状として現れるのです。

特に、ゾクゾクするような悪寒を伴う場合は、この風寒が原因である可能性が考えられます。
根本的な対策としては、体を温めて寒邪を追い出すことが重要になります。

原因②:肌のバリア機能が低下する「気血不足(きけつぶそく)」

「気」は体を温め、外部の刺激から守るエネルギー、「血」は全身に栄養を運ぶ役割を担っています。
この気と血が両方とも不足している状態を「気血不足」と呼びます。
気血が不足すると、体を温める力が弱まって冷えやすくなるだけでなく、皮膚に十分な栄養が行き届かなくなります。

その結果、肌のバリア機能が低下し、乾燥しやすくなったり、寒さのようなわずかな刺激にも過敏に反応して蕁麻疹を発症しやすくなったりします。
このタイプの改善には、気血を補い、体の内側から潤いと活力を与えることが大切です。

【体質・症状別】寒冷蕁麻疹の改善におすすめの漢方薬

寒冷蕁麻疹に用いる漢方薬は、症状の出方や個々の体質によって異なります。
体を温めることは共通していますが、悪寒が強いのか、手足の末端が特に冷たいのか、あるいは全体的に体力がなく冷えやすいのかといった「証」を見極めることが重要です。

ここでは、代表的な3つの体質・症状別に、適した漢方薬を紹介します。

冷えが強くゾクゾクする悪寒を伴う方向け:麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)

麻黄附子細辛湯は、体を温める作用が非常に強い漢方薬です。
特に、寒さに当たるとゾクゾクとした強い悪寒を感じ、水っぽい鼻水や咳が出るような、体力があまりない方の寒冷蕁麻疹に用いる漢方薬です。
体を芯から強力に温めることで、体内に侵入した「寒邪」を発散させ、気血の巡りを改善します。

冷えによる倦怠感や手足の冷たさが顕著で、温かい場所に入ると症状が和らぐタイプの方に適しています。
風邪のひきはじめに使われることも多い漢方薬です。

手足の末端の冷えが深刻な方向け:当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、手足や下腹部など、体の末端の冷えが特に強い方の寒冷蕁麻疹に使う漢方薬です。
血を補いながら血行を促進する「当帰」を中心に、体を強く温める「呉茱萸」や「生姜」が配合されています。
これにより、細い血管まで血流を促し、指先や足先まで熱を届けます。

しもやけができやすい、冬場になると頭痛や腹痛が起こりやすいといった、血行不良による冷えが根本にあるタイプの方におすすめの漢方薬です。

体力がなく冷えやすい虚弱体質の方向け:桂枝湯(けいしとう)

桂枝湯は、比較的体力がなく、胃腸が弱い虚弱体質の方の寒冷蕁麻疹に用いる漢方薬です。
体を穏やかに温め、発汗を調整することで体表のバリア機能を整える働きがあります。
寒気に触れると蕁麻疹が出るものの、汗をかきやすく、体力の消耗を感じやすい方に適しています。

体の表面を温めながら、気血のバランスを整えることで、外部の刺激から体を守る力を養います。
風邪のひきはじめで、自然に汗ばむような場合にも用いられる、基本的な漢方薬の一つです。

自分に合った漢方薬を選ぶために知っておきたい3つのポイント

寒冷蕁麻疹の改善に漢方薬を取り入れる際は、自分の体質や症状に合ったものを選ぶことが何よりも重要です。
市販薬を手軽に試すこともできますが、より効果的な改善を目指すためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、最適な漢方薬を見つけるための3つの要点について解説します。

ポイント①:まずは自分の体質である「証(しょう)」を把握する

漢方では、その人の体力や抵抗力、症状の現れ方などを総合的に判断したものを「証」と呼びます。
例えば、体格が良く体力がある人は「実証」、虚弱で疲れやすい人は「虚証」に分けられます。
寒冷蕁麻疹一つをとっても、体力のある人とない人では適した漢方薬が異なります。

また、冷えの程度や他の付随症状(頭痛、胃腸の不調など)も重要な判断材料になります。
自己判断は難しいため、まずは漢方に詳しい医師や薬剤師に相談し、自分の「証」を正しく把握することが、適切な漢方薬選びの第一歩です。

ポイント②:市販薬と処方薬のメリット・デメリットを理解する

漢方薬は、薬局やドラッグストアなどで購入できる市販薬と、医師が処方する医療用医薬品があります。
市販薬は手軽に試せるメリットがありますが、健康保険の適応外になります。
一方、医師が処方するツムラやクラシエなどの医療用漢方薬は、健康保険が適用されます。

どちらを選ぶ場合も、まずは漢方に詳しい専門家に相談し、必要に応じて処方してもらうか、市販薬を試す場合でも漢方に明るい薬剤師に相談するのが賢明です。

ポイント③:焦りは禁物!じっくり体質と向き合うことが大切

漢方薬による体質改善は、西洋薬のようにすぐに効果が現れるものではありません。
体の内部のバランスを根本から整えていくため、効果を実感するまでには数週間から数ヶ月単位の時間がかかるのが一般的です。
すぐに変化が見られないからといって焦って服用を中止するのではなく、じっくりと自分の体と向き合い、継続することが重要になります。

体質の変化には時間がかかることを理解し、根気強く取り組む姿勢が、漢方薬を効果的に活用する上での鍵となります。

漢方とあわせて実践したい!寒さに負けない体を作る生活習慣

漢方薬で体の内側からバランスを整えるのと同時に、日々の生活習慣を見直すことで、より効果的に寒冷蕁麻疹の改善が期待できます。
特に、体を温めて血行を促進する習慣は、冷えに負けない体を作る上で欠かせません。
食事や入浴、運動といった日常の工夫を取り入れ、根本的な体質改善を目指しましょう。

体を内側から温める食事のコツ

食事は、体を内側から温める最も基本的な方法です。
生姜、ネギ、ニンニク、カボチャ、ニラといった香味野菜や根菜類は、血行を促進し体を温める効果が期待できます。
調理法も、生で食べるよりはスープや煮物など加熱したものがおすすめです。

一方で、夏野菜や南国の果物、白砂糖、冷たい飲み物や食べ物は体を冷やす性質があるため、特に寒い季節は摂取を控えるように心がけましょう。
バランスの良い食事を温かい状態で摂ることが、冷えにくい体質の基礎を作ります。

血行を促進する効果的な入浴法

毎日の入浴は、血行を促進し、体の冷えを解消する絶好の機会です。
シャワーだけで済ませず、38〜40℃程度のぬるめのお湯に、15分以上ゆっくりと浸かることを心がけましょう。
熱すぎるお湯は交感神経を刺激し、かえって体の負担になることがあります。

リラックスすることで副交感神経が優位になり、血管が拡張して血流が改善されます。
また、体を温める効果のある蓬(よもぎ)や炭酸ガス系の入浴剤を活用するのも効果的です。
入浴後は体が冷えないうちに、しっかりと水分を拭き取り、保温に努めましょう。

基礎代謝を上げるための簡単な運動

筋肉は体内で最も多くの熱を生み出す組織であり、筋肉量が少ないと体が冷えやすくなります。
基礎代謝を上げて熱を生み出す力を高めるためには、適度な運動を習慣にすることが重要です。

激しい運動である必要はなく、ウォーキングや軽いジョギング、スクワットといった下半身の大きな筋肉を動かす運動が効果的です。
特に、日常生活の中で一駅分歩く、階段を使うといった小さな工夫を積み重ねることが、冷えにくい体づくりにつながります。
継続することで血行が促進され、体質改善を後押しします。

寒冷蕁麻疹の漢方療法に関するよくある質問

寒冷蕁麻疹の改善を目指して漢方薬を検討する際、効果や飲み合わせ、費用など、さまざまな疑問が浮かぶことでしょう。
ここでは、漢方薬の服用に関して多くの方が抱く質問とその回答をまとめました。

服用を始める前の不安解消にお役立てください。

Q. 漢方薬を飲み始めてから効果が出るまでどのくらいかかりますか?

体質や症状により個人差がありますが、一般的に2週間〜1ヶ月程度で何らかの変化を感じ始める方が多いです。
ただし、漢方薬は体質を根本から改善していくため、蕁麻疹が出にくくなるなどのはっきりとした効果を実感するには、数ヶ月単位での継続が必要です。

焦らずじっくり取り組むことが、漢方薬を服用するときの重要なポイントです。

Q. 皮膚科で処方された抗ヒスタミン薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?

自己判断での併用は避けるべきです。
アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン薬と漢方薬は、作用の仕方が異なるため併用できる場合もありますが、飲み合わせによっては互いの効果に影響を及ぼす可能性も否定できません。
必ず、処方した医師や漢方に詳しい薬剤師に相談し、指示に従ってください。

Q. 漢方薬の処方に健康保険は適用されますか?

医師が診察の上、治療に必要だと判断して処方する医療用漢方製剤は、健康保険が適用されます。
これにより、費用負担を抑えながら治療を続けることが可能です。
一方、漢方薬局やドラッグストアで自分で選んで購入する市販の漢方薬は、保険適用外となり全額自己負担です。

まとめ

寒冷蕁麻疹は、西洋薬で一時的に症状を抑えるだけでなく、漢方薬を用いて体質から見直すことで根本的な改善が期待できます。
東洋医学では、冷えによる「風寒」や、体の栄養・エネルギー不足である「気血不足」が原因と捉え、体を温めて血行を促進し、肌のバリア機能を高めるアプローチを取ります。

自分に合った漢方薬を選ぶには、体質(証)の見極めが重要であり、専門家への相談が不可欠です。
また、漢方の効果を高めるためには、体を温める食事や入浴、適度な運動といった生活習慣の見直しもあわせて行いましょう。

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